社民党 京都府連合 野崎靖仁 副主席語録
社会民主党 中央規律委員 野崎靖仁、55歳。
日々の思いを綴ります。
 



田中芳樹、東郷隆、天野純希、吉川永青、木下昌輝の
アンソロジー『決戦!三國志』(講談社)を読む。



関ヶ原の戦いや本能寺の変を題材にした歴史小説アンソロジー
『決戦!』シリーズの一冊です。


木下昌輝「姦雄遊戯」は、袁紹の家臣でありながら
曹操に寝返った許攸を主人公とする作品です。

『三国志演義』では寝返った後、あっさりと殺されるのですが、
この作品では袁紹と曹操の花嫁泥棒のエピソードに絡めて、
命を危険にさらすスリルを楽しむ許攸を描いています。


天野純希「天を分かつ川」は周瑜が主人公です。

孫策を皇帝に押し上げようとする周瑜。

孫策の遺言では、周瑜を後継に望んでいましたが、
遺言を偽って孫権を後継とし、周瑜が補佐することにします。

赤壁の戦いで曹操軍に勝利したにもかかわらず、
孫策とは異なり、天下統一をめざさない孫権に対し、周瑜は…

こんなif小説を以前に読んだ気がしました。


吉川永青「応報の士」は、劉璋を裏切って、
劉備の益州征服の立役者となった法正が主人公です。

どんな小さな恩義にも報い、どんな小さな恨みにも報復する法正。

そんなアクの強い、性格の法正を使いこなしてしまう劉備。

法正を狂言回しに、劉備の入蜀の経緯が描かれます。


東郷隆「倭人操倶木」は、戦乱を逃れて中国へ難民として移住した倭人の一人、
操倶木を主人公とした、オカルトっぽい話です。

鬼道と呼ばれる魔術を使う倭人・操倶木。

曹操の下僕として仕えるも、その非道さに陳宮とともに出奔。
孫策の死にからむエピソードに登場するも、
基本的にはオカルト的なキャラクターに終始しています。


田中芳樹「亡国の後」は、蜀漢滅亡後の劉禅を、
魏の最高権力者・司馬昭の視点で描いています。

蜀漢に対する辛辣な評価もあって、
田中芳樹らしさがよく出ている作品です。

ここで初めて知ったのが、司馬昭の兄・司馬師が美男子だったことです。

司馬師は目にこぶがあり、手術をしたのですが、
術後まもなく反乱軍の鎮圧に赴き、病状が悪化して死んでしまいます。

片目が飛び出した、という史書の記述もあるので、
イケメンとは程遠い風貌だと勝手に想像していました。


5つの作品とも、「決戦!」と呼べるシーンはないのですが、
スタンダードな三国志(演義でも史実でも)を知っていると、
かなり楽しめる作品です。

三国志初心者への入門編、になるかは疑問ですが。

変化球を楽しむアンソロジーだと思います。

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