ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

@六本木

2008-08-13 00:07:34 | ソウル、ファンク
今日はビルボードライブ東京に来ています。ニューオーリンズ・オールスターズを観に。ちょ~楽しみです。シリルとジョージがよく見えそうな席に座れました。ちょっとヘンリー・バトラーが遠いいけど…。


帰宅後追記:

いや~、最高でした。ちょっと選曲が地味すぎる気もしましたが、演奏は素晴らしかったです。それと歌も。でも残念ながらドラムはレイモンド・ウェバーではありませんでしたね。メンバー紹介があったんですけど、名前が聞き取れませんでした…。ビルボードのサイトによりますとキンドラー・カルトという人らしいです。ですがこの人の叩くドラムもかなり良かったです。パワフルかつキレがあって。そして全体的にはシリルよりヘンリー・バトラーが目立ってましたね。凄かったですよヘンリーは。弾きまくってました。そしてジョージ・ポータージュニアのベースも堪能しました。シリルはちょっと引いた感じでしたね。でも彼はまたネヴィルズでの来日がありますからね! それにしても芳醇な音楽をじっくりと楽しませていただきました。でももうちょっと長く観たかった…。とは言え最後には持参したCDにサインも貰って、大満足で帰宅しました。サイン自慢も含めて、後日もう少し詳しくライヴ・レポ書きます。

サマソニ中

2008-08-10 16:34:49 | フェス、イベント
サマソニに来ています。アリシア・キーズはまだですが、もうすぐです。そこそこ前の方で見れそうですし、超楽しみです。




帰宅後追記:サマソニまとめ。

私は正直言ってフジ大好きですが、6年振りに行ったサマソニも何だかんだ言って2日間ガッチガチに楽しんできました。

特に良かったのは、THE VERVE、JOHNNY FOREIGNER、THE TING TINGS、THE SHOES、COLDPLAY、そしてALICIA KEYSです!

アリシア・キーズは根性出して中央やや左よりの前から3、4列目で観れたんです。もうぎゅうぎゅうでしたけど、至福の時間でした。彼女が出てきたときから興奮の極致でしたよ。だって目の前にアリシアが居るんですから! 彼女の声も絶好調で、もう感動の嵐です! 最後の「No One」では私も両手を上げて一緒に歌いましたよ。あの高揚感、至福でした。アリシアについてはまた後日、もう少し詳しくレポート書きます。

さて、二日間通して、私はメッセに居る時間が長かったのですが、空き時間にせこせこと抽選に燃えてました。成果は、オーディオテクニカでタオルとキャップ。ドコモで“きのこ”のマスコットとTシャツ。リットーミュージックで手ぬぐい。BAY-FMでエコバックとカーサンシェード。パチンコの北斗の拳でサンプルCD、など。当たりなのか外れなのか微妙ですけど、Tシャツは嬉しかったですね。

他にもダイノジのエアー・ギターも見れましたし、鉄棒の上で回転したり逆さになったりするアクロバティックな女性ダンサーも凄かったし、フジとはまた違う楽しさ満載なフェスでした。もちろん音楽も最高! あと鰻の静岡焼きが美味しかったです。でも日中のメッセはちょっと人が多すぎな気が…。







サマソニ!

2008-08-08 22:10:52 | フェス、イベント
さて、ようやくベストアクトを書き終え、私のフジロックもようやく終わった感じです。ま、大方予想通りなベスト5だったと思いますが、どうでしょうかね? で、一息入れる暇もなくもう明日からサマソニです。でもサマソニは予習特集もやらないし、携帯からのこまめなレポもやりません。気楽なもんです。もちろんベスト5もやりませんよ。でもベスト1はやります。それはアリシア・キーズです。見る前から決まっています。ここは不動です!

それにしてもスタンディングでアリシア・キーズが見れる! こんな幸せありませんよ。最近は007シリーズ最新作「007/慰めの報酬」のテーマ曲でアリシアとホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトがデュエットするなんて話題も振りまいてますが、BET AWARD の「BEST FEMALE R&B ARTIST」を受賞しましたし、ワールド・ツアーも大絶賛されているしで、これは期待するなという方が無理です。「NO ONE」で昇天です。

とは言え、この2日間は基本的にロック漬けです。一応私の予定はこんな感じです。

9日:LOS CAMPESINOS! ~ MICKY GREEN ~ BLOOD RED SHOES ~ YELLE ~ CAJUN DANCE PARTY ~ JOHNNY FOREIGNER ~ THE VERVE ~ PAUL WELLER ~ PENDULUM

10日:THE TING TINGS ~ MGMT ~ MUTEMATH ~ CRYSTAL CASTLES ~ THE KOOKS ~ RADWIMPS ~ ALICIA KEYS ~ COLDPLAY

やっぱり見たいバンドが結構かぶってます。特にスーファリとか、スピリチュとか超見たいけど我慢です。ピストルズも見たいです。サントゴールドも、フラテリスも…。そして問題は10日です。クークスからコールドプレイまでマリンに居っぱなしです。なんか勿体ない。でも仕方ないです。もちろんメインはアリシア・キーズ。クークスもコールドプレイも凄く楽しみです。ですが邦バンドのRADWIMPSは名前すら知らないんです。どうしましょ? なにはともあれ楽しんできます!

