戦国の魔王

２種類のカニ、４種類のエビ、５種類のヤドカリからなる甲殻軍団に加えて、脊椎動物、軟体動物、棘皮動物、線形動物、環形動物ら数多の生命体が覇を競う戦国磯水槽。
イソガニ爺さん亡き後、大きな動乱もなく、このまま平和裏に共和制へと移行するかなと期待したのだけど、光あるところに影ができるのが世の習い。
昨夏から蠢きはじめた不穏な影がここに来て、ついに形を取って現れた！

はい、フタミゾテッポウエビの種子島くんです。

やってきた当初は、こそこそと隠れてばかりだったから、荒くれ者たちが集う戦国水槽で生き残っていけるかなと心配したものだけど、とんだ食わせ物だったようで、１回の脱皮でイソスジエビを遥かに凌駕する体格に急成長。
その巨体と右腕に仕込んだ種子島を武器に、中央のレンガ組みを占拠し、さらに階上の貝殻マンションの隙間に石垣を築いて城砦化。
その威容は、さながら天空にそびえたつ天守閣が如し。

南蛮渡来の最新兵器を所持し、土木築城工事に秀でているとくれば、織田信長か豊臣秀吉か。
普段は天守に籠って、不気味に沈黙しているのだけど、大潮の夜には城から打って出て大暴れ。
前回の満月大潮には、一晩でレンガの城砦から水槽前面の苔石に向かって左右二筋の掘割を通し、石の下に居を構えていたヒライソガニを種子島の連射で追い出して、ついに天下統一を成し遂げてしまった。

まあ、それで乱世が終わって平和な世がくればいいのだけど、行き場を失くしたカニちゃんを放っておいたら、ストレスから自切、衰弱して、遠からずエビやヤドカリたちの餌食になるのは必定。
そこで、神(飼い主)の権限で石で囲いを作って鮑殻で掘割を分断し、カニちゃんの居場所を作ってやったのだけど、せっかく力で切り取った領土を理不尽に奪い返されて黙っているはずもなく、銃声を伴う攻撃が夜な夜な続いている模様。

フタミゾテッポウエビが何年くらい生きるのか寡聞にして知らないが、当分の間種子島くんの天下が続きそうだから、これからも圧政に苦しむ領民を救済するために神(飼い主)の介入が必要になるだろうな。
やれやれ面倒くさい。
神の手を煩わせるとは、戦国水槽の覇王というよりは魔王ですな。
０．０５坪の国土(水槽)を舞台に、神と魔王の攻防は果てしなく続くのだ！
って、エビ相手になにやってんだか、俺（酔・嘲・笑）

豆ごはん

えんどう豆が届いた。

ビリー・ホリデイなどをBGMにほろほろと酒を過ごし、〆に豆ごはん。
新緑の季節の正しい週末のほろ酔いキッチンである。

そろそろ満月大潮ということで、水槽の住人たちも食欲全開！
もぐもぐ

もぐもぐ

もぐもぐ

５月の風に吹かれて、今宵も平和だみーばい亭。

 

やどかに合戦！

風薫る五月。

風に乗ってかすかに流れくる山藤の香りを搔き消す濃醇なこの香りは・・・

はい、湖国の至宝「鮒ずし」でございます。

もちろん腹中にあるのはどす黒い陰謀ではなく、黄金色の腹子。

そして次なる小皿には「小鮎の飴炊き」。

この郷土色満載の肴に合わせるのは・・・。

もちろん「琵琶の長寿」。
琵琶湖の恵みをたっぷりと頂いて、今週も寿命が延びた管理人でございます。

ついこないだまでは、ほこほこと燗酒を飲んでいたのに、今宵は涼冷えの純米酒ですっきり冷ややかに。
季節はどんどん巡って、また夏が来る。
夏だ！夏だ！
楽しみ楽しみ。

そんな涼やかに酒精のまわった酔眼で日本海の窓（磯水槽）を眺めると。
なにかを訴えているカニちゃんと、それを見降ろすヤドカリたち。

別に争ってるわけではなさそうだけれど、なんとなく「さるかに合戦」の挿絵みたいな絵面だったので、スナップを一枚。
令和も平和だ！みーばい亭。

とはいうものの、外に目を転じると、情報合戦だ貿易合戦だと姦しいことで。
なんの意味があるのか知らんけど高価なミサイルを乱射する小国も鬱陶しいし・・。
東西冷戦が終わって、まだいくらも経っていないのに、あのおっさんらはまた天下分け目の大戦をはじめるつもりかな？
やれやれ、ホモ・サピエンスの為政者っていうのは、さるかに・・もとい、やどかに以下の低脳ですな。
あ、大脳のない甲殻類に劣るのなら低脳どころか無脳か。
無脳は無能に通じるしね（酔爆）

バイオレンスなホンヤドカリ

連休のつれづれに、水槽を眺めている時間が多いんだけど、じっくり観察していると、日頃見落としているような、ヤドカリたちの行動が垣間見れて興味が尽きない。
あまり楽しい話題じゃないけど、昨夜目撃した事件を記録として上げておく。

例えば管理人も、イラっとしているときに、ポップグループの「Y」なんかを聴くと、やたらと暴力的な気分になったりするんだけど、実際に暴力を振るうことはない。
振るえばただの馬鹿である。
ただ世の中には身近な人に暴力的衝動をぶつけるただの馬鹿が少なからず存在するようで、一時期メディアを賑わせた、ドメスティック・バイオレンスなどという言葉が、DVなどという略号と共にすっかり定着してしまった感がある。

というわけで、ここしばらく鞄ヤドカリをやっていたホンヤドカリのカップル。
必死の求愛にもつれないそぶりの彼女にブチ切れたのか、突然メスを振り回して、その辺にガンガンぶつけだした。
驚いて貝殻の奥深くに引っ込んだメスだけど、あまりにも執拗に叩きつけるから、次第に貝殻の縁が欠けて体が露わになってくる。
それを見てオスはますます興奮したのか、右鋏でメスの体をつかんで引きずり出しにかかる。
必死に抵抗するメス。
ドメスティック・バイオレンスを通り越して、ほとんどレイプである。
そんな攻防が十数分ほど続いたか、突然メスをぽいっと投げ捨ててそれっきり。
別れるにしても、もうちょっと爽やかに別れろよな、兄ちゃん。

ヤドカリの世界も、なにかと大変なようで・・。
大脳ないけど。