なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

糖尿病の講演会、心不全

2017年07月02日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。施設に入所している80歳代後半の女性が、昨夜からの発熱と酸素飽和度低下(呼吸困難の訴えはない)で受診した。肺炎だろうと思って検査したが、心不全だった。

 胸部X線・CTで両側胸水と肺うっ血を認めた。炎症反応は陰性で、BNPが1100と高値だった。心電図ではV1-4にpoor r progressionがあり、陳旧性心筋梗塞が疑われた(既往歴としてはない)。聴診でAS様の心雑音が聴取される。血圧が150と保たれていて、酸素飽和度も酸素2L.分で96%に上がった。かなりの腰曲りだが、歩行はできるそうだ。施設の職員が認知症でと言っていたが、検痕に患者さんから結果を聞きたいと言われた。可能なら専門医に診てもらう方がいい。

 地域の基幹病院にダメもとで電話すると、案外あっさり受けてくれたので、ラシックス1Aを静注して救急搬送した。急性期の治療で安定したら当院で治療継続もできるので、その時は引き受けよう。(かなりの食道裂孔ヘルニアがある)

 金曜日は糖尿病の講演会に行ってきた(サノフィ主催なので、要はランタスXRを宣伝する会)。懇親会はなく弁当が出るということだったが、大会議場ではなく10名規模の会だったので、ちょっと驚いた。「血糖のfine tuning」というテーマで、日内変動・日差変動、さらには年間での血糖変動のお話だった。

 血圧・LDL-C・HbA1c・喫煙を改善することになって心血管リスクが1/3減らせるという。HbA1c7.0%未満を達成しているのは、47.1%で案外血糖コントロールされていない。

 良質な血糖コントロールとは、1)低血糖を起こさない、2)血糖変動を抑える、3)体重増加を抑えること。

 CGM(continuous glucose monitoring)で見ると、「夕食後の高血糖」と「夜間の低血糖」が良くわかる。食事のバランスとしては、朝食のカロリーを多くして、夕食のカロリーを減らした方が、血糖コントロールが良くなる。夕食前の血糖は120mg/dl程度で充分だそうだ。

 日内変動は良く聞くが、日差変動も大事で、日差変動にはMODD(mean of daily difference)という指標があるそうだ。日差変動が35mg/dl以上あると変動が大きいと判断される。年内の変動もあり、HbA1cは7月が最低値に、12月が最高値になって、0.3~0.4%の違いがあるという。

 超持効型のランタスを使用しても血糖コントロールが良くない場合は、より持続時間が長く効果にピークを造らないランタスXRに切り替える。ランタスの1割増しで使用するが、低血糖が危惧される時は同量で使用する。朝の空腹時血糖が80mg/dl未満の時はマイナス2単位に、80mg/dl以上~110mg/dlの時は同じ単位に、110mg/dl以上~140mg.dl未満の時はプラス2単位に、140mg/dl以上の時はプラス3単位にする。

 まず、持効型インスリンを調整して、それでも血糖が高い時は超速効型を調整する。超速効型もノボラピッドを使用していて、単位だけでは調整できない時は、より持続時間が短いアピドラ(サノフィの製品)への変更も考慮する。

 今週から来週にかけて糖尿病の講演会が3つある。そのうちのひとつは、「Diabetic Kidney Disease」という糖尿病腎症は尿蛋白陰性のこともあるという話で、ぜひ聴きたい。MRさん用の講演の準備もしているし、9月は地域での糖尿病の講演会の座長を頼まれた。なんだか最近は糖尿病ばっかりになっている。

 

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