『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[映画『最後の初恋』を観た]

2008-09-30 01:00:03 | 物語の感想
☆正直、私的には、これは、「完璧な作品」だと思ってます。

まあ、対象年齢を選ぶ作品でして、私は来月40歳になるのですが、かろうじて、この作品の良さを分かる年齢となっていて良かった・・・^^

私はコッポラが好きで、『コットンクラブ』のビデオも繰り返し見てきたが、その主演の二人が、四半世紀後に、こんな素敵な作品で共演するとは・・・。

特に語ることはない。

ダイアン・レインは、とってもチャーミングで、

リチャード・ギアは、少年のような感情の起伏を見せてくれる。

奥さんを失った旦那さんの挿話も、その旦那さんの演技を含めて、素晴らしい。

砂浜に立つ、小さなお城のような宿屋も、舞台設定として美しい。

特に語ることはない。

大人は、この「喪失と再生の物語」を堪能して欲しい。

                         (2008/09/30)
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[映画『アイアンマン』を観た]

2008-09-28 19:58:03 | 物語の感想

☆キッチリと作られた良作だと思う。

正直、メカニズムのギミックは、先に『トランスフォーマー』があったので、真新しさがなかったのだが、アイアンマンが段階を追って(ヴァージョン3まで)完成に近づいていくところや、そのジェットの制御の「特訓」、ぶっちぎりの飛行シーン・・・、見ていて心地良かった^^

特に、足のジェット、手の抑制装置で、浮遊をしている時は、QP人形のようなポーズで、ちょっと可愛かった^^

   

   ◇   ◇

また、「新鮮さに欠ける」もう一つの理由としては、映画館で流れる予告編で見所を全部見せられてしまっていたと言うこともある。

配給会社は、予告と宣伝の兼ね合いをもっと考えて欲しい。

最近、私は、『ハンコック』や『幸せの1ページ』など、その予告編から受けるテーマと、実際の本編のテーマとの違いなど、否定的ではないけど、違和感を感じ始めている。

   ◇   ◇

主人公である兵器企業の社長、トニー・スタークの性格が、実に陽性で魅力的であった。

私は、『バットマン』『スパイダーマン』『ハルク』のような悩めるヒーローにやや面倒臭さを感じている。

姪っ子と母親と観に行ったのだが、どちらも、自分の行動に自信を持っているトニー・スタークに格好良さを感じたようだ。

当たり前である。

自分の行動に自信をもてないで悩んでいる男よりも、自信満々で明るくギャグを飛ばしている男の方が、女は頼れる。

悩んでいる男に魅力を感じるのは、男の身びいきの感性なんだと思う。

 (注)『ハンコック』も悩んでいたね^^;

   ◇   ◇

まあ、悩むアメリカン・ヒーローは、テレビなどのキャスターなどは、「現在の混迷の国際社会の中でのアメリカのあり方」を表わしているなどと言われるし、

故・水野晴郎は、何でも「病んだアメリカ」の所為にする^^;

が、そんな中にあって、兵器企業と言う、ある意味「悪の根源」のリーダーでありながら、厚顔無恥にもあっさりとヒーローに変身してしまうトニー・スタークには感心してしまう^^;

無責任な役でありつつも、作品全体を通し矛盾を感じさせないのは、ひとえに、トニー・スタークを演じたロバート・ダウニーJrの演技の説得力の賜物だろう。

若い人は、この人をあまり知らないだろうが、20年ほど前は、この方、新進気鋭で大活躍していたんだよね。

何よりも、目がいいじゃないか!

こんなにくっきりとした瞳を持つ俳優は、昨今、いないぞ。

PS.ヒロイン役(グウィネス・パルトロー)は控えめで、線が細くて可愛かった^^

                       (2008/09/28)

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[映画『トウキョウソナタ(舞台挨拶付き)』を観た]

