印刷用 本番の質問と答弁を対応して統合したPDF版 178KB
2番 家庭排水処理としての下水道や合併処理浄化槽の現状と将来 答弁者 副市長
●質問/寺町
下水道事業は、全国の自治体財政を圧迫している。
「企業債残高のうち下水道事業債は5割を超え、下水道の汚水処理の経費回収率は約6割、つまり汚水処理に係る経費の約4割が一般会計から補てんされている」と専門書にも書いてある。
国では政権が交替し、先月、全国から注目された「事業仕分け」において、公共下水や農業集落排水事業については、象徴的な方針転換の方向が示されている。その資料では「住民の必要性や地域の実情を踏まえて事業を行うべき」「より低いコストで整備可能な合併処理浄化槽へのシフトを促進させ、予算を縮減すべき」「工事対象地域の見直しや工事単価の縮減に務めるべき」などとされている。
ともかく、水洗トイレ、台所、風呂などの排水を処理する合併処理浄化槽の場合の経費がもっとも安いことは確か。実際、全国町村長会は、以前から、「下水道から合併処理浄化槽へのシフトにより大幅なコスト削減を実現した長野県下條村の例」などをPRしている。
国が来年度以降の家庭排水処理の予算をどうするかに関係なく、山県市としては、将来の計画を考えていく必要がある。市内で残っている地域は美山地区だ。
山県市は、「高富・富岡地区の公共下水計画」が完了するのは2017年H29年以降だから、美山地区の計画の具体化はまだまだという意識があると受け止める。
しかし、準備に5年かかるとみれば、そろそろ方針をイメージしていく必要がある。
今の時代に馴染む発想に転換することを求めて質問する。
●問い1. 山県市の公共下水と農業集落排水のための諸支出の概要、一般会計からの補填額、利用料収入額はどのようか。
⇒答弁/副市長 平成20年度の決算額で、公共下水道事業は合計予算額11億2800万円程度、起債償還残額32億2000万円程度、年間償還総額の元金315万9千円、利子分6000万円弱、合計で6300万円程度。また一般会計からの補填額1億0377万円程度を見込み、利用料収入額394万7千円程度を見込んでいる。
農業集落排水事業は合計予算額4億6900万円程度、起債償還残額は42億3400万円程度、年間償還総額の元金1億9100万円程度、利子分9300万円程度、合計2億8500万円程度となっている。ま一般会計からの補填額3億4500万円程度、利用料収入額1億1600万円程度を見込んでいる。
●問い2. 農業集落排水施設は市内で6地区あるが、「高富の4地区」と「伊自良の2地区」の平均の「接続率」はどのようか。
接続してもらえない人の理由はどのようなものか。
⇒答弁/副市長 高富地区4施設の平均接続率は87.7%、伊自良地区2施設の平均接続率は79.0%で、農業集落排水事業全体の平均接続率は84.1%。
また、接続がかなわない人の理由にいて、農業集落排水事業区域での接続されていない世帯のアンケ-ト調査結果では、「接続工事費が高く改修資金不足のため。」「高齢者世帯であり後継者がいない。」「市外に居住につき空き家状態で今後住むかどうかわからない。」というような内容。
●問い3. 例えば、若い世代が住むには、水洗トイレはいまやほとんど不可欠。家庭排水処理も望まれる。そこで、美山地域の「全世帯中」の「合併浄化槽」「単独処理槽」「くみとり式」の比率はどのようか。
⇒答弁/副市長 美山地域の「全世帯中」の「合併浄化槽」、「単独浄化槽」、「くみ取り式」の比率は、「合併浄化槽」が28.0%、「単独浄化槽」が37.1%、「くみ取り式」が34.9%。
●問い4. 旧美山町は、1994年H6年に「下水道基本構想」を策定、特定環境保全公共下水道と農業集落排水事業で整備、とした。
その後、合併前の2003年H15年にできた「基本計画」では、「整備手法の多様化を勘案」「必要な機能を確保した上での最小の投資額の算定」としている。2つの大きな処理区域と対応する2つの施設に分けて「集合処理」する人口は6割、他の地域の人口4割は合併処理浄化槽で対応というものだ。
この計画が示している「経費総額」はいくらか。
