竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻16 歌番号1145から1149まで

2024年04月16日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻16
歌番号一一四五
原文 也末比之天己々呂本曽之止天多以布尓川可八之个留
読下 病して、心細しとて、大輔につかはしける

原文 布知八良乃安徒止之
読下 藤原敦敏

原文 与呂徒与遠知幾利之己止乃以多川良尓飛止和良部尓毛奈利奴部幾加奈
和歌 よろつよを ちきりしことの いたつらに ひとわらへにも なりぬへきかな
読下 よろづ世を契りし事のいたづらに人笑へにもなりぬべきかな
解釈 貴女と万世までも共に過ごすと誓ったことも、偽りだったと、貴女に笑われそうな境遇になってしまいました。

歌番号一一四六
原文 加部之
読下 返し

原文 多以布
読下 大輔

原文 加遣天以部者由々之幾毛乃遠与呂川与止知幾利之己止也加奈者佐留部幾
和歌 かけていへは ゆゆしきものを よろつよと ちきりしことや かなはさるへき
読下 かけて言へばゆゆしき物を万代と契りし事やかなはざるべき
解釈 不吉な事柄を口にだせば、それが確かな不吉なことになりますよ、貴方と万世までも共に過ごすと誓ったことが適わないわけがありません。

歌番号一一四七
原文 安良礼乃布留遠曽天尓宇个天幾衣个留遠
宇美乃本止利尓天
読下 霰の降るを袖に受けて消えけるを、
海のほとりにて

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 知留止三天曽天尓宇久礼止多万良奴八奈礼多留奈美乃者奈尓曽安利个留
和歌 ちるとみて そてにうくれと たまらぬは あれたるなみの はなにそありける
読下 散ると見て袖に受くれどたまらぬは荒れたる浪の花にぞ有りける
解釈 海辺にて霰が散っていると眺めて、それを袖に受け止めるけど、霰が袖に降り貯まらないのは、どうも荒れた海の浪の花だったみたいですね。

歌番号一一四八
原文 安留止己呂乃和良波於女己世知美尓奈武天无尓左布良日天
久川遠宇之奈比天个利寸計武止乃安曾无久良宇止尓天
久徒遠加之天者部利个留遠加部寸止天
読下 ある所の童女、五節見に南殿にさぶらひて
沓を失ひてけり。扶幹朝臣、蔵人にて
沓を貸して侍りけるを、返すとて

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 堂知左波久奈美万遠和个天加川幾天之於幾乃毛久川遠以川可和寸礼无
和歌 たちさわく なみまをわけて かつきてし おきのもくつを いつかわすれむ
読下 立ち騒ぐ浪間を分けてかづきてし沖の藻屑をいつか忘れん
解釈 立ち騒いでいる浪の間をかき分けて潜って採り誂えた沖の藻屑、その言葉の響きのような、この沓の出来事を忘れることがあるでしょうか。忘れません。

歌番号一一四九
原文 加部之
読下 返し

原文 寸計武止乃安曾无
読下 輔臣朝臣(藤原輔臣、ある本に藤原扶幹)

原文 加徒幾以天之於幾乃毛久川遠和寸礼寸八曽己乃見留女遠和礼尓加良世与
和歌 かつきいてし おきのもくつを わすれすは そこのみるめを われにからせよ
読下 かづき出でし沖の藻屑を忘れずは底のみるめを我に刈らせよ
解釈 潜って見出した沖の藻屑、その言葉の響きのような「沓」の出来事を忘れないのなら、水底に生える海松布(みるめ)ではありませんが、大人になった、その時に、私に貴女との「見るめ」の機会を与えて、貴女の「女(め)」を刈らせて下さい。

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