スクーバ・ダイビングのごく初歩的な技術に「中性浮力のコントロール」というのがある。
要は自身の体を海水と同じ重さにするということだ。
海水より軽いと水面に浮かんでいつまでたっても潜れないし、重いと底まで沈んでしまう。
私らの時代は「肺を使え!」と教えられたものだが、今ではスクーバ器材にBCが標準装備されているから、2~3年も潜っていれば誰でも無意識にコントロールできるようになる。
問題は意識してBCを使っても中性浮力がとれない、アホ・ダイバー。
吹きあがる分には、肺が破れて自分が血を吐くだけのことだから、別にかまわないが、オーバー・ウエイトでサンゴの上に墜落したり、フィンでジタバタと海底を掻きまわしているアホと同じ船に乗り合わせたりすると、楽しい休暇が一気に台無しになってしまう。
本来、こんなド素人は海に出られないはずなのに、なぜか嬉しそうにC-カードを見せびらかしているのが納得できない。
ダイビング・サービスも商売だから仕方がなのかもしれないが、せめて中性浮力くらいコントロールできるスキルを習得するまで、プールなり海水浴場なりで徹底的に仕込んでもらいたい。
ネクトンである魚の多くは体内に浮袋を持っているし、深海性のイカなどは細胞内に海水より比重の軽いアンモニアを満たして浮力を調整している。
ただし、基本的にベントス性の貝類はそんな機能を持ってはいないはず・・だが、水槽の中で中層にポッカリ浮いているボサツガイの姿が・・・?!
その気になれば、貝も中性浮力のコントロールができるのだ!
枝サンゴをバリボリ折っている、ダイバーのアナタ。
ちょっとは見習いなさい。
ホントは、粘液を使った「イルージョン」なんやけどね。