竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻15 歌番号1090から1094まで

2024年04月01日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻15
歌番号一〇九〇
原文 佐多女多留於止己毛奈久天毛乃於毛比者部利个留己呂
読下 定めたる男もなくて、物思ひ侍りけるころ

原文 遠乃々己万知
読下 小野小町

原文 安満乃寸武宇良己久不祢乃加知遠奈美世遠宇美和多留和礼曽可奈之幾
和歌 あまのすむ うらこくふねの かちをなみ よをうみわたる われそかなしき
読下 海人の住む浦漕ぐ舟の舵をなみ世を海渡る我ぞ悲しき
解釈 海人が住む浦を漕ぎ行く舟が舵を無くしたような、舵を持たずに夜に海を渡るではありませんが、世を倦む渡る、そのような私の身の上は辛いものがあります。

歌番号一〇九一
原文 安比之利天者部利个留於无奈己々呂尓毛以礼奴左万尓者部利个礼八
己止飛止乃己々呂左之安留尓徒幾者部利尓个留遠
奈遠之毛安良寸毛乃以者武止毛宇之徒可者之多利
遣礼止可部之己止毛世寸者部利个礼八
読下 あひ知りて侍りける女、心にも入れぬさまに侍りければ、
異人の心ざしあるにつき侍りにけるを、
なほしもあらず、物言はむ、と申しつかはしたり
けれど、返事もせず侍りければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 八万知止利加比奈可利个利川礼毛奈幾飛止乃安多利者奈幾和多礼止毛
和歌 はまちとり かひなかりけり つれもなき ひとのあたりは なきわたれとも
読下 浜千鳥かひなかりけりつれもなき人のあたりは鳴きわたれども
解釈 浜千鳥の足跡の例えではありませんが、手紙を送ったことに甲斐がありません、返事もくれずつれない態度の貴女の周囲では、浜千鳥の例え、私からの手紙が、千鳥が鳴きわたるように、たくさん、届けていますが。

歌番号一〇九二
原文 保武己宇天良女久利之多万日个留美知尓天加衣天乃
衣多遠々利天
読下 法皇、寺巡りしたまひける道にて楓の
枝を折りて

原文 曽世以保宇之
読下 素性法師

原文 己乃美由幾知止世加部天毛美天之可奈加々留也万布之止幾尓安不部久
和歌 このみゆき ちとせかへても みてしかな かかるやまふし ときにあふへく
読下 この御幸千歳かへでも見てしがなかかる山伏時にあふべく
解釈 この御幸、千年も変らずに見ていたいものです、私のような山伏がこの良き時に巡り合えますように。

歌番号一〇九三
原文 左武為无乃幾左為於保武久之於呂左世堂万比天遠己奈者世
堂万比个留止幾加乃為无乃奈可之万乃末川遠个川利天加幾
徒个者部利个留
読下 西院の后、御髪下させたまひて行はせ
たまひける時、かの院の中島の松を削りて書き
つけ侍りける

原文 曽世以保宇之
読下 素性法師

原文 遠止尓幾久末川可宇良之万遣不曽三留武部毛己々呂安留安万者寸三个利
和歌 おとにきく まつかうらしま けふそみる うへもこころある あまはすみけり
読下 音に聞く松が浦島今日ぞ見るむべも心ある海人は住みけり
解釈 噂に聞いていた松が浦の島、それを今日に見ました、なるほど、海人ではありませんが、信心深い尼が住んでいるのですね。

歌番号一〇九四
原文 以従幾乃美也乃美曽幾乃可幾之毛尓止乃々宇部乃飛止/\万可利天
安可川幾尓可部利天武万可毛止尓川可八之个留
読下 斎院の禊の垣下に殿上の人々まかりて、
暁に帰りて、馬がもとにつかはしける

原文 宇部毛无
読下 右衛門

原文 和礼乃美者堂知毛加部良奴安可川幾尓和幾天毛遠个留曽天乃川由可奈
和歌 われのみは たちもかへらぬ あかつきに わきてもおける そてのつゆかな
読下 我のみは立ちも帰らぬ暁にわきても置ける袖のつゆかな
解釈 私だけが禊の儀式から立ち帰った訳でもない、その暁に、特別に私だけに置いて袖を濡らした露なのでしょうか。(いや、斎院の禊の儀式の時も、それ付き添う女房である貴女「馬」の姿を見て、伊勢に降る貴女とは、もう、これが別れかと思って涙したのです。)

コメント
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