伊東良徳の超乱読読書日記

読んだ本の感想を中心に本に対するコメントを書き散らします。読み終わった本は図書館に返すのでフォローは保証できません。

アスベスト 広がる被害

2011-08-31 22:06:53 | 人文・社会科学系
 アスベストによる被害とその救済の歴史と今後を解説した本。
 耐火性・絶縁性・耐腐食性が強く安価な材料だったアスベスト(石綿)はかつて広範な製品や建材に使用されていたが、ごく少量吸引しただけでも中皮腫・石綿肺・肺がん等を引き起こす危険な物質であることがわかり、日本では2004年に輸入・使用が原則禁止となり次第に規制が強化され、2011年3月には許容品目は実質的に1品目のみになっている(24ページ)。しかし、中皮腫はアスベストの吸引から平均40年の潜伏期間を経て発症し、いったん発症するとごくわずかな期間で死に至る。潜伏期間が長く、ごく少量の吸引でも発症するためどこでアスベストを吸引したか本人も遺族もわからなかったり記憶がなかったりして労災申請ができなかったり時効(死後5年)にかかったりする。その悲惨さから石綿健康被害救済法が制定されたが、給付金は死者1人につき300万円にとどまり、労災で時効救済の時限立法ができたりしたがそれも今は打ち切りになっている。行政は加害企業側を向いて、労災等の情報を公開せず秘匿して、被害者が自分がアスベスト被害者と気付くのを遅らせてきた。
 そういったアスベスト被害とその救済をめぐるこれまでの情報を整理しつつ、これまでにアスベストを吸引した人々が中皮腫を発症するのはむしろこれからがピークであり、現在の建築物に使われているアスベストが建物の違法(手抜き)解体や大地震で飛散してこれからもアスベスト吸引被害が続きうることを指摘しています。
 アスベストの場合、中皮腫・石綿肺という因果関係の明確な疾病(特異性疾患)があり、しかもその症状が重篤だということが、加害企業の中でもクボタのように早期に素直に謝罪して賠償制度を作る企業が出てきたり、不十分とはいえ救済法が比較的早期にできたことにつながっていると思います。放射性物質の被曝のように非特異性疾患(他の原因でも生じる疾患)がほとんどであれば、加害企業が因果関係を認めず徹底的に争い居直り、政府も国策優先で被害救済制度など二の次という姿勢になりがちです。その意味では、アスベスト被害者の中でも非特異性疾患の肺がんの場合、なかなか救済されない(それでも遺体を解剖して肺組織からアスベストが相当量検出されれば因果関係は立証されうるだけ、放射線被曝より有利といえますが、生きているうちは救われない)問題も残されていることになります。
 子どもの頃、理科の実験でいつも使っていた石綿網の材料のアスベストがそんなに危険な物だったなんてことを聞くと、人間の科学知識なんてまだまだだねと実感します。そして、危険性を知らず、あるいは危険性を知った後も安いからと使い続けたために、始末に困るアスベストが国中にあふれてしまったということを見ても、人間の危険物をコントロールする知恵と力の頼りなさを実感します。


大島秀利 岩波新書 2011年7月20日発行
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

迷子のアリたち

2011-08-25 22:35:04 | 小説
 故郷を捨てて一人ロンドンに流れ着いた17歳の青年サムが、住み着いたアパートで知り合った次から次に男を乗り換えて過ごす母の元で放置されている10歳の少女ボヘミアと、お節介な住人イザベルの押しつけもあって、仕方なく相手をするうちに打ち解け合うハートウォーミング小説。
 語り手が、サムとボヘミアで、原則として交互に語っていますが、それが左ページ欄外に図示されているのがわかりやすい。
 母親に放置されているうちに大人びたボヘミアが、人と会いたくない、自分を消してしまいたいと殻にこもろうとするサムの心を開いていく様子、さらにはサムのまわりの人々にまで心をかけていく様子が、ほほえましく、胸を打ちます。
 前半では警戒心と心細さに満ちたボヘミアの気持ちがイザベルやサムとのやりとりの中で変化していくところ、後半ではボヘミアの行動を通じてアパートの住人やサムのまわりの人々も変化していくところが読みどころかなと思います。


原題:The Ant Colony
ジェニー・ヴァレンタイン 訳:田中亜希子
小学館 2011年4月18日発行 (原書は2009年)
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

