竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻16 歌番号1150から1154まで

2024年04月17日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻16
歌番号一一五〇
原文 飛止乃毛遠奴者世者部利尓奴日天川可者寸止天
読下 人の裳を縫はせ侍るに、縫ひてつかはすとて

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 可幾利奈久於毛不己々呂者徒久者祢乃己乃毛也以可々安良武止寸良无
和歌 かきりなく おもふこころは つくはねの このもやいかか あらむとすらむ
読下 限りなく思ふ心は筑波嶺のこのもやいかがあらむとすらん
解釈 貴方のことを限りなくお慕いする気持ちは、あの「筑波嶺のこの裳」の歌ではありませんが、心を尽くして縫ったこの礼装の上着となる裳は、朝議での官礼服として着用されると思いますが、今後、貴方のお立場はどのようになるのでしょうか。
注意 古今和歌集「筑波嶺のこのもかのもに蔭はあれど君が御蔭に増す蔭はなし」を引用する。

歌番号一一五一
原文 於止己乃也末比之个留遠止不良者天安利/\天
也美加多尓止部利个礼八
読下 男の病しけるを訪ぶらはで、ありありて、
止みがたに問へりければ

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 於毛日以天々止不己止乃者遠堂礼三末之三乃之良久毛止奈利奈万之可八
和歌 おもひいてて とふことのはを たれみまし みのしらくもと なりなましかは
読下 思ひ出でて問ふ言の葉を誰れ見まし身の白雲となりなましかば
解釈 思い出したかのように病気の身を見舞う言葉を書いた手紙を誰が見るでしょうか、もし、その病に伏した人の身が死して魂が白雲のように天に昇りましたら。

歌番号一一五二
原文 美曽可越止己之多留於无奈遠安良久者以者天止部止
毛乃毛以者左利个礼八
読下 みそか男したる女を、荒くは言はで問へど、
物も言はざりければ

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 和寸礼奈无止於毛不己々呂乃徒久可良尓己止乃者佐部也以部者由々之幾
和歌 わすれなむと おもふこころの つくからに ことのはさへや いへはゆゆしき
読下 忘れなんと思ふ心のつくからに言の葉さへや言へばゆゆしき
解釈 あの歌ではありませんが、昔、私との関係があったことを、貴女はすっぱりと忘れてしまおうと思う気持ちが起きたので、私からの事情を問う手紙に返事することまでも、神罰に触れるような忌むことと思っているのですか。
注意 古今和歌集「忘れなむと思ふ心のつくからにありしよりけにまづぞ悲しき」を引用する。

歌番号一一五三
原文 於止己乃加久礼天於无奈遠三多利个礼者川可八之个留
読下 男の隠れて女を見たりければ、つかはしける

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 加久礼為天和可宇幾左万遠美川乃宇部乃安和止毛者也久於毛日幾衣奈无
和歌 かくれゐて わかうきさまを みつのうへの あわともはやく おもひきえなむ
読下 隠れゐて我が憂きさまを水の上の泡とも早く思ひ消えなん
解釈 貴方は私の屋敷内に隠れ居て、私の普段のなにも装っていない様子を見たのですね、その「みつ」の言葉の響きではありませんが、儚く消える水の上の泡沫ととも、私の恥ずかしいと思う気持ちが消え失せて欲しいものです。

歌番号一一五四
原文 与乃奈可遠止可久於毛日和川良日者部利个留本止尓於无奈止毛多知
奈留飛止奈保和可以者无己止尓川幾祢止加太良日者部利个礼八
読下 世の中をとかく思ひわづらひ侍りけるほどに、女友だち
なる人、なほ、我が言はん事につきね、と語らひ侍りければ

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 飛止己々呂以左也志良奈美堂可个礼八与良武奈幾左曽加根天可奈之幾
和歌 ひとこころ いさやしらなみ たかけれは よらむなきさそ かねてかなしき
読下 人心いさや白浪高ければ寄らむ渚ぞかねて悲しき
解釈 貴女が紹介する、その男の気持ちは知らない(判らない)、その「しら」の言葉の響きのような白浪が高く打ち寄せれば、そこへ寄るすべのない渚です。その貴女が紹介するその男への寄るすべの無いことは残念に思います。

コメント
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