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【採算軽視の新規事業は×】選択と集中が求められる公共事業②

2013-09-07 00:01:09 | 日本

(前回からの続き)

 橋や道路、ダム、空港などの公共インフラの整備には地域住民の安全確保や生活基盤の改善といった、営利の「ものさし」では図れない大切な目的があることは分かります。

 それでも本四架橋のように、せっかく作った設備が一番の受益者である地元自治体や市民に耐え難いほどの費用負担を強いるようでは元も子もないわけで、いったい何のためのプロジェクトだったのか、と批判されても仕方ありません。地域の利益を優先するか、それとも採算重視か―――このあたりが公共事業の実施にあたって判断に迷うところであるわけですが・・・。

 以前から書いているように、現状のわが国においてはインフラ整備のための財政出動が果たす役割は大きいと考えています。日本経済には大きなデフレギャップ(需要不足)がありますが、個人消費も企業の設備投資も力強さを欠くなか、政府が公共投資を通じて需要を喚起することに一定の意義を感じるからです。

 そのための資金は税金、そして不足分は(建設)国債で賄いますが、ここでいまの世界的に不透明な金融情勢「リスク・オフ」が有利に働きます。相対的に実質金利の高い日本国債にマネーが吸い寄せられるため、日本政府は低い金利負担で資金を調達できるからです(日銀の異次元緩和で現状の適切な金利水準が分かりづらくなっていますが・・・)。FRBをはじめとする世界の主要中銀が続けている緩和的な金融政策も日本国債の価値を下支えしています。

 こうした良好な環境を活かし、日本は公的資金を活用してインフラ投資を積極的に進めるべき!―――といきたいのですが、国も地方自治体も財政事情が厳しい折、さすがに公共事業なら何でも!というわけにはいきません。ここは本稿タイトルのとおりプロジェクトの「選択と集中」が求められるところだと考えています。

 今後、いちばん避けたい公共投資は「新規」の大型案件で採算が本当に合うのか疑わしいもの。わが国のインフラの主要な部分はすでに整備を終えていることもあり、これから新しく建設される設備は受益人口・利用者数が少なく、投資効果も相対的に小さいものとなりがちです。だからプロジェクトの需要見通しが甘かったりするとたちまちコスト回収が行き詰まり、結果として自治体や地域住民をいっそう苦しめることになりかねません。このあたりは上記でご紹介した本四架橋のケースを苦い教訓としながら、新規公共事業の選定は慎重な費用便益分析(その事業が社会にどの程度貢献できるかを分析する手法)に基づいてこれまで以上にシビアに行うべきだと思います。

 逆に投資に力を入れるべきは、おもな「既存」インフラの改修や取り替え事業となるでしょう。

(続く)


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