TARAF DE HAIDOUKS & KOCANI ORKESTRA / BAND OF GYPSIES 2
去る9月30日、すみだトリフォニーホールにて開催された「WORLD BEAT 2012」を観てまいりました。サブ・タイトルに「究極のジプシー・オーケストラ」とある通り、ルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークス、そしてマケドニアのコチャニ・オーケスターという、南東欧/バルカン半島が誇るジプシー・バンドの両雄による共演ライヴです。しかもこの2つのジプシー・バンドは今年、初の本格的コラボ・アルバム「BAND OF GYPSIES 2」をリリースしたばかりとあって、まさにその方面で話題沸騰の来日公演なのでした。
開場時間をちょっと過ぎた頃に会場へ到着すると、既にピラミッドスとチャラン・ポ・ランタンによるロビー・ライヴで会場は大賑わい。ステージではなく敢えてロビーでライヴをやるところがストリートっぽくて良い感じ。そしてホール内に入ると、程なくしてピーター・バラカンさんによるトーク・ショーが始まる。ちなみに私の席は1階ほぼ真ん中の前から4列目というかなりの良席。ピーターさんの丁寧な解説の後、いよいよ本編がスタート。
数あるジプシー・ブラスの代表格としてブラス隊をずらりと並べるコチャニに対して、ヴァイオリン、アコーディオンを中心にツィンバロム、フルートなどが加わわるタラフ。両者合わせると総勢20名を越える大所帯。その演奏はまるでジプシーの熱き魂が一丸となって押し寄せてくるよう。複雑に絡み合いながら躍動するリズム、溢れんばかりの生命力とヨーロッパ的な哀愁が綯い交ぜになったメロディー。しかしおそらく普段はクラシックをやっているであろうこの「すみだトリフォニーホール」の雰囲気は、その音響も含めてあまりにも上品。本来、血湧き肉踊る荒くれたエネルギーを感じさせてくれるはずの彼らのサウンドも、思いのほかまろやかに響く。前半はそのホールの空気に観客達もなかなか乗り切れない感じで、いたって行儀のいい雰囲気で進んだ印象。
しかしそんな場内の空気もおかまい無しでタラフ&コチャニはどんどん勢いを増していく。タラフのヴァイオリニスト、カリウのヴァイオリンを高らかに上げつつ、上半身をブンブン振り回しながら弾く姿に目を奪われる。最後列に陣取っていたコチャニの大太鼓奏者(タパンと呼ばれる恐らくバルカン半島特有のもので、両手で2種のバチを使い分け低音と高音を一人二役でこなす。)が前方へ出て来てドッカンドッカンとリズムをうならせる。タラフの名物フルート奏者ゲオルゲも中央に躍り出て超絶的な早吹きを披露する(フルートと言ってもクラシックで使われるあのフルートではなく、土着的な木製の笛で、あれもやはりジプシー独特のものなのでしょうかね?)。どことなくラテンな乗りなコチャニの若いシンガーが溌剌とした歌声で盛り上げれば、タラフのヴァイオリニストでもあるコスティカが大きな体格を揺らしながら小節の効いた喉で存在感を発揮。彼の歌った「Jarretelle」はお祭り騒ぎな陽気なヴァイヴが最高でしたね。そしてこの夜のもう一人の主役、インドはラジャスタン出身のダンサー、クイーン・ハリシュがエキゾチックなダンスで華を添える。
そしていつしか私のまわりも徐々にうずうずとした空気が充満してまいりまして、一人、二人と立ち上がって踊り始めると、それを我慢出来ない人達の連鎖が始まっていく。そしてそれが爆発したのがタラフの長老パシャランの歌う「Mandrulita Mea」。それまで鳴りを潜めていたパシャランが満を持して歌い始めたこの曲。客席からも待ってましたとばかりにあちこちから「パシャラン!!」と掛け声が上がる。渋い声でゆっくりと浪々と歌うパシャランの貫禄はこれぞジプシー!! 一転してアップテンポに弾ける曲展開は否応無しに観客を巻き込んでいく。私も堪らず立ち上がって踊り出しちゃいました。会場も大盛り上がり!
