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てらまち・ねっと



 一昨日25日の福井地方裁判所で情報公開訴訟。
 県の職員が担当する審議会の会議の様子を職務として録音した電磁記録(録音テープや記録メディアなどに保存されたデータ)が「情報公開の対象か否か」を争う裁判。
 被告福井県の答弁書は、前日24日に裁判所からFAXで送られてきていました。
 24日の大阪での石原産業。株主代表訴訟の提訴から家に帰って、ざっと見ました。
 14ページ。その内容は、それなりに誠意をもって答弁しているとの印象とともに、異議申し立てに対する福井県の主張と変わりないものという印象。
 訴状が細かく組み立ててあるところ、被告が、逐一詳細に、認める部分と認めない部分を明確にしてくれたので、早くも、とてもすっきりしました。

 こちらから見ると、しっかり反論できるということ。もう、材料はそろっているので。
 なお、一番驚いたのは、この音声記録非公開処分についての異議申し立てを情報公開審査会に諮問した知事が、「本件については、被告は同審査会に対して早期処理を要請している」と答弁してきたこと。
 異議申し立ての扱いをそんな杜撰に進めてよいのかと、あらためて、福井県の恣意的な行政姿勢を感じました。

 法廷では、こちらの「被告は、今回の答弁書で基本的な主張は済んでいるのか」の問いに、被告代理人は「そうだ」との答え。

 また、こちらが「情報公開の手引き」を訴訟に提出して欲しいと求めたところ、被告が「ぶ厚いし・・」と躊躇しかけたら、裁判長が、「裁判所は持っていますが、そう厚くないでしょ」(傍聴席の、多分報道関係者から「笑い声」が聞こえました)・・「書証として出してください」・・

 裁判長は、被告に、(原告が訴状で引用し、被告が答弁書で反論した3つの)判例について、審級(第一審、第二審・・のそれぞれという意味)ごとに出すように求めました。
 被告は、これらを5月10日ころまでに出す、としました。

 裁判長は、個人情報の問題は争点ではないですねと双方に確認。
 被告は「そうだ」。
 こちらは、「発言している委員は、全員、県の非常勤職員で、その公務としての発言だから問題ないし、被告もそう認めている」。

 裁判長「では、公文書に該当するかどうかだけが争点ですね」。
 被告「公文書にあたるか、管理しているといえるかだ」。

 こちらは、5月中に答弁書に具体的に反論すると述べました。

 その後に(事前に申請しておいたとおり)、法廷での原告の二人の意見陳述を行いました。
 一人は、昨年の11月2日の審議会を傍聴した県民の立場からの陳述。
 一人は、5つの府県に同種の会議の音声記録を情報公開請求したところ、公開されたということの意見。

 やっぱり、当事者が語るのは、迫力があります。

 この弁論のことの新聞報道は
  ⇒ 5.01 ジェンダー本審議会記録訴訟。福井県は争う姿勢の答弁書

 次回第二回弁論は、(その後、変更⇒) 7月25日(水)午後1時半で確定。

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● 県生活学習館の性差書籍撤去:録音“公開”訴訟 県「メモ的、公文書でない」 /福井  4月26日 毎日
 ◇ジェンダー本巡る県審議会の記録--初弁論
 福井県生活学習館がジェンダー(性差)関係の本を一時撤去した問題を話し合った県男女共同参画審議会の録音記録の情報公開を巡り、社会学者の東大教授、上野千鶴子さんら13人が県を相手取り、非公開処分の取り消しを求めた訴訟の第一回口頭弁論が25日、福井地裁(小林克美裁判長)であった。被告側は提出した答弁書で提訴事実の大部分を認めたが、「録音記録は職員が使うメモ的なものであって公文書とは言えない」と、録音データの公共性については争う姿勢を示した。
 訴状によると、同審議会は昨年11月2日に開かれた。原告らは同6日、審議会の録音記録の情報公開を請求したが、県は同20日、「非公開決定(不存在)」処分とした。議事録は県のホームページ上でも公開されているが、実際の発言を意訳・要約したものになっているという。【菅沼舞】毎日新聞 2007年4月26日

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                    平成19年4月25日 
             陳 述 書
                           原告  菅井純子

 私は、福井市内で女性のための電話相談ボランティア活動を行っている「ウィメンズ・フォーラムFUKUI」という市民グループの一員です。この会は、福井県の設置した生活学習館「ユー・アイふくい」の広域学習グループに登録しており、研修講座などの会場として「ユー・アイふくい」を利用してきました。また、会の発足当初より特にドメスティック・バイオレンスの被害者支援活動に力を入れてきましたので、福井県の配偶者暴力被害者支援センターでもある同館の役割に大きな期待を寄せてきました。

 そのため、昨年5月に「ユー・アイふくい」の情報ルームの一部の図書が県職員によって撤去された問題が明らかになった時は驚きとともに、強い怒りと失望を覚えました。排除された図書の中には、DVに傷ついている女性にとって非常に有用と思われる図書も多数含まれておりました。
昨年8月29日に、県の福井県男女共同参画推進条例に基づいて、「福井『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志」として、この特定書籍の排除の経過や今後の施策に関して県知事に苦情申出書を提出しました。

 その申出は、11月2日に開催される福井県男女共同参画審議会に諮られることになりました。
 しかもこの11月2日の平成18年度第5回審議会では、「福井県男女共同参画基本計画」の改定についての議論がいよいよ大詰めを迎えようとしていました。この計画は「男女共同参画社会基本法」に基づき平成14年に策定されたものですが、計画期間の半分を経過するにあたり社会情勢の変化などを勘案して計画を見直そうとするものです。審議会での議論は今後5年間の福井県の男女共同参画にかかわる施策を方向付けるものですから、県民全体にとって極めて重要な意味を持つものです。