それにサマソニはガンズとハノイが出た02年以来です。6年ぶりですし、あの時はまだステージが3つしかなかったことを考えれば、今のサマソニとはまるで別物ですよね。なのではじめてのフェスに行くような新鮮な気持ちです。ライヴ以外のものにも目を向けられそうですし。楽しみです!

フジロック・ベストアクト第1位!!!!

2008-08-08 13:35:31 | フジロック
超個人的フジロック・ベストアクトもついに第1位の発表です!

それは、ブーツィー・コリンズ・トリビュート・トゥ・ザ・ゴッドファーザー・オブ・ソウル!!!!!

初日のホワイト・ステージ、トリを務めたのがブーツィー・コリンズ。当日までバック・メンバーの正式アナウンスが無く、いったい誰が来るのか?ジェイムズ・ブラウンのトリビュートって何なんだ?と噂が噂を読んだこの公演。果たしてふたを開けたその内容は?

なんと予想外の3部構成。まず第1部としてパブリック・エナミーのバックを務めていたという人達のバンドがJB曲を演奏。ま、これはいいとして、第2部にはあのフレッド・ウェズリーが自らのバンドを率いて登場! フレッド・ウェズリーは元JB'Sのバンマスを務めたトロンボーン奏者。日本には何度も来ていますが、自分のバンドを率いてというのはなかなか見れません。

内容はゆる~いファンク。JB'Sメドレーが途中にあったものの、「House Party」とか自身のソロ時代の曲など、いたってマイ・ペース。それもフレッドらしいですけど、ブーツィーを見に来た人達には少々物足りなかったかもしれませんね。私は楽しめましたけど。

そしていよいよ第3部。ついにブーツィー・コリンズの登場です。しかしここで紹介されたのは「ヴィッキーーー・アンダーーーーソーン!!!」。え~! ヴィッキー・アンダーソン! 60年代後半から70年代前半、まさにJB全盛期にJB一座で活躍した女性シンガーです。そしてJBの相棒であるボビー・バードの奥方です。さらにJB一座の主要ディーバの中で唯一ブーツィー在籍時のJB’Sをバックに録音を残した人とも言われる、あのヴィッキー・アンダーソンです! しかし彼女の名が呼ばれてもほとんど盛り上がらない観客。正直このショーは出るところを間違えたと私は思いましたよ…。

もちろん彼女はもうお歳ですし、声も衰えています。それでも流石はヴィッキー・アンダーソン。熱唱して盛り上げましたよ。そして私はこの辺りから、これはJBレビューの再現だと思い始めました。前座バンドのライヴがあり、お抱えのディーヴァが登場し、そしていよいよ真打の登場。その真打ちは今回はもちろんJBではなくブーツィー・コリンズ。

実際、ブーツィーがおもむろに現れ、セッティングを始めていました。本来ならここで名MCのダニー・レイが登場し主役の名を高らかに叫ぶんだろうな~、と思っていると、ステージ袖から登場したのは、なんとそのダニー・レイ本人!! 本物ですよ! そしてあの名口調でステージを仕切り始めます! そして最後に今夜の主役の名「ブーツィーーーー・コリーーンズ!!」と叫ぶかと思いきや、彼が呼んだ名はなんと「ヤーーーング・ジェーイムズ・ブラーウン!!!!」。

え!? と思っているうちにステージに颯爽と現れたのは若き日のジェイムズ・ブラウンその人。いや、そっくりさん…。しかし顔も背格好も全てそっくり。さらに声も、歌い方も、微妙な歌癖までも似ている。さらに動きまで。エド・サリヴァン・ショーに出ていた頃のあのJBですよ! エキサイティングな足技を次々に決めシャウトしまくるあのJBですよ。演ってる曲はいきなり「Soul Power」。私は一瞬パニックになりました。ここは何処?今は何時? 夢にまで見た全盛期のJBレビューの真っ只中です。

いやいやいや、そっくりさんでしょ? 確かにそうです。ですがバックを務めているのはブーツィー・コリンズ(b)、キャットフィッシュ・コリンズ(g)、ジャボ・スタークス(ds)、ジョニー・グリッグス(per)、さらにトロンボーンにフレッド・ウェズリーなんです!

ジェイムズ・ブラウンの名曲「Soul Power」。この曲のオリジナル・スタジオ録音は71年にワシントンで行われました。その時バックを務めたJB’Sの中核を成したのがこの5人なのです! これって凄くないですか? さらにショー終盤で披露されたJBの代名詞とも言える「Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine」。この曲のオリジナル録音は70年ですが、その時リズムを担ったのがジャボとブーツィーとキャットフィッシュでした。ファンクの中のファンク、あの“ゲロッパ!”のリズム! その本物が今、目の前で“ゲロッパ”してるんですよ! これを奇跡と呼ばずしてなんと呼ぶんですか!!!!

「Super Bad」もやりましたよ! ブーツィーはステージ再奥中央で揺れながら黙々とベースを弾いています。その向かって左隣にキャット・フィッシュが。そのキャットフィッシュがおもむろに一歩前へ出て弾きだしたギター・リフは「Give It Up Or Turnit A Loose」。かっちょえ~! 古いレパートリーから何故か「Maybe The Last Time」なんかも演ってましたね。あとは「Talkin' Loud & Sayin' Nothing」とか? とにかくリズムが熱い! ブーツィーとジャボ、そしてキャットフィッシュ、あなた達は本当に凄い! そしてヤング・ジェイムズ・ブラウンがアクションを決めまくる。特に足技が凄い! そしてシャウトしまくる! さらに彼が「カモン、フレッド! フレッド!フレッド!」とフレッド・ウェズリーを手招きすると、すかさずフレッドがパオパオ~っとトロンボーンを吹き始める。ホント夢にまで見た光景ですよ! いやいやいや、そっくりさんですから…。分かってますよ。でも本物に見えちゃうんです。

そしてショー中盤で紹介された一人の女性。第3部の最初っからステージ横でバック・コーラスを務めていた胸の大きな奇麗な女性です。こんなバック・コーラスがいるのもJBレビューならでは、と思っていたのですが、その人はなんとタミー・レイ! JB一座最後のフューチャリング女性シンガーで、JBの最後の奥様だった方。日本にも何度か来ているのではないでしょうか? 私が見に行ったJBのライヴでも確か彼女が歌っていました。時代が違うじゃん?って思われるかもしれませんが、こういう人も呼ばれ、参加していることが感動的なんです。泣きそうなんです!

その彼女がスローナンバーを熱唱。あれは「Lost Someone」でしたっけ?終盤にはヴィッキー・アンダーソンも再登場し、新旧JBディーバのデュエットという感動的なシーンに。さらに、日本ではJBばかりが取り沙汰されていますが、おそらくこのショーはJBの後を追うように亡くなったボビー・バードの追悼の意も込められているはずで、この二人のディーバが何度も「ヴィッキー・アンダーソン・バード!」、「タミー・レイ・ブラウン!」と呼ばれていたのが印象的でした。

ショー終盤はおなじみ「Please,Please,Please」。この曲とくれば、そうです“マント・ショー”。もちろんダニー・レイが再び登場。ヤング・ジェイムズ・ブラウンが崩れ落ちる。ダニー・レイがマントを掛ける。うなだれながらステージを去るヤングJB。その肩をさするダニー・レイ。突如復活しマントを振り払って歌い始めるヤングJB。お約束ですけど興奮せずにはいられません。全盛期のマント・ショーを見るのはもちろん初めて。いやいやいや…。

最後は「Get Up、Get Into It、Get Involved」だったかな? もう感無量ですよ。そしてヤングJBがバク宙しながらステージを去り、ようやくブーツィー・コリンズが主役の時間。一曲だけでしたが「We Want The Funk」を長々と演り、最後はステージ下へ降りてファンと握手を交わすサービスぶり。そして永遠に続くかと思われたファンク絵巻も終演したのでした。

私の世代はもちろん全盛期のJBを生で体験することは出来ませんでした。あの時代のJBに憧れましたよ、あの足技に。そしてバックの演奏に。JBの来日公演は2度程見に行きましたが、もちろんバックはもう違うバンドでした。そして既にJBの動きは衰え、あの足技もほとんど見れませんでした。ですがライヴは素晴らしかったですよ! でもね、JBと共にファンクを作り上げたあのバック・バンドには思い入れがあるんですよ。いつかJBが全盛期時代のバンド・メンバーを引き連れて来日してくれないかと、そんな儚い夢を持ちざるを得なかったんです。ですがそれは叶いませんでしたけどね。でもJBの来日はもう絶対に叶わないという現実を踏まえれば、この夜のホワイト・ステージは最高の形で私の夢を叶えてくれたと思います。まさに奇跡ですよ!



さて、テンション上がりまくりのベストアクト第1位に水を差すようですが、色々問題があるのも事実。一応その辺にも触れておこうかと…。

やっぱり事前に何をやるのかさっぱり分からないのはどうかと? 私にとってはサプライズも含めて良い結果でしたけど、ブーツィーのブリブリなスペース・ベースを期待してきたファンの方々にはどうだったのかと。ブーツィーが出てきたのは第3部のみ。しかもバックに徹し、前に出てきたのは最後の曲だけ。しかもその曲はベースを弾かず、ファン・サービス的なもの。もちろんベース・ソロもなし。でもベーシストとしてのブーツィーの真髄を見れたと思われた方も多かったとは思いますけどね。

そしておそらく客層はブーツィーを見に来たロック・ファンが多かったはず、ということ。フレッド・ウェズリーのバンドも大して盛り上がりませんでしたし。彼のソロ曲を観客が知らないのは仕方ないとして、JB’Sメドレーのキメやフリにも何か戸惑い気味な雰囲気を感じましたからね。そしてヴィッキー・アンダーソンに対する反応。やっぱりこのショーは出るところを間違えたのではないかと。もちろんフジのお客さんは暖かいですし、盛り上がりどころを知っていますから、フレッドの呼びかけや、ヴィッキーの熱唱に応えましたよ! さらにブーツィー登場後は異様に盛り上がりましたしね。それでもやっぱり何故フジに?っていう疑問は残ります。これを見たかったソウル/ファンク・ファンは他の場所に沢山いるんじゃないのか?と。

でもね、あのヤングJB。トニー・ウィルソンっていう人らしいんですけど。その筋では結構有名な方だそうです。ユー・チューヴで検索すると彼のパフォーマンスを見ることが出来るんですが、冷静な目で見ると、さほど似てないんですよね…。ですが、あの夜はJBにしか見えなかったんです。おそらくヴィッキー・アンダーソン、そしてダニー・レイが出てきた時点で、私は何かマジックに掛けられたんでしょうね。そしてそれはフジロックという場だからこそだったんだと思います。フジ特有の空気が私をトリップさせたんです。そっくりさんがベストアクトというのもどうかと思いますが、ここは一つ許してください。何せあの日の彼は神懸ってましたから。っていうか完全に降りてましたから、ゴッドが。ゴッドなファーザーが。オブ・ソウルが!








フジロック・ベストアクト第2位

2008-08-07 17:11:39 | フジロック
BETTY LAVETTE / SOUVENIRS

超個人的フジロック・ベストアクト第2位!

それはベティ・ラヴェットです!

この人の歌は凄かった! 正直な話、彼女よりフジの観客を熱狂させたアーティストは山ほど居たでしょう。私のベストアクト第3位以下のアクトだってそうです。私自身の興奮度もそうだったかもしれません。しかし、じゃあ順位をつけようと思ったとき、この人の歌にかなうアーティストはそうは居なかったのです。

60年代から活動するソウル・シンガー。現在60歳を超えています。しかしそれが信じられないほどの現役振り。とにかく声の力が半端無い! そしてロック・フェスでの堂々とした歌いっぷりがまた格好良い! 1曲目はロックを意識してかどうかは知りませんが、フリーの「The Stealer」。ポール・ロジャースも良いですけど、ベティ・ラヴェットの歌はさらに深い。バックの演奏にねっとりと絡みつくように、それでいてキレがあり力強い。私はもうこの1曲目で完全に彼女のソウルに引きずり込まれました。

そしてハイライトは早くも3曲目。ここでスロー・ナンバーが歌われたのですが、曲は「Choices」だったでしょうか?(すいません、記憶が既に曖昧なので断言できません…)。おそらく観客の多くは、私のように前のめりで彼女のステージを楽しみにして来た人ではなく、興味本位で「お、これが噂のソウル・ディーバか…」、もしくはたまたまそこに居て「なんかおばちゃん出てきちゃったよ…」的な人達が多かったんじゃないかと思います。ですが、彼女がスローを歌いだした瞬間に、ヘヴンがまるで水を打ったように、シーンっと静まりかえりましたから。

ベティ・ラヴェットの歌声にその場に居た全ての人が引き込まれていく瞬間でした。鳥肌が立ちましたよ! 私も一心不乱に彼女の歌声を聴きましたね。そうせざるを得ない説得力でした。ルシンダ・ウィリアムスのカヴァー「Joy」も素晴らしかった。唸りながらシャウトするブルージーなこの曲こそ、ロックもオルタナ・カントリーをも飲み込んだ現在進行形のソウルです!

そして決して順風漫歩ではなかった彼女のキャリアを振り返りながら、その不遇を笑い飛ばすかのようなセットが続きます。デビュー・ヒットとなった62年の「My Man - He's A Lovin' Man」、同時代の「You'll Never Change」、お蔵入りとなった曰く付きのアトランティック時代から「Souvenirs」。そしてようやくの1stアルバムを発表した80年代のモータウン時代からも演ったとおもいます。確か「Right In The Middle( Of Falling In Love)」でしたっけ? とにかくまるで自分の人生を歌に込めたかのようなセット・リストに、彼女のこれまで歌い続けてきたシンガーとしての誇りが伺えます。

特に素晴らしかったのがやっぱりスロー・ナンバーの「Souvenirs」。胡座のようなスタイルでしっとりとソウルフルに熱唱されたら、そりゃ堪りませんよ! さらに「You'll Never Change」ではマイクを離して地声で「ネヴァ~、ネヴァ~」と絶唱。衰え知らずの声量がヘヴンの聴衆を沸かせました。それと案外彼女の歌声は、ゴスペル・フィーリングより演歌の悲哀に近いものがあるのかもしれないと思ったり。実際彼女の歌手としての出発点は教会ではなかったそうです。ゴスペル的な高揚感よりも、とことん生々しく激情するかのような感情表現は、日本の聴衆にもストレートに伝わったのではないでしょうか。もちろん演歌と呼ぶにはあまりにも激しく、ディープに過ぎますけどね…。

最後は「Close As I'll Get To Heaven」だったでしょうか? 最後まで彼女の声は衰えることもなく、かえって力強さを増していくかのよう。そして熱唱しながらゆっくりとステージを去っていく彼女に惜しみない拍手が送られました。

フジロックという、必ずしも彼女のような純粋なソウル歌手が歓迎されるとは限らない場所で、堂々と、自信たっぷりに歌ったベティ・ラヴェット。やっぱりこの人は凄いですよ! まるで「ここは私のステージよ!」と言わんばかりの毅然とした振る舞いに、私は“本物の歌手”を見たと感動すら覚えました。そんな彼女の自信に溢れたステージはヘヴンの観客を完全に我が物としましたね。天晴です、ベティ・ラヴェット!


*写真はアトランティックで制作されながらお蔵入りとなった72年作の「CHILD OF THE SEVENTIES」にボーナス・トラックを追加して2000年にようやくリイシューされた「SOUVENIRS」。ジャケ写はもちろん若き日のベティ。アルバム収録曲には「Souvenirs」、「The Stealer」が、ボーナストラックには「My Man - He's A Lovin' Man」と「You'll Never Change」も入っています。近年のベティ・ラヴェットももちろん素晴らしいですが、若い頃の彼女も素敵です。特に「Souvenirs」は感動的。





フジロック・ベストアクト番外編

2008-08-06 22:49:56 | フジロック
超個人的フジロックベスト5も残すところ第1位と第2位のみとなりましたが、ここで敢えて休憩というか、番外編というか、ちょっと肩の力を抜いた、フジロック何でもベスト5を!

まずはベストアクトで惜しくも圏外とさせていただいたアーティストを5組。こちらは順不同。
・CSS
・TRICKY
・SEASICK STEVE
・JANET KLEIN
・THE VINES

観れなくて涙を飲んだアーティスト・ベスト5
・1位:THE NEW MASTERSOUNDS
・2位:LEE “SCRATCH”PERRY
・3位:MICE PARADE
・4位:THE GO!TEAME
・5位:MY BLOODY VALENTINE
ニューマスターサウンズは観たかったです。でも通行止めにあい、気持ちが折れました…。

ライヴ以外で良かったことベスト5
・1位:ロータス・カフェでフジロック談義!
・2位:ホテル
・3位:前夜祭初参加
・4位:ミラーボールランド
・5位:CABARET FIESTA
ある意味、私にとってメイン・イベントでもあったこのフジロック談義! ロータス・カフェで今年のフジについて熱く語り合う。普通のことかもしれませんけど、私にとっては本当に価値あるひと時でした。ホテルについては近年苗プリが取りづらくなり、久々に会場から徒歩圏内に泊まれたことが嬉しかったです。やっぱり楽ですね~。前夜祭はそれ自体が楽しいというより、お祭り騒ぎの中、明日からの3日間に想いを馳せるというゴージャス感が最高でした。

逆に残念だったことベスト5
・1位:CSSのサイン会に行けなかった…
・2位:ドラゴンドラに乗れなかった…
・3位:ロドガブのパレス出演キャンセル…
・4位:パレスのLORDS OF LIGHTNINGを見そびれた…
・5位:-
CSSのサイン会は参加券をゲットしたものの、シーシックやジャネットを見たかったので諦めざるをえなかったんです…。ドラゴンドラは午前中に乗ろうと思っていたんですけど、朝起きられませんでした…。

旨かった飯ベスト5
・1位:ヘヴンのピザ(SAKURAGUMI)
・2位:場外のもち豚ステーキ(店名不明)
・3位:クイーンズプレート(クィーン・シーバ)
・4位:オアシスのおにぎり(ゆた)
・5位:フレンチクレープ(le jardin gaulois)
やっぱりヘヴンのピザは素晴らしい!!!!

惚れそうになった女性ベスト5
・1位:ラヴフォックス(CSS)
・2位:ベティ・ラベット
・3位:キャロライナ(CSS)
・4位:ガブリエーラ(RODRIGO Y GABRIELA)
・5位:ジャネット・クライン
これはね~、ただラヴフォックスを1位にしたくて作ったベスト5。やっぱり私にとって今年のフジの顔はラヴフォックスですよ! ベティ・ラヴェットには「何で私の方が下なの!」て怒られそうですけど…。

名人芸ベスト5
・1位:ガブリエーラ(脅威のストローク)
・2位:ダニー・レイ(MC&マントショー)
・3位:JOHN REYNOLDS(楽器使わずに一人芸で「キャラバン」)
・4位:Tony Wilson(JBのそっくりさん)
・5位:おにぎり屋の兄ちゃん
ガブリエーラは凄かった。あの右手。でも手捌きだったらオアシスに居たおにぎり屋の兄ちゃんも負けてないかも…。

いいキャラしてるね~ベスト5
・1位:シーシック・スティーヴ
・2位:ラヴフォックス
・3位:ジャネット・クライン
・4位:馬人間
・5位:ドラえもん型ギター

いい加減ネタが尽きてきたのでこの辺で…。



あ、そうそう、去年も似たような企画をやったんですけど、その時の最後は「来年の目標ベスト5」だったんです。その内容は、
・1位:まず行く!
・2位:苗場/浅貝地区の宿に泊りたい~!
・3位:大小関わらず全てのステージ最低1組は観る
・4位:もう少しまともなレポートを書く
・5位:メンツがショボくてもがっかりしない
だったのですが。で、結果は…、1位と2位は達成しました。3位はだめです。ドラゴンドラの上は行ってないですし、木道亭と苗場食堂はチラッとも見ていません。4位も結局携帯ではあれぐらいが限界です…。5位はね~、分かっていても難しいのです。

今年も「来年の目標」は去年と同じですね。特に3位、これは何とか成し遂げたいです!




フジロック・ベストアクト第3位

2008-08-06 13:55:51 | フジロック
RODRIGO Y GABRIELA / THIS IS ROD & GAB

超個人的フジロック・ベストアクトもいよいよ第3位!

それはロドリーゴ・イ・ガブリエーラです!

ヘヴンが湧きました! たった二人のアコギ演奏に! 正直、最初にロドガブがヘヴンのトリと発表された時はちょっと物足りなさを感じたんですけど、ごめんなさい、私が間違っていました。ロドガブの二人はこれまでにない程ヘヴンに濃密な極上空間を作り上げてくれました。

メキシコ出身のロドガブ。果たしてこの二人はフラメンコなのか?それともメタルなのか?

ま、それはさて置き、ロドガブと言えば今年のフジでは最終日ヘヴンのトリに抜擢されたことはもちろん、初日グリーンのトップ・バッターという大役を含む3日間全てに登場するという話題を振りまきましたが、残念ながら2日目深夜のパレス出演は機材トラブルのためキャンセル…。

でもそのキャンセルを補って余あるヘヴンでの快演でした。ですがその前にまず初日のグリーン・ステージです。実はこのグリーン一発目にロドガブというのも私は驚きました。なぜならアコースティックのアーティストで始まるというのはフジ史上初めてだったからです。しかしそこはロドガブ、あの超絶的な弦捌きで観客の目を釘付けにし、インパクト抜群のノリで大きな手拍子を沸き起こしました。フジは単なるロック・フェスではないことを見せ付けた、強烈なトップ・バッターでしたよ!

ですがちょっぴり気になったことも。それはロドリーゴには余裕すら感じられたものの、ガブリエーラはちょっとやりづらそうに見えたこと。何度もクルーを呼んで何か指示を出していましたし、表情も終始険しめでした…。そして後半はまるで内蔵マイクに直接何かが当たっている感じのノイズが聞こえてるような気もしました。この辺りが翌日のキャンセルに繋がったんですかね? ですがそんな状況でも演奏は素晴らしかったです。やっぱりガブリエーラの右手は凄い! さらに終盤は立ち上がって演奏し大声で観客を煽り、その反応に笑顔で応えるなど、頼もしくも可愛らしい一面を見せてくれました。

さて、そして最終日のヘヴンです。もうこれはグリーンとは別物。やっていることは同じなんですけど、その密度はまるで違いました。特にガブリエーラの表情がまるで違ったんです。曲が終わる度に盛り上がる観客に対して右手を力強く上げ満面の笑みで応える彼女。楽しそうです! そして余裕があるためか彼女はロドリーゴとのアイコンタクトを充分にとります。そしてアイコンタクトをとる度に音楽の濃密さが増していく感じ。視線の結びつきは適度な緊張感と甘美な空間を生み出し、その結果ステージ上に二人の世界観が浮かび上がるようでもありました。

この夜のセットは背後のスクリーンのみ。さらにギミックなしのライティング。そしてステージ上には二人だけ。そんなシンプルな空間がかえって二人の世界を際立たせます。

この二人は座って演奏する印象がありますが、ロドリーゴはほとんど立ちっぱなし。そしてユーモアを交えて観客の心を掴んでいきます。メタル仕込みの早弾きとアコギならではの繊細なタッチを自由自在に股に掛け、エギゾチック且つ哀愁溢れるメロディーにメタリックなフレーズを挟み込んできます。一方、ガブリエーラは全く目で追うことの出来ない右手の“ストローク”と言うより“回転”でフラメンコを思わせるパーカッシヴなリズムを叩き出します。このガブリエーラの技は見ているだけで興奮させられるほどですが、その情熱的で躍動感溢れるノリがまた格別。また途中、ロドリーゴの多彩な早弾きをガブリエーラが直後に右手の“回転”だけで全てまねしてしまい、ちょっと勝ち誇るというお茶目な演出も。ガブリエーラは可愛かったですね! そして彼女のソロ・コーナーも凄かった。神業の連続にただただ目が点になりました…。

さらに二人がユニークなのはヘヴィ・メタル出身であること。聴き方を変えれば二人の音楽はメタルの様式美そのものにも聴こえます。しかもツェッペリンの「Stairway To Heaven」を鮮やかに決めたり。ロドリーゴはソロ・コーナーで果敢にメタリカの「Battery」のリフを弾いてましたね。グリーンでは「Master of Puppets」も演ってましたしね。その他そこかしこに有名リフを挟み込んで盛り上げていました。そして終盤、ノリが最高潮に達すると二人並んでモニター・アンプに片足乗せてヘッド・バンギングなんていう場面もありで、やっぱりこの人達はメタルです!

