伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

化石に眠るDNA 絶滅動物は復活するか

2024-05-09 21:45:41 | 自然科学・工学系
 化石の中のDNA(古代DNA)研究の歴史と現在と今後のあり方について、「ジュラシック・パーク」(恐竜の血を吸った蚊が琥珀の中に閉じ込められた化石から恐竜のDNAを採取して恐竜を復活させる)の実現の可能性、恐竜ほど古いものは無理でも近年の絶滅動物なら復活させられるかというテーマを軸に、著者の愛読書の「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」(奥泉光)の例を用いながら論じた本。
 化石の中から採取したアミノ酸やDNAは、劣化し分断されている上に菌類や細菌が入り込んで増殖していたり、さらには採取・実験・検査の過程で別の(現生の)ものが混入するなどのおそれがあり、そもそも化石生物のものかどうかの同定からして難しいなど、学問・研究的な観点での慎重さが求められる一方で、PCRによるDNAの増幅技術やゲノム解読・塩基配列決定技術の進歩により絶滅種の復活も比較的最近絶滅した種であれば技術的には不可能ではなくなっていること、その中で絶滅種を復活させるということがいいことなのかとか、勉強になるとともに考えさせられる本でした。
 DNAの増幅やゲノム解読に関する技術的な説明には私には難しく思えたところがありましたが、それ以上に、著者が強調するクワコーの素晴らしさが、私には今ひとつ理解できないのが残念でした。


更科功 中公新書 2024年2月25日発行

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