ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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アーマ・トーマス直前予習!

2011-11-30 23:06:40 | ニューオーリンズ
待ちに待ったアーマ・トーマスの来日公演が間近に迫ってまいりました。いや、大阪公演は昨夜でしたね…。ちなみに私は12月2日に行く予定です。という訳で、今回は緊急アーマ・トーマス予習大会です!


アーマ・トーマスは1941年2月18日ルイジアナ州ポンチャトーレ生まれ。デビューは1960年ですから、そこから数えてもかれこれ50年以上歌い続けている大ベテランであり、ニューオーリンズに限らず、ソウル界を代表する女性シンガーの一人です。どの時代の彼女が好きですか?と聴かれてもなかなか難しい。そんなアーマ・トーマスの活動歴をざっと追ってみましょう~。



Irma Thomas / Soul Queen Of New Orleans - Ron/Mint/Bandy Masters 1960 - 1963
つい最近、CHARLYからリリースされたアーマ・トーマスの初期音源集。CD1には、1960年、ロン・レーベルからのデビュー曲「Don't Mess With My Man」から始まり、「It's Rainin」や「Ruler Of My Heart」などヒット曲を含むミニット時代のシングル6曲など、彼女の活動初期のシングルAB面曲がリリース順に並びます。ミニット時代のアーマ・トーマスはアラン・トゥーサンのプロデュースもあってか、瑞々しくも甘い魅力が堪りませんね。そしてCD2は76年のニューオーリンズ・ジャズ・フェスティヴァルのライヴ録音。まさにニューオーリンズの歌姫としてのアーマ・トーマスを切り取ったかのような2枚組。



Irma Thomas / Time Is on My Side
60年代半ば、ミニット時代に比べるとキレのあるシャウト気味な歌唱に変化してきたインペリアル時代。パンチの効いた迫力で迫る「Time Is On My Side」、ガール・ポップなモッズ定番曲「Breakaway」、そして代表曲となる自作曲「Wish Someone Would Care」など、まだ20歳代という若きアーマ・トーマスの溌剌とした歌声に痺れまくりです! ちなみにこのインペリアルはウエスト・コーストのレーベルだったり、プロデュースをニック・デカロやジェリー・ラゴヴォイ辺りが務めていたりと、そんなところもまた興味深い。西海岸らしいタイト且つ抜けの良いR&Bサウンドがアーマの歌唱を一皮向けさせたのかもしれませんね。そしてそれがディープな方向へ向かう布石となっているようで、また面白い。写真のアルバムはインペリアル時代を中心にミニット音源も含む編集盤。



Irma Thomas / Something Good (The Muscle Shoals Sessions)
アーマ・トーマスのチェス録音。インペリアルから67年に移籍したのですが、ここから彼女にとって不遇の時代が始まります。ですがソウル・シンガーとしてはまさに再充実期だったりするからこれまた不思議。このチェス時代はシングル3枚に終わりますが、これはそれを中心に後にアルバム化された一枚。プロデュースはリック・ホール。録音はマスル・ショールズのフェイム・スタジオ。バック・ミュージシャンにはジミー・ジョンソン(g)、ロジャー・ホーキンス(ds)、デヴィッド・フッド(b)、トミー・コグビル(b)、スプーナー・オールダム(key)などがクレジットされています。ホーン隊も含めてサザン・ソウルそのものな演奏をバックに南部テイスト抜群のディープさで歌うアーマ・トーマスの歌唱が素晴らしい! しかし残念ながら現在廃盤…。



Irma Thomas / In Between Tears
アーマ・トーマスのマスル・ショールズ録音第2弾はスワンプ・ドッグがプロデュース。70年代初頭の録音。契約やリリースのいざこざから2人の関係は険悪らしいですが、残された音源は素晴らしいの一言! 先のチェス録音と合わせてアーマの凛としたサザン・フィーリングが見事です! 「Coming From Behind」から「 Wish Someone Would Care」へのメドレーは泣ける!バック・ミュージシャンにはスワンプ・ドッグ(piano)をはじめ、ロバート・ポップウェル(b)、ピート・カー(g)、デュアン・オールマン(g)、などが参加しているらしい。こちらも現在廃盤ながら、同時代のシングル(これがまためちゃくちゃ格好良い!)なども加えた編集盤がいくつか出ています。ただ、スワンプ・ドッグが90年代にバックを大幅に録音し直した音源も存在していたりと、ちょっとややこしいのが難点…。



