ルーツな日記

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2012年 ベスト・アルバム リイシュー編

2013-02-17 18:48:10 | 2012年総括
VA / COUNTRY FUNK 1969-1975
「ルーツな日記」が選ぶ2012年リイシュー・ベスト10、第1位はLIGHT IN THE ATTICが編んだカントリー・ファンクのコンピ盤です。今回選んだ10枚の中で間違いなく今年一番聴いたアルバム。これにはハマりました!

まず、ここで言うカントリー・ファンクって何だろう?って思いますが、要は概ね70年代前半を中心にしたスワンプ・ロックです。スワンプ・ロックと言ってもレオン・ラッセルに代表されるLAスワンプではなく、本物のスワンプ、米南部湿地帯ロックです。つまりトニー・ジョー・ホワイト、ボビー・チャールズ、デイル・ホーキンス、ボビー・ジェントリーなど有名どころから、ジム・フォード、ラリー・ジョン・ウィルソン、ジョニー・ジェンキンスと言った隠れスワンプ名盤を残したマニアックな方々まで、これぞスワンプ!と言った人選です。

さらにジョニー・アダムス(ニューオーリンズのソウル・シンガー)、ボビー・ダーリン(ポップ・スターとして輝かしい奇跡を残したシンガー)、リンク・レイ(ピート・タウンゼントやジミヘン等にも影響を与えたエレキギターのパイオニアと言われる人)、マック・デイヴィス(プレスリー「In The Ghetto」の作者としても知られるカントリー・シンガー)など、この辺りは個人的にはスワンプ・ロックというイメージはなかったんですが、ここに納められている楽曲はスワンプ臭ムンムンなものばかり。もう盤の節々からスワンプの泥が溢れ出しそうなディープ・コンピです。

しかも“カントリー・ファンク”と名付けられるぐらいですからどれもファンキーなんですよ!ファンキーと言っても南部独特のねっとりとしたファンク・フィーリングなんですけど、それが堪らなく腰にくる。この辺りのスワンプロックをさほど掘り下げて聴いてこなかった私などにとっては目から鱗の格好良さでしたね。正直、John Randolph Marr、Gray Fox、Cherokee、Dennis The Fox、Gritzといったアーティスト達は、このコンピで初めて知りました。しかもそのどれもが格好良い!いやはや、スワンプの沼は想像以上に深いです。

もちろんスワンプですからルイジアナ/ニューオーリンズ色も濃かったり。トニー・ジョー・ホワイト、ボビー・チャールズ、ジョニー・アダムスはもちろんですが、デイル・ホーキンスもルイジアナ出身ですからね。さらにジョージア界隈のブルースマン、ジョニー・ジェンキンスが歌う「I Walk On Gilded Splinters」はドクター・ジョンの曲ですし、逆にリンク・レイの「Fire And Brimstone」は後にネヴィル・ブラザーズが「YELLOW MOON」でカヴァーするあの曲。私はネヴィルズ版の「Fire And Brimstone」が大好きだったのですが、そのオリジナルをここで初めて聴くことが出来、感無量でした。なんか独特の怪しさがあって格好良いです。

ちなみにジョニー・ジェンキンスの「I Walk On Gilded Splinters」を含むセッションではまだオールマン・ブラザーズ・バンド結成前のデュアン・オールマンやブッチ・トラックス、ジェモーなどが参加し、これがオールマン結成の契機になったなんて言われていますね。

それにしても最高ですね、スワンプロック。もちろん、厳密に言えばスワンプロックの分類には入らない楽曲も含まれているのかもしれません。なにせ私が勝手にスワンプ!スワンプ!と騒いでるだけで実際は「カントリー・ファンク」ですからね。ですが“スワンプ”というキーワードで語るのに充分な一種独特のムードで貫かれた愛すべき1枚です。

第2位

TAJ MAHAL / THE HIDDEN TREASURES OF TAJ MAHAL 1969-1973
第2位はタジ・マハールの2枚組レア音源集。やっぱりタジ・マハールは初期が良いよね!って言う人には堪らない発掘盤。アウトテイク集となる1枚目のジェシ・エド・デイヴィスを擁する前半の格好良いこと! なんでこれが未発表なんでしょう? そしてチューバ隊を率いたスタジオ録音も荒々しいノリが素晴らしい! でも楽しみにしていたアラン・トゥーサン絡みのニューオーリンズ録音はとりあえずスタジオを使ってみました程度な印象で、トゥーサン色は全く感じられずちょっぴり残念。でもこんな音源が残っていただけでなんかロマンを感じます。そして70年のロイヤル・アルバート・ホールでのライヴを納めたディスク2。こちらもジェシ・エド参加で最高です!