2008-09-27 19:25:48 | 物語の感想

☆この映画のロケ地として、MOVIX昭島を含む複合ショッピング施設<モリタウン>が舞台として選ばれていたので、ここで舞台挨拶が行なわれるようになったそうである。

あらかじめ予約していたので、超満員だが、中腹の席で、監督や主演陣の姿を見ることが出来た。

やはり、キョンキョン(小泉今日子)の姿を拝みたかった。

私は、客席の端に座っていたのだが、その近くの扉から現われたキョンキョンは、小さくて可愛かった。

私は、「おお! こりゃ、亀梨君がかどわかされるのも当たり前だ!」と思った。

出演もしているアンジャッシュ・児島の司会で、黒澤清監督や香川照之が挨拶をしていく。

映画の内容は、やや暗い内容だが、出演者のチームワークは良いようで、他愛ない内容の挨拶であったが、和気あいあいの雰囲気が伝わってきた。

津田寛治という方が、とても面白い方であった。

そんな明るいメンバーが作った作品がどのようなものなのか、俄然、興味が湧いた。

   ◇   ◇

淡々と、フランス映画のようなマイペースで、物語が進む。

時おり流れるBGMの物悲しい感じも、フランス映画っぽい。

中盤まで見て感じたのが、「ああ、これは、平成の『家族ゲーム』なのだな」と言うことだった。

夫婦&二人の息子が、それぞれの苦悩と対峙する。

   父親、・・・リストラ
   母親、・・・倦怠
   長男、・・・青き社会意識
   次男、・・・才能の捌け口

社会に生きる者ならば、誰でもが抱いている悩みではある。

だから、やや地味な展開ながらも、前半から中盤にかけて、私たちも興味深く引きつけられて見る。

しかし、それらの苦悩は、揃いも揃って、とんでもない事件へ発展していく。

   父親、・・・擬似ホームレス化
   母親、・・・強盗との逃避行
   長男、・・・米軍への参加
   次男、・・・天才ピアニストへ

それぞれが、一つ一つならば「リアル」なのだが、それが4件も重なると、なんとも「非現実的」な感触に変貌していってしまう。

そして、それらの「事件」が、かなりしつこく描写される。

そこら辺の語り口の執拗さが、前半の軽快な勢いを殺してしまい、やや間延びした作品としてしまっている。

   ◇   ◇

香川照之は、父親たろうとする父親を、情けなくも好演していた。

彼は、顔が控えめなので、こういったもの以外の役を出来るのだろうか?

   ◇   ◇

作品の中のキョンキョンは、役柄として「疲れた主婦」でもあり、アップになると、もう四十を越えている故にお肌の艶に欠けたが、やはり美形でもあり、充分、可愛かった^^

次男のピアノ教師として、井川遥が出ているのだが、小泉今日子と顔が似ているので、いわゆる「キャラがかぶる」状態であった。

先日観た『おくりびと』も、主要人物の吉行和子と余貴美子がキャラかぶりであった。

これらは、それぞれの監督の趣味の結果だろうか?

   ◇   ◇

最後、次男が、ピアノを見事に弾くシーンがある。

私の本日の連れは、音大出の人だったのだが、私は「あれは、口パクならぬ手パク(吹き替え)なのかな?」と問うた。

すると、「もちろん、手パクだけど、手の動きは完璧だったよ」と答えた。

                        (2008/09/27)

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[映画『アルビン/歌うシマリス3兄弟』を観た]

2008-09-26 21:49:12 | 物語の感想
☆MOVIX昭島は、金曜日はペアデイで、二人で行くと1000円と安いので、何の気なしに観た。

なかなか面白かった。

実に話がスピーディーなのだ。

私は、人語を話せる彼ら(シマリス3兄弟)が、人間の芸能界に紛れ込んでいくまでに、30分ほどの経過が必要だろうと思っていたら、映画が始まって3分で、彼らは、森の中から人間界へと連れて行かれる。

普通、類似作品においては、彼らは人間に捕まってしまうパターンなのだろうが、そこら辺のお決まりで退屈なサスペンス展開はなく、彼らは、すぐに、優しいが売れない歌手のデイブと巡り会う。

そして、すぐに全米デビューとなる。

人気は瞬く間・・・、だが、悪いプロデューサーの策略で、デイブと3兄弟は引き離されて、3兄弟は人気アイドルとしてこき使われる。

だが、3兄弟に対しての想いを強くしたデイブと、デイブの厳しさが優しさだと分かった3兄弟が、お互いに求め合い、再会し、めでたしめでたしで終わりだった。

ついでに優柔不断な面のあったデイブに、彼女も出来ました・・・。

実に、ストレスのたまらない展開であり、いつの間にやら終わってしまった。

面白かったのだが、あまりにもの軽快な展開に、観終えて、語るべきことがないので困ってしまった。

   ◇   ◇

突出点の少ない作品だが、悪徳プロデューサーを演じたデビッド・クロスが良かった。

具体的にどこが良かったかと言われると困るのだが、その演技のテンポが実に笑えたのだ。

だから、彼が画面に出てくると、私は思わず注目していた。

   ◇   ◇

シマリス3兄弟は、実に可愛かった。

CGの3兄弟なんだろうけど、ホント、実写との融合の粗が全くなかった。

この作品、『アルビン』と言う、3兄弟の真ん中のシマリスの名前がタイトルになっているが、このアルビン、特に3兄弟の中で、主人公的な活躍をしている訳ではない。

故に、このタイトルは解せなかった。

また、3兄弟が人語を話せることについても、作品上、全く説明をされていないのも、後から考えると解せない・・・。

・・・この3兄弟が来てから、子供ゆえの傍若無人さで、家中をうるさく遊びまわり、部屋を荒らし、デイブは呆れるのだが、その可愛さも含めて、私は、甥が泊まりに来た時を思い出させられた。

