ルーツな日記

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グラミー特集:サラ・ジャロス

2010-01-31 10:48:54 | カントリー
SARAH JAROSZ / SONG UP IN HER HEAD

グラミー賞ノミネート特集、今回は『Best Country Instrumental Performance』部門です。カントリー、しかもインストゥルメンタルというマニアックな部門です。ノミネート作品は以下の通り。

Alison Brown / Under The (Five) Wire
The Greencards / The Crystal Merchant
Sarah Jarosz / Mansinneedof
Steve Wariner / Producer's Medley

この中で私が気になるのはSARAH JAROSZ です。サラ・ジャロスと読むのでしょうか? まだ歳10代の女性シンガーです。ノミネート曲「Mansinneedof」は彼女のデビュー・アルバムとなる「SONG UP IN HER HEAD」からの1曲。女性シンガーと書きましたが、もちろん曲も作ります。アルバムのほとんどの曲が彼女のオリジナル曲です。しかもギター、マンドリン、バンジョー、ピアノを弾きこなすマルチ・プレイヤーです。「Mansinneedof」は彼女のマンドリンをフューチャーした開放感溢れる逸品。

彼女の操る楽器からも想像出来るように、そのベースにはブルーグラスがあります。しかしそのアコースティックな楽器が織りなす音の重なりはコンテンポラリーな広がりを待ってます。そしてシンガー・ソング・ライター的な知性を感じさせつつ、ジャム・グラス的な展開もある。飾り気のないフォーキーな歌声には、10代とは思えないトラディショナルな感性と若く瑞々しい魅力が同居しています。

そしてこのアルバム「SONG UP IN HER HEAD」を支えるバック・メンバーが凄い! バンジョーやフィドルなどでスチュアート・ダンカン、スライド・ギターにジェリー・ダグラス、マンドリンでマイク・マーシャル、ベースに MARK SCHATZ 、さらにダレル・スコットやティム・オブライエンまで顔を出しています。彼らが入れ替わり立ち代わりで彼女をサポート。若き新人アーティストのデビュー作にこの世界の大家達がこぞって参加している事実に驚かされます。もちろん若手も多数参加しています。中でもフィドルの ALEX HARGREAVES とチェロの BEN SOLLEE のプレイは光っていますね。


フォーキーな香りにジェリー・ダグラスのスライドがブルージーに絡む「Song Up In Her Head」。神秘的な雰囲気の「Edge Of A Dream」に、ロック的なダイナミズムを持った「Broussard's Lament」など、ヴァラエティ豊かな曲が並びます。トラディショナルな色彩の濃い「Tell Me True」ではサラ・ジャロスにはもるティム・オブライエンのバック・ボーカルが良いですね。そして「Mansinneedof」ではサラ・ジャロスとマイク・マーシャルによる2本のマンドリンと若きALEX HARGREAVES のフィドルとの絡みが美しい。この曲はカントリーというより室内楽のような麗しさを感じさせます。

スリリング且つ哀愁溢れるサラ・ジャロスのバンジョーが秀逸なカントリー・インスト「Fischer Store Road」も格好良い。スピード感が爽快な「Left Home」では瑞々しいサラの歌声にスチュアート・ダンカンのフィドルとジェリー・ダグラスのドブロが爽やかに絡む。 サラがピアノを弾き語るスロー・ナンバー「Long Journey」も味わい深い。さらにトム・ウェイツのカヴァー「Come On Up To The House」も面白い。そして全編を通してサラの柔らかくも凛とした歌声が良いですね。

それにしても古きフォークやカントリーの息吹を感じさせながらも多彩な広がりを持つ素敵な楽曲達とその表現力は末恐ろしい10代です。ベテラン勢がサポートしたくなる気持ちも分かりますね。これからのカントリーをポップスとは違う方向への新しい世界へと道く可能性を多いに秘めた逸材だと思います。これからの活躍が楽しみですね。最後の「Little Song」、癒されます。


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