伊東良徳の超乱読読書日記

読んだ本の感想を中心に本に対するコメントを書き散らします。読み終わった本は図書館に返すのでフォローは保証できません。

労働法実務解説8 高齢者雇用・競業避止義務・企業年金

2017-04-27 22:47:48 | 実用書・ビジネス書
 日本労働弁護団の中心メンバーによる労働法・労働事件の実務解説書シリーズの秘密保持義務、競業避止義務(労働者が勤務先のライバル会社に勤務したりライバル会社を経営したりしない義務)、公益通報(内部告発)、個人情報保護、高齢者雇用、企業年金関係の部分。
 2008年に刊行された「問題解決労働法」シリーズの改訂版です。「問題解決労働法」では、「社会の変化と労働」というテーマで、要するに近年新たに問題となってきているものを寄せ集めた巻になります。
 第2章の競業避止義務は、主として使用者が退職する労働者に退職時に競業避止義務を負う契約書(誓約書等)を書かせている場合に、どのような場合にどの範囲でそれが有効となる(労働者が競業避止義務を負う)かについて、裁判例のばらつき(ブレ)が大きく、弁護士としては、相談を受けた場合に判断がとても難しい問題(分野)です。この本では、裁判例を多く取り上げそのばらつき加減(わからなさ)をあるがままに論じていて、現状での労働者側の解説としては割とハイレベルなものになっていると思います(それでも結局裁判例の「傾向」はすっきり説明できないのですが)。その契約書等での競業避止条項の目的(企業の秘密や独自に開発したノウハウを守る目的か、秘密と称していても一般的な知識にとどまったり競争排除目的にすぎないか)を重視して後者の場合には競業避止義務を容易に認めない一連の裁判例の傾向(とその問題意識をあまり持たない一群の裁判例)という説明の視点があった方が、私はよりよかったと思いますが。
 第5章の高齢者雇用(定年再雇用)では、関連の行政規制の説明が多く、裁判実務で問題となる高年法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)の経過規定で一定年齢(2017年4月現在では62歳)以上の労働者の契約更新の際に2013年3月末日までに再雇用制度を設けて労使協定を締結した使用者は労使協定で定めた再雇用基準(成績優秀とか、勤労意欲に富み周囲によい影響を与えているとか、使用者が更新拒否をしやすい内容であることが多い)により労働者を選別して更新拒絶できることに対して、労働者側でどう闘うかについての記述がまったくないのは、この本の性格からして大変残念です。
 第6章の企業年金は、弁護士の多くにはなじみがなく、私もほとんど知らない領域なので、主として年金減額に対するものですが、裁判例を多く挙げて解説されていて、とても勉強になりました。
 雑多なテーマの寄せ集めのため、通し読みにはあまり向いていないと思いますが、労働事件を多く扱う弁護士には読み甲斐と使いでのある1冊かなと思いました。


大塚達生、野村和造、福田護 旬報社 2016年11月7日発行
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モノの見方が180度変わる化学

2017-04-21 21:54:26 | 実用書・ビジネス書
 電池、レアメタル・レアアース、ガラス・液晶、食品と炭水化物・有機化合物、アルコール、食品添加物、薬品と副作用・毒物、農薬/殺虫剤、界面活性剤、繊維、金属・貴金属、プラスチックなど、身近な食品・製品の材料の化学特性や製造などを中学・高校レベルの化学と関連させて説明する本。
 比較的わかりやすく、日常接するものと関連付けて説明していることは好感が持てますが、タイトルにある「モノの見方が180度変わる」は、私には全然実感できませんでした。
 1945年生まれ(71歳)とはいえ、教育の世界に身を置いてきた人の本で、話のレベルを示すアイコン(4ページで説明)が、「中学理科」はネコの絵、「高校化学基礎」は女生徒の絵、「高校化学」は男生徒の絵というセンスは、今どき考えられない。
 元素周期表(43ページ)でウランが「Ni」(プロトアクチニウムが謎の「PaU」で、Uが1列ずれたのでしょうけど。ちなみにその原子番号91のプロトアクチニウムの質量数が驚異の1.008=原子番号1の水素と同じとか、さらに原子番号87番「Fr」が「セシウム」と記載されている)という誤植、プリズムでの分光(60ページ)の説明で波長が長い(赤い)方が高エネルギー/短い(紫・青)方が低エネルギーとしているなどは、「図」の校正は著者校正に回らなかったのかもしれませんが、あまりにもお粗末。出版社の/プロの編集者の校正力への信頼感が「180度変わる」かもしれません。


