ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

気を悪くされる方もいるでしょうが

2009-03-20 02:07:59 | 社会時評
名古屋で起きた「闇サイト」の殺人事件で、3人の被告人のうち、2人に死刑、自首した1人に無期懲役の判決が出ました。

検察が控訴すれば、無期懲役になった被告人については高裁で審理が行われるわけで、案外死刑になる可能性が高いような気もしないではありませんが、私が「おや」と思った発言がありました。被害者の母親の発言です。(引用は、毎日新聞から)

闇サイト殺人:「悔しいとしか…」判決に母無念

2人に死刑、1人に無期懲役を言い渡した18日の名古屋地裁の闇サイト殺人事件判決公判。被害者、磯谷利恵さん(当時31歳)の母富美子さん(57)は3被告全員に死刑が言い渡されなかったことについて「悔しいとしか言えない」と無念さをにじませた。

 一方、死刑判決を受けた2被告のうち、神田司被告(38)は即日控訴した。また閉廷後、名古屋市東区の名古屋拘置所で毎日新聞記者と面会した堀慶末被告(33)は「想定はしていたことなので……。それでも(死刑宣告の)言葉は重かったです」と、心境を淡々と語った。

 自首した川岸健治被告(42)だけは無期懲役だった。堀被告は判決言い渡しの約4時間後、拘置所の面会室で約15分間面会に応じた。「判決は僕の供述に信ぴょう性がないと言っていた。納得できない」と述べる一方、「事件があまりにも大きすぎるので、細かい部分については争っても仕方がない部分はあった」と話した。時折うっすら笑みさえ浮かべ、一貫して静かな口調だった。だが記者の前に面会した弁護人によると、死刑判決を受けたことを理解できないほど落ち込み、涙ぐんでいたという。

 判決言い渡し後の法廷では、堀被告らに傍聴席から怒声が飛ぶ一幕があった。「利恵ちゃんを生きて返せ」。友人の男性(64)の声を聞いた富美子さんは、何度も涙をぬぐった。閉廷後の会見では「3人とも死刑判決を望んでいた。納得できない」と涙を浮かべた。神田、堀被告については「当然の刑だと受け止めている」。だが判決が川岸被告の自首を認めたことには「日本の司法は、人を1人殺しても『ごめんなさい』と言って自首すれば自分の命は守れるのか」と語気を強め、「控訴してもらいたい」と訴えた。【式守克史、木村文彦】


親の心情からすれば、確かにそのような話になるんですけど、

>だが判決が川岸被告の自首を認めたことには「日本の司法は、人を1人殺しても『ごめんなさい』と言って自首すれば自分の命は守れるのか」

と言われちゃってもねえ。

この事件、第二の犯罪が計画されていたわけで、自首があったからこそそれが防げたわけですからね。

もちろんそんなのは、悪党どもの理屈であって、この母親の知ったことではありませんが、でもこの判決でその点を考慮しなかったら、自首という行為がきわめてばかばかしいものになってしまいますよね。

>納得できない

ここまで断言してしまうとひんしゅくを買いますけど、別に刑事司法の役割って、犯罪被害者やその遺族の復讐したい気持ちを納得させることではありませんしねえ。そんなのは(あえて言えば)利用されるカードの一つでしかないわけで。

そもそも、そんな話をしたら、親の立場からすれば自動車事故で子供を殺した奴だって、心情的には死刑でしょうし。

もちろんこの事件が極めて悪質なものであることを認めるのは当然ですし、親の立場は親の立場として尊重しなければなりませんが、私の見たところどうもこの事件は、マスコミが確信的に被告人らのしょーもない発言を大々的に報じたり、遺族にそれらを聞かせて煽って「復讐譚」にしているところがあるようで。

かつて「非国民通信」さんで私は、

>なんか、この母親の方が、光市の事件と同様、マスコミの格好の餌食になりそうな気がします。

この女性が、さらに傷つくようなことがなければいいのですが。

なお、私見では、この女性が犯人たちに極刑を求めるのは、仕方ないかなとは思いますが、マスコミがそれを喜々として(と、私には見えます)報道するのは良くありませんね。どんな人間のクズであろうと、死刑などという刑罰をマスコミが煽る(と、私には見えます)のは、最低の倫理に反します。


コメントさせていただきました。今のところ、特にこの意見を変える必要を私は感じていません。
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12 コメント

