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てらまち・ねっと



 堺市の図書館の問題、11月4日の住民監査請求からその後の動きの中間報告をしよう。 
                     (転送・転載歓迎)

●11月7日には各地の自治体議員らの連名で市に申し入れを行った。
 13日は、各地の市民や学者や研究者らほかで同様に申し入れた。
 15日(土)に上記申し入れに対する市の回答が郵送されてきた。
 17日(月)は、その回答に対するこちらのコメントを記者クラブへ。

 市の回答があまりに「他人事」の体なので、こんなことを放置したらいけないと、意識的に硬く辛口のコメントをさらっと起案したら、ほぼそのまま採用された。

 他方、住民監査請求は14日に受理通知が届いた。
 文末に、議会選出の監査委員は除斥にあたらないので4人で監査する旨が記されていた。
 17日は監査委員事務局との調整で、「監査委員への陳述は12月9日(火)1時半から」と決まった。

●堺市の図書館長会議で、「18歳未満貸し出し禁止」と夏に決めたことを、今回「請求があれば18歳未満にも貸し出す方針を決め、同日から運用を始めた」と覆したことが報道された。

● 今回、堺市のことが大きな話題になった理由は二つあると思う。
 一つは、「5500冊」という、いかにもすごい数字をまとめた、つまり、「BL本が5500冊ある」と受け取れるようなまとめをしたこと、
 二つ目は、市の公式Webページで「市民の質問に対する市の回答」という形で全国(インターネット=世界)発信したこと。

 前にも少し触れたけど、この約5千冊の中身は、一般には明らかにされていない。もちろん私たちはその詳細データを取得している。
 分析しなければと思っていたのだけれど、手が回らないところに・・・いゃー、さすが、分析してくるという人たちが出てきた・・・・嬉しい・・・
 その本や著者、出版社についての予備知識がある人じゃないと効率的、効果的にできないことだから・・・

● 他方、排除する人たちも、彼ら的に見ても「問題ある本は5千冊のうちの一部ではないか」ということが分かってきたらしい。
 排除しようとする人たちの掲示板では次のように書かれている。

 「本当は、エロ本を排除して、性表現を伴う青春文学を死守すべきでしょう。『BL』とされた5500冊にも問題ないものは大いにあるはず・・・エロ本をなんとかするためには『BL』に一括で網をかけるほか方法がありません・・・わかるように区分を提示する必要があります。そうすればちゃんとエロ本だけ迫害します。

 どこまでも、いつまでも、排除を続けたいらしい。

● ともかく、今回の堺市の図書排除問題、報道にいろんな姿勢が現れている。
 私は、こんな記事書いていて、そんなスタンスで報道の自由を死守できるのかと、強い疑問を感ずるものある。
 まさに、このBL本の排除問題、開架に置くべきか閉架に置くべき、青少年に貸すべき否か・・・その人の価値観と感性が現れることだと見ている。

● とはいえ面白いことに、堺効果はしっかり出ている。
 つまり、堺のように「軟弱」な対応をすると、大変なことになるから「明確」かつ「毅然」と対応しよう、そんな図書館の姿勢が出ていると見受ける。
 これが皮肉なことに「排除する人たちの掲示板」に書き込まれている。
 
 書き込みにある 大阪市の回答の一つ
    「3.男同士のセックスシーンもあるが、
       セックスシーン自体は他の小説にもあるので問題はない。」


 堺市は、見事に立派な反面教師役を果たしているようだ。

 これらについて、いずれも下記に詳しく紹介しておく。

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ここのところ7位、8位あたり

 11月5日ブログ
   ⇒ ◆住民監査請求/上野千鶴子「日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう」
 11月11日ブログ
   ⇒ ◆第二次申し入れの賛同人の募集・明日まで/その他の各種情報

 住民監査請求の陳述日は「12月9日(火) 午後1時半から」
 まず1時間がこちらの陳述、続きで行政の説明が1時間ほどの見込み。
 1時間こちらが陳述し、そのあと市の行政側が監査委員に説明する。
 代理人のほか、請求人の陳述についてもできるように求めていたが
「監査委員からは異論が無いのでよいはずです」とのこと。

 もちろん、私たちは市の説明に立会い、一般の人や報道機関も傍聴できる。

以下は、監査委員の受理通知と市の回答、こちらのコメント。
    
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

                      2008年11月17日
堺市回答に対するコメント

                    上野千鶴子 東京大学大学院教授
       「ジェンダー図書排除」究明原告団・代表
      呉羽真弓 京都府木津川市議会議員
                    はじめ 市民97名/議員46名/7団体

 私たちが11月7日および11月13日に提出した、「堺市立図書館におけるBL図書排除に関する申し入れ」の「問い1」の趣旨は、堺市HP「市民の声Q&A」の「今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない」との市の回答は、「特定図書の処分(廃棄)を前提にしたものなのか。説明を求める。」である。
 堺市の回答は「廃棄を前提にしたものでなく」であるから、市のHPにおける市民への回答との齟齬が明白になった。堺市HPと私たちに対する回答の比較から、結果として、今回の図書問題に関する堺市の混乱、不統一の方針や対応などが鮮明になった。