⇒答弁/副市長 美山地域の下水道計画は、合併前の旧美山町において、平成15年2月に岩佐地区から谷合地区一部までの区間を特定環境保全公共下水道として2処理区域、その他地域を個人の合併処理浄化槽で整備するという計画が策定され、その後、個人の合併処理浄化槽設置事業については、順次進めている。
当該計画が示す「経費の総額」は、特定環境保全公共下水道2処理区域で行った場合の「費用」は、第1処理区約47億円、第2処理区約24億円、合計概算事業費約71億円。
また、その他の地域での個別で設置される合併処理浄化槽設置事業の「費用」は、概算事業費約10億円であり、併せて約81億円を見込んでいる。
●問い5. 美山地域の全世帯の85%を合併処理浄化槽にした時の費用はどの程度と予測するのか。
⇒答弁/副市長 美山地域の全世帯の85%を合併浄化槽にしたときの「費用」は、概算事業費約22億円になると想定している。
●問い6. その際に「最低限の集合処理」が考えられるが、効率的とみて良いエリアはどのあたりのどの程度の世帯数か。
⇒答弁/副市長 谷合地区の一部地域と西武芸地区の一部で、世帯数は約600戸と想定される。
●問い7. 公共下水の浄化力、例えばBOD、それはかなわないとしても、通常の合併処理浄化槽のレベルで相応の環境改善効果が達せられのだから、何十億円もかけずとも家庭排水処理が実現できるとの考え方にならないのか。
●問い8. 合併処理浄化槽を精力的に整備するとの方針を立てれば、スタートすれば結果も早いのではないか。
⇒答弁/副市長 7点目・8点目は一括して答える。既存の下水道計画をもとに、再度各事業の採択要件、将来の人口予想、また、6点目の約600世帯の皆さんの排水先や設置場所の問題もある、美山地域の実情を良く調査するとともに、個別の合併浄化槽方式も一つの選択肢として、下水道計画の見直しも含め今後、検討していく必要があると考えている。
●問い9. 下水工事が進む高富と富岡の合併処理浄化槽の補助金は今後どうするのか。
⇒答弁/副市長 合併浄化槽の補助金は、平成3年に厚生省通知の中に、下水道の整備計画が7年以上見込まれない地域を補助対象とするとされている。質問の高富・富岡の下水道の第3期整備区域においては、平成29年度完成予定なので、今年度末をもって補助金の補助対象地域でなくなる。
参考に申し上げると、第3期整備区域の自治会は、高富地域が森・南・大北・石田町・佐賀、富岡地域は伊西・宮本・栗洞・八京・笹倉・向塚・金屋洞・中央通り・本郷南・向イ東・尾右・東野台。尚、自治会には、全てが対象でなくなるところ、一部だけが対象でなくなるところがあるので詳しくは、担当課に尋ねてほしい。
◆再質問-1/寺町
公共下水の一般会計からの今の補填額は1年間で1億円という。
では、工事が終了し事業が安定した時点では一般会計からの補填額は1年当たり 何億円ほど予測するのか。
⇒再答弁/副市長 一般会計からの補填額は、今後完成したときからのさらに続くが、年平均3億円くらいと見込んでいる。
◆再質問-2/寺町 私は、次のように考えるが間違っていないか確認したい。
概算的に見れば、集合処理(公共下水、農業集落排水=高富と伊自良の全域)の対象地域の市民22000人約7000世帯に対して、すべて加えてみると約230億円の投資があるとでてくる。利子分を除いて考えての実際のお金だ。
美山地区の現在の集合処理の計画を進めれば、答弁では約71億円かかる。1700世帯が対象。
これらから、大雑把に見れば、集合処理という方式に関しては、一世帯当たりの投資額としては、だいたい350万から450万くらい。市民一人当たりにすれば約100万から140万と見れる。
高富や伊自良の接続率85%を加味していくと、「美山でも85%」としていくと、合併処理浄化槽で整備するのは、答弁のとおり約22億円。
計算すれば、ひと世帯あたり約100万円が合併処理浄化槽。
美山地区では既に合併浄化槽が28%整備されている。のこりの地域に整備すると、答弁の22億円の約72%、つまり約16億円でよいということになる。
それと、公共道路まで自己資金で工事することに比べれば、敷地内の住宅近くに処理槽を埋めればよいから、配管の距離も短い、つまり市民の自己負担が少ない。敷地の広い家になればくより言える。