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マスコミの扱い方 (Elekt_ra)
2009-03-20 11:50:36
裁判所は過去の判例内容を参考に「起訴された内容」を粛々と審理したに過ぎず、個人的に別段軽すぎるなどとは感じませんでしたね。無期服役の仮出所後、私刑に走らないかという心配はありますが(そもそも無期懲役に対しての理解がないような気がします)
 
事件が小さいので比較にならないのですが、神奈川で県警の警察官が酔っ払った勢いで痴漢行為を働いた疑いで逮捕されたという事件がありまして、警察官は容疑を否認しているのですが県警側が即座に謝罪会見を開いたというのがありました。

まあ、身内の犯行で冤罪が生まれるわけがないという県警の論理も働いたかとは思いますが、この警察官は当然氏名まで公表されたわけで、そうなると「推定有罪(容疑者=犯罪者扱い)」「被害者側の尻馬にすぐ乗る」日本のマスコミや社会では仮に本件が冤罪だったとしても、再就職やコミュニティ参加もロクにできないくらい社会的に抹殺されてしまうわけです。

ただ、この手の抹殺具合はマスコミの裁量で左右されることもあって「~容疑者」の肩書きを変えれば復帰もしやすいだろうと、たとえば大物芸能人だと「稲垣グループメンバー」とか「島田司会者」とかに変えて気を使う例もありますね(さすがに清水健太郎はこの限りではなかったですが)。
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言葉足らずでした (Elekt_ra)
2009-03-21 23:24:34
前コメントの
>個人的に別段軽すぎるなどとは感じませんでした

これは、貴エントリー中の「自首した1人に無期懲役の判決が出ました。」に係ります。死刑判決については控訴審でも当然扱うんでしょうが、本件で死刑の妥当性が本当に裁判で説明できるのか慎重に見ていきたいと考えています。
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>Elekt_raさん (Bill McCreary)
2009-03-22 09:59:57
コメント返しが遅くなってしまってすいません。個人的には、先日の横田さんの奥さんの記事同様、かなりひんしゅくを買う可能性もあるなと覚悟した記事ですのでご容赦ください。

個人的にはこの判決はかなり厳しい判決で、すくなくとも「甘い」ものでは全くないと思います。遺族の気持ちは気持として、それはマスコミも冷静に報じてほしいし、また私の見たところ(以外にも)案外冷静に報じているようです。たぶん事件がおきてからだいぶ時間が過ぎたし、昨今の厳罰化傾向をもいろいろ斟酌しているのでしょう。

それで私はいつも思うに、犯罪被害者(遺族)はべつに治外法権の存在ではないのですから、彼(女)らが筋違いなことを語ったら、それはやはり批判が必要だと思うわけです。拙ブログの記事では影響力も知れたものですが、それでも指摘はさせていただかないと、いろいろな意味で不幸が生じると思います。

さらに(おそらく)自暴自棄になっている被告人から悪質な発言をとりあげてそれを遺族に聞かせてまたまた遺族が腹を立たせるなんて、いろんな意味で不幸で愚劣で残念なことです。

すいません、コメント返しというより、自分の好きなことを勝手に語るものになってしまいました。
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傍聴してました (ケイ)
2009-03-22 23:56:53
裁判の公判の大部分傍聴しました。判決も奇跡的に抽選が当りました。
賛否両論ある判決ですが、法律的には永山基準を踏襲しながら1名殺害 でも複数被告に死刑とした従来ない画期的な判決でした。 私も傍聴してなければ裁判長に賞賛の言葉を送っていたと思います。

遺族は落胆してます。そして私も釈然としない。
なぜか
それはひとえに川岸被告の公判での態度、マスコミへのインタビュー態度なのです。
遺族は公判を傍聴してきました。
被告の供述は驚きの連続ですが、特に川岸被告の反省のなさ、態度は 呆れました。
神田被告を怒鳴り、弁護人から被害者に対してとの質問に
『お気の毒に』と答えそれでは反省が見られないと窘められると 『ご愁傷さまでは腹たつでしょう。遺族が今ここで刺したいなら刺してください。逃げませんから』さすがに裁判長から居直ってると注意されていました。
裁判長悩んだと思いますよ。自首してますから死刑は躊躇します。
ところが死刑の求刑の後の最終弁論で涙ながらに「お母さんの供述を聞いて、反省しました。許してください」と頭を下げました。
判決では後悔、反省の念もわずかながら芽生えてきているとしてます。
近藤裁判長は、これと、自首で減刑したと思います。