齋藤勝裕 秀和システム 2017年3月3日発行
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勉強の技術

2017-04-20 21:27:52 | 実用書・ビジネス書
 臨床スポーツ心理学、体育方法学を専門とする著者が、効率の良い勉強法を解説した本。
 記憶のしくみから繰り返し(分散)学習、就寝前の復習、睡眠時間の確保が必要/有効と説き、集中力の点から細切れ時間の活用、休憩時間の確保(学習開始時と終了時=休憩直前に能率が上がる)、そしてプラスの(自分はできる/能力があるという)自己イメージ、自己暗示、モチベーションの維持と一種のイメージトレーニングの有効性を論じています。最初はどうしてこの人が勉強法を、と思えたのですが、こうしてみると、スポーツトレーニングとの共通性が感じられ、なるほどと思いました。
 問題が解けた時の快感を勉強のモチベーションにする(10~11ページ)、朝の元気な時の脳を有効活用して創造性開発の時間に充てる(26ページ)、1週間単位で何時間を勉強に充てられるかのスケジューリングを行う、その際難易度よりも重要度を優先してスケジュールを組む(難しい問題の先送りを避けるため:32~33ページ)など、仕事にも当てはまることがいろいろあり、参考に/戒めになります。


児玉光雄 サイエンス・アイ新書 2015年11月25日発行
 
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頭痛女子バイブル

2017-04-16 23:49:36 | 実用書・ビジネス書
 頭痛専門医の著者が、頭痛の種類と原因、応急処置、予防法等を説明した本。
 頭の片側や両側に強い痛みが発作的に起きズキンズキンと痛む片頭痛と、鉢巻をしているように頭全体がギューッと締め付けられるような痛みの緊張型頭痛、そしてそれを両方とも持っている人が多いって(16~21ページ)、で、緊張型頭痛は強いストレスがかかっているときに起こりやすく、片頭痛はストレスから解放されてほっとしたときに起きやすい、詳しい理由はわかっていないとか(34~35ページ)…う~ん、頭痛持ちでない身には、そう言われても区別がつきにくいような。それで、片頭痛なら痛むところを冷やせ、緊張型頭痛なら首や肩を温めろ(102~103ページ)って言われても…
 片頭痛持ちの10人に1~2人に稲妻のような光が見えキラキラとした閃光が拡大していって一時的に視界の一部が見えなくなる「閃輝暗点」という症状があるのだそうな。片頭痛の症状の一部でそれ自体が深刻な病気ではないと書かれています(30~31ページ)が、そういう症状、不安でしょうね。そう書きながら、その症状がある人はピルを飲むと脳梗塞の危険が高まるとも書いてありますし(48ページ)。いろいろ大変そう。
 頭痛予防の基本食材はビタミンB2、B6、マグネシウムだとか。と言われても、何を食べればいいか、すぐ忘れてしまうのですが。


五十嵐久佳監修 世界文化社 2016年8月15日発行
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不要なクスリ 無用な手術