私はタラフのシンガーの持つ独特の味が大好きで、数年前に彼らのライヴを観たときも、ジプシーならではの生活臭を感じさせるような濃密な歌声に驚嘆したものでした。今回はそれまで長老だったイリエが今年の5月に亡くなられてしまいとても残念に思っていましたが、パシャランの歌声が聴けただけで感動ものでした。見た目は単なる爺さんなんですが、歌い始めた瞬間に空気が一変するような、本物過ぎる毒気のようなオーラが凄まじかったです。ホント別格でした! それだけに1曲だけだったのが残念でなりません。もっと歌ってくれれば良いのに~。
共演作「BAND OF GYPSIES 2」からの選曲を中心に両バンド単独の楽曲も含め、途中休憩を挟んでアンコール含めてのおよそ2時間半ぐらいだったでしょうか? ジプシーの血と言いますか、生活に密着した音楽ならではのリアルな熱気に溢れたステージ。最後はスタンディング・オベーションでしばらく拍手喝采が鳴り止みませんでした。
そして終演後、ロビーに出てびっくり。なにやら人垣が出来て大騒ぎになっている。背伸びしてその中心を見てみると、なんとタラフのメンバーが生演奏してるじゃないですか! 今さっきステージで演奏していた人達がですよ! まだまだやり足りないとばかりなゲリラ・ライヴ。長老パシャランも声を張り上げて歌ってる! ホールから続々出てくる観客達も「何これ!どういうこと? 凄~い!!」って感じでてんやわんやな大盛り上がり。しばらくしてると別方向からコチャニのブラス隊が高らかなファンファーレを上げるが如くに乱入。ジプシーの夜はまだまだ終わらない。この後、サイン会もあったのですが、メンバーはなかなか席に着かないし、タラフの数人は自分の楽器の即売会をやったりで、まったくもって自由気侭な人達でした。
去る9月30日、すみだトリフォニーホールにて開催された「WORLD BEAT 2012」を観てまいりました。サブ・タイトルに「究極のジプシー・オーケストラ」とある通り、ルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークス、そしてマケドニアのコチャニ・オーケスターという、南東欧/バルカン半島が誇るジプシー・バンドの両雄による共演ライヴです。しかもこの2つのジプシー・バンドは今年、初の本格的コラボ・アルバム「BAND OF GYPSIES 2」をリリースしたばかりとあって、まさにその方面で話題沸騰の来日公演なのでした。
開場時間をちょっと過ぎた頃に会場へ到着すると、既にピラミッドスとチャラン・ポ・ランタンによるロビー・ライヴで会場は大賑わい。ステージではなく敢えてロビーでライヴをやるところがストリートっぽくて良い感じ。そしてホール内に入ると、程なくしてピーター・バラカンさんによるトーク・ショーが始まる。ちなみに私の席は1階ほぼ真ん中の前から4列目というかなりの良席。ピーターさんの丁寧な解説の後、いよいよ本編がスタート。
数あるジプシー・ブラスの代表格としてブラス隊をずらりと並べるコチャニに対して、ヴァイオリン、アコーディオンを中心にツィンバロム、フルートなどが加わわるタラフ。両者合わせると総勢20名を越える大所帯。その演奏はまるでジプシーの熱き魂が一丸となって押し寄せてくるよう。複雑に絡み合いながら躍動するリズム、溢れんばかりの生命力とヨーロッパ的な哀愁が綯い交ぜになったメロディー。しかしおそらく普段はクラシックをやっているであろうこの「すみだトリフォニーホール」の雰囲気は、その音響も含めてあまりにも上品。本来、血湧き肉踊る荒くれたエネルギーを感じさせてくれるはずの彼らのサウンドも、思いのほかまろやかに響く。前半はそのホールの空気に観客達もなかなか乗り切れない感じで、いたって行儀のいい雰囲気で進んだ印象。