遺族の供述は12月8日です。(私は傍聴してません)
川岸被告が裁判長に居直っていると注意されてるのは
12月11日です。
死刑が求刑された論告求刑は1月20日です。
そしてお母さんの話を聞き反省していると初めて謝罪したのは
2月2日です。

時系列で見ると明らかに矛盾してます。
このままで行くと本当に死刑になると言われて慌てて謝罪の言葉を 口にしたと考えるのは自然です。

そして判決後のフジテレビ系列が面会した時の言葉です。
磯谷さんの前に何人も物色しているんだから、彼女は運が悪かったでけ。 今でもばれなきゃ悪いことでもかまわない。
http://streaming.yahoo.co.jp/newsflash/list/fnn/soci/tc/photo/fnn0903180385_0001.html
これでは遺族でなくても納得できないと思います。

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映像が見れません。 (ケイ)
2009-03-23 20:52:10
映像見れませんね。失礼しました。
(磯谷さんの前に何人も物色しているんだから、彼女は運が悪かったでけ。 今でもばれなきゃ悪いことでもかまわない。名古屋の人口の一人が死んだだけ)だそうです。

(さらに(おそらく)自暴自棄になっている被告人から悪質な発言をとりあげてそれを遺族に聞かせてまたまた遺族が腹を立たせるなんて、いろんな意味で不幸で愚劣で残念なことです。)
これ根拠あるんですか? 神田被告は非常に冷静でしたし、ブログで好きな事書いてますよ。川岸被告は一番態度が悪かったし自己主張は強かったですよ。
自暴自棄なんてなってませんよ。

(悪質な発言をとりあげてそれを遺族に聞かせて)
これって検察に対してですか?
裁判の後半を大部分傍聴しましたが、検察の追及生ぬるいですよ。主任検事なんて信じられないくらい丁重でしたよ。(最初傍聴した時は途中からでしたので弁護人質問だと思ってました)弁護士が他の被告に質問しているときの方が鋭く確信を突いてましたよ。
悪質な発言は特に川岸被告の場合は自分の弁護士の
時です。
弁護士 被害者にはどんな思いですか?
    「お気の毒ですね」
    それでは反省が見えないですよ
    「ご愁傷様では腹たつでしょう」
   もう一度聞きます被害者にはどんな思いです    か?
    「運が悪かったですね。私がここにいるにも   運が悪かった」
    遺族が死刑を望んでいることに対してはどう   考えてますか?
    「私の娘が同じ目にあったら死刑を望みま    す」
    「死刑なら死刑で構いませんよ」
    「そこ包丁があるなら今、刺してもらっても   良いですよ」
何とか反省の弁を引き出そうとしている弁護士にこれです。さすがにこの時は裁判長注意してましたけどね。

(この事件、第二の犯罪が計画されていたわけで、自首があったからこそそれが防げたわけですからね。)
この裁判の争点の計画性、共謀時期、殺害の順序の認定は納得できるものですが、この部分控訴審では争点なりますよ。検察は論告求刑で自首がなくても検挙できたと主張しましたがこれ根拠あるんですよ。
このグループは実は4人組です。なぜかこの部分はテレビや全国紙は報道しません。詳しくは書きませんが
この事件の前日川岸被告はもう一人は事務所荒らしに
行き置き去りにしました。置き去りにされたほうは自首しています。当然川岸被告は逮捕されます。裁判長が言う自首の理由(被告人川岸の特異な性格)がありますから、この事件話しますよ。
そして神田被告がこの2人と組む事はありえません。
これは彼のブログを見ればわかります。


    


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一方に偏るとき (怪人20面相)
2009-03-23 23:44:10
判決言い渡し後の法廷でも、被告に傍聴席から怒声が飛ぶなど、この裁判は、終始感情に支配され、アメリカ西部劇の私刑を見ているようでした。
とてもじゃないが、公正な裁判、近代司法とは言えません。
マスコミの報道もあまりにも一方に偏っていました。BPOが一方的な偏りを指摘した光市の事件報道を思い出しました。
また、松本サリン事件の被害者河野義行さんのように死刑を求めない被害者の声は、ほとんど無視。この事件や光市の事件のように死刑を求める被害者の声のみをことさら大きく報じます。
検察も最近、この事件に限らず、公正に起訴事実を指摘するのではなく、必要以上に、恣意的にいかに被告人が非道かを訴えることに終始しています。
事件とは関係のない第三者がこれに同調しています。