2017-04-14 20:22:02 | 実用書・ビジネス書
 元開業医で病院を倒産させた後、医療コンサルタント、医療ジャーナリストとなり、自身も冠動脈バイパス手術を受け、糖尿病で降圧剤を飲み続けているという著者が、高血圧で降圧剤を常用している人のほとんどが無駄な医療費を払っている、がんの多くは手術や抗がん剤でむしろ死期を早めている、現在日本で行われている医療は医療費という点から見ると8割は無駄ではないかと思えるなどと論じた本。
 この本のテーマに関する点では、医者・病院がいかにして稼ぐかを論じている点、日本ではCT、MRIが諸外国に比べ異様に多数購入され(保有台数世界1位だとか)その減価償却のため被ばくのリスクも無視してやたらとCT、MRIによる検査がなされる(71~73ページ)、人工透析は高い診療報酬でリピーターになるので病院にとっては「定期預金」で、しなくてもいい人工透析をさせられている患者が増えている(108~111ページ)などが興味深いところです。
 2016年1月に国立がん研究センターが初めて公表したがん患者の10年生存率を見ると、すべてのがんの全臨床期で見ると58.2%、大腸がん、乳がん、胃がんは10年生存率が比較的高く、手術、抗がん剤治療が必要かはよく検討すべき(189~198ページ)というのも、考えさせられます。
 本来のテーマとは、違うところかと思いますが、厚労省・安倍政権の進める医療費の患者自己負担の引き上げ、それも含めた高年齢者の医療費負担の増加の説明にけっこうページが割かれています。あまり知らなかったのですが、ひどい話で、老後の不安が強まり、暗い気持ちになります。


富家孝 講談社現代新書 2016年10月18日発行
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震度7の生存確率

2017-03-20 20:23:33 | 実用書・ビジネス書
 防災教育の普及活動を行う一般社団法人日本防災教育振興中央会の代表理事(阪神・淡路大震災の被災者だそうです)と理事が、大地震で震度7の激しい揺れに襲われた場合、その瞬間に何をすることで生き延びる確率を上げることができるか、そのために日頃からどのようなことを考え準備すべきかを解説した本。
 冒頭の第1章が、さまざまなシチュエーションで震度7の揺れに襲われたときに取るべき行動を3択ないし4択で答える方式になっていて、ここがこの本のハイライトです。地震の瞬間に関する12問と日常の備え3問、地震後の避難3問で構成され、地震発災の際の12問の著者が評価した生存確率合計860%に対する読者の答えの合計確率で、生存確率の評価がなされます。私の回答は、760%で、評価は上から2つ目の「サバイバー」(生存の可能性が高い人)でした。もっとも、評価対象から外されている「日常の備え」が全然だめなので、現実の生存確率が高いとは言えないでしょうし、自分が車を運転しない関係で、車に乗車中の判断が低かったです。
 私たちが子どものころに繰り返し言われた、(教室で)地震が来たら机の下に潜り込むは、震度7では机ごと飛ばされるのでかえって危険で、窓(ガラス)や机等の飛んできて危ないものから離れてしゃがみ込むべきだそうです。同様に調理中の場合、ガスの火を止めようとすることは震度7では危険(止めるのは無理)な上に今は震度5強以上の強い揺れがあるとガスの供給が自動的にストップするので無意味なのだそうです。
 そのほかに、地震の時にけがをすると生存確率が大幅に低下する(救急車が来ないので平時なら死なない程度の怪我でも死ぬ可能性が高くなる、移動能力が落ちて危険を避けられなくなる。102~105ページ)、倒壊物の下敷きになるなどして筋肉の30%を3時間挟まれると筋肉が押しつぶされることで発生したカリウムやミオグロビン(筋肉中で酸素を貯蔵するたんぱく質)が救出の際急激に体内に回り「クラッシュ症候群」を引き起こして死に至る(116~117ページ)ということも頭に入れておくべきでしょう。クラッシュ症候群というのは初めて知りましたが、せっかく生きて救出されたのに、その救出で圧迫がなくなって死亡するって、あまりにも悲しい。
 そして、大災害に直面すると多くの人は動けなくなるのだそうです。震度7の揺れがあると物理的に動けなくなりますが、それだけではなく、心理的に日常の無意識の刺激→反応/行動のシステムが働かなくなることや麻痺がおこることで動けなくなり、70~75%の人は何もできなくなり、15%以下の人が我を失って泣き叫び、落ち着いて行動ができる人は10~15%程度だとか(123~126ページ)。大きな災害が起こったときは、事前の準備(情報の収集)と麻痺から覚める/覚ますため大きな声を出すことが大事だそうな(126~127ページ)。
 災害時のしゃがみ込みは、著者が「ゴブリン・ポーズ」と呼ぶ、片膝をつき(片膝とその足の先ともう片足の裏3点で体を支える)両手の拳を頭の上側につけて脇を締める体勢で行うべきだそうです。拳を握るのは、頭部への落下物に対して拳がクラッシュ(骨折する)ことでクッションになって頭部を守るのだとか…考えるだけで怖い/痛いけど。
 首都直下地震とその後の状況をシミュレーションした第4章も悲しくおぞましい記述が続きますが、そういったことも含めて、いろいろと直視すべきことがあると考えさせられました。