第3位

DAN PENN / THE FAME RECORDINGS
未発表音源を集めた「HALL OF FAME」やジョージ・ジャクソンの第2集「LET THE BEST MAN WIN」など、2012年も英ACE/KENT周辺のフェイム音源発掘にはやられっぱなしでしたが、その中でも特に印象的だったのがダン・ペンのフェイム録音集。全24曲中シングル・リリースされた「Take Me (Just As I Am)」を除く全てが未発表音源とのこと。ソングライターとして辣腕を振るっていた頃に、これ程の録音が残されていたと言う事実に驚かされます。サザン・ソウルの裏側を見せられた思いであり、若きダン・ペンの歌声と名曲の数々に心がマスルショールズへ飛んでいきそうです。(行ったことないですけど…。)

第4位

VA / BOPPIN' BY THE BAYOU
英エイスが編んだ50~60年代のルイジアナ産ロックン・ロール・コンピ。これも興味深い1枚。正直、私などは存じ上げないアーティストがほとんどなんですが、それ故にルイジアナの知られざる深部を覗いた気分で楽しめました。それにしてもこの時代、ルイジアナにもエルヴィス・フォロワーのようなロックン・ローラーが沢山居たんだと思うとちょっと面白い。既に第2集も出ているようなので、そちらもチェックしないと…。

第5位

LOU JOHNSON / SWEET SOUTHERN SOUL
「ATLANTIC R&B BEST COLLECTION 1000」シリーズからの1枚。このルー・ジョンソンのフェイム録音が素晴らしいのはもちろんなんですが、このアトランティック創立65周年を記念してのソウル名盤千円放出という素晴らしい企画全体に拍手。これはホント話題になりましたよね。まだ続編が続いているようなので、今後の展開にも期待です。

第6位

MAGIC SAM / LIVE 1969 RAW BLUES!
シカゴ・ブルース、ウェストサイド派の寵児マジック・サムが亡くなるおよそ4ヶ月前、1969年7月11日カリフォルニア州バークレーにおけるライヴの発掘音源。同時期のアン・アーバーを収録した名ライヴ盤にも収録されてない曲も含む全17曲。とにかくマジック・サムの勢い溢れるギターが凄い! 音質はいまいちですけどね…。

第7位

JOHN HIATT / PAPER THIN FM BROADCAST OTTAWA, CANADA, JANUARY 4TH 1989
ジョン・ハイアットのザ・ ゴーナーズを率いた89年のライヴ音源。サニー・ランドレスのスライドもたっぷり!! こちらはALL ACCESSというレーベルが出しているシリーズ物のようで、他にもエミルー・ハリスやタウンズ・ヴァン・ザントなどのライヴ音源がリリースされてまして、これからも目が離せません~。

第8位

VA / BLUES A RAMA LIVE AT TIPITINA'S NEW ORLEANS 1989
こちらはニューオーリンズのブラックトップがリリースしていたライヴ・シリーズの復刻版。未発表テイクなどはありませんが、永らく廃盤で手に入りにくかったものなので嬉しいですね~。特に私の大好きなとアール・キングが3曲収録された第5弾とスヌークス・イーグリンが5曲収録された第6弾のパッケージは個人的に燃えました。

第9位

CAROLE KING / THE LEGENDARY DEMOS
キャロル・キングのブリル・ビルディング時代及び1stソロ作「TAPESTRY」期のデモ音源集。作家時代のデモ音源は過去にも世に出てるのでそれ程驚きませんが、「Pleasant Valley Sunday」や「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」のデモには流石に胸が躍ります。

第10位

DAVID RUFFIN / "DAVID" UNRELEASED LP & MORE
元テンプテーションズのリード・シンガー、デヴィッド・ラフィンの幻の3rdソロ作と言われる69年の未発表作にボーナストラックを加えてHIP-O SELECTがリリース。これは元々2004年にリイシューされたもので、その時は確かネット・オンリーだったように記憶しているのですが、今回、あらためてお買い求めしやすくなって再登場した感じ。


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