Irma Thomas / If You Want It, Come and Get It
70年代半ばにニューオーリンズに戻って活動するも、ヒットに恵まれなかったアーマ・トーマスでしたが、86年にラウンダーと契約して以降は、すっかり地に足の着いた、充実した製作振りを見せてくれています。86年の「The New Rules」から最新作「Simply Grand 」まで、既に10枚程のアルバムをリリース。写真のアルバムは、01年にリリースされたそのラウンダー時代のベスト盤。流石にアダルトな魅力と言いますか、円熟した味わいを聴かせてくれます。たっぷりとしたふくよかな歌声が素晴らしいですね。何と言いますか、円やかな中にもキリッとした太い筋が通った歌声。聴けば聴く程、そのソウルネスに包み込まれていきます。ラウンダー時代には、いわゆるニューオーリンズ・ソウル的な作品意外にも、ゴスペル作となる「Walk Around Heaven : New Orleans Gospel Soul」や、ダン・ペンの楽曲集となるメンフィス録音「My Heart's in Memphis: The Songs of Dan Penn」といった興味深い作品もリリースしています。また、マーシャ・ボール、トレイシー・ネルソンとのスワンプ3人娘!?によるアルバムもあったりと、なかなかバラエティに富んでます。



Irma Thomas / After The Rain
そして、近年のアーマ・トーマスがまた良いんです! まずはカトリーナ被災後の06年にリリースされた「After The Rain」。バックにはスタントン・ムーア(ds)、デヴィッド・トカノウスキー(key)、サニー・ランドレス(g)などが参加。この頃は私も壊滅的被害を受けたニューオーリンズに心を痛めつつ、ポジティブな活動をするかの地のアーティスト達に大いに感動させられたりしていました。そんな時分に届けられたこのアーマ・トーマスの作品はその最たる名盤。1曲目「In The Middle Of It All」から、その落ち着いた包容力を感じさせる歌声は、もはやニューオーリンズのクイーンを越えた女神です!(サニー・ランドレスがまた良い仕事してるんですよ!) ラストを飾るスティーヴィー・ワンダーのカヴァー「Shelter In The Rain」にも涙。




Irma Thomas / Simply Grand
そして目下のところ彼女の最新作が08年リリースのこちら。様々なピアニストとのコラボレーションで綴られた1枚。これは企画からして面白い! 参加したピアニストは、ドクター・ジョン、ヘンリー・バトラー、ジョン・クリアリー、マーシャ・ボール、エリス・マルサリス!などニューオーリンズ勢はもちろん、ランディ・ニューマンからジョン・メデスキ、さらにはノラ・ジョーンズまでと、流石に豪華というか、なかなか意外な人選に驚きました。とにかくピアニストの個性を引き立てながら、アーマ・トーマスならではの味わいで纏め上げられた楽しくも極上の1枚。そして穏やかなレコーディング風景が目に浮かぶような作品。バックのレイモンド・ウェバー(ds)&ジェームス・シングルトン(b)のリズム隊も素晴らしい!そして選曲がまた見事!




さて、来日公演が楽しみです!!!


2 コメント

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Irma Thomas (col)
2011-12-03 11:53:51
めちゃくちゃ元気でしたね

個人的には断然チェスの時代が好きなんですが、彼女にとっては過去のほんの一時代に過ぎないんだろうなー、とライブの選曲から思いました

チーター・マンとかセキュリティとか聴きたかった、、
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ありがとうございます! (moccho)
2011-12-05 22:55:37
colさん、コメントありがとうございます!

うまくタイミングが合ったようですね。
良い同僚さんがいらっしゃって良かったですね!

チーター・マンとか聴きたかったですよね~!
キャリアが長いですから仕方ないですね。

とは言え、個人的には60年代の曲を沢山やってくれたので超満足でした。
そして何より素晴らしい歌声を生で聴けただけで感無量でした!

また来て欲しいですね!
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