   (甥っ子は、いつも、こんな風に寝ています^^;)
   
    3兄弟の末っ子のセオドアに似ております^^


PS.言い忘れていた。途中でデイブ家に派遣されるメイドさんがいるが、あれはいい女だった!

                        (2008/09/26)
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[映画『おくりびと』を観た]

2008-09-21 18:21:35 | 物語の感想
☆私は、この作品を、滝田洋二郎監督や脚本家の小山薫堂が、文芸作品を狙った作品かと思っていたのだが、かなりのパーセンテージでコメディ要素があり、私は今は痛快なものを見たい気分でこの作品を避けていたのだが、意外(遺骸?)にも、その世界にすんなりと入っていけて、楽しんで見た。

多くのブロガーが、この作品を高評価としているが、私は、そんなにもてはやすつもりはない。

結局は、滝田監督の、伊丹十三作品譲りのカタログ作品でしかない。

カタログ作品(異世界紹介作品)である限りにおいては、小山薫堂も、「カノッサの屈辱」時代とさして変わらない・・・。

それが悪いと言ってるのではない。

「佳作」相当であろう、と言うことだ。

   ◇   ◇

多くの人がその作品の魅力を語っているだろうから、私は語らない。

一つだけ言いたいのは、どんなに彩られても、やはり、納棺師の仕事は辛いぞ、ってこと。

私は、感動し、泣いて、笑ったが、後でふと我にかえると、こんな仕事には就けないなと思うのだ。

   ◇   ◇

とは言え、この作品の文法の中では、納棺師は、やり続けていくに値する意義ある職業とされており、

故に、主人公の職業を詳しく知った奥さん(広末涼子)が、「辞めて。普通の仕事について」と最初に言うのは分かるが、家を出て行った後に、自ら戻ってきて、それでも、なおかつ、「子供が出来たから、子供に恥ずかしくない仕事について!」と詰め寄るにあたり、ある意味正論でもある広末の主張が、なんとも不気味な「女の業」の様に聞こえるところが、作り手の意図とは別に不気味だった。

   ◇   ◇

私は、広末のデビュー時から、広末の大ファンであり、「沙粧妙子 - 最後の事件 -」のチョイ役の頃から気になっており、そしてヤングジャンプのグラビアでデビューしたときには、あまりの可愛さに、そのヤンジャンを3冊買った(そのヤンジャンは、その後、数万円のプレミアがつく)。

でも、広末の女優としての活躍には興味がなく、彼女の出る作品をちゃんと見たのは、今回が初めてかもしれん(ちなみに、東野圭吾の『秘密』を発売日に買った私は、当時好きだった広末を、ヒロインに重ねて読んでいたら、後に広末主演/滝田監督で映画化されたときは、心底のけぞった^^)。

だから、主人公の本木が、納棺師の仕事にめげて、広末の体にぬくもりを求め、むさぼるように抱きつくシーンがあるが、そのスレンダーな肢体(死体?)に見ほれた。

   ◇   ◇

主演の、「モッ君」こと本木雅弘だが、彼が役者デビューしたのは、私が中学2年の時にやっていた『2年B組 仙八先生』だった。

私が高校の頃、モッ君は「シブがき隊」で歌手デビューした(バックバンドは「シブ楽器隊」)。

私は、回りの者からモッ君に似てると言われ、有頂天の時期がありましたとさ^^;

PS.ちなみに、私の知り合いにフランス在住の方がおり、その方が、フランスに来た広末母子を写真に収めたものを送ってくれた。

プライベートなものなので、ここには載せられないが、広末は美しく、息子さんは可愛いのだった。

ああ、「念仏の鉄」こと山崎努の良さについて語るのを忘れた^^;

『クライマーズ・ハイ』の、嫌過ぎる社長の記憶が新しいので、今回の役の魅力が際立ったね。

                        (2008/09/21)
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[映画『おろち』を観た]

