なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

5-ASA製剤

2018年10月30日 | Weblog

 今日は胆管癌で経過をみている82歳男性が入院になった。7月に地域の基幹病院腫瘍内科から紹介されていた。消化器内科で胆道ステント挿入(入れ替えも)を行って、一時的に癌化学療法も行ったが、その後緩和ケアのみとなった。

 胆管炎を繰り返していて、先月は入院したが、何とか退院できた。外来で抗菌薬内服でやっていたが、炎症反応上昇・断続的な発熱が続いていた。黄疸も進行している。奥さんには退院できないかもしれないと説明した。奥さんは抗精神薬で夜間せん妄がなくなったことを喜んでいた。癌に関してはそろそろダメですかねえと淡々と話していた。

 

 消化器科医は、外来日ではないが外来で診療していた。2年前から潰瘍性大腸炎で外来治療をしている49歳男性が腰痛・背部痛で受診していた。血便もあって、潰瘍性大腸炎自体が悪化しているようだ。炎症性腸疾患関連の脊椎炎を疑っていた。炎症反応が上昇していて、化膿脊椎炎も否定できないとして血液培養2セットと提出している。この患者さんは最新のリアルダ錠4800mg/日を内服していた。

 潰瘍性大腸炎(一部クローン病)の基本治療に5-ASA製剤(5-アミノサルチル酸=一般名メサラジン)が使用される。5-ASA製剤には、サラゾピリン・ペンタサ・アサコール・リアルダがある。

 サラゾピリンを使用していた古い世代だが、今は使用されないだろう。サラゾピリンは5-ASA製剤にサラゾスルファピリジンが結合していて、これが大腸で切断されて5-ASA製剤が大腸病変に効く。

 ペンタサは時間依存性5-ASA製剤徐放剤で、小腸上部から大腸にかけて効く。遠位大腸まで到達する量が少なくなるので、ペンタサ注腸や坐薬の局所製剤で補う必要がある(こともある)。

 アサコールはpH依存性5-ASA製剤で、回腸末端から遠位大腸まで効くので、局所製剤を使わなくて済む。ただし溶けずに肛門から出てしまうこともあるそうだ。

 リアルダは5-ASA製剤が大腸全域に持続的に放出される放出制御製剤ということだ。服薬回数も1日1回なので他剤と比べて服薬コンプライアンスが良い(ただし1錠1200mgを4錠内服)。

 このうち小腸~大腸で効くペンアサだけがクローン病の適応がある(まあ当然そうだろう)。

 当方は今たまたま潰瘍性大腸炎の患者さん(高齢者)にペンタサを処方しているが、ほとんどUCの患者さんは診なくなった。昔は、5-ASA製剤単独か比較的少量のプレドニンで軽快する患者さんはちょっとだけ診ていた。専門医が診るべき疾患なので、今は基本的に全部紹介している。UCの治療は、ステロイド・免疫抑制剤・抗TNFα抗体製剤・血球成分除去療法と難しくてもうわからない。

 

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