「問い2」は、「今回、一部の市議会議員の個人的主張に市の基本姿勢が揺らいだことは間違った市政運営ではないか。」である。
 堺市の回答は、「本件における、他者からの個人的主張による不当な介入や働きかけなどは一切ありません。」とすべての働きかけを否定しているが、これは、インターネットにおける各種情報や新聞等の報道からも、また、事案の経過からも事実に反する。
 今回の図書館運営に対する一連の「外圧」の存在をあえて否定することは、重大な問題をはらむ。
 私たちも行政も、人権問題に関して差別的扱いや排除行為等の存在を認識しない限り問題の解決が進まないことを歴史的に学んでいる。DV(ドメスティックバイオレンス)への対応に関しては暴力を我慢するのでなく暴力や加害の事実を直視して対策しなければならない。その観点からすれば、今回の「一切ない」との堺市の回答あるいは認識は、問題の解決に進むのでなく、悪しき事態を温存・継続するだけだ。

 なお、回答には「青少年に配慮する観点から、開架せず書庫に収蔵し、請求があった場合には、閲覧・貸出しに対応」と抽象的な付言がなされている。これについては、本件回答の直前にきゅうきょ館長会議が開催され、本年8月に決定し運用されていた「青少年への提供は行なわない」との方針・合意を撤回し、「請求があれば18歳未満にも貸し出す方針を決めた。同日から運用を始めた。」と新聞報道されている。
このような重大な決定変更があるにもかかわらず、私たちへの回答においては先の抽象的表現しか記さない姿勢には、わずかの誠意すら感じられない。

以上、堺市の今後に強い懸念と不安をいだくものである。
                                  以  上
                    (連絡先) 寺町みどり 
                    501-2112 岐阜県山県市西深瀬208
                      0581-22-4989

  上記3件の文書請求書印刷用 PDF版 3ぺージ 309KB

次に、排除しようとする人たちの掲示板の一部を見るために
フェミナチを監視する掲示板 から 一部を抜粋 ↓



Re: 堺市図書館BL(ボーイズラブ)本のその後2 バーク - 2008/11/14(Fri) 00:36:36 No.59964
それにしても、どうやればずさんな管理で何百冊も並んでしまうんでしょう?(笑)事情を知らない人になら、何を言っても騙せますけどね。

>学校の図書館とか心配になってきましたが

古本屋の常連様。学校図書館にBLがある場合もけっこうありますよ。ネットで検索してみれば、たとえば「図書室 BL」とか、いろいろとキーワードを工夫してみればヒットします。

ところで、大阪市内在住の私の友人が先日、BLを大量所蔵する大阪市立図書館へBLに関して問い合わせてくれました。

要点をかいつまんで書くと、
1.市民からのリクエストがある以上、BLを購入するのは図書館として当然の対応である。
2.BLは有害図書ではないので購入しても問題はない。
3.男同士のセックスシーンもあるが、セックスシーン自体は他の小説にもあるので問題はない。
4.たとえ未成年者であっても貸し出す。年齢制限をするのは図書館の自殺行為である。

5.今回、堺市が発表した5500冊のうち、大阪市立図書館が所蔵と同一のタイトルのBLは150冊程度しかなかった(堺市が書庫入れしたような過激なBLは大阪市立図書館には少なかったのか、もしくは、たまたま同一のタイトルのBLが少なかったかのかは不明)。
6.大阪市立図書館においても一年ほど前までは開架してあった。

まあ、私なら、もっと突っ込んで質問したのですが・・・。
ちなみに総冊数では堺市立図書館を上回っているとは思います、あくまでも想像ですが。

Re: 堺市図書館BL(ボーイズラブ)本のその後2 バーク - 2008/11/18(Tue) 00:34:29 No.60001
富士2000様。有り難うございます。
   ・・・・・
本当は、エロ本を排除して、性表現を伴う青春文学を死守すべきでしょう。『BL』とされた5500冊にも問題ないものは大いにあるはずです。しかしエロ本もまっとうな少女小説も区別なく(あるいは区別できないように)自ら全部『BL』とまとめているのなら、自発的に区分がなされていないのなら、エロ本をなんとかするためには『BL』に一括で網をかけるほか方法がありません。「わかってない!」と抗議したいなら、わかるように区分を提示する必要があります。そうすればちゃんとエロ本だけ迫害します。

●ボーイズラブ小説は不適切?図書館貸し出しで議論白熱  朝日 2008年11月5日12時35分
 「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛を題材にした小説を図書館に置くべきかどうか。BL小説を20年近く買い続け、計5500冊を所蔵する堺市立図書館が対応に苦慮している。「子どもに悪影響を与える」と廃棄を求める声が相次いだのに対し、「性的指向による差別につながる」と廃棄の差し止めを求める住民監査請求が4日、市に出された。