2008-09-20 19:30:06 | 物語の感想
☆原作は連作短篇で、この門前家のエピソードも、もっとシンプルな話だったと思う。

よくもまあ、これだけ観る者を飽きさせない長篇に仕上げたと思う。

かような邦画につきものの「チープ感」はなく、舞台となる門前家の屋敷のセットを一点豪華主義でキッチリと作り上げていたので、主演の姉妹の熱演及び、二転三転する展開も手伝って、シェイクスピア的な格調高ささえも感じさせられた…、と言うのは言い過ぎか^^;

   ◇   ◇

主演の姉妹と、狂言回し役のおろちの三人を語っていこうと思う。

先ず、おろち。

二行前に、「狂言回し」と書いたが、実は違う。

物語は、彼女の「生き方」の不可思議をうまく利用して、彼女さえも「当事者」として、物語に深く参加させている。

この辺りに、この映画作品の作り手の工夫が見られる。

原作とはかなりかけ離れたテイストの作品になっているが、おろちがモノローグを多用しているので、それが、いかにも楳図作品チックではあった。

おろちを演じるのは、谷村美月である。

この子、本来は王道の演技派だと思う。

でも、 『魍魎の匣』『神様のパズル』など、手足切断されたり引き篭もりの天才児だったり、なんか王道に見合った役を与えられていないね・・・。

私がはじめて彼女を知ったのは、テレビドラマ『わたしたちの教科書』だったので、とてもいいイメージだったのだが、こうまで奇矯な役ばかりなので、段々と彼女が醜く見えてきて嫌だった。

ただ、おろちが「転生」したヨシコが、門前姉妹のケンカに恐怖する様は、さすがの名演技だった。

後、丁寧に作られた作品だったけど、「転生」直後の<親子流し>のエピソードは、本筋とは関係ないのだが、もっともっと描きこんで欲しかった。

あそこが妙に「辻褄合わせ」に感じられ、物語の中でも完成度の低いエピソードだと思うのだが、でも、谷村美月のコスプレ(?)を楽しんでもらうファンサービスにも思え、また、その臭い展開が古い楳図作品チックでもあったので、認めないわけにもいかない^^;

   ◇   ◇

続いて、門前家の美人姉。

木村佳乃がぶちかました演技を見せてくれる。

この方は、完全に王道の女優で、名取裕子的な風格があり、私の好みの方ではないのだが、そのノリノリの演技は楽しんだ。

この作品は、あまり画一化されていないが、主要登場人物の着衣のキャラクター色がある。

おろちは赤、門前姉の木村佳乃は緑、門前妹の中越典子は青である。

三原色である。

   ◇   ◇

なかなかゴージャスに作られた『おろち』であるが、中越典子だけは、二人の王道女優に挟まれて、その線の細さもあって、チープ感がある。

でも、それ故に、私には魅力が感じられた。

門前妹の子役を演じた少女も、可愛かったね^^

中越典子は、物語の中盤、木村佳乃に虐待され続ける。

それが、SM的で少し良かった。

顔に青痣をこさえても、耐え続ける門前妹・・・。

中越典子の、華奢で、やや繊細そうな面立ちは、いかにもMっぽい。

・・・クライマックスで、その門前妹が長い高笑いをするのだが、それまでの展開があったので、その名演技は最高潮に活きた。

   ◇   ◇

初日だが、お客さんは少なかった。

でも、見逃すには惜しい作品だと思う。

                          (2008/09/20)
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[映画『ウォンテッド』を観た]

