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【消費伸びず、設備投資手控えで、内部留保増加へ】日本企業の「キャッシュリッチ」ぶりに思うこと④

2016-12-03 00:01:05 | 日本

前回からの続き)

 アベノミクス」(≒円安誘導)によって醸成されたいまの不自然な(?)円安環境では国外投資が円建てで過度に割高になるため、結果として日本企業の多くがこれを避け、利益をのキャッシュで保持するようになった―――前回、各社が近年「キャッシュリッチ」(現金預金、2015年度で約252兆円)になってきた背景のひとつをこう綴りました。ここでもうひとつ挙げられるのは今後、諸外国では大規模なリセッションの発生が高い確率で予想されること。各国では人々の不相応な消費を煽った資産・借金バブルが崩壊しつつあるわけです。なのでわたしたちは当面、対外投資に手を出さないほうが無難というものです(?)。

 では、肝心の国内投資のほうは、ですが・・・国外と同様、これまた投資に値する対象を見出すのが難しい・・・(って、国外投資よりはずっとマシだとは思いますが・・・)。その大きな理由は、現在の日本が「需要不足」ということだろうと考えています。これでは本邦企業は収益を増やす見通しが立てられないため、設備投資などは手控えざるを得ない。その結果、企業内に残った利益の大半が現金預金になる、ということに・・・

 で、その需要不足ですが、「個人消費の脆弱さ」と言い換えることができると思っています。こちらの記事等でも書いたように、個人消費こそは、わが国GDPの柱です(GDPの約6割を占める)。よって、これが上向かなければ日本の景気はなかなかよくならないし、企業もおカネを投じて生産ラインを増強しようなどとは思わないでしょう。

 その個人消費の推移を表したものが上記のグラフになります(出典:内閣府)。これを見ると、わが国の個人消費は2000年代に入ってから290兆円あたりで横ばい状態が続いていることが分かります。対前年増減率も各年度ともに±1%前後と大きな変化はありません。直近(2015年度)は約292兆円と、10年前の2005年度とほぼ同じ、という結果になっています・・・

 個人消費の伸び悩み―――このあたりの原因のひとつとして本稿との関連で考えられるのが、勤労者所得の増加が見られないこと。以下のグラフは本邦法人(除く金融機関)の人件費と労働分配率(人件費/付加価値[=人件費+営業純益+支払利息等+租税公課+動産・不動産賃借料])の推移を見たものです(出典:財務省法人企業統計)。まず人件費ですが、上記の個人消費と同じ横ばい傾向。2015年度は約198.5兆円と、2011年度(199.7兆円)をわずかに下回っています。そして労働分配率(企業が生産した付加価値のうち、労働者が賃金等として受け取る比率)のほうは、おおむね70%前後で大きな変動は見られません(好況時は[営業純益増のため]低下、不況時は[同減のため]上昇する傾向がある)。

 ―――といったように、わが国では消費活動の主役である現役勤労者の収入が増えてはいないわけです。これでは当然、個人消費の伸びは期待できないし、企業もそれが分かっているから設備投資を見送るようになって、その結果、余った利益が企業内キャッシュとして貯まり続けることになる・・・

続く

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