 私は、11月2日の審議会を傍聴し、2時間に及ぶ会議の内容をできるだけ詳しく筆記しようといたしました。高田会長をはじめ委員の皆さんが活発に意見を述べられ、杉本総務部長や田島課長の発言もありました。審議会で図書撤去問題の意味が問われたことには大きな意義があります。

 その議事録は、後日、県のホームページ上で閲覧できるようになりました。しかし、実際に話された言葉と比較すると要約され、省略された部分が大きくて、とても残念です。特に事務局による説明がすべて省略されていることや、杉本総務部長の発言が非常に簡潔な表現に要約されていることには違和感を覚えます。また、私の主観によるものとはいえ、ニュアンスの違うものになっている箇所が少なくありません。

 県は、会議記録が出来上がったら、録音記録のデータを消去しているそうです。福井県の今後の男女共同参画にかかわる施策を方向付ける会議の記録です。大幅に要約あるいは省略した会議記録では将来、施策の協議経過を振り返ることすら出来ません。条例に基づく私たちの苦情申し出の審議の記録も消えてしまいます。

 私は傍聴した者の一人として、この審議会での議論のすべてが県民に公開されるべきだと考えます。私は、委員や事務局の方々がすべての時間を通じて真剣に議論を尽くされたことを知っております。その貴重な発言の内容を余すことなく県民に公開することで、県の男女共同参画がより県民に浸透するに違いないと考えます。また県民だけでなく全国から注目されている図書撤去事件が県側からどのように説明されたのかを、音声記録の公開により白日の下にさらすことが、福井県を「情報公開後進県」に貶めないためにもぜひ必要であると考えます。

 私は、納税者であり福井県民です。裁判官のみなさんには、私の知る権利を、そして県民の知る権利を是非とも守っていただきたいと、強くお願いいたします。
                                 以上

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                  平成19年4月25日
      意見陳述書
                        原告  小 川 満 美

 平成15年8月19日、三重県桑名市にある三重県のゴミ処理施設において爆発事故がありました。私は、桑名市議会議員だったこともあり、県が設置した爆発事故にかかるRDF貯蔵層事故調査特別委員会(平成16年1月27日開催)と県議会健康福祉環境森林常任委員会(平成17年11月4日開催)の会議の録音テープを情報公開請求したことがあります。二度とも開示されていましたので、今回、福井県で会議録のテープ等の電磁的記録が情報公開されなかったことに、大変驚きました。同じような情報公開条例のはずなのに、運用面でこれほど大きな差があることには納得がいきません。それどころか、恣意的な運用がまかり通って、市民の「知る権利」が損なわれることは許せません。

 そこで、他の自治体の状況を確認するために、インターネットで簡単に情報公開請求ができるところなど5府県を選びました。三重県、秋田県、岩手県、宮城県、大阪府です。請求者は府県民に限らず、だれでも情報公開請求できます。

 請求方法は、各自治体の公式ホームページから情報公開のページを開き、そのまま電子メールを送るか、あるいは、情報公開請求書をホームページからダウンロードして、FAXを送るだけで済みました。対象文書は、この訴訟と同様に、「『男女共同参画審議会』の直近の会議の内容をとどめたところのいわゆる『電磁的な記録』及びその『電磁的記録』から作成された『会議録』」等と特定して請求してみました。時期は、今年の2月から3月にかけて、です。

 結果は、「電磁的記録」は5府県とも開示されました。
「電磁的記録」から作成された「会議録」については、4府県は開示されました。ただ、三重県だけが平成19年1月31日に審議会を開催したばかりで、2月9日の請求時点では、「議事録作成途中」ということで「不存在」扱いでした。この三重県も現在は、会議録の概要が公式ホームページ上に公開されています。つまり、会議録の作成が完了する前でも音声データは開示したということです。

 なお、請求後、5府県とも担当者から内容確認の電話がありました。
宮城県の担当者からは、「ホームページ上に議事録を公開しているのに、何故必要なのですか。まったく同じものですよ」と不審がられてしまいました。私は、「会議の録音テープなどの電磁的記録が情報公開請求できない県があったので調査をしています」と説明し、理解してもらいました。
他は、内容確認だけで、すぐに手続きしてくれました。

 今回、複数の自治体に、同じ文書を請求してみて、議事録は情報公開の対象になるのは当然で、ホームページ上でも公開されていました。さらに、議事録確定前でも会議の模様を実際に記録した録音テープや電磁的な録音記録も情報公開の対象になることがよく分かりました。私自身の経験と直感に安心しました。

 この調査を試みて感じたことは、福井県の情報公開条例の運用がいかに恣意的であるかと同時に、いかに条例の解釈を誤っているか、そして、福井県庁には非公開体質があふれているということです。
私は、福井県庁の常識は全国の非常識、と申し上げたい。
                      以上

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(参考) 訴状やコメント、その他資料は、インターネットで 「てらまち」 で検索して出てきたブログの次の各日のところに詳しいです。

2月15日 ◆福井県知事回答が来て、福井「ジェンダー図書排除」究明原告団および有志。
2月19日 ◆原告代表・上野千鶴子、被告・福井県。録音記録不存在。訴状や証拠など資料
2月20日 ◆福井県男女共同参画審議会音声記録の情報非公開処分取消請求事件の提訴


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