(前回からの続き)
ということで、表題について思うことを綴ってきてきましたが、世界債務膨張の最大の原因は、やはり米「ドル」に求められるでしょう。ということは、アメリカの「金利」上昇こそが債務危機の本質であり、それと同時にそれは「ドル」債権の不良化というリスクを喚起することになります。これを食い止めるには・・・上述のとおり、米FRBが―――理由は「雇用の最大化」でも「MMT」(現代通貨理論)でも何でもいいから(?)―――量的緩和によって米国債を筆頭とするドル建て債券(社債とか不動産担保証券とかを含む)を買い支えることで、債務者のためには金利上昇を抑え、債権者のためには債券価格の維持を図ってやるしかありません・・・
・・・って、上記の結果、当然起こるべきは、ドルの超~過剰流動性すなわちインフレです。現にこれ、巨大な資産バブルそして実質マイナス金利として顕在化し、米国民とりわけ中低所得者層の生活を脅かしつつあります。これいっそうヒドくなる(実質金利がマイナス方向にさらに振れていく)ことはあっても、その逆は起こりにくいことは上述のとおりです・・・
かくしてドルの価値はインフレで劣化していくばかりでしょうが(?)、これで大ダメージを被るのは米国民ばかりではなく、アメリカ以外の国々でドル&ドル債権を持つ人々も同様です。けれど、そのドル以外の通貨、ユーロ、英ポンド、人民元などもまた、それぞれの事情等でドルと似たようなインフレ気味な通貨です。よって、これらの対ドルレートはそれほど変化せず(上昇せず)、そのためにドルのインフレ(たとえばドル建て石油価格の上昇のダメージ)を(自国通貨がドルに対して大して上がらないために)自国民もマトモに食らうリスクがあるものと考えられます。その点では、これら諸国の債権(国債等)もインフレヘッジにはならないでしょう・・・