仲西宏之、佐藤和彦 幻冬舎 2016年12月15日発行

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新富裕層の研究 日本経済を変える新たな仕組み

2017-03-09 00:03:52 | 実用書・ビジネス書
 インターネットが基本的なインフラとなり、すべてのものやサービスがネットでやり取りされるようになった今、ネットのインフラを駆使すれば、自分で何かを作り出さなくてもすでに世の中に存在しているものをうまく集めてくるだけでビジネスを立ち上げられるようになっており、事業所や製品、従業員等を用意する多額の投資をする必要はなく、ただニーズを読み取った新たなアイディアがありそれを迅速に事業化できれば、新たな富を作り富裕層になることができるという、起業のすすめ。
 シェアリング・エコノミー、例えば Airbnb (民泊の仲介)、Uber (運送の仲介)が典型例として挙げられています。多数の一般人が保有している家(空き室)、自動車と提供者による空き時間の労働を利用して、利用希望者とサービス提供者(こずかい稼ぎ希望者)をマッチングして手数料を取るビジネスモデルです。サービスのための施設(宿泊施設や自動車)もサービスをする従業員も所持・雇用することなく、用意する施設はネット上の登録・予約システムだけ、それで相手にするのは客も提供者も分断され孤立した個人ですから力関係で優位に立ち好きなように立ち回れるという、経営者にとても都合のいいビジネスモデルです。客の立場からすれば、正体不明の個人の家に泊まったり、正体不明の人に自分や大切な荷物を運んでもらうことには相当なリスクがあります(民泊だと合鍵で侵入されたり、盗撮カメラが仕掛けられていたりしないでしょうか…)。「シェアリング・エコノミー」でない事業者の場合、著者が煩わしがる、起業の障害となる事業所の確保、施設への巨額の投資があればこそ、簡単には逃げられないから、評判を落とすようなまねはしないだろうという点で一定の信用を確保でき、また長期雇用の従業員にサービスさせるから従業員が悪事を働かないだろうと信用できるわけです(もちろん、リスクがゼロではありませんが、相当程度小さいと考えられるわけです)。シェアリング・エコノミーの事業者(仲介者)がサービスの質を維持しようと思えば、登録者を契約で拘束し、マニュアルを徹底しということになっていくでしょうが、そうなれば、サービス提供者(登録者)は実質的には雇用された労働者に近い拘束を受けながら、「個人事業者」として「業務委託」を受けているという形式(建前)故に労働者としての保護を受けられないということになりかねません。サービス提供者側は、言ってみれば登録型日雇い派遣という究極の不安定雇用の「業務委託」版です。労働者として保護されないのですから、日雇い派遣労働者よりもさらに保証/保障がない、それが「雇用によらない働き方」の正体です。シェアリング・エコノミーに限らず、著者はたびたび、これまでの起業では過剰雇用のコストが高い、日本の労働法制下では原則として解雇が禁じられている、と文句を言い、「タクシー代わりに自分の車を提供する個人は、あくまで個人の判断ということになりますから、どこまでが不当な労働なのかを決めることも難しくなります。」(66ページ)などと述べていることからして、まさに労働者としての保護を受けさせない形でサービス提供者を安いコストで使いこなすことが、著者がいう新たな起業/新富裕層の決め手とも言えそうです。
 「三木谷氏もベンチャー企業には労働基準法は適用すべきではないと発言して、物議を醸したこともあります。筆者自身もサラリーマンから起業家に転身した経験がありますから、この感覚は実感としてよく理解できます。事業が軌道に乗るまでの2年間は、毎日、深夜残業があたりまえであり、大晦日と正月以外に仕事を休んだ記憶はありません。」(29ページ)というくだりには、著者の姿勢がよく表れています。経営者として自分がどれだけ働こうがまたどのような考えで働こうが、それは自由です(私も、個人自営業者ですから、残業代請求事件の依頼者の大半よりも長時間働いていますが、それは自己責任だと考えています)。しかし、労働者にそれを求めることは筋違いですし、ましてや労働基準法を適用すべきでないなどという身勝手な主張を正当化する余地はまったくありません。過労死の事件とかがあると、自分はそれ以上働いていたが大丈夫だったなどと言いたがる輩がいますが、体力や適性は人によりさまざまだという当然のことも理解できず、他人の体力やストレスなどの事情に思いをはせる想像力もコミュニケーション力もないことを宣言しているだけです。こういう人物に雇用されている労働者や「個人事業者」として付き合わされている/こき使われている人はとても不幸だと思います。
 強欲な経営者にとって夢のような労働者いじめ/切り捨てを容易にする「新たな仕組み」を推奨し、ネットで用意できる他人の財産や労力を、仲介ビジネスで中間搾取して儲けようという幻想を振りまき、それが実現すれば使われる側に多くの不幸なものを生み出すというのが、著者の主張の先行きにある未来だと、私は考えてしまいます。