しかしそんな場内の空気もおかまい無しでタラフ&コチャニはどんどん勢いを増していく。タラフのヴァイオリニスト、カリウのヴァイオリンを高らかに上げつつ、上半身をブンブン振り回しながら弾く姿に目を奪われる。最後列に陣取っていたコチャニの大太鼓奏者(タパンと呼ばれる恐らくバルカン半島特有のもので、両手で2種のバチを使い分け低音と高音を一人二役でこなす。)が前方へ出て来てドッカンドッカンとリズムをうならせる。タラフの名物フルート奏者ゲオルゲも中央に躍り出て超絶的な早吹きを披露する(フルートと言ってもクラシックで使われるあのフルートではなく、土着的な木製の笛で、あれもやはりジプシー独特のものなのでしょうかね?)。どことなくラテンな乗りなコチャニの若いシンガーが溌剌とした歌声で盛り上げれば、タラフのヴァイオリニストでもあるコスティカが大きな体格を揺らしながら小節の効いた喉で存在感を発揮。彼の歌った「Jarretelle」はお祭り騒ぎな陽気なヴァイヴが最高でしたね。そしてこの夜のもう一人の主役、インドはラジャスタン出身のダンサー、クイーン・ハリシュがエキゾチックなダンスで華を添える。
そしていつしか私のまわりも徐々にうずうずとした空気が充満してまいりまして、一人、二人と立ち上がって踊り始めると、それを我慢出来ない人達の連鎖が始まっていく。そしてそれが爆発したのがタラフの長老パシャランの歌う「Mandrulita Mea」。それまで鳴りを潜めていたパシャランが満を持して歌い始めたこの曲。客席からも待ってましたとばかりにあちこちから「パシャラン!!」と掛け声が上がる。渋い声でゆっくりと浪々と歌うパシャランの貫禄はこれぞジプシー!! 一転してアップテンポに弾ける曲展開は否応無しに観客を巻き込んでいく。私も堪らず立ち上がって踊り出しちゃいました。会場も大盛り上がり!
私はタラフのシンガーの持つ独特の味が大好きで、数年前に彼らのライヴを観たときも、ジプシーならではの生活臭を感じさせるような濃密な歌声に驚嘆したものでした。今回はそれまで長老だったイリエが今年の5月に亡くなられてしまいとても残念に思っていましたが、パシャランの歌声が聴けただけで感動ものでした。見た目は単なる爺さんなんですが、歌い始めた瞬間に空気が一変するような、本物過ぎる毒気のようなオーラが凄まじかったです。ホント別格でした! それだけに1曲だけだったのが残念でなりません。もっと歌ってくれれば良いのに~。
共演作「BAND OF GYPSIES 2」からの選曲を中心に両バンド単独の楽曲も含め、途中休憩を挟んでアンコール含めてのおよそ2時間半ぐらいだったでしょうか? ジプシーの血と言いますか、生活に密着した音楽ならではのリアルな熱気に溢れたステージ。最後はスタンディング・オベーションでしばらく拍手喝采が鳴り止みませんでした。
そして終演後、ロビーに出てびっくり。なにやら人垣が出来て大騒ぎになっている。背伸びしてその中心を見てみると、なんとタラフのメンバーが生演奏してるじゃないですか! 今さっきステージで演奏していた人達がですよ! まだまだやり足りないとばかりなゲリラ・ライヴ。長老パシャランも声を張り上げて歌ってる! ホールから続々出てくる観客達も「何これ!どういうこと? 凄~い!!」って感じでてんやわんやな大盛り上がり。しばらくしてると別方向からコチャニのブラス隊が高らかなファンファーレを上げるが如くに乱入。ジプシーの夜はまだまだ終わらない。この後、サイン会もあったのですが、メンバーはなかなか席に着かないし、タラフの数人は自分の楽器の即売会をやったりで、まったくもって自由気侭な人達でした。
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