竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻15 歌番号1120から1124まで

2024年04月09日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻15
歌番号一一二〇
原文 於无奈乃安多利奈止以日个礼者
読下 女の、あだなりと言ひければ

原文 安佐川奈乃安曾无
読下 あさつなの朝臣(大江朝綱)

原文 満免奈礼止安多奈者多知奴太和礼之万与寸留之良奈美遠奴礼幾奴尓幾天
和歌 まめなれと あたなはたちぬ たはれしま よるしらなみを ぬれきぬにきて
読下 まめなれどあだ名は立ちぬたわれ島寄る白浪を濡衣に着て
解釈 私は至って真面目なのですが、浮気男の評判が立ってしまいました、あの筑紫の「たわれ島」の名前ではありませんが、戯れるように島に寄せ来る白浪、その白浪の雫で濡れた濡衣、その言葉のような、貴女に戯れ寄る男との濡れ衣を着てしまいました。

歌番号一一二一
原文 安比可多良比个留飛止乃以部乃万川乃己寸恵乃毛三知
多利个礼者
読下 あひ語らひける人の家の松の梢の、もみぢ
たりければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 止之遠部天堂乃武加比奈之止幾者奈留万川乃己寸恵毛以呂加者利由久
和歌 としをへて たのむかひなし ときはなる まつのこすゑも いろかはりゆく
読下 年を経て頼むかひなし常盤なる松の梢も色変り行く
解釈 長い年月を共に時を過ごして貴方を信頼していましたが、どうも、思い通りにはならないようです、常盤のはずの松の梢も色変わりして。

歌番号一一二二
原文 於止己乃於无奈乃布美遠加久之个留遠三天毛止乃
女乃加幾川計者部利个留
読下 男の女の文を隠しけるを見て、もとの
妻の書きつけ侍りける

原文 与武之与宇乃美也寸止己呂乃武寸女
読下 四条御息所女

原文 部多天个留飛止乃己々呂乃宇幾者之遠安也宇幾万天毛布美々川留可奈
和歌 へたてける ひとのこころの うきはしを あやふきまても ふみみつるかな
読下 隔てける人の心の浮橋を危うきまでも踏み見つるかな
解釈 私と貴方とを隔てている、その貴方の心に架けている不安定な浮橋、その浮橋が不安定なのに私は気が付かずに今まで踏み渡っていたのですね、そのような貴方の心に架けているものを、貴方の文に見ました。

歌番号一一二三
原文 遠乃々与之布留乃安曾无尓之乃久尓乃宇天乃徒可比尓
満加利天布多止之止以婦止之与従乃久良為尓者加奈良寸満可利
奈留部可利个留遠佐毛安良寸奈利尓个礼者加々留
己止尓之毛左々礼尓个留己止乃也寸可良奴与之遠
宇礼部遠久利天者部利遣留布美乃可部之己止乃
宇良尓加幾川个天徒可者之遣留
読下 小野好古朝臣、西の国の討手の使ひに
まかりて、二年といふ年、四位にはかならずまかり
なるべかりけるを、さもあらずなりにければ、かかる
事にしも指されにける事のやすからぬよしを
愁へ送りて侍りける文の返事の
裏に書きつけてつかはしける

原文 美奈毛堂乃幾武多々乃安曽无
読下 源公忠朝臣

原文 堂万久之計布多止世安者奴幾美可三遠安計奈可良也者安良武止於毛比之
和歌 たまくしけ ふたとせあはぬ きみかみを あけなからやは あらむとおもひし
読下 玉匣二年会はぬ君が身をあけながらやはあらむと思ひし
解釈 玉匣の蓋、その言葉の響きのような、二年も会わなかった貴方は都を空けていましたが、その貴方の身分が朱の官服の五位のままとは思いも寄りませんでした。

歌番号一一二四
原文 可部之
読下 返し

原文 遠乃々与之布留乃安曾无
読下 小野好古朝臣

原文 安遣奈可良止之布留己止八堂万久之計三乃以多川良尓奈礼者奈利遣利
和歌 あけなから としふることは たまくしけ みのいたつらに なれはなりけり
読下 あけながら年経ることは玉匣身のいたづらになればなりけり
解釈 都を空けながら年月を経ることとは玉匣の中に何もないみたいに、その言葉の響きではありませんが、朱の官服の五位のままで年を経ることは、西国の討手の務めをしましたが、都人には、この我が身の上に何もなかったと言うことなのでしょうね。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする