伊東良徳の超乱読読書日記

読んだ本の感想を中心に本に対するコメントを書き散らします。読み終わった本は図書館に返すのでフォローは保証できません。

メタボから糖尿病にならない方法

2017-05-22 22:11:38 | 実用書・ビジネス書
 食事療法と運動療法で糖尿病を未然に防ぎましょうという本。
 適正エネルギー量(必要なカロリー数)を適正体重(BMI値22で計算:身長×身長×22)×身体活動量(「ふつう」だと30、運動量が低いと25)で計算して、脂肪(油脂)や炭水化物(糖類)を減らして食事の摂取量をその範囲にするというのが基本ですが、そうすると私の場合で1日のカロリー数は1600kcalくらい・・・そんなに少ないんだ。昔家庭科で習ったときは2500kcalくらい必要と聞いたような気がして、それが頭に残っているので、その落差に驚きます。そのためには残す勇気を、というのですが、子どもの頃、食べ物を捨てるなんてもってのほかと教育された世代には、とてもそんな・・・
 空腹で胃が空っぽになる時間を習慣的に作ると「廃用性萎縮」で胃が小さくなりドカ食いができなくなり食事量を減らせるとされています(85~87ページ)。30分から1時間程度だけ空腹を我慢する時間を作るだけでも効果は期待できる(87ページ)というのですが。う~ん・・・私は、昼休みをとるよりもその間仕事してできるだけ早く帰った方がいいという考えで、ふだんは昼ご飯を食べず、朝食から夕食まで12時間以上(その間ふつうはお茶・紅茶だけ/時々3時にお菓子)という日が多いのですが、夜ドカ食いできましたけど。むしろ、相撲部屋は1日2食なんて聞きますし。もっとも、最近は、年のせいで少し食が細くなってきた感じはしていますけど。


角田圭子 WAVE出版 2017年3月31日発行
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日本のカニ学 川から海岸までの生態研究史

2017-05-21 20:44:50 | 自然科学・工学系
 日本の潮間帯、特に干潟に住むカニについて、生息場所別(淡水、汽水域、干潟、塩性湿地、マングローブ湿地、砂浜海岸、転石海岸、岩礁海岸、川と海を往来)に、これまでの様々な研究者の研究をレビューしつつ著者の研究を紹介した本。
 海中に住むカニが除外されているので、食べるカニが含まれていないのが残念ですが、こんなにいろいろな種類のカニがいて、それぞれに特徴があるのだと知ること自体、驚きがありました。
 コメツキガニでの研究で、複数の雄と交尾した場合最後に交尾した雄の子だけが生まれる(放射線投与により不妊にした雄と健康な雄とを順番を変えて交尾させて、その順番に応じて受精卵がどうなるかを見たのだそうです:10ページ)、観察しているとわずか14分で3個体の雄と4回交尾した例があった(57~58ページ)とか、アシハラガニでは雄が雌に近づいてそのまま両者が対面姿勢となり、雌が上位になって交尾する(81~82ページ)とか・・・感心してるのは交尾の話ばかりかって (^^ゞ
 チゴガニは、近隣個体の巣穴の横に砂泥を積み上げてバリケードを作ったり巣穴を砂泥で塞いだりといった嫌がらせをし、嫌がらせをされた側は加害者を避けるようになるという行動をとるのだそうですが、著者は、チゴガニがこのような狡猾な行動をとることに気がついたのは、チゴガニを野外で研究対象にしてから実に10年もたってからであった、研究のためにデータをとるときにはその研究目的に縛られ対象となるもの以外には目がいかなくなるのだろう、何の目的もなくチゴガニを見に干潟に出たときにこの行動の存在に気がついた、ある目的のためにその対象を見続ければその目的に合う面しか見なくなり新たな現象の発見を得る機会は失われると、反省しています(62ページ)。ほかの場面にも通じることだと思います。心しておきたい。
 著者は、理論先行ではなく、現場記載から始まる研究をしてきたことが成果を生んできたと自負し、近年の成果対応型の研究費支給体制の下では現場記載から始まる研究は生き残りが困難になっていると嘆いています(162ページ)。研究や大学というもののあり方も含め、世知辛くおおらかさがなくなった日本社会/政治の現状の方を見直すべきだろうと思います。


和田恵次 東海大学出版部 2017年3月20日発行
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死刑捏造 松山事件・尊厳かけた戦いの末に

2017-05-20 20:12:19 | ノンフィクション
 日本の刑事裁判史上3件目の死刑事件再審無罪となった松山事件の経過、救援活動、家族らの闘いと運命、再審開始決定→再審と無罪確定後の元被告斎藤幸夫さんと家族の人生などについて、共同通信記者がとりまとめた本。
 冤罪により、罪もない24歳の青年が警察官に無理強いされ(同房者にそそのかされ)警察の示すストーリーに沿った自白をし、科学を装ったずさんな「鑑定」が有罪証拠となり、裁判官は真実を見抜いてくれるという幻想は(当然に)破れて死刑判決を受け、再審で無罪となるまでに29年を要し53歳となり、青春を奪われ、人間不信になり死刑執行の恐怖に怯え続けさせられた経過は、読むほどに戦慄し、また強い憤りを感じます。それとともに、冤罪によって本人だけでなく、家族、両親も兄弟姉妹も、あるいは雪冤のための救援活動に半生を費やし、あるいはその活動と生活に財産の大半をつぎ込むために進学を諦め、夫婦間の対立を生じて離婚し、と大きく人生を狂わせられたことも胸を痛ませます。権力者/官僚の恣意/出世欲/怠惰と保身が、庶民の生活と人生を踏みにじる様が、いつの世にもあることながら、腹立たしい。そういう生々しい悲しみと怒りを呼び起こす本です。
 それとともに、救援活動に私財を投じ人生をかけた人々の存在に心洗われ、弁護団の苦心と努力に頭が下がります。
 松山事件の控訴審判決言渡の公判(1959年5月26日)はテレビ放映されていたのですね(124ページ)。私は、著名事件での開始前の代表カメラによる固定・無音の頭撮りしか知らない世代なので、日本でも法廷のテレビ中継があったということは、頭にありませんでした。現状が唯一のあり方でないことは、常に頭に置くべきで、そういう点でも刺激を受けました。
 斎藤幸夫さんは2006年に死亡、救援活動に奔走した母ヒデさんも2008年に死亡して、それからさらに年を重ねた今頃、どういう経緯でこの本がまとめられたのかはわかりませんが、ときの話題/タイミングとは関係なく、たまたま手にできてよかったと思います。


藤原聡、宮野健男 筑摩書房 2017年3月25日発行
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労働法実務解説6 女性労働・パート労働・派遣労働

2017-05-19 20:34:44 | 実用書・ビジネス書
 日本労働弁護団の中心メンバーによる労働法・労働事件の実務解説書シリーズの女性労働(性差別の禁止、母性保護、育児・介護休業)と非正規雇用(ただし、有期雇用を除く)関係の部分。
 2008年に刊行された「問題解決労働法」シリーズの改訂版です。
 全体として、制度、法律、指針・通達類の説明のため条文等を羅列した部分が多く、ことがらの性質上そうなりがちではありますが、読み進むのがしんどい。
 派遣法の部分もどうしても法技術的な解説が多くなるのですが、構成(項目の順序)が、労働者側から読むのに適した形に組まれていて、作り具合になるほどと思いました。
 第7章の「業務請負」「業務委託」で働く労働者をめぐる問題は、近年、労働法の規制を回避するために小ずるい経営者が業務委託契約の形態をとり、それが紛争になる事件が増えているので、そのあたりを様々な事例を取り上げて説明してほしいところですが、あっさりした説明で、ちょっと残念です。
 このシリーズ全般に感じられることですが、誤植の類が目につきます。項目ごとに、最初に「POINT!」というまとめがあるのですが、第6章派遣労働の「12 『均衡』待遇の確保1~賃金」の「POINT!」が「■ 解雇に対する規制として最も重要なのは、合理的理由、社会的相当性の有無により解雇の有効性を判断する解雇権濫用法理(労働契約法16条)である。■ その他にも、個別法令による解雇制限がある。」とされている(171ページ)というのは、あまりにもお粗末(全くの見当外れ)。パートタイム労働者の差別取扱禁止(パート法第9条)の「通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者」の要件から無期契約やこれに準ずる場合であることが外されたと説明している(120~121ページ)のに、127ページの表では「無期or反復更新により無期と同じ」が要件になっている、派遣中の労働者に関する派遣元・派遣先の責任分担の表(200~201ページ)の左側の「派遣元」に対応する右側は当然「派遣先」であるはずなのに何の間違いかすべて「均等待遇」という的外れな記載になっているなども、図表は著者校正の対象になっていないのかなと思いますが、あんまりかなと思いました。


宮里邦雄、古田典子、秦雅子 旬報社 2016年7月11日発行
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ルポ中年童貞

2017-05-16 23:54:23 | ノンフィクション
 現在はノンフィクションライターの著者が、高齢者デイサービスセンターの経営をしていた時代に雇用した労働者の勤務態度、仕事/介護/入所者や同僚に対する姿勢・言動が勘に障り、その労働者が中年童貞であったことから中年童貞を問題視し、ほかのタイプの中年童貞をも取材して出版した本。
 あとがきで著者が、第6章の「中年童貞の受け皿となる介護業界」を依頼を受けて翌日には書き上げて、その原稿がほぼそのまま「幻冬舎plus」に掲載され、直ちに炎上し「偏見、ヘイトスピーチ、中年童貞に親でも殺されたか?と批判を浴びたが」自分は正しいと強弁しています(224~226ページ)。率直に言って、この第6章は、読むに耐えません。私には、ネットでの批判のほうが正しい、少なくとも著者の言い分より圧倒的に共感できます。中小零細企業の経営者は、思うに任せない/気に入らない労働者がいると極端な言動に出がちです。この労働者の言動が、真実著者のいうとおりだったとしても、それはその労働者が置かれた労働環境や経営者側の処遇/仕打ちと相関することでありましょうし、そうでないとしてもその労働者の人柄や性格の問題で、それを「中年童貞」であることが原因だとみることには無理があると思います(少なくとも、この本に書かれている材料からそう判断することは「科学的態度」ではありません)。
 著者は、2次元オタク、AKBファン、新興宗教信者の研究職、ネトウヨ、ゲイで偽性同一性障害といった「中年童貞」の仮名のインタビューを掲載していますが、それらの人々は、著者が最初からそういう人に中年童貞がいるだろうと決めつけて、それで人選しています。取材対象の取捨選択に客観的な基準もなく、仮名の1人か2人くらいのインタビューで、類型別にでも「中年童貞」の一般的な傾向など把握できるはずもなく、これらのことからいえるのは、世の中にそういう人もいるのねというだけです。それを、何か中年童貞の実像だとか、ましてや問題点だなどというのは、取材、分析・検討、執筆のあらゆる段階で客観性を欠く恣意的なものといわざるを得ません。
 自分が雇用していた労働者以外の中年童貞に取材して様々な問題があることに気づいたという著者は、それでも「中年童貞」であることが問題であり、また取材を受けた人々が抱える問題が「中年童貞」であることに起因するということは疑いません。それぞれが抱える問題の様々な局面が見えたのであれば、そこでそれが「中年童貞」であることに起因するのか、また共通した問題といえるのか、自分の出発点自体を再検討するのが、「ノンフィクションライター」としての誠意だと思うのですが。


中村淳彦 幻冬舎新書 2015年1月30日発行
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深読み!絵本「せいめいのれきし」

2017-05-15 23:32:06 | 自然科学・工学系
 絵本「せいめいのれきし」(バージニア・リー・バートン、石井桃子訳、1964年:原書は1962年)の改訂に当たり、改訂版の監修者の著者が、絵本には盛り込めなかった知識や研究成果などを加えた解説をする本。
 地球の歴史の様々な時点においてどのような生物がどのように生存していたかの概要を読むことで、私たち人間が持ちがちな、生物が「霊長類」「人間」に向けて「進化」してきたのだという考えが誤りであることを認識させてくれます。
 例えば、2足歩行をするようになったことで人間は手(前肢)が自由になり道具が使えるようになり、また脳を大きくすることができ、文明を発展させることができた、人間のみが2足歩行をするようになった、というような言説をよく目にします。しかし、恐竜を例にとると、「最初の恐竜は二足歩行であったと考えられています」(27ページ)、「最初の恐竜は二足歩行だったのですが、後ろあしの2本の柱で体重を支えるより、4本の柱で体重を支えたほうが有利ですから、体の大型化とともに、四足歩行に『戻った』ものが現れました」(31~32ページ)とされています。
 また、食物がふんだんにある時代は体の大きいもの、速く動けるもの(恒温動物)が競争上有利でも、食物が少ない時代、気温が低い時代には少ないエネルギーで生存できるもの(体の小さなもの、変温動物)が競争上有利だということも示されています。
 生物は、特定の方向に「進化」するのではなく、様々な種が併存する中で、その時々の環境に応じて、より適応できた種が繁栄する(多数生存できる)、つまり環境への適応で体の構造や特性が変化すると考えるべきなのでしょう。人間が「進化」の「頂点」なのではなく、単に現在の地球環境の下での競争に勝っているだけと考えることが、素直にできる、というかそういうことを考える材料になる本だと思います。


真鍋真 岩波科学ライブラリー 2017年4月13日発行
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最新 映画産業の動向とカラクリがよ~くわかる本 [第3版]

2017-05-14 21:36:45 | 実用書・ビジネス書
 映画産業の市場の動向、映画ビジネスの関係者の業務・分担、タイアップなどについて説明した本。
 「カラクリ」などという言葉がありますが、裏話的な話や掘り下げた話は見当たらず、表面的公式見解的なことを淡々と書いているように思えます。
 「第2章 日本のアニメ産業の動向」「4 海外市場の動向」では、「まず北米市場において、これまで最も多くの興行収入を上げた日本のアニメ映画は『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』(一九九九年公開)で、興行収入は八五七四万ドルになっています。また『ハウルの動く城』(宮崎駿監督)が二〇〇五年に公開され、四七一万ドルの興行収入を上げています。同じスタジオジブリの『千と千尋の神隠し』もヒットするなど映画の本場ハリウッドでの日本アニメに対する評価は高くなっています。」(44ページ)と書かれています。「クールジャパン」とかいって日本のアニメは外国でも高く評価されていると喧伝されていますが、こういう書き方はどうなんでしょうか。日本のアニメ作品をその物語性や作画の丁寧さなどの面から高く評価する人は、ハリウッドにも当然にいるでしょうし、私もそういう点で日本のアニメ作品を貶めるつもりはありません。しかし、こういう書きぶりでは、「クールジャパン」とかいっている連中と同様、読者は日本のアニメ作品がアメリカでも大ヒットしたかのように誤解し、アメリカでヒットした故に日本のアニメは高く評価されていると誤解してしまうのではないでしょうか。アメリカでこれまで一番ヒットした日本のアニメ映画「ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(Pokemon : The First Movie)は、アメリカ歴代ランキングでは200位圏(1億8000万ドル台の上の方)もほど遠く、1999年公開映画のランキングでようやく25位です。2番目にヒットした「ポケットモンスター 幻のポケモンルギア爆誕」(2000年)(Pokemon : The Movie 2000)の興行収入4376万ドルは2000年公開映画のランキングで59位、ジブリアニメの中でアメリカでの興収が最高の「借りぐらしのアリエッティ」(2012年)の1919万ドル、「崖の上のポニョ」(2009年)の1505万ドル、「千と千尋の神隠し」(2002年)の1006万ドルのいずれも公開年のランキング100位(大抵は2000万ドル台の上の方)にも届いていません。日本のアニメ映画で、アメリカで大ヒットした作品はなく、せいぜいポケモン2作品がふつうレベルで「ヒット」したという余地があるという程度という客観的な認識をまず持つべきだと、私は思います。逆に、日本での興行成績を見ると、もちろん、日本のアニメ映画が上位を占めているのですが、その中で「アナと雪の女王」(2014年)が歴代3位(「君の名は。」は、結局、これを抜けないようです)、「ファインディング・ニモ」(2003年)が歴代21位、「トイ・ストーリー3」(2010年)が歴代26位など、アメリカのアニメ映画作品が相当に受け入れられています。外国市場でヒットしているという点からすれば、日本のアニメ作品はアメリカのアニメ作品に遠く及ばないとみる必要があるでしょう。
 こうした客観的なデータ(今どき、私のような素人でも簡単に探すことができます)を掲載しないで、日本のアニメ映画がアメリカ市場でヒットしているかのような誤解を与えるような文章をプロが書くことには強い疑問を持ちます。それも、2007年の初版より後のアニメ作品の情報が全く入っていないのも不思議です(初版出版の少し前の「ハウルの動く城」を取り上げて、その後それより数倍の興収を挙げた作品を紹介しないというのでは、フェアでもないでしょう)。
 予告編の制作で、「ときには本編にない映像を作るなど、観客に期待を持たせるために、様々な工夫が要求されます。」(113ページ)って、それは「工夫」じゃなくて、「だまし」「詐欺」だろうと思うのですが、映画業界人は、観客に対する誠実さというのは気にもかけないものなのでしょうか。そういう感覚だから、上述のように客観的な事実を無視して日本のアニメ映画がアメリカでヒットしているかのような書き方も平気でできるのかと思ってしまいます。


中村恵二、荒井幸博、角田春樹 秀和システム 2017年4月1日発行(初版は2007年10月、第2版は2012年8月)
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図説 紅茶 世界のティータイム

2017-05-11 21:52:05 | 趣味の本・暇つぶし本
 紅茶の歴史、茶葉の産地、淹れ方/飲み方、世界の紅茶事情などを解説した本。
 5月から6月に摘まれるダージリンの「セカンドフラッシュ」のマスカット(マスカテル)フレーバーは、ウンカが大量発生して茶葉の柔らかい部分から汁を吸い、ウンカに噛まれた葉が治癒しようとして作り出す「ファイトアレキシン」の香りだとか(43ページ)。ウンカは「害虫」じゃなくてウンカのおかげでダージリンの商品価値が上がるんだ。
 茶(緑茶・ウーロン茶を含む)の1人あたり消費量の上位3国は、トルコ、アイルランド、イギリスで、トルコの1人あたり消費量は日本の3倍以上、イギリスは日本のほぼ2倍だそうな(49ページ)。
 イギリスでは紅茶に入れるミルクは新鮮な冷たい低温殺菌牛乳(イギリスで流通している牛乳の8割が低温殺菌牛乳。高温殺菌牛乳がほとんどの日本とは事情が違う)だそうです(66ページ)。「コーヒーフレッシュを使用したミルクティは日本独自の文化です」(67ページ)って。そして、ロシアには紅茶にジャムを入れる習慣はない!(108~109ページ)のだそうです。
 ちょっと意外なトリビアが楽しめました。


Cha Tea 紅茶教室 河出書房新社 2017年2月28日発行
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ニッポンが変わる、女が変える

2017-05-10 00:13:14 | 人文・社会科学系
 福島原発事故前は、原発については「これは触れないでおこう」と戦略的に黙っていた(14ページ)という著者が、原発再稼働に向かう政権への危惧、特に橋下維新の勢力拡大とその後の総選挙での安倍政権の成立・暴走に対する危機意識/絶望を背景に、各界の先行者と著者が評価する女性たちと、3.11後の日本社会のあり方を語る対談集。「婦人公論」2012年4月号から2013年3月号までの連載のため、前半は、民主党政権のだめさ加減と橋下維新のポピュリズムへの危機感、後半は原発推進戦犯の政権復帰と安倍政権への危機感が表れています。2013年10月の単行本出版から3年余を経て出版された文庫本では、12名のうち8名から「文庫化に寄せて」が寄稿され、その後の状況に対するフォローと感想が記されていて、そこも対談者の思いが表れていて感慨深い。
 第8章の歴史学者の加藤陽子さんとの対談では、畑村洋太郎東京大学名誉教授の失敗学も今回は難しかったはずですとして、政府事故調の報告書でも「電源喪失が地震段階なのか、津波段階なのかという点も不明のまま。」、(上野)「事故が引き起こされた原因についての解明も、できていませんね。」、(加藤)「国会事故調では、津波の前の地震段階ですでに電源喪失していたとの判断をしています。」(149ページ)と論じていただいたのは、その部分を担当した国会事故調協力調査員としてはうれしく思います。
 今後の日本のあり方について、縮小経済に見合った社会、肩の力を抜いて排除することのない上手な分かち合いをする「老いらく社会」(138~140ページ。第7章:経済学者の浜矩子さん)、「人口と地面の大きさに見合うくらいの小さな国になる」「こぢんまりとした、しかしよその国が『あの国はいいな』というような国。競争に負けても、最後には『やっぱりあなたたちが正しい』と言われる国になれればいい」(235ページ。第11章:ノンフィクション作家の澤地久枝さん)というのが、心に染みました。


上野千鶴子 中公文庫 2016年12月25日発行(単行本は2013年10月)
 
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広域警察極秘捜査班BUG

2017-05-09 23:22:21 | 小説
 航空機墜落の実行犯とされて死刑囚として拘留されていた天才ハッカー水城陸が、アメリカと日本などで構成する環太平洋連合(PU)の刑事警察である「広域警察」から偽装死刑執行/助命と引き換えに無令状で盗聴その他の内偵等を行う極秘捜査班「BUG」に組み込まれ、墜落した航空機に搭乗して死んだはずのブティア博士の動向を探り通信を傍受することを命じられ、内偵を続けるうちに、水城陸が冤罪を主張する航空機墜落事件の真相、水城陸が逮捕されて絶望して自殺したとされていた父の死の真相に迫るという近未来サスペンス小説。
 悪役と被害者がはっきりとして、誰が犯人/黒幕かではなく、いかに事件解決に至るかを楽しむタイプの作品です。そういう点で安心して読める感じで、わかりやすく爽快感があるのですが、直接の悪役の動機/背景・上部組織は明確にはされず、そこには欲求不満が残ります。シリーズ化を目論んでいる様子の終わり方ですから、続編で展開するつもりなのかもしれませんが。
 水城陸から北浦教授へのメール、留守を任されたチェック担当者が削除した(156~157ページ)とされているんですが、そのメールを仲間が知らせてきた(168ページ)というのは・・・


福田和代 新潮社 2016年11月20日発行
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