みーばい亭ブログ

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さよなら妖怪

2012-04-21 22:30:17 | 生き物の話
♪おばけは死な~ない、病気もなんにもない・・、と歌にあるが、実際のところ・・・、一反木綿は心臓に針を刺されて、見越し入道はちゃんちゃんこで喉をふさがれて、ひでり神はノヅチに生気を吸いとられて・・・と、けっこう死んでいる。
まあ、勧善懲悪対決構図をとる以上、敵を殺さないとエンターテイメントとして成り立たないのだから仕方がない。
下手にヒューマニズムを前面に押し出すと、大佛次郎プロデュースの「新鞍馬天狗」みたいに、興行で大コケするのがオチである。
鞍馬天狗はアラカンが問答無用で新撰組を斬りまくってこそ鞍馬天狗なのだ。

さて、時代は少々溯るが、天保の妖怪として名高いのが、御存じ鳥居甲斐守忠耀。
蛮社の獄で洋学者を弾圧した・・と、云うより「遠山の金さん」の敵役と云う方が通りがいいか。
まあ、日本人なら誰でも知っている悪役である。
この鳥居耀蔵くん、自らの保身のために上役の水野忠邦を裏切って一旦は失脚させたが、これも妖怪じみた執心で復職した水野老中によって粛清され、丸亀藩お預けの身になったものの、しぶとく生き延び、結局明治6年まで生きて78歳で大往生を遂げたという。
宿敵遠山影元の没年が安政2年だから、因果応報の理を無視して金さんの死後17年を悠々と生きたことになる。
まさに、その異名に恥じない堂々たる妖怪ぶりである。

一方、みーばい亭磯水槽の妖怪さんはと云うと、淡白でなげやりな21世紀ニッポンの世相を反映してか、生物学的寿命に従順に生を終えた。
一時は20cmを越える巨体に成長したが、産卵を始めた頃から少しづつ縮みはじめ、やがて茶々丸が消え、半年ぶりに日本海の新鮮な海水を投入した今日、黒丸の死骸も確認した。
よれよれになりながらも交接に励み、死の二日前まで産卵を続けた執念は、これも妖怪の異名に恥じない生き様だった・・と、思いたい。

滑稽達磨がこんなことを云っている。
「お化け妖怪は、人間が感じたり考えたりするからいるのだ。」
ろくろ首、河童、一つ目小僧、傘お化け・・・、時代を越えて人がイメージを抱き続ける限り、妖怪は「不死」なのだ。
一度ネット上で公開された記事や画像は、永久に消えることが無いと云う。
それならば、このアマクサアメフラシたちも、本当に「不死」の妖怪なのかもしれない。
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