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空き家の増加の朗報

2024-05-11 04:37:11 | 石垣島
 

 小田原舟原の集落である。私の家の一段高いところからの眺めである。舟原の自治会は、私が舟原に引っ越して以降、20年の間に世帯数が2倍に増えている。人口増加傾向である。新しい家が、いつもどこかで建てられているような状態だ。空き家らしきものはない。

 総務省が発表した住宅・土地統計調査(2023年、速報値)によると、空き家が900万戸にのぼるという。総住宅数に占める空き家の割合は13.8%で、過去最高になった。これからさらに増えて行くことだろう。全国的に見ると7軒に1軒は空き家と言う状況になった。

 これは困ったことと言うより、これからは空き家を直して、誰でも都合良く暮らすようにすべきと言うことではないか。空き家に所有者がいるということが問題だ。空き家は公共が管理すべきだろう。行政が情報を収集し、貸出制度を仲介すべきものだ。

 都道府県別に見ると、空き家比率の高いのは、和歌山県(21.2%)、徳島県(21.2%)、山梨県(20.5%)、鹿児島県(20.4%)、高知県(20.3%)である。5軒に1軒が空き家というのだからものすごい。低いのが、沖縄県(9.3%)、埼玉県(9.4%)、神奈川県(9.8%)、東京都(11.0%)、愛知県(11.8%)である。 私が暮らすかな名川と沖縄は空き家が少ないところなのだ。

 出生率は、1.36(2019年)、1.34(2020年)、1.30(2021年)、1.26(2022年)と著しく低下してきている。2022年の高齢化(65歳以上人口)比率は、29.92%である。平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳である。この数字をみるだけでも、空き家が今後も増加することだけは確かに見える。

 その空き家の有効利用を考えるべきだろう。空き家の少ない沖縄県の中でも石垣島にも空き家だなと思われる家がかなりある印象だ。あそこで住んだ方が良かったのに、と思うような家がある。遠くの小田原にいて捜したのだから、良い情報が見つからなかったのは、仕方がないことだったと、今になってがっかりしながら思う。

 石垣島に来てみれば、上手い家を捜している人が沢山居る。情報ギャップである。その反省を踏まえて、考えるところがある。これだけ空き家が増えている時代だから、地方の行政で、移住者を歓迎するのであれば、この認識の共有化が重要なところなのだが。

 徹底した空き家の調査をやるところからだろう。行政が動けば、空屋の実態を把握するのはそれ程難しいことではない。同時に放棄農地の調査もしなければならない。こちらはなかなか実態調査が難しいが、農業委員会が活動的に生きていて、農業を何とかしたいと考えて居れば可能であろう。

 農業をやって暮らして行くという人だって必ず居る。そういう人と情報で繋がれば、移住者が現われるはずだ。石垣島の実情を見れば、実態把握が不十分と思わざる得ない。家を捜している頃、行政に訪ねたのだが、対応はなかった。多分把握の仕組みがないのだろう。移住者不歓迎の地域なのかも知れない。

 それでも、観光で経済が回っている地域である以上、移住者も受け入れる方向でないと、これからは難しいと思われる。歴史上初めて5万を超えたとお祝いしているのだが、これから人口減少が始まるのだから、早く始めた方が良い。

 やり方はある。まず、地元出身の農家でもある人で、市に勤めていた人を、定年退職後に再雇用するのだ。その人を農業委員会の嘱託職員にして、空き家や耕作放棄地の情報整理をして貰う。これに近い方式を南足柄市ではやっていた。それで耕作放棄地が把握され、新規就農者が増加した。

 その空き家の持ち主はどこに住んでいて、どんな考えをしているか。ご近所の人なら分るはずだ。耕作放棄されている農地を、農業者では無い人が仮登記して場合もある。調べれば分ることだ。地域の人で、市の嘱託職員であれば出来ることだ。

 情報を収集して、どうすれば農地が耕作放棄のまま、塩漬け状態になったものをほぐせるかを、弁護士を含めた検討委員会で調査をする。どの土地も、法律問題が絡んでいるから、専門家が解決に当たらなければ難しい。そして、空き家に対する必要な法整備を行う。怖いようなことも起こりがちだから、その覚悟のあるものでなければ出来ない。

 空き家や耕作放棄地や、放置山林を所有していることが、税制上極めて不利に成るようにする。そして、行政はできうる限り譲与を受ける。これが行政の負担増にならないように国は、行政に対して対応に対して補助を行う。地方の行政の力ではやりきれないことが多い。

 こうして相続に伴い空き家かする家屋を、空き家が使える内に運用できるようにする。現状では相続してそのままにしてしまう、空き屋等を行政で引き取ってくれるところは少ない。負担が大きく引き受けたくても出来ない状態なのだ。相続したものに任せておけば、次の相続がネズミ算的に増加し、困難なことになる。

 この辺のことは公共の責任である。空き家が7軒に1軒というような状態はどう考えても行政の怠慢である。政府が責任を放棄しているためにこういうことが起きている。私のように、移住して地方で暮らしたいものが、住宅で苦労しているのだ。そんな事例ばかり見てきた。

 地方活性化などかけ声だけは聞こえてくるが、実際に地方で空き屋が増えて行くなどあってはならないことだろう。やれることをやらない結果だ。空き家の有効利用など、可能なところから手を付けて、地方活性化に繋げる材料にしなければならない。

 私は石垣島で家を新築した。やってはいけないような事をしたと思っている。空き家があるので、それを借りたかった。しかし、進めようがなかった。今思えば、やりようはあったのだ。行政にも聞きには行ったが返す返すも残念なことだった。

 私は100歳まで、あと26年でいなくなる。その時に空き家になる。それを覚悟で新築してしまったのだ。無駄なことをしたものだ。やりたくはなかったが、それ以外に石垣島に来る方法がなく、やってしまった。同空き家にならないで済むか考えておかなければならない。

 空き家が増加しても、新築させるように政府は動いているのかも知れない。空き家など斡旋するなという圧力が建設業界からあるのかも知れない。そういえば、石垣市長の家は建設材料店だ。経済活性化のためには古いものを大切に使われたら困ると考えるのは邪推か。

 間違いなく50年すれば人口は半減化するのだ。つまり、一人の人生で考えれば、家は半分は空屋になって行くのだ。少なくとも、自給思想のものは騙されてはならない。必ず家はある。ないのは情報だ。民間で情報を掘り起こす仕事をすべきなのではないだろうか。
 
 

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