2008-09-15 17:55:31 | 物語の感想
☆予告編を見る限り、『マトリックス』シリーズと『ジャンパー』を混ぜたような印象を感じていた。

私にとってはどちらもパッとしない作品なので、あまり期待せずに観に行った。

・・・うん、しかし、面白かった^^

   ◇   ◇

つまらない人生を送っていたヘタレ男が、とある出会いや覚醒を切っ掛けにヒーローへ変貌していく。

最近では、先ほど名前を出した『ジャンパー』も、『トランスフォーマー』『ラスベガスをぶっつぶせ』『ドラゴン・キングダム』なんかも同じパターンだろう。

日本のスポ根マンガのほとんどが、このパターンだ。

不滅のテーマであるが、私は少々辟易していた。

しかし、この作品は、その描き方がちょっと違っていた。

やや、アダルトテイストなのである。

主人公がサラリーマンと言うこともあるのだろうが、嫌な上司、尻軽彼女、精神安定剤、貯金なしと、やや荒んでいる。

・・・それらが、テンポ良く、洋楽に彩られて語られるのだ。

そして、とある暗殺組織と関わり合う。

それからはノンストップだ。

スタイリッシュな映像が、『マトリックス』のような下世話な「これ見よがし」ではなく、自然に描かれる。

スローモーションや画面静止も嫌味がない。

必然性が感じられた。

・・・そして、物語は帰結する。

最終的に、主人公ウェズリー(ジェームス・マカヴォイ)は、「君は今、何をしている?」とこちら(鑑賞客)に語りかけてくる。

それで、私は、この物語が、この監督(作り手)が、こちらへのメッセージとして作品を作っていたと知るのだ。

思えば、冒頭のへタレ人生に、私などは自分を照らし合わせて心をチクチクさせていた。

ウェズリーが暗殺組織と行動をともにし始めても、彼は簡単に楽な状況にはならない。

痛い描写が続き、私は身につまされて、「痛そう~、やりたくね~^^;」などと呟くのだ。

・・・うん、この作品は、裏のテーマとして「サラリーマン」の転職を描いているのだよ。

そして、最終的に、自分の理想を達成するためには、自分一人で戦わなくてはならないことを示して終わる。

   ◇   ◇

堅実な作りで、私は、この作品を安心して見たのだが、一つだけ破壊的な破綻がある。

それは、とある殺し屋を殺すために、山岳鉄道の数百人の乗客を巻き添えにしていることだ。

アクションとしては、大スペクタクルシーンである。

しかし、物語的にとてつもない「解せなさ」感が貼りついてくる。

私は、その後の物語を楽しむために、その「解せなさ」を、とりあえず心から引き離したが、致命的なシナリオミスだと思う。

何の逡巡もなく、その後の物語が続くのも変だ。

この作品のキーワードに「1を倒して、1000を救う」があるが、これでは本末転倒だ^^;

クライマックスで、正義に殉じるフォックス(アンジェリーナ・ジョリー)も、この大殺戮の後で、「うまくいったわ」などと呟くのである。

なんのこっちゃ^^;

   ◇   ◇

<フラタニティ>と言う暗殺組織のあり方は非常に面白かった。

これは、『ジャンパー』の組織<パラディン>などより、よっぽど歴史を感じさせてくれるのだった。

でも、モーガン・フリーマンは、映画に出過ぎのような気がする^^;

                          (2008/09/15)
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[映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』を観た]

2008-09-14 19:33:27 | 物語の感想
☆私は、「『ウルトラマン』派か、『仮面ライダー』派か?」と聞かれたら、子供の頃から、大の『ウルトラマン』派であった。

ただ、『ウルトラマン80』以降は、熱心なファンではなかった。

大人になって、平成のウルトラマンを見ようともしたが、どうも、特撮が気に食わなかった。

怪獣の質感の綺麗さが気になって楽しめなかった。

古いウルトラ怪獣は、なんかホント「怪獣の皮膚・肉」って感じだったのだが・・・。

それこそ、今回も出ているゲスラなんて、水が滴っていたもん。

息も臭そうな口だったし・・・。

・・・今回の映画は、昭和のウルトラマンと、平成のウルトラマンががっぷりと組んで戦うということで、楽しみにして、五歳の甥を連れて観に行った。

   ◇   ◇

最初は、新旧のウルトラマンが戦う舞台設定は異なるので、それをパラレルワールドとして、こちらに納得させるだけの物語展開を用意している。

しかし、そんなことは、子供たちには興味がない。

甥は、「マダ変身シナイノカ?」とやきもきしつつ何度も問うてきた。

私としても、別に、そんな理屈付けは必要ないのになあ、と思った。

早く、怪獣バトルロイヤルが見たかった。

・・・ただ、そんな、ややもったりした展開ながらも、昭和と平成の両ウルトラマンの橋渡し役である、平成の初代<ティガ>であるダイゴ(長野博)が、次第に追い詰められていく様は、ちょいと良かった。

昭和のウルトラマンの活躍にはノスタルジーを感じさせられたが、彼らよりは、私はダイゴに歳が近いこともあり、ノスタルジーとの相乗効果で、ちょいと涙腺がゆるんだ。

   ◇   ◇

・・・しかし、今回の怪獣のチョイスはどうなんだろう・・・?^^;

う~ん、ゲスラも、バンドンも、ヒッポリト星人も悪かないが(他の平成怪獣2匹はよく分からない)、もうちょい、華のあるセレクトはなかったのだろうか?

