ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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チコ&ザ・ジプシーズ @ブルーノート東京

2015-12-29 09:34:10 | ワールド・ミュージック
11月28日、ブルーノート東京にて、元ジプシー・キングスのチコ・ブーチキー率いるチコ&ザ・ジプシーズを観てまいりました! 私が見たのはこの日の1stショー。正直な話、チコ&ザ・ジプシーズもジプシー・キングスもあまり良くは知らないのですが、一度生で観てみたかったんですよね~。やっぱりこういう音楽はライヴで体験しないと!


さて、まずステージに現れたのは、ドラムス、エレキベース、ピアノ、そしてヴァイオリンの4人。彼らが流麗な演奏を繰り広げる中、いよいよギタリスト達が登場。ステージ前方にアコースティック・ギターを持った5人のギタリストが並ぶ様はそれだけで圧巻!

序盤は「Allegria」「Baila Me」などアップ・テンポなナンバーで盛り上がる。陽性なラテンのノリが気持ち良い!そして噂には聞いていたリード・ギタリスト、ケマのプレイが素晴らしい!超絶的な早弾きを駆使し、流麗且つ哀愁溢れる旋律を、見事な音色で聞かせてくれる。しかも表情一つ変えずに弾き倒す。そこにまた異国の凛々しさを感じさせられたり。そしてヴォーカルのモーニン。彼はグループの中でも最もフラメンコを感じさせるスタイルで、そのハスキーな歌声と圧巻の小節回しははまさにジプシー!!ホント素晴らしい歌声でしたね。

一方、「Amor de Mis Amores」を歌うホセはハリのある艶やかな歌声で観客を圧倒する。いやもう惚れ惚れしました。そしてもう一人、この日のセットリストの中でも異色と言えるフォーキーな感触の「Petingo」を歌ったカッサカ。これがまた良い声なんですよ!柔らかくて伸びやか、そしてソウルフル! 途中で「千の風になって」を日本語で歌い始めたのには驚きました~。

ケマのギターが枯れた情緒を紡ぎだすインスト「Pharaon」、モーニンの小節回しにピーウィーの哀愁溢れるヴァイオリンが絡む「Madre mia」、観客も手拍子や「オレ!」という掛け声で盛り上がった「Todos Ole!」などなど。これでもか!と南仏ジプシーの粋を堪能。まさに土地に根ざした血の濃さに身も心も打ちのめされる快感。

そして雰囲気が変わったのは、ピーウィーによるヴァイオリン・ソロ。まるで踊るようにロマンティックな旋律を披露した彼の姿には、フランスらしい洒落たセンスを感じさせられました。そしてジャン・ヴィンセント・アバードのピアノ・ソロへ。先ほどの「Todos Ole!」でラテンのリズムを繰り出していた彼とはまるで別人のようにエレガント&クラシカル。しかも曲はディズニー映画「アラジン」の「A Whole New World」ですから。ですがそのメロディーにモーニンを中心にバンド・メンバー達がフラメンコな手拍子やリズムを加えていくから堪らない。これがまた格好良いんですよ!!さらにリズムはタンゴ的になりピアソラの「Libertango」へ。ピーウィーのヴァイオリンとケマのギターが驚異の掛け合いを見せる。この辺りのクロスオーバーな流れにワールドミュージックって凄いな!と感じさせられましたね。

そして待ってましたの「inspiration」。鬼平犯科帳のあの曲です。これこそ私が最も聴きたかった曲であり、おそらくここに集まったほとんどの方達にとってそうだったのでは?と思わせられる程、始まるや否や大拍手が巻き起こる。ケマのギターから紡がれる、その哀愁のメロディと滲みる異国情緒。これはホント美しかった!生で聞けて良かった~。

さらにイーグルス「Hotel California」、シャキーラ「Waka Waka (This Time For Africa)」のカヴァー。個人的に「Hotel California」はツボでしたね~。切ないメロディーがジプシー色に塗り替えられたアレンジと、キレのある歌&演奏は最高でしたね。


そして終盤は「Djobi Djoba」「Bamboleo」、アンコールに「Volare」と、ジプシーキングス時代の代名詞とも言える超有名曲を畳み掛ける。もう最高!!観客達も総立ちで踊り、歌い、叫ぶ。ブルーノートとは思えない熱狂的な盛り上がり! 特に最後の「Volare」はまさに会場が一体となった幸福感。ホセによる、ジプシー・キングスとはまた違う、まるでオペラのべルカントの様な歌唱も素晴らしかった!!

いや~、流石のステージでしたね。演奏や歌の素晴らしさは言わずもがなですが、ライヴバンドとしてのポップさとか、エンターテイナー性の高さにも驚きました。しかもそれでいて、南仏とか、ジプシーとか、そういった土着の情緒はこってり濃厚なんですから!堪りませんよね~。そして、決してオレが!オレが!と前へ出ることはなく、常に柔和な表情でギターを弾き、全体を統べるチコ・ブーチキー。その存在感あってのチコ&ザ・ジプシーズでした!


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