タラ・ダンカン8 悪魔の指輪 上下

2011-08-23 19:49:42 | 物語・ファンタジー・SF
 魔術が支配する「別世界」の人間の国「オモワ帝国」の世継ぎの15歳(8巻の途中で16歳になります)の少女タラ・ダンカンが、様々な敵対勢力の陰謀や事件に巻き込まれながら冒険するファンタジー。
 作者が10巻まで書くと宣言しているシリーズの第8巻でした(第8巻時点では作者もそのつもりだったようで、8巻下16ページには、「タラの体験をもとに、ゆうに十冊は本が書けるだろう」と書いています)。8巻で、タラが悪魔のパワーを取り入れて独裁者志向の強力な黒い女王をタラの内部に目覚めさせ、9巻が「タラ・ダンカンと黒い女王」というタイトルからして平和志向のタラと戦争・独裁志向の黒い女王の葛藤を描くとともに、おそらくは最終巻でマジスターを再度強力な敵にするために試作品でない悪魔の宝が何かのきっかけでマジスターの手に落ちるみたいな展開をして最終巻に至るというルートが見えかけたのですが、作者が12巻まで書くと言いだし、2巻分の寄り道が追加されることになりました。
 8巻では、7巻で父ダンヴィウの幽霊を生き返らせようとして「別世界」への幽霊の大量進入を招いたことへの制裁として「別世界」を追われ地球で過ごしていたタラが、別世界の各国で元首とその周辺やタラの友人(日本語版では「魔法ギャング団」、原書では taragang )とその家族が襲撃され、その背後にいるのがオモワ帝国のリスベス女帝を乗っ取った悪魔の指輪であることを知り、移動の門の封鎖を乗り越えてオモワ帝国に向かうために煉獄に行き、そこで悪魔の王子アルカンジュと虚々実々のやりとりをしたあげく「別世界」のランコヴィ王国にたどり着き、そこで襲撃されて背中に悪魔の指輪の破片が入って下半身不随となり、親友カルに車椅子を押してもらい2人でオモワ帝国の王宮に乗り込むが・・・という展開です。
 この過程で、セレナとタラが男性にもてる理由が曾祖父マニトゥーが作った惚れ薬と祖母イザベラの魔法の相乗効果と判明し(そのためセレナとタラが周囲の男性の愛情に猜疑心を持ちますが)、マジスターや煉獄での悪魔の王子との会話で悪魔と人間の歴史や悪魔のパワーについての謎を説明するなどして、読者のニーズに応えています(7巻で私が持った3人の子持ちのアラフォー女性のセレナが突出してモテモテの謎も説明されていますし)。そしてタラの中にさらにパワフルで冷酷さと独裁志向を持つ黒い女王を共存させることで、新たな展開をつくり、タラの友人たちの恋愛関係を収まるべきところに収めてエンディングへの準備をしつつ、アルカンジュという魅力的な男性キャラを登場させることで含みを持たせる巧妙さを見せています。ここまで準備したらこのまま10巻で終わらせた方が、だらけなくていいと思うんですがね。
ところで、上下巻とも、奥付の原書のタイトル表示が "TARA DUNCAN ET L'INVASION FANTOMES" になっています。これ、7巻の原書タイトルなんですが。


原題:TARA DUNCAN , L’IMPERATRICE MALEFIQUE
ソフィー・オドゥワン=マミコニアン 訳:山本知子、加藤かおり
メディアファクトリー 2011年8月5日発行 (原書は2010年)
7巻は2010年9月4日の記事で紹介しています。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

あの日、ブルームーンに。

2011-08-22 21:18:41 | 小説
 まわりに合わせることが苦手でクラスで孤立しそのことで悩む優等生の望月結愛が、不良少年グループで金髪と外国人ふうの容貌で女子の人気を集めている蒼井瞬に惹かれていく青春恋愛小説。
 生真面目に考え込み、校則を破ることなど考えられず、「趣味・活字を読むこと、特技・暗記」で同級生の恋バナにも関心を持てなかった結愛が、恋に落ち、それを自覚して変わっていく姿が印象的です。大人びて年上の恋人たちと交際を続け、同じくクラスで孤立しながらギスギスした関係だった林田すずと打ち解けていく過程や、兄の恋人えりちゃんとの関係など女子サイドの描写は活き活きとしていて楽しく読めます。
 同じく変わろうとしていた瞬のサイドには、家庭の事情などを話そうとしない瞬、聞こうとしない結愛、自分の正義感・価値観で突っ走り空回りする結愛という構図だからですが、描き切れていない感じが残ります。
 絵に描いたような幸せな家庭でスタートした結愛の家庭でも父が死に、俊も不良グループの長谷川も大石も片親で林田もシングルマザーと、離別・死別家庭がたくさん登場するあたりが今ふうです。その親との関係、家庭環境の制約を、乗り越えるか受け入れるか諦めるかの描き方が、サブテーマになっているように思えます。
 タイトルのブルームーンは、この作品では1月に2回目の満月で願いをかけるとかなうという伝承にちなんでいます。「。」は・・・?