 BL小説は作者も読者も主に女性で、文章の合間に、1冊で計数ページの挿絵があるのが一般的。堺市立図書館では全裸の男性が抱き合ったり、下半身に顔をうずめたりしている挿絵がある作品も扱っているが「1冊あたり1、2ページに過ぎず、大阪府条例の有害図書にあたるものは一切ない」としている。

 計7館の堺市立図書館を統括する中央図書館によると、堺市立図書館では利用者の要望を受けて90年からBL小説を買い始めた。03年には最多の825冊を購入したが「内容が過激化し、一定の配慮が必要」と05年から抑制している。総数は蔵書の1%未満、購入総額は約370万円という。

 「ほかに買いそろえるべき有益な本はたくさんある」。今年7月以降、電話や複数の図書館窓口で、市内在住の子どもの保護者らから廃棄を求める声が相次いで寄せられた。一方、4日に監査請求した市民は「基準に基づいて整備した図書を、特定の意図で排除することは許されない」と訴えている。

 堺市立図書館は8月、露骨な性描写があるイラストや文章があるBL小説について(1)今後、収集しない(2)18歳未満に貸さない、などとする方針を決めた。中央図書館の松井孝参事は「『露骨』の線引きは難しい。利用者の反応を見ながら、検討を続けたい」と話している。(岡本玄)

●男性同性愛扱ったBL小説本 書架のはずが開架図書
堺市立の4図書館 戻して18歳未満貸し出し禁止 毎日新聞 2008.11.5
 堺市立の図書館で書庫入れ扱いしている「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同性愛を扱った一部の小説が開架され、誰でも読むことができる状態になっていたことが分かった。本来は書庫に保管し、請求があった場合のみ貸し出ししていたが、ずさんな管理が原因で開架されていたという。図書館側は7月、市民からの指摘を受けて書庫に入れ、8月からは18歳未満の貸し出しを原則禁止している。

 どう私立中央図書館によると、BL本は市民からの多くのリクエストを受け、90年ごろから購入。これまで計約5500冊(約370万円)を購入したが、一部のほんの内容が過激になっていることなどから、ここ数年は一冊も購入していないという。
 図書館側は、BL本の中には挿絵や描写など過激なものや、紛失も多いことなどから閲覧室には置かず「書庫入れ」とし、カバーには書庫入れの本と分かる目印もつけている。ところが、北、南、西、中の4図書館では7月まで、一部のBL本が書庫に入れられずに閲覧室に置かれ、誰でも読むことができたという。
 中央図書館総務課は「人気で貸し出しも多く、書庫に入れると倉庫まで取りに行く手間がかかるなどし、つい開架していたようだ」と説明している。

市民「特定の図書の排除許されない」
 一方市民ら約30人が4日、「特定の図書を排除するのは許されない」として、図書の廃棄や貸し出し不可能な状態での保管をしないことなどを求め、市に住民監査請求を起こした。【久保聡】

● BL本貸し出し 18歳未満は禁止 堺市立図書館 産経新聞 2008.11.5
 堺市立の図書館が男性の同性愛などをテーマにした「ボーイズラブ」(BL)と呼ばれる小説の18歳未満への貸し出しを事実上禁止していたことが4日、わかった。
 市立図書館では、市民からの要望などを基にBL本を購入。7図書館中、4施設が本棚に展示していたが、一部から「子供が見るのにふさわしくない」との声を受け、図書館長会議を通じて、今夏からBLを書架で保管することを決定。希望者から申請があった場合のみ貸し出し、中高生ら18歳未満には貸し出しをしていないという。

●「ボーイズラブ」は書庫に、堺市立図書館の5500冊  朝日 2008年11月14日
 堺市の市立図書館が所蔵する「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛を題材にした小説計5500冊をめぐり、市民らから賛否が寄せられている問題で、市立全7館の館長会議が14日開かれ、青少年への影響にも配慮して誰でも自由に見られる書棚ではなく書庫で管理する一方、請求があれば18歳未満にも貸し出す方針を決めた。同日から運用を始めた。
 7月、市民から「子どもに悪影響を与える」などとBL小説の廃棄を求める声が寄せられたため、全館を調べたところ、4館で書棚に置かれていた。このため、「一定の配慮が必要」と8月から18歳未満への貸し出しをいったん中止し、対応を検討してきた。
 館長会議では、正当な理由がない限り、特定の資料の特別扱いや撤去をしない、とする日本図書館協会が79年に決議した「図書館の自由に関する宣言」を確認。そのうえで、書棚での管理は教育的配慮に欠けていた▽府条例の有害図書にはあたらない▽未成年の利用実態はほとんどない▽年齢制限に法的根拠はない——などを踏まえ判断した。


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