そして必殺のキラー・チューン「Diablo Rojo」は圧巻でした。ヘヴンの観客は二人の音楽を全身で受け止めるように異様な盛り上がりを見せ、その場は観客とロドガブ、そしてヘヴンの空気が一体となるような、そんな極上空間に。これはアコースティックというどこかパーソナルで繊細な響きと、彼らの情熱的なパッションの融合がなせる業でしょう。そしてヘヴンの空気。やっぱりね、フジって良いですよ。マジカルですよ! そしてあの二人に乾杯です!

*写真はフジロック出演に合せたミニアルバム。4曲と収録曲が少ない上、新音源は先の来日公演からの1曲のみと、かなり便乗商品的ではありますけどね…。




フジロック・ベストアクト第4位

2008-08-05 10:09:09 | フジロック
LETTUCE / LIVE AT BLUE NOTE TOKYO

超個人的フジロック・ベストアクトの第4位、レタスです!

これは真夏の夜のファンク! そしてファンクの中にジャズとジャムが入り混じり、それがヘヴンの空間に溶けていくような、まさに天国ならではの極上ライヴでした。実は初めて生で観たんですけど、とんでもないバンドですよ!

彼らの場合、クラブのような濃密な空間でも魅力を発揮するでしょうけど、野外、それも夜の森というシチュエーションがまた良く似合う! あの開放感が堪らない。芳醇なグルーヴとジャズ・ファンクの持つ“空気”のようなものにただただ興奮へと誘われました。そしてその“空気”にはメンバーそれぞれの“呼吸”が感じられ、この呼吸こそこのバンドがエキサイティングである秘密なのかもしれません。

さて、ステージは前半からスカッとした機動性抜群のファンクを連発。アダム・ダイチが抜けの良いグルーヴから技ありのブレイクを決めまくり、そこにエリック・クラズノーのキレのあるギターが絡む。さらにニール・エヴァンスの鍵盤がまとわりつき、サム・キニンジャーを中心にしたホーン隊が突き抜ける。それぞれが卓越した技を存分に披露しつつ、それらが結びつき強力なグルーヴを生み出します。これが爽快!

そしてこの強力グルーヴの胆は案外ベースのエリック・クームスだったかもしれません。小さい体でベースをブンブン振り回しながら次々とぶっといボトムを提供していきます。そしてとにかくベースの出音がデカイ。でもこれが腰にくるんです。気がつくとベース・ラインを追っかけてる自分がいました。凄いベーシストですよ。ファンになりました。

また彼がを楽しそうにベースを弾くんですよ! エリック・クラズノーなんかは割と淡々としていましたけどね。そしてもう一人楽しげだったのがニール・エヴァンス。ひょっとしてソウライヴより楽しいんじゃないの?と突っ込みを入れたくなるほどはしゃいでいましたね。で、私の注目はサックスのサム・キニンジャー。テナーではなく本来のアルトを吹いてましたね。そしてメイシオ・パーカーばりに超ファンキーなフレーズをこれでもか!とやっていました。やっぱり格好良いですよ、この人。

さて、セットは2時間の長丁場。残念ながらフレッド・ウェズリーの合流はありませんでしたが、JBの「Super Bad」も演りましたし、ミーターズへのオマージュもありました。中盤にやや難解な展開の曲を配し、懐の深さを見せつけてくれもしました。ですが、やはりスピード感のあるファンク・ナンバーこそがレタスの真骨頂なのです。個人的なハイライトは前半に登場した「Squadlive」。終盤、サム・キニンジャーの合図で「ワン・タイム!」とか「ツー・タイム!」とか「フォー・タイム!」とかと拍を数えながらブレイクに突入し、サムの一声でまた演奏に戻る。ベタな展開ながらこれが格好良いいんです! バシッとブレイクに入り、鮮やかに演奏に戻る。この辺の呼吸に興奮させられるわけです。こういったファンクの美味しいところを、いとも容易く涼しげに決めてくるからこのバンドは堪りません。

そして面白いのは、このバンドの中心はリーダーのエリック・クラズノーだったりアダム・ダイチだったりする訳ですが、例えば「Squadlive」ではサム・キニンジャーがバンドを引っ張り、またある曲ではニール・エヴァンスが主導権を握ったりと、その場面ごとに指揮官が変わっていくように感じられました。この辺りもメンバー間の“呼吸”がなせる技ですかね。

そしてその阿吽の呼吸が極上グルーヴを生み出し、反射神経抜群のスリリングなファンクを実現してるんでしょうね。やっぱりレタスは凄いです! これぞジャズ・ファンクの粋を見せ付けられた感じです。

そしてレタスの場合、どうしても“ジャス・ファンク”と言いたくなってしまうのですが、単なるオールド・ファンクの焼き直しではなく、そこには現代的なクラブ、もしくはヒップ・ホップ的なクロスオーバー感も濃厚だったことも付け加えておきます。

そしてアンコールを含めたファンクの響宴はまるでリズムを分解していくような強烈なアダム・ダイチのドラミングで幕を下ろしました。ダイチも凄いけどあれについていくメンバーも凄い…。

*写真は04年リリースのライヴ盤。収録はブルーノート東京。例の「ワン・タイム!」、「ツー・タイム!」もやってます!




フジロック・ベストアクト第5位

2008-08-03 01:01:55 | フジロック
MICHAEL FRANTI AND SPEARHEAD / ALL REBEL ROCKERS

超個人的フジロック・ベストアクト第5位、マイケル・フランティ&スピアヘッドです!

27日ヘヴンであのライヴを体験した人は、「え~! なんで1位じゃないの?」と思われるかもしれません。でも私も断腸の思いでこの順位にしたのです。察してください…。

さて、27日夕方のヘヴン、いやその前に26日深夜の場外岩盤ブースから始まります。0時から始まった彼らのアコースティックライヴ。アコースティックと言っても純粋な弾き語りではなく、アコギ2本にスネアとエレキ・ベースも入った準バンド・セット。

バンドを前に数十人が地べたに座り、最前列は手を伸ばせばマイケルに届きそうな位置。そして目の前の観客に話しかけるように「Hello Bonjour」でスタート。と同時に親密かつピースフルな空気に包まれ、さらにその暖かさは祝祭的な雰囲気に。 アコースティック主体ながらレゲエを基調にしたアッパーな曲調が続き、後ろを振り返ると立ち見の観客は楽しそうに踊りだしていました。

6曲程度の演奏でしたが最後の「Say Hey (I Love You)」あたりでマイケルに促され観客は総立ちに。まるで堰が切れたように踊りまくる群集。最後はマイケル自信がその中に割って入り握手やらボディタッチやらもみくしゃに。私もドサクサに紛れて握手してもらいました。

演奏が終わってもその後のサイン会の準備が出来るまでファンとハグしたり写真撮ったり、なんだかサイン会の意味がなくなりつつある感じ…。私はと言いますとサイン会はパスしてロドガブの様子を見にパレスへと移動。ロドガブのキャンセルに動揺しつつパレスで一遊びして帰路についたのですが、帰りに岩盤をチラッと覗いたら、マイケル兄さんはまだファンと何やら親睦していました。良い人だ…。

そしてその翌日の夕方、雨のヘヴン。やはりフルバンド仕様は音圧もノリも昨晩とは別物。やはりレゲエ色が濃厚ながら、よりミクスチャー度が増し、マイケル・フランティ&スピアヘッドならではのダンス・ミュージックに。当のマイケル兄さんはステージ狭しと動き回り、観客もそれに答え大盛り上がり。昨晩の親密さはここではもっと大きな一体感へと変貌していました。

「Rude Boys Back In Town」、「Hey Wowld」、「All I Want Is You」、「I Got Love For You」など、新作「ALL REBEL ROCKERS」からの曲のポジティヴなヴァイヴが素晴らしい。そして何より楽しい! 一緒に歌い、一緒に跳ね、一緒に手を振り、一緒にタオルを回す。マイケル兄さんは音楽の楽しみ方を伝授するがごとく笑顔で観客をリードしていきます。それもその背景にマイケルの反戦や平等を願う真摯な姿勢があるからこそ。だからこそ楽しさにも説得力があるんですよね。

タワーレコードのフリー誌「bounce」08年8月号のマイケル・フランティの記事の中で、彼は新作についてこう語っています。「アルバムのテーマは、危機に直面しているいまを、ユーモアと笑顔を忘れずに、踊って、心を大きく構えて、愛を信じて、前向きに生きること」。まさにこれですよ! ライヴはアルバム以上にこのテーマそのものでした。あの時間と空間は本当に幸福感に満たされ、一瞬「音楽は世界を救える!」と本気で思いましたよ。みんながマイケル・フランティのライヴを見れば…。

そしてステージの最後はやっぱり「Say Hey (I Love You)」。終わりを惜しむかのように“I Love You, I Love You”のリフレインが繰り返される。最後は観客の歌うそのリフレインに乗せてメンバー全員がステージ前で肩を組んでラインダンス。もう何でもやってくれ!とにかく最高の人達でした。

終演後、観客の多くはしばらくあの場を離れることが出来ず、場内に流れるボブ・マーリーに合わせて幸せそうに踊っていました。ステージ前方ではマイケル兄さんが降りてきて、端から端まで観客と握手。ライヴ後の笑顔って素敵ですよね。マイケル・フランティが居るかぎり、平和の火は消えませんよ!

そう言えばライヴ中、ホワイトステージ側の空を振り返ると、薄っすらと一筋の虹が見えていました。