特に『帰ってきたウルトラマン』では、いかにも怪獣然とした怪獣が多かったのに、そこからの登場がなかったのは寂しい。

まあ、バンドンの、途方もない火球攻撃の連続には快哉を叫んだが・・・。

ヒッポリト星人お得意の「ブロンズ固め」が健在なのも良かった^^;

だが、後から出てくるキマイラの造詣の趣味の悪さたるや、私には理解が出来なかった。

その辺のCG処理された動きが良かっただけに、あの<首だけ怪獣>は頂けなかった。

タイラントのコンセプトを忠実に再現して欲しかった。

   ◇   ◇

・・・特撮は不味かった。

やはり、怪獣の造詣なんだよな~。

生物的な生活感からくる汚れみたいなものが全く描けていない。

セットの横浜の町も、広告看板までも忠実に再現されているが、・・・真新しい。

ウルトラマンが、あのようなクリーンなデザインだからといって、怪獣や舞台もそれに合わせられたら、ただの着ぐるみプロレス(別名「ウルトラファイト」)でしかないではないか!

何で、平成『ガメラ』があれだけやれたのに、『ウルトラマン』はあのレベルなんだろう?

いや、平成の『ゴジラ』レベルでも充分なんだけどね。

同じ円谷プロなのに、撮り方が全然違うよね。

ただ、最終決戦の8人のウルトラマンの動きはとても美しかった。

かなりスピーディーなので、もうちょいタメをもたせてくれたら、その動きに、見ているこちらは酔いしれたのだろうが・・・。

空飛ぶ巨大タイラント的なるモノに、ウルトラ兄弟が飛び交って戦う図こそが、私の求めているものだ。

   ◇   ◇

この作品のコンセプトは、見る人それぞれのウルトラマンの思い出を想起させることにあるそうだ。

・・・、・・・私のウルトラマンは、『タロウ』なのだが・・・。

私は、「バードン・イズ・最強」主義者である。

                        (2008/09/14)
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[映画『パコと魔法の絵本』を観た]

2008-09-13 18:12:46 | 物語の感想
☆こんな映画が、日本で作り得たことに、先ず、喝采を送りたい。

その是非は別として、監督の思いは存分に表現できたのではなかろうか?

画面上の全てに手が加えられていて、私は、ピーター・グリーナウェイ監督の『プロスペローの本』を思い出した。

しかし、今作は、あのような絵に頼り切った作品ではなく、ちゃんと、見る者に涙さえも流させるような物語上の起伏がある。

   ◇   ◇

いや、この作品には、確かに、私が好む美少女として、アヤカ・ウィルソンが出ている。

この子の美少女レベルは、超A級だろう。

外見は西洋風だが、ハーフらしく、口調が日本人ネイティブで、しかも、それが舌っ足らずなので、可愛いったらありゃしない。

だが、美少女過ぎるのである。

私は、少女の美とは、「完成されていないこと」にあると考えるが故に、ウィルソン嬢を手放しで賛美は出来ない。

・・・だから、この作品での、私の「ときめき」は、土屋アンナ演じる「柄の悪いナース」に向けられた。

この人の屈折した性格の役作りと、それでもどうしようもない女らしいボディにはゾクゾクさせられる^^;

   ◇   ◇

主役の性悪頑固ジジィを演じる役所広司・・・。

この方は、どんな役を演じさせても素晴らしい。

冒頭くり返される「ふざけるな!」の活舌の良さ。

パコと知り合って、気持ちをあらためるまでの時間が短いような気もするが、劇中劇の原作本「ガマ王子とザリガニ魔人」でも、その改心の内容がオーバーラップしつつ繰り返し語られているので、クライマックスに向けて見ているこちらの情動は高まる。

   ◇   ◇

この作品は、元々は舞台劇のシナリオだったらしい。

私も、たまに小劇団の舞台を観に行くが、最初は、そのギャグのテンポについて行けずに戸惑うことがある。

この物語の冒頭も、やや、その「ノリ」についていけず、戸惑った。

『デトロイト・メタル・シティ』の時にも書いたが、こんな時に助かるのが、<ナビ客>の存在だ。

<ナビ客>とは、私が今考えた言葉なのだが^^; 率先して笑ってくれて、その作品のギャグポイントをナビしてくれる客のことだ。

『パコ…』においては、多く来ていた子供の笑い声が、私の笑いの沸点を誘発してくれた。

・・・大広間で、自分の大事な「人」の死を知ったヤクザさんに、頑固オヤジが「涙を止める方法は、思いっきり涙を流すことって聞いたぞ」と、自身が素直になる切っ掛けの言葉を言う。

ヤクザさんは、大声で泣く。

すると、後方からも大泣きの声が響く。

頑固オヤジが振り返ると、そこでは、娘の結婚式に呼ばれないことを笑いながら話していたオカマオヤジも泣き始めるのだった。

舞台劇の魅力躍如であった^^;

   ◇   ◇

仕事での車移動中のラジオで、役所広司の『パコ…』に出演した折の話を聞くことが出来た。

アヤカは、物語の中のように天真爛漫で、出演者陣の中を、絵でしりとりしようと回っていたそうだ。

でも、子供なので、撮影が午後の4時を過ぎると、いつもちょっと目がトローンとし始めるのだそうだ^^;

                          (2008/09/13)
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[映画『幸せの1ページ』を観た]

2008-09-12 22:53:17 | 物語の感想
☆気軽に楽しめるコメディ作品だと思っていたら、それ以上に痛快なファンタジー・アドヴェンチャーだった。

「痛快」と言うよりは、爽快かな?