加谷珪一 祥伝社新書 2016年9月10日発行
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恥をかかないスピーチ力

2017-02-28 22:17:50 | 実用書・ビジネス書
 自己紹介、スピーチ、コメントのコツを説明した本。
 スピーチの基本として、最初に時間感覚を強調しています。人の話に対してどのくらいの時間まで許容できるかについて、「三〇秒まで 余裕で耐えられる。一分まで 『この話は面白くないな』と思い始めても、『まあいいだろう』と平静に受け止められる。二分まで 『この話はつまらない』とはっきり認定し始める。三分まで 『まだ続くのか』と嫌気がさしてくる。三分超 怒りを感じ始める。」(19~20ページ)というのが、珠玉の言葉という感じです。
 大きな会場で話すとき、聴衆のさまざまな人に視線を向けるということは、意識しますが、方向だけではなく距離感を持って、特定の人に声を届かせる、(後ろを向いていても声だけで)自分に話しかけられているように感じさせる、そのためにボールを投げるような感覚で(実際にボールを投げてみて練習するとも)(44~49ページ)というのは、思い至りませんでした。
 後半は個別シチュエーションになり技術的になりまた新鮮味が失われるきらいはありますが、スピーチの内容以前のところでまとめられている前半に学ぶべき点が多いように思えました。


齋藤孝 ちくま新書 2016年6月10日発行
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新築マンションは買ってはいけない!! 購入前に知っておきたい8つのリスク

