ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

まさか、M区で

2017-02-20 07:47:53 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「まさか目黒区で」2月9日
 『目黒5小学校で不適切支出41件』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『区立小学校5校が、2011年度以降、校長交際費から神社や町会、商店街に対し、祭礼の奉納金や清酒代などとして計41件、計約49万円を不適切に支出していた』のだそうです。信じられない話です。
 まず第1に、5年間以上、こうした状況であったことに対して、教委が把握していなかった点です。帳簿の監査などではなく、指導主事などが学校を訪問する中で、校長や副校長と雑談する中で一度も話題に出なかったはずがないと思うのです。私が指導主事時代には、担当校ごとに覚え書きのような形で雑談の内容を記録し、必要に応じて室長や他課に情報提供をしていたものでした。例えば、女性教員が妊娠したらしいということを校長との雑談から知り、産休育休講師担当の係長に事前に知らせておくことで素早い対応ができる、というようなことです。もちろん、こうしたことは指導主事の職務に位置付けられているわけではありませんが、いわば危機管理の一環として、有能な指導主事であれば、学校についての情報を蓄積しているはずなのです。
 また、5年間といえば、通常であれば、校長も副校長も人事異動で一度は替わっているはずです。現在では、奉納金などの形での支出はほとんど全ての行われていないはずなのですから、いくら昨年度まで行っていたからといって、「これはおかしいから、やめなくては」と考えた校長等がいたはずです。それなのに、悪しき慣習が継続してきたというのは、管理職としての自覚に欠ける行為です。
 さらに、神社や町会側も、公的機関から寄付を受けるということの意味に無頓着すぎます。私は、下町の区教委に勤務していたのですが、下町では、祭りの日に学校が午前授業となり、子供たちが祭りに参加できるようにする、というような地域が残っていました。いわゆる濃密な人間関係が残る保守的な地域です。しかし、目黒区は、革新的な地域、住民の意識が高い地域、人間関係の柵よりも、個人のプライバシーを重視する地域として有名です。そこで、こうした旧態依然の慣習が残っているというのが大変意外です。まさか、他の地域でも、と思ってしまいます。教委を含め行政側の啓発活動が必要です。
 最後に、こうしたいわば学校と町会や商店街などの「癒着」が発覚したということは、逆方向の「癒着」、つまり運動会等の学校行事への地域からのお祝いや寄付という行為がなかったかどうかについても、厳重な再調査が必要だということを指摘しておきたいと思います。我が国に根付いている贈答文化は、一方的に贈るという行為が成り立ちにくい構造をもっています。もらっているから贈り返す、というのが普通の意識なのです。そちらの方は大丈夫なのでしょうか。かつては、行事等の寄付を副校長がプールしておき、運動会の来賓にお弁当を渡すなどということが普通に行われていたものです。疑いをもたれる前に点検が必要です。

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