後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

ロマン溢れる水力発電所の見える風景

2013年04月03日 | 写真

水力発電所は風光明媚な山の中にあります。

緑豊かな山の斜面に発電に用いる水を流し下す導管がついています。

山の清流から取り込んだ透明な水をその導管へ流し込むのです。そして巨大な縦型水車を回して発電をします。

使い終わった水はまた川へ返します。

山の高低差を巧みに利用した水路の設計や、巨大な発電機の設計が楽しいのです。技術者なら誰もが憧れるロマンチックな仕事なのです。

そんなロマン溢れる水力発電所の見える風景写真を下にお送りいたします。

イビデン(昔の揖斐川電工)という会社の発電所と山梨県の所有する発電所と、最後は四国電力の伊尾木川水力発電所の写真です。

お楽しみ頂ければ嬉しく存じます。

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イビデン東横山水力発電所:http://www.ibiden.co.jp/company/facility/higashiyokoyama.html

最大出力、13600Kw

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山梨県企業局所有の柚ノ木水力発電所:ttp://www.suiryoku.com/gallery/yamanasi/yunoki/yunoki.htmlhttp://www.pref.yamanashi.jp/news/200607/images/img_1152002499763.JPG です。

最大出力、17800Kw、有効落差:264.40m

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四国電力、伊尾木川水力発電所:http://www.suiryoku.com/gallery/kouchi/iokigawa/iokigawa.html

最大出力:7700Kw、落差129.90m

皆様も近くの発電所の見学にお出かけ下さい。発電所の内部は見えませんが、外から見ただけでも気持ちが晴れ晴れします。この季節には山桜が咲き、ウグイスが鳴いています。


原発反対運動の成功・・・大飯原発も停まり原発ゼロ状態になる!

2013年04月03日 | 日記・エッセイ・コラム

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まず最初に、成功の定義を致します。原発稼働ゼロ状態が数ケ月続き、数年後に数基だけの原発が稼働するなら、それを原発反対運動の成功と私は定義します。

この現象が日本の社会に起きる可能性が非常に大きいと判断されます。

現在、唯一稼働中の大飯原発2基はこの夏には定期検査に入り、停止します。そうすると原発稼働がゼロの状態が長期間続く可能性が出てきたのです。

原発再稼働が非常に困難になった一番大きな原因は原子力安全規制委員会の委員長の田中氏のかたくなまでの厳しい安全対策案が原因になっています。

田中氏は生粋の会津人の魂を持っているようで政治権力者や産業界のボス達の期待を一顧だにしません。反骨精神に溢れている人です。彼の安全基準案には私さえ吃驚するほどの厳しさです。

ある原発専門家から聞いた話では多大の投資と改良を要求されるている各電力会社は、原発に魅力を感じなくなっているそうです。

話はさかのぼりますが、少し前の1月31日、原子力安全規制委員会は今年の7月から全ての原発に義務づける安全基準の案を発表しました。

2月1日の読売新聞はその1面、3面、11面、13面を使って新しい安全基準を詳しく報じていました。

その内容を読むと新安全基準は非常に厳しい内容です。電力会社にとっては非常に出費がかさむ改造工事や高い防潮堤の建設が義務づけられています。幾つかの原発は改造工事をするよりは、廃炉にした方がコストが少なくなる可能性があります。

この安全基準の内容を見て感じることは、周辺の人々の保護と安全の観点から現在の技術で考えられる最高の安全対策になっていると感じられます。

経済的なことは一切考慮に入れずに純粋に技術的な観点からのみ安全対策を考えています。そのかたくななまでの誠実さを私は高く評価しています。

皆様は原発のことをもうお忘れでしょうか?