南の海の広さが、物語の冒頭で、架空の物語の「アラビアの冒険」から連想された『アラビアのロレンス』の雄大な砂漠を連想させて、なかなか深みが感じられた。

それは、見てるこちらの思い入れか、と思いきや、「…ロレンス」風の旋律が流れていたので、もしかして、計算づくだったのかも知れない。

・・・突き抜けた青い海、蒼い空が心地良かった。

   ◇   ◇

主人公二ムは、学者のお父さんと、南の島の火山島に住んでいる。

自然を満喫しつつも、文明の利器の取り寄せも行なっていて、ネット環境なども充実している。

二ムのお気に入りは、冒険作家アレックスの作品だ。

・・・所変わって、サンフランシスコ。

その冒険作家は、作品の内容とは裏腹に、外出恐怖症の潔癖症の女だった。

冒険の舞台の火山を調べるため、二ムの父親にメールを出す。

・・・時を同じくして、ある日、ヨットで外洋に出た父親が嵐に巻き込まれて、消息を絶つ。

二ムは、冒険作家アレックスに助けを求める。

情緒不安定の作家アレックスは、自分の作り出した幻影の冒険家アレックスの励ましを受けて、シスコから、南の島に旅立つのだ。

   ◇   ◇

物語は、多くのご都合主義に彩られるが、安易に「ご都合主義」とは言えない物語的な技巧が施されていて、私は、観終えて非常に満足した。

   ◇   ◇

先ず、二ム(アビゲイル・ブレスリン)について語りたい。

美少女好きの私だが、何故か、この子には萌えなかった。

何でだろ?

と、考えたのだが、この子の顔が「可愛い男の子」のような顔だからだと思う。

『テラビシアにかける橋』のボーイッシュな娘とは、その萌え度では、似て非なる女の子であった。

ロッククライミングを何気なくこなしたり、木々の間に張りめぐらしたロープに滑車をつけて滑空する様は良かった。

ただ、この子が、最初、アレックスを拒否するその情動が、ちょっと理解できなかった。

南の島で外界から遮断されて育った子供の気持ちが、私には想像できず、共感できなかったのだ。

   ◇   ◇

この作品は、売り方を間違えているかも知れない。

二ムのパートの話としては、堂々の児童文学的な話である。

しかし、この物語の宣伝は、神経症の冒険作家を演じるジョディ・フォスターが、南の島へ旅立つにあたってのコメディ要素ばかりをクローズアップしていた。

確かに、ジョディのパートは、過剰だが、リアルな演技もうまいので見せてくれるし、大笑いした。

だが、それでは、二ム・パートで引きつけられそうな子供の客層を遠ざけてしまったのではなかろうか?

   ◇   ◇

私は、15年ほど前、フィジーを一ヶ月間旅し、島々を小さな飛行機で飛び交ったり、ボートで渡った経験があり、ジョディの、二ムの島までの道行きが実に懐かしかった。

付き添う幻影の冒険野郎が、外界にショックを受け続ける<引き篭もりの冒険作家>に「なるようになるよ^^」とか励ますのがいいね^^

   ◇   ◇

遭難した父親のパートも、鮫や、破損したヨット本体など、あまり効果なくサスペンス要素を盛り上げていたけど、

その親父の、不屈の精神力と言うよりも「能天気さ」で楽しんだ^^;

   ◇   ◇

なんか、あまりパッとしないなと思い、観るのをやめている映画ファンは、是非、観ることをお薦めします^^v

南の海が、いい意味で、狭く感じられるぞ!(身近に感じられるってこと^^;)

                         (2008/09/12)
コメント (4)
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[映画『シャッター』を観た]

2008-09-07 00:07:58 | 物語の感想
☆私は、本日は、ジョディ・フォスターの新作を観たかったのだが、連れの娘っ子がこちらを見たいとの事で、思いがけない鑑賞となった。