「死刑大国」「監獄国家」に向って驀進する日本を象徴するかのような光景です。
返信する
終始感情に支配され~ (ケイ)
2009-03-24 10:24:45
そうかな?そんな印象無かったですけどね。傍聴席から怒声が飛んだのは閉廷後ですね。裁判長は退席してました。一方的かな? 神田被告はプログに好きな事書いてましたし、最終弁論ではこのプログが私の考えですと言ってました。3被告とも報道のインタビュー受けてますし、手記と称して手紙書いています。ただ堀被告は公表に同意してません。堀被告の情報はあまり流れてませんね。
《検察も最近、この事件に限らず、公正に起訴事実を指摘するのではなく、必要以上に、恣意的にいかに被告人が非道かを訴えることに終始しています。》
前に書きましたがこの事件に限って言えば、それは無いですよ。検察の追求は甘いですから。
この裁判は被告3人で共謀の時期、殺害の順序争ってますから、弁護人の他被告への尋問が強烈でした。
他被告の非道を訴えていたのは弁護士ですね。

判決では検察の主張した共謀時期も、自首が無くても
解決できたも採用しませんでした。

私は傍聴前には死刑なんてありえないと考えてました。世の中にはこんな人間いるんだって正直恐ろしくなりました。
神田被告はプログでこの事件の経緯を書いたり速記録をアップしてますよ。かなり闡明にです。ただ最終弁論後一部は消えてますけど。
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ケイさん嘘をついてはいけない (Unknown)
2009-03-24 15:32:12
>私は傍聴前には死刑なんてありえないと考えてました。

あなたは光市事件のときもそのほかでもmixiで「死刑廃止論」を書いている方の日記に乱入して
基礎的な法学知識もないまま相手の方を罵倒する行為を繰り返しているじゃないですか?
「傍聴前には死刑なんてありえないと思っていた」なんてイケシャーシャーと嘘をつきますねえ。
mixiであなたなんと書いてました?恥を知りましょう。
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嘘?? (ケイ)
2009-03-24 16:21:28
貴方私の日記きちんと読んでますか?

この事件を最初に日記に書いたのは(罪を憎んで人を憎まずとは言うが・・)ですがその中で
(この事件に関しては極刑は難しいと考えていた。
判例からいけば、営利誘拐殺人を除いて一人を殺しただけでは死刑にならない。)
と書いてますよ 。
そして同じ日記に(私は死刑制度が絶対だとは考えていない。しかし廃止には踏み切れない。)と書いています。
それと一言も川岸被告も死刑にしろとも書いてません。よく読んでくださいね。

私は死刑制度が絶対だと考えてはいませんが、現に
死刑が刑法で定められている以上、死刑の選択も事案によってはやもう得ないと思ってます。

(あなたは光市事件のときもそのほかでもmixiで「死刑廃止論」を書いている方の日記に乱入して)
数名の方の日記に書き込みしましたが、私は基本的に乱暴な文言は使いませんよ。殆ど事実関係の確認です。
罵倒した記憶はありませんね。罵倒された事はありますが(苦笑)
私は死刑廃止論そのものは批判してませんよ。
現にある法律は守らなければならないと思ってますから、廃止は刑法を改正すれば良いと考えてますから
もう少し事実を確認してから批判してくださいね。






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この日記では(笑) (Unknown)
2009-03-24 17:15:18
この日記では、としれっと嘘をつくあたり全然信用できませんね。

mixiのほかの方の日記になんて書きましたか?もう記憶にないんですか?それともポジショントークであることをごまかすために先のようなことを「ここでは」かかれたんでしょうか。いますよね?「自分はいままで中立でしたが…」と書いて偏向意見丸出しなことを言い出す人って。

「遺族がどう思っているか、アドレスを教えるから確かめてみればいい。 」なんて平然と人の日記に書き込めるような神経をされている方ですので、なにをおっしゃられても別に当たり前かもしれませんが。mixiで相手にされなくなったからこうやってあちこちのブログに書き込まれているんですね。お時間がおありのご様子はひたすらうらやましい限りです。

>数名の方の日記に書き込みしましたが、私は基本的に乱暴な文言は使いませんよ。

ああ自覚がないんですね。それでは仕方ないですね。『見てきたような嘘をつく』 は罵倒ではないんですね。驚きました。それではお教えしますがこれは罵倒です。ご自覚されたほうがよろしいかと存じます。

ちなみにですが「情状に訴える」なんて変な法律用語を使うと失笑されるだけです。「情状酌量を訴える」が正解です。「情状に訴える」なんて恥ずかしい日本語をつかう人が「法知識がない」などと人を罵倒するのが滑稽です。
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