『さぁ出発しよう』
浜辺の水際でいつまでもビーチサンダルと足を洗っている君を見ながら、僕はそう言った。
足に纏わりついた砂子を完全に取り除くために、海のなかへ足を突っ込み、海中でやさしく蹴り上げると、一瞬完全に不快感が無くなる。しかし、海中で足を地面に置いた瞬間に再び纏わりついてくる。
もう洗い流されたでしょ?でもまだ完璧じゃないから。と君の頭の中は無限ループに陥っている。
ついに君は僕の言葉に少しだけ耳を傾け、水際から砂浜へと足を向けてみる。しかし、濡れてしまった足は余計に浜辺の砂子をかき集めてしまう。すぐに不快感を感じた君は、すぐに海へと戻り、すぐに再び海中で蹴り上げる。
それを10回くらい繰り返すと、君はいよいよイライラしている様子を隠せなくなってきた。それまでもかなりイライラした様子ではあったが、今はもはや誰が見てもイライラしているとわかるほどに、表情が強張っている。
そうこうしているうちに、日は沈みかけ、夕方特有の暑さと心地よい風を感じながら、僕は自分のビーサンが完全に乾いてきたのを感じた。もはや僕の足は、海で砂子を洗い流す必要はなく、さらさらとトラップから離れていく。
そんな事実を君に気づかれないようにと、僕はわざと水際に戻り足を濡らした。
そんな僕の目論見を完全に見抜いた君は、自分の惨めさを相手への攻撃で隠すために、あえて食い気味に「どうしてわざわざ戻ってきたの?」と言う。
僕は少し照れながら『俺の場合は、すぐに煩わしさがなくなるようになってるから、大丈夫なんだよ』と言う。
「わかってるんだけどね。この海でいくら砂を落としても、すぐに砂が纏わりついてしまうことは。でももう少しだけ完璧な状態で浜辺を歩きたいの」
『いや、君は何もわかってないよ』
「だから、海岸の外で洗い流せる場所を探せ!って言うんでしょ?わかってるんだけど、せっかくこんなに時間かけたから、もうちょっと完璧にしたいの。。でも、そんな悠長なこと言ってて、日が暮れないかな?ってちょっと不安ではあるけど」
『海岸の外に洗い流せる場所があるかもしれない、ホースがあるかもしれない、その程度の想像力しかないから、君はダメなんだ』
「じゃぁ、置いてけばいいじゃん?1人で行けば?」
僕は君の頭めがけて大量の砂を思いっきりかけることを思いつく。さすがの君でも、全身を海で洗うような真似はしないだろう。
そして、そのまま強引に手を引っ張っていて、宇宙に飛び出し、無重力によって、君にとって煩わしいすべての粒子を取り除いてやれればいい。
そんなバカなことを思いついて、とりあえず手に持ってしまった砂を、こっそりサラサラと海へと返しながら、そんなことするほど勇気がなくて、、『ごめんね』とだけ言うと、君は「何が?」と応じた。
浜辺の水際でいつまでもビーチサンダルと足を洗っている君を見ながら、僕はそう言った。
足に纏わりついた砂子を完全に取り除くために、海のなかへ足を突っ込み、海中でやさしく蹴り上げると、一瞬完全に不快感が無くなる。しかし、海中で足を地面に置いた瞬間に再び纏わりついてくる。
もう洗い流されたでしょ?でもまだ完璧じゃないから。と君の頭の中は無限ループに陥っている。
ついに君は僕の言葉に少しだけ耳を傾け、水際から砂浜へと足を向けてみる。しかし、濡れてしまった足は余計に浜辺の砂子をかき集めてしまう。すぐに不快感を感じた君は、すぐに海へと戻り、すぐに再び海中で蹴り上げる。
それを10回くらい繰り返すと、君はいよいよイライラしている様子を隠せなくなってきた。それまでもかなりイライラした様子ではあったが、今はもはや誰が見てもイライラしているとわかるほどに、表情が強張っている。
そうこうしているうちに、日は沈みかけ、夕方特有の暑さと心地よい風を感じながら、僕は自分のビーサンが完全に乾いてきたのを感じた。もはや僕の足は、海で砂子を洗い流す必要はなく、さらさらとトラップから離れていく。
そんな事実を君に気づかれないようにと、僕はわざと水際に戻り足を濡らした。
そんな僕の目論見を完全に見抜いた君は、自分の惨めさを相手への攻撃で隠すために、あえて食い気味に「どうしてわざわざ戻ってきたの?」と言う。
僕は少し照れながら『俺の場合は、すぐに煩わしさがなくなるようになってるから、大丈夫なんだよ』と言う。
「わかってるんだけどね。この海でいくら砂を落としても、すぐに砂が纏わりついてしまうことは。でももう少しだけ完璧な状態で浜辺を歩きたいの」
『いや、君は何もわかってないよ』
「だから、海岸の外で洗い流せる場所を探せ!って言うんでしょ?わかってるんだけど、せっかくこんなに時間かけたから、もうちょっと完璧にしたいの。。でも、そんな悠長なこと言ってて、日が暮れないかな?ってちょっと不安ではあるけど」
『海岸の外に洗い流せる場所があるかもしれない、ホースがあるかもしれない、その程度の想像力しかないから、君はダメなんだ』
「じゃぁ、置いてけばいいじゃん?1人で行けば?」
僕は君の頭めがけて大量の砂を思いっきりかけることを思いつく。さすがの君でも、全身を海で洗うような真似はしないだろう。
そして、そのまま強引に手を引っ張っていて、宇宙に飛び出し、無重力によって、君にとって煩わしいすべての粒子を取り除いてやれればいい。
そんなバカなことを思いついて、とりあえず手に持ってしまった砂を、こっそりサラサラと海へと返しながら、そんなことするほど勇気がなくて、、『ごめんね』とだけ言うと、君は「何が?」と応じた。