もう一度おさらいするために安全基準の詳細を見てみましょう。

(1)津波対策と建物の水密構造化。

原発の存在する土地の地形や海底の地形から想定される津波の最大の高さに耐える防潮堤の建設を要求しています。

その上、万一津波が防潮堤を越えてきても原発の建物内に海水が入らないように建物を水密構造にする改造工事を要求しています。

(2)活断層の定義を10万年以後に活動がある断層から40万年以後と長期化にしたのです。

活断層の定義を40万年間に活動したものとすると現在の10万年基準より、もっと厳しくなり、原発はより安全になります。

この様な定義に従うと数基の原発は廃炉になる可能性があります。

(3)緊急電源確保のための改造工事。

複数の変電所を設置し、個別の送電線を使用すべしという内容になっています。その上、全ての外部電源停止に備えて24時間持続するバッテリーの設置を義務づけています。

(4)水素爆発防止のための対策。

建屋の中にたまった水素をフィルターを通して迅速に建屋の外へ排気し、水素爆発が起きないようにします。

それが完成すれば広範囲に放射能がまき散らされなくなります。その改良工事がフィルター付ベント装置の設置といい、再稼働の前に義務づけられています。

それでも水素爆発が起きて配管が壊れても、冷却水を送れるようなシステムを動かす第二制御室を設置する義務が要求されています。

(5)火災対策工事。

原発工場の火災の発生を防ぐために全ての電源ケーブルの絶縁被覆材は難燃性素材に交換することが義務づけられています。かさねて予備ケーブルなどの延焼の可能性のある全てのものは発熱する電源ケーブルから離して置くことも要求されています。

その他、すべての想定を越える巨大自然災害やテロ攻撃などに備えた対策も義務化しようとしています。

この安全基準案をそのまま7月から実行すると8月から再稼働の審査対象になる原発はゼロになる可能性があります。

現実には義務条件に猶予期間を認め、安全度の高い原発から順次、「再稼働の可否の審査作業」が始まるとおもいます。

例えば、フィルター付排気装置(ベント)の設置は、格納容器が大きく水素爆発の危険が比較的低い「加圧水型原発」24基については設置完成の猶予期間を認める方向です。一方残り26基の沸騰水型原発については猶予期間を認めない方針なので8月になっても再稼働は当面難しくなります。

さて新安全基準の案が出来たのですから、現存している50基の日本の原発のそれぞれごとの安全性や危険性が比較出来ることになります。

この比較検討は読売新聞の科学部の高田真之氏と前村 尚氏が詳細な取材にもとずいて発表しています。発表は2月1日の読売新聞の3面に詳しく掲載されています。

結論から書けば、今年の7月にすぐに再稼働の審査に入れそうな原発は四国の伊方原発3号機だけとなっています。

そして2番手の原発は活断層の問題が無い九州電力の玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)と考えられています。

一方、それとは対照的に廃炉もせまられかねない原発が13基もあります。この13基は1975年以前に国の設置許可を得たものです。したがって重要な電力ケーブルの被覆材に可燃性の素材が使われています。これが新安全基準に従い、燃えにくいケーブルに変える必要があるのです。

今後、運転期間を40年に制限する規定も安全基準に加えられるため、改修をするよりも廃炉にした方がお金がかからない可能性もあるのです。

さてその他の原発の現状はどのようになっているのでしょうか?

読売新聞の3面には「各原発の対策の現状」と題した一覧表が掲載されています。その部分を写真に撮ったのが下の表です。不鮮明ですが読めれば幸いです。

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この表の一番上には原発が再稼働する前に越えるべき大きなハードルの項目が4つ書いてあります。

4つとは、(1)フィルター付ベントの新設、(2)免震性を高める改造、(3)防潮堤の完成、(4)活断層の有無、の4項目です。

この表を見ると各原発が再稼働の審査に入れるのはおおよそ2015年以降になりそうです。

今回の新しい原発の安全基準を厳密に適用すれば今後2年以内に再稼働出来る原発は3基か4基だけになってしまいそうです。

この表が掲載してある3面の左には社説欄があり、「安全と再稼働の両立を目指せ」と題する社説が掲載されています。

新しい安全基準案はあまりにも厳しいので、適用にあたっては柔軟に考えて猶予期間をとるのが望ましいと書いてあります。読売新聞は一貫して再稼働を急ぐべしという主張でした。その延長のような内容の社説です。

さて今後、安倍政権はこの新安全基準案はどのように処理するのでしょうか?

厳しすぎるから骨抜きにしなければ半数以上の原発の再稼働は困難をきわめます。国民は注意深く見守るべきではないでしょうか?

そして使用済み核燃料の処理方法も忘れずに確立すべき重大な問題です。

しかし最近、日本人は原発のことを忘れたように静かになってしまいました。マスコミも原発の記事を出さなくなっています。原発反対運動家も鳴りをひそめました。

こんな状態で日本の将来は安全なのでしょうか?原子力安全規制委員会にだけまかせてしまわないでもっと、もっと議論を深め、原発の安全性の質的向上に努力すべきと信じています。

尚、上下の挿絵の写真は駒橋水力発電所の周囲の風景写真です。一昨日、撮ってきました。(参考:産業技術遺産・駒橋水力発電所・・・その水路のロマン

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。

後藤和弘(藤山杜人)

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