2017-02-24 22:10:24 | 実用書・ビジネス書
 「住宅ジャーナリスト」の著者が、欠陥/手抜き工事問題をはじめとするマンション購入のリスク、今後の住宅事情を考えると賃貸マンションの供給過剰等により賃借料の低下・マンション価格の大幅な下落が予測されることなどを理由に、今新築マンションを購入することへの注意を喚起する本。
 施工ゼネコンの子会社であることが多いマンション管理会社が、欠陥工事が発覚した場合に、施工ミスを認めずに有償の追加工事を提案し、抗議する管理組合やマンション購入者に対し「あまり問題を大きくすると、このマンションで欠陥工事があったなどという、あらぬ噂が世間に広がります。そうなれば、資産価値に悪い影響が出ますよ。みなさんの大切なお住まいの査定価格が下がってもいいのですか?」という必殺の決めゼリフで抑え込むというエピソード(26~29ページ)、手抜き工事をしても大手ゼネコンは「優秀な弁護団を擁して」いずれも住民側が敗訴というエピソード(31ページ)、やはりそうかと思います。大企業のやりたい放題と、それを支える企業側弁護士の暗躍は腹立たしい限りですが。
 著者が勧めるマンション選びで、新築ではなく築10年あたりのマンションを選ぶ、その理由は築10年たって不具合が露見しないマンションは工事の精度が高いことが多くその後20年、30年しっかりした状態が保全されることが多いから、そして不具合が露見していないかは、マンション管理組合の総会議事録過去10年分を閲覧する、問題があれば総会で議論になっているはずだし、管理費の決算が赤字かどうかで管理費の滞納が多くないか、管理会社の言いなりか(管理費の水増し請求も)などがわかる(186~195ページ)というのは、なるほどと思います。


榊淳司 洋泉社新書 2016年3月18日発行
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医者が自分の家族だけにすすめること

2017-02-23 22:23:19 | 実用書・ビジネス書
 形成外科医の著者が、自分の「家族が…したら」という形で50のケースについて、自分の選択を説明する本。
 「自分の家族だけにすすめる」というタイトルに合うかはわかりませんが、解離性大動脈瘤で担当医から手術を強く勧められた80歳の父に対して「高齢者の開腹手術は、人体に計り知れないダメージを与えます。医師としてはそれでもすすめるべきなのかもしれませんが、家族として、息子として、私は手術をすすめることはしませんでした。本人が望まない手術は、よほどのことがない限り、本人の意思が尊重されるべきだからです」(134~135ページ)というあたりは考えさせられます。
 「病院の内部では、手術を失敗することが多いのは、『心づけをもらったとき』『紹介患者』『肉親の手術』と言われています」(243ページ)は、驚く半面、なるほどと思います。失敗できないと思うと冷静な判断ができなくなり、やらなくてもよいことをして失敗するのだそうです。弁護士の場合は、前2者(お金をたくさんもらったとか、誰かの紹介)はそういうことはまずないと思いますけど。「自分が当事者の場合は、冷静な判断ができなくなる」というのは、業界でよく聞きますが。
 X線検査、MRI、超音波検査などの読影能力は医師により異なるから経験の乏しい医師が人間ドックを担当すると非常に多い画像の中から情報を読み切れないだろう(223ページ)、内視鏡手術は医師の技量により手術結果が左右されることが多い(240ページ)としながら、「患者さんが病院内部の医療水準を知ることは困難と言わざるを得ません」(236ページ)。まぁ、そういうものでしょうね。弁護士業界も、そう言えば、そうとしか言えませんし…
 手術の際の局所麻酔で、硬膜外麻酔ならば手術後の痛みを感じることなく副作用の心配もほとんどないが、通常の麻酔よりも30分くらい時間がかかるので手術が多い大病院ではあまり行われていない、「もし、私や家族が腹部の手術を局所麻酔で受けるとしたら、必ず硬膜外麻酔を選択します」「もし、病院側が拒否するようなら、病院を替えてもいいとさえ思います」(240~242ページ)というのは、この本のタイトル通りの感じの情報ですが、そういうことがあるのですね。
 医療業界側の利害に沿って書いているように思えるところもあり、全部文字通りに受け取るべきかは疑問がありますが、健康問題・医療問題を少し冷静に見るのに読んでみて損はない本かなと思いました。


北條元治 祥伝社新書 2016年3月10日発行
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