このような考え方の基本認識で間違っていないか。
⇒再答弁/副市長 整備費のことだけ考えれば、そのとおり。しかし、合併浄化槽についても、法定点検あるいは汚泥の汲み取りなどの経費が必要となってくるので、その辺、どちらがどうかは一度は比較しないといけないと思う。
◆再質問-3/寺町 「美山地域の実情を良く調査する」という答弁につき、美山町時代の計画書を一読すれば、十分に調査がされていると私は見る。いまさら「実情調査」は必要ないと考える。ともかく、必要なのは、市民の皆さんの「意向や希望の調査」ではないのか。
⇒再答弁/副市長 美山町の下水道構想は平成6年、基本計画は平成15年に作成。時間的には今後も含めて相当経過する可能性がある。先ほどの600世帯のこともあるので実情を調査する必要がある。もちろん、地域の皆さんの意向や希望の調査も含めての実情調査と理解してほしい。
◆再質問-4/寺町 答弁の「個別の合併浄化槽方式も一つの選択肢とする」「下水道計画の見直しも含め今後、検討していく」とは、どういうことか確認したい。
従来の集合処理するという計画の中でそういう予定のエリアについても、個別の合併処理で改善していく、そのように想定したと受けとめてよいか。
⇒再答弁/副市長 この計画は、集合処理人口が6割で合併浄化槽人口が4割となっている。今後、美山地域の皆さんの意向なども踏まえて、この比率の変更も想定されということになる。
たとえば極端に申せば、集合処理人口が0割で合併浄化槽人口が10割、このようなこともありうるということを申し上げたかった。
議員ご発言の個別の合併浄化槽方式で改善していくことも選択肢の一つであるという意味である。
● 再々質問/寺町
合併処理が10、集合処理が0、も含めたということで従来の方針とはだいぶ違う方向を考えていくとは受け止めた。
先ほど、合併浄化槽の法定点検がある、汚泥の汲み取りがあるということだった。それは、通常の公共下水、集落排水でも使用料として毎月払う分の年間の料金、それとだいたい対応するということは経験的に明らか。個人負担の方は同じ天秤に乗っているからあまり問題はない。
確認したように、合併浄化槽は先ほどみたように、一世帯で約100万円。このうち、従来の方式だと、1割が自己負担、残りを国、県、市が30%ずつ、1/3ずつ負担する。そういう意味で山県市の負担は30万円。一世帯あたり、というふうだ。
整備するには、当然、税金の少ない方がよい、それが先ほど確認したように、公共下水、集落排水より合併浄化槽がいいということは従来からいわれているとおりだ。その認識が市内でも改めてできていると思う。
すでにある合併浄化槽を、公共下水の網がかかると壊して使わない、という不合理なことがおきる。補助金を出して個人のお金で作ったもの。この解決は矛盾してくる。
答弁にあったように高富・富岡の公共下水の地域はもう合併浄化槽補助金はやめるという。
まさにその分を美山地区に集中して投入していけば整備も早くできる。
財政負担もより少なくできると考える。
そこで、高富・富岡が終わってからが前提にあるということだが、早めに合併浄化槽に転換できるという調査も含めて検討してほしいと思うがいかがか。
⇒再々答弁/副市長
いわゆる下水道は、下水道区域のエリアとして都市計画決定した場合は、そこに住む方々はどうしても下水道につながなければいけないという法律の根拠がある。そういう中でつなげない方もある。そういうことも勘案しながら、個人の合併浄化槽を設置する必要度も高くなってくると思う。が、600戸の問題、いわゆる排水先のない方、設置する場所が狭隘であるということもある。合併浄化槽を設置したが壊さなければならないという問題、そういうものを取り混ぜて、考えないといけない。
平成20年度で合併浄化槽の補助金を出しているのが60世帯。21年度が48世帯、22年度の予算額は50世帯を予定しているが、今まで、高富地域、富岡地域もその補助金を交付していた。それが今度は美山のほうに集中していける。これも国、県の枠なので、この50世帯を保ちながら、今後予算要求しながら、近いうちにこの計画の見直しを考えいくという方針でいく。 |