宮下恵茉 ポプラ社 2011年5月発行
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

伝わる文章の書き方教室

2011-08-21 20:06:04 | 実用書・ビジネス書
 人に伝わる文章を書くために必要な3つの力、語句を選んで使う力、的確な表現をする力、筋道立てて述べる力を伸ばすための訓練方法を論じた本。
 この本は、次のような訓練を挙げて、そのやり方と理由を示しており、読者はそれを自分でやってみるように繰り返し勧められます。語句を選ぶ能力を高めるために、決まった音(日本語で頻繁に使われる音)を使わずに文章を書く、漢語と和語を置き換える、決まった字数で書く。表現力を高めるために、他人の文章を、主語を使わずに書き換える、必要十分な中身に書き換える(例えば国語辞典の語釈を書くつもりで)、視覚情報を文章に置き換える(書かれたことが目に浮かぶように)。論理力をつけるために、多数の文からなる文章を「が」「て」を使わずにひと続きの文に書き換える、主観・感想を抜き取った文章に書き換える、「だから型」の文章を「なぜなら型」に書き換える。
 何らかの条件をつけて不自由に作文をしたり、書き換えをすると、ふだんより多くのことを考えざるを得ず、様々な発見があります。また、前後の文の脈絡をはっきりさせ、客観的事実のみを述べ、結論を先に示してわかりやすくするために「なぜなら型」の文章にすることは、論理的な文章を書く心得となります。これらの点から見て理にかなったものに思えますが、やってみるのはなかなか手間がかかります(この文章も著者が指摘する最も頻繁に使われる音「い」を使わずに書きましたが、軽くふだんの15割増しの時間がかかりました。日本語では「い」「お(を)」「の」「ん」「か」の使用を禁じられれば身動きが取れなくなるそうですが、「お(を)」抜きはおよそ無理と感じます。これは私の主観ですけど)。


飯間浩明 ちくまプリマー新書 2011年1月10日発行
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

タイ駐在のタイ入門

2011-08-20 18:19:26 | 人文・社会科学系
 日本企業の海外駐在員、旅行者、研究者としてタイ駐在の長い著者らがタイの社会、政治経済、宗教、歴史、日タイ関係などについて、会話形式で解説した本。2007年の初版に「バンコク再訪」と題する第6章を追加して改訂版として出版したもの。
 タイの物価の安さ、特に高級ホテルや高級医療機関のサービスとその価格の安さを紹介して日本人を中心とする年金生活者がタイに多数定着している理由と解説しています。しかし、その「安さ」は日本人にとっての安さであり、貧富の差が激しいタイの庶民にとっては高嶺の花で、その社会構造が温存されてこその日本人にとっての暮らしやすさと、読み取れます。
 タイ人はあいまいはあいまいのままで白黒の決着を付けるのは好まない。そのため、弁護士は人気がない(50~51ページ)って・・・人に使われるのがいやで起業家意識が強い(79~81ページ)なら人気があってもよさそうですが。
 タイの首都「バンコク」は正式名称ではなく、バンコクと言われてもわからないタイ人がいる。正式名称は「クルンテープマハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラアユッタヤー・マハーディロッカポップ・ノッパラッタナラーチャタニーブリーロム・ウドンラーチャニウェットマハーサターン・アモーンラピーンアワターンサティット・サッカタットティヤウィサヌカムプラシット」という世界で一番長い名前の都市で、現地の人はクルンテープと呼んでいるとか(148~150ページ)(念のためタイの日本大使館のサイトで確認すると、次の通りとされていてちょっと読みや区切りが違うみたい。:クルンテープ・プラマハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット)。これを小学校で生徒に覚えさせてるって・・・まぁ私らも子どもの頃は「寿限無」とか覚えてたからその気になれば覚えられるんでしょうけど。
 「改訂版」で改訂したのは第6章の追加だけで、第5章までについては新しい情報は書き足されていない感じ。タクシンの妹率いるタイ貢献党が総選挙で勝利した(2011年7月3日)直後に出た本で、政治の話がタクシン失脚(2006年9月)で止まってるのはやはり残念。


桑野淳一、大西純 連合出版 2011年7月10日発行 (初版は2007年)
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

スーサ

2011-08-19 19:41:19 | 物語・ファンタジー・SF
 何でも取引できどこにでも行ける不思議な商人スーサと取引した人々の話。第1話は娘を森で胸を射て殺された鍛冶屋が娘の遺体の首と引換に娘を殺した犯人を知りたいという話。第2話は友達と口げんかをして後悔していたところにその友達が死に謝りたいためにもう一度会いたいと望む少女が子どもの頃から伸ばしてきた黒髪と引換に異界に向かうという話。
 いずれの話でも、スーサは複数の依頼者と取引を進め、当初の想定と違う諍いの利害を調整し、読者を意外な展開に誘い込むという趣向です。
 第1話が66ページでそれなりに話がまとめられているに対して、第2話は217ページと大きくバランスを欠いた上、展開させすぎて少女たちがそこに絡む必然というか因果関係が全然見えず、落としどころが納得できません。事件と依頼者の時代もシチュエーションもまったく変えていることからして、作者は続編を書く意思満々に見えるのですが、第2話で終わってるのは、掲載媒体の「SFJapan」(徳間書店)の休刊のためか、第2話が今ひとつのためか・・・