先ず驚いたのが、この怨念系ホラー映画の、『リング』シリーズにおける<貞子>のような役割として、奥菜恵演じる<めぐみ>がいるのだが、そのお母さん役が宮崎美子だったのだ・・・。

私は呟いたよ。

     「クラウザー様の御母堂だアアアッ!!!」

しかも、その母親役としての演技が、『デトロイト・メタル・シティ』の時と同じなのだ。

優しい、いいお母さんなのだ。

故に、そのおかれている状況の違いが、全く異なっているので、考えようによっては、本筋とは別に、恐怖が募るのだった。

   ◇   ◇

予告編で何度も見せられていたので、何となく物語の予想がついていたのだが、外人夫婦が主人公ながら、そのほとんどが日本を舞台にしていたので驚いた。

日本人のスタッフと外人のスタッフの混合のようで、そのロケーションが、いつもの自分の見ている風景と美妙に違っていて、妙に新鮮な気がした。

   ◇   ◇

ともあれ、この作品で語るべきは、奥菜恵だろう。

男性経験の少ない生真面目そうな質素な女性を見事に演じていたと思うし、

何よりも彼女の、芸能誌で語られるような私生活とオーバーラップして、見事に痛々しかった。

彼女は、彼氏との情交の写真を写真誌に売られたりなど、スキャンダルで名が売れてしまったが(写真がテーマの本作品とダブる^^;)、それは、うぶだったかららしいね。

榎本加奈子などが、テレビの生放送中に、奥菜を名指しにして、「誰の誘いにもホイホイついていってしまう子」などと言っていたと思う。

何も知らないから、「そういうもの」だと思っていたのだろう。

そして、どこぞのIT社長などと結婚し、離婚して芸能界に戻ってきた時には、頬がこけていた。

ふくよかな顔に大きな瞳が魅力的だったのにね。

   ◇   ◇

とまあ、余計なことを書いてしまったが、私にとっては、それ程の感慨の起きてこない作品だった。

連れはとても喜んでいた。

作り手が怖がって欲しいと思って撮っただろうシーンの数々の時は、私の肩にすがりながら、怯えていた。

私が一番怖かったのは、めぐみが、蝿の湧く舌を伸ばし、男の口の中に挿入していくシーンだ。

「ウハッ^^;」ときた。

男は大概、挿入する方なので、挿入されることに馴れていないのだ^^;

                             (2007/09/07)
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[映画『20世紀少年』を観た]

2008-09-02 22:32:07 | 物語の感想
☆『20世紀少年』を観て、私はかなり楽しんだのだが、

ごめん、

仕事が忙しくて、長い感想が書けない^^;

だから、手短に・・・。

   ◇   ◇

私は、原作マンガを描いている浦沢直樹の作品があまり好きでない。

思わせぶりの極地だからだ。

『MONSTER』なんて、ずっと思わせぶりで、物語が終わっても思わせぶりだった。

連載中の『PLUTO』もそうなるだろう。

だから、マンガ『20世紀少年』も、そうだったはずだ。

そして、・・・しかし、映画『20世紀少年』は、その「思わせぶり」が見事に表現されていたので、驚いた。

う~ん・・・、D・リンチの『ツイン・ピークス』なみに、私たちを宙ぶらりんにさせてくれるほどの「謎(と言うか、不確定)」の数々が、ちょっと心地良かった。

   ◇   ◇

しかし、この映画、長かったなあ^^;

私は、何度も何度も「これで終わりか」と思わせられた。

別に無理矢理に、巨大ロボとの戦いと言う、とりあえずの結末まで描かなくても良かったのに・・・。

   ◇   ◇

私は、美少女、美幼女、美赤ちゃんが大好きなので、

カンナちゃんの成長が見られて、とても嬉しかった。

主人公ケンジが、ウサギの着ぐるみのバイトをしていて、幼女のカンナが近づいていくシーンがあるが、その体の大きさの違い(カンナの小ささ)に胸がキュンとした。

ラーメン屋のシーンでの、おしゃまな注文の仕方に、頬ずりしたくなった^^

   ◇   ◇

私は、美少女が好きなので、主人公チームの紅一点、名前を忘れたけど、成長した後を常盤貴子が演じていた役の、少女時代の娘が可愛かった。

まん丸顔に、凛々しいお目目、クリッとしたおかっぱ髪、

男の子になんか負けない武道を使い、

色気なく、でも健康的な浅黒い肌、

たまらなく魅力的だった^^

   ◇   ◇

以上!

『20世紀少年』の感想でした。

第2部も見に行くよ!^^

                         (2008/09/01)
コメント (6)
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