5月のGWすぎから、ときどきミモロは、東山三条の日蓮宗の本山「要法寺」に通っています。
お目当ては、境内の池に4月下旬から住んでいる鴨の親子です。毎年、この池には、鴨の夫婦がやってきて、卵を産み、ヒナを育てているのです。
そして成長したヒナたちは、母鳥に連れられて、育った池から鴨川へと歩いて移動します。
ミモロは、その鴨のお引越しが見たくて、ヒナたちの成長を楽しみにしているのでした。
5月の中旬のヒナたちは
ピヨピヨとかわいい声で親鳥のまわりで泳いでいました。
そして5月下旬には、ずいぶん体が大きくなって、人間でいえば、小学校の高学年って感じでしょうか。でもまだお尻の部分には、フワフワの産毛があり、鳴き声もピヨピヨと幼さがのこっていました。
「大きくなったね～」
「もうすぐお引越しだね～」と思っていたミモロでした。
鴨のお引越しは、通常5月末から6月初旬に行われ、母鳥の後をついて、1列でヒナたちは、トコトコと歩いて、川端通を横断し、鴨川へと進みます。その姿は、新聞などでも報道されています。
「お巡りさんが、交通規制するんだよね～」とミモロ。車の往来が激しい川端通。そこを横断するときは、警察が車を止めて、鴨親子の横断を助けます。
ミモロは、その姿が見たくて、「もうお引越ししちゃったかな～」と、毎日気にしているのです。
ところが、今年は、
「あ、まだいる～もう、お引越ししちゃったかと思った～」と昨日、訪れたお寺の池。
もうどれが親だか、ヒナだか区別がつかないほど大きくなっています。
実は、今年、ヒナのお引越しがそろそろという時期に、母鳥が、また卵を温め始めてしまったのです。そのため、その卵が孵化して、そのヒナがお引越しできるまで、最初に孵化したヒナたちは、池で待つことに。
「母鳥のママがいないと、お引越しできないんだって～」とミモロ。そう、この池以外の世界を知らないヒナたちは、母鳥の先導がないと鴨川まで行けないのでした。
ずっと待機を強いられたヒナたち。母鳥は、卵を抱いてヒナたちの世話はおろそかに…。その間、お寺の方々がヒナに餌を与えたり、お世話をしていたのだそう。「また小さなヒナ見れるのかなあ～」と楽しみにしていたミモロ。ところが、どういうわけか母鳥は、一昨日から卵を放棄してしまったのだそう。「朝見たら、卵がなくなっていたんですよ」とお寺の方。
「ヘビに食べられちゃったのかな～」と、悲しそうなミモロです。
再び大きくなったヒナのもとに戻った母鳥。「さぁ、そろそろ鴨川へ行きましょう～」とヒナたちを促しますが、ずっと卵を抱く母鳥から離れていたヒナたちは、母鳥のいうことを聞きません。
池に用意されたステップを上がり、池からでるように促しますが、ヒナたちは、ステップにはあがるものの、しばらくすると再び池に戻ってしまいます。さて、そんな鴨たちの様子を、池の傍らで、4月下旬ごろから毎日見つめている人たちがいます。
ヒナの成長を撮影してテレビ番組をつくる東京からやってきたテレビ番組の制作者の方々です。
24時間体制で、池の鴨を見つめてきたみなさん。「もうそろそろお引越ししてほしいですね～」と。
ミモロとも顔なじみになっています。「夜もここにいるの？」とミモロ。「はい、だれかいるようにしています」と。なんでも鳩やカラスなどが池に来て、鴨親子には、いろいろなドラマがあり、それを見逃さないように撮影するためだとか。
「え～大変ですね～」とミモロ。動物が登場する番組で取り上げられるそうです。
「これで撮影するの？」とカメラを覗かせてもらうミモロです。
「見えない…」関西のテレビ局も池のそばで待機し始めました。
ミモロもじっと池のそばで、「今日、お引越しするかな～」と期待しながら2時間ほど、鴨たちの様子を観察。
まだいるの？「だって、鴨たちの様子面白いんだもの～」と、すでに陽は西に傾き、日没が迫っています。
「もう今日はダメかもね～」と、やっとあきらめたミモロ。
「きっと明日の朝じゃないの～。こんなに通っているのに、また鴨のお引越し見れない鴨（かも）」とミモロ。
池の傍らには、今日もテレビ局の人が、鴨待ちを続けます。
「京都にずっといるのに、この池のそばだけで過ごすのって大変だね～」と思うミモロです。
「はい、仕事ですから…」とテレビ局の方。「また、明日ね～バイバイ」とミモロ。え、明日も池に来るの？
早く鴨さん・・・お引越ししてください～。みんな待ってますから・・・・
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