あさのあつこ 徳間書店 2011年3月31日発行
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

月のさなぎ

2011-08-19 09:13:09 | 物語・ファンタジー・SF
 樹海の奥深くに設けられた学園で人々から隔離されて育てられる生まれてから18歳になる頃まで性を持たない月童子たちという設定の下、天性の歌唱能力と驚異的な聴力を持ち感情を表さない空、演劇部の貴公子として月童子の憧れの的の薄荷、空とコンビを組み美しいソプラノの美声に恵まれながら空への劣等感に悩まされ薄荷を慕う小麦ら月童子たちの恋愛と、学園や月童子の祖とされるサラと6人の官女たちの謎をめぐるファンタジー。
 18年近くも生きてなお自分の性が定まらず、なりたい性になれるかどうかの不安を持ち続け、自分が愛する人との恋愛が後日定まる性とそぐうものか、思い描いた性と異なってもその恋愛感情を維持できるのかに思い悩み、決断できない不安定感・焦燥感に苛まれる月童子たち。性が後から決まるというアイディアが浮き彫りにする恋愛は性を乗り越えられるか、また性は恋愛の決定的な要素なのかという問いかけに考えさせられます。ストーリーの展開では、薄荷や小麦は性へのこだわりから抜けきれませんが、その思い惑いの過程や、超越したような空のありようは、その問題を提起しているように思えました。
 作品としては、月童子とは何なのか、学園の目的は、そして学園に潜入した者の正体と目的は、というミステリーになっていて、それはそれで楽しめるのですが、私には、むしろ、空と薄荷と小麦たちの人物造形と恋愛観、悩みといったところの方が読みどころかなと思えました。
 ところで、主要な登場人物が空と薄荷と小麦って、この作者、石井睦美のファンなんだろうか・・・


石野晶 新潮社 2010年11月20日発行
日本ファンタジーノベル大賞優秀賞
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

永遠

2011-08-17 07:27:54 | 小説
 19歳の時、親友だった奈々子とその恋人の議員秘書との3Pで処女喪失し、その後バツイチを経て現在は42歳の有望な衆議院議員柏井惇と不倫の関係を続けている39歳短大教員の由樹が、柏井との自由で幸福な不倫関係から、自分の過去へのこだわりと柏井の行動への疑問を機に揺れ動いてゆく様子を描いた恋愛小説。
 19歳の由樹の初体験の男が誠実な男に描かれているのですが、これかなり無理があると思います。途中でやめてって言ってる19歳処女に中出ししようとしてるし(127~129ページ)、奈々子を追い出してもう一回しようとするし(139ページ)、仕事に行く時間になったらもう眼中にないし(154~155ページ)、連絡するって由樹が電話番号言おうとしたら奈々子に聞けばわかるって言ってそのまま連絡しないし(162ページ)。それにそもそも由樹を引っ張り込んでの3Pなんて奈々子が言い出すってことは考えにくくて、普通に考えてこの男が奈々子に飽きたから誰か友達の新しい女呼んできてよって言い出したんだろうし。どうして由樹がこの男を誠実な男と評価するのか、その過去を美化してこだわるのか、最後まで理解できませんでした。私程度の恋愛経験ではそういう男女の綾はわからないのかも・・・


小手鞠るい 角川書店 2011年1月31日発行
「野生時代」2009年5月号~2010年5月号
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

アクアリウムにようこそ

2011-08-16 19:53:54 | 小説
 市の観光事業課に勤める公務員の嶋由香が突然市立水族館に出向させられてイルカ飼育を担当することになり、失敗を繰り返しイルカに遊ばれながらイルカ飼育に目覚めて行きつつ、無愛想な先輩に次第に心惹かれていくという、青春恋愛小説。
 まるっきりのど素人で飲み込みは悪いのに、なぜかイルカの受けはよく本人が意識しないうちにイルカに難易度の高い技をやらせている、ドジなのにある一面ではなぜか天才的って、まぁおきまりのパターン。先輩との恋愛も、無愛想なキャラと不器用なキャラの組み合わせで、まどろっこしい、じらしの続く、これもまぁいかにもというパターン。
 水族館の飼育係(現場)の職人気質と意地、こだわりと、管理者の論理と経済事情と悩み、水族館が抱える矛盾と飼育・運営の難しさ、そういう部分で話を持たせ読者の興味を惹きつつ、メインストーリーは予定調和的な展開で読者の期待を裏切らないという読み物かと思います。


木宮条太郎 実業之日本社 2011年3月25日発行
コメント
この記事をはてなブックマークに追加