ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

第23回参議院選挙の結果で感じたこと(渡辺美樹と太田房江はあまり票を取れなかった)

2013-07-25 00:00:00 | 社会時評

参議院選挙の結果は、だいたい事前の世論調査どおりだったので「やっぱりね」という以上の感想もあんまりないんですが、ただいろいろ面白いところもあります。

たとえば

①やっぱり京都と高知は共産党が票をとる

なんてのは面白いですね。京都なんか比例で約18万2千票で、選挙区でもしばらくぶりに(98年の選挙以来)共産党候補が当選しましたものね。正直あんまり強そうな候補じゃなかったんで、「どうかなあ」と思っていたんですが、僅差ではありますが勝ちました。よかったですね。昔は、参議院は京都では自民党と共産党が2議席を分け合っていたくらいですが、そういう時代でもなくなってきて京都ですらも厳しい時代が続きましたが、今回はなんとか議席を取れました。蜷川さんが知事だった時代とは比べるべくもありませんが、いろいろ興味深いものがあります。

で、たぶん共産党も、候補者選出の時点では、今回の選挙も選挙区での議席獲得は厳しいという予想だったんじゃないんですかね。東京選挙区で勝った人も、どうみても強そうな人じゃないもんね。小池晃さんを選挙区から外して比例にまわしたのもそういうことでしょう。大阪の人はどうだか知りません。

で、inti-solさんもご指摘のように、共産党というと「組織票」というイメージがあろうかと思いますが、共産党のコアな支持層なんてのは激減・衰退の一途でしょうから、今回は共産党に「風」が吹いたんでしょうね。なにしろ、昨年12月の衆議院選挙の比例より150万票上積みされたのですから。これをどれくらい維持・あるいは伸ばすことができるかが共産党の試金石でしょう。

②維新は、大阪ではやはり強い

維新の比例票が、共産党より120万票多いというのは、昨年の総選挙より半減した(! 橋下の慰安婦関係の発言が致命的にまずかったのでしょう)とはいえ、大阪では選挙区、比例ともに、100万票を超える得票数ですから、まだ維新は大阪では別格の強さだということです。今後はいざ知らずですが、現段階では大阪府・大阪市の首長選挙では、維新の候補が勝つ可能性が高そうです。

で、維新の比例の個人票で、アントニオ猪木が30万票とっているのには(世の中だいたいそんなもんだとは思いながらも)「おいおい」です。いまさらあんな人を当選させなくったっていいと思うけどね。

それはそうと、自民党から比例代表で出馬した佐竹某という元格闘家の人は、ほとんど引っかかりもしない票数しかえられず落選です。このあたり、やはり文字通り役者が違うのでしょうか。

③社民党は、沖縄で救われた

私は選挙の際、比例をちょいちょい社民党に入れているんですが、今回は入れませんでした。正直、この選挙はついに議席獲得も無理かと思っていたら、なんとか1議席は確保しました。2010年の選挙より比例票が半減しているので(共産党にまわった票が少なくないと思います)、次回の参議院選挙は(出れば)福島瑞穂が出馬しますから、彼女の個人票で可能性があるかもしれませんが、次の次は、かなりやばそうですね。で、沖縄では社民党に比例票が大量に入っています。沖縄の大量投票がなければ社民党はぜんぜんだめだったでしょう。まさに沖縄の票で救われました。

7月26日追記:福島瑞穂が党首を辞任しますね。マジで社民党は厳しそうです。

渡辺美樹と太田房江はあまり票を取れなかった

上の話より、私がいちばん興味を感じたのが(なにしろ関連する記事を書いたくらいで)これです。ワタミのトップである渡辺美樹の自民党比例代表区立候補では、いろいろ批判がありましたが、選挙の結果は104,175票でした。自民党当選者では、下から3番目です。

私は、彼が何票くらい記名で獲得するのかは見当もつきませんでしたが(今回の選挙での自民党の強さからして、当選はすると思いましたが)、比例当選者のうち下から3番目ですから、その知名度を考えれば高いとはいえませんね。むしろかなり低いと思います。

で、以下はすべて私の想像なので、正確かどうかについてはぜんぜん自信がないのですが、たぶん渡辺が立候補するということへの批判の意味をこめて(日本は、落選させたい候補者にマイナス票を投票する制度はありませんから)自民党に比例票をいれるのを控えた有権者の数はけっこう多かったんじゃないんですかね? それと渡辺への票を相殺したら、渡辺が得た票はかなり低いものになるんじゃないんですか。あるいはマイナスになるかも(笑)。いや、笑っている場合じゃないか。といいますか、私はたぶんマイナスだろうと(勝手に)考えています。

自民党がどういう思惑で渡辺を候補にすることを最終的に決定したか、その詳細はわかりませんが、こと比例票を稼ぐという観点からすると、たぶん渡辺の立候補は、マイナスでないとしてもそんなにプラスにはならなかったでしょうね。そうすると、自民党での渡辺の今後の立場はどんなもんですかね。ばかばかしくて、次の選挙には立候補しないか(あるいは途中で辞任する可能性もあるでしょう)、それはそれとしてなんとかやっていって再選をめざすか、私なりに注目していきたいと思います。

もう一人、私が「おや」と思ったのが、元大阪府知事である太田房江の最下位当選です。77,173票でした。 

彼女のHPか何かを見れば、なぜ彼女が今回の選挙に立候補したのかわかるのかもしれませんが、特にそれには興味がないので未確認です。ただ正直「なにをいまさら」という気はしましたが。

私は彼女が立候補すると知ったとき、「知名度が高いから当選するんだろうな」と考えて、その後特に興味関心もなかったのですが、当選者リストを見て彼女が最下位の当選なのには驚きました。彼女は組織立候補者でもなく新人ですからそのあたりは不利ですが、大阪の府知事だったのはそれなりの知名度です。でも実際は最下位のぎりぎり当選、しかもこれは自民党が大量の比例票を獲得したが故の当選であり、落選とまさに紙一重です。正直彼女が落選したら、私は部外者だからどうでもいいですが、ご当人やその関係者は文字通り目も当てられない屈辱でしょう。彼女も、少なくとも立候補する時は、正直自分が最下位当選なんて想像しなかったんじゃないんですかね? 太田なんて世間からすれば「過去の人」なのかもしれませんし(といいますか、私もそう思っていました)、いまさら彼女が議員になったところでどれくらいのことができるか疑問ですが、府知事3選出馬見送りに、やはりいろいろもやもやしたところがあるんでしょうか。彼女が再選を目指すかどうかはわかりませんが、今回の選挙の結果はたぶん彼女にはショックだったと思います。

渡辺や太田は組織選出候補ではありませんが、それとは別に、今回の選挙の結果からみると、自民党もやはり往年ほどの組織選挙は難しいですね。これもinti-solさんがご指摘の通り(上のリンクをご参照ください)、東京選挙区でも、自民党候補が2人とも当選しましたが、組織票を持っている候補より浮動票の候補のほうがずっと獲得票数が多い。今回自民党は、選挙でTPPについて参加を言明して選挙に臨みました。反対する農業団体系を無視しても選挙には勝てるとみなしての判断だし、それで実際勝ったわけですが、組織力は弱くなります。公明党のみが、組織選挙全開なのでしょうか。たぶんそうです。

というわけで、選挙の結果というのもいろいろ興味深いので、読者の皆さまもぜひご自分の興味関心のあるところをご自分なりに解析・分析してください。また、inti-solさんに感謝を申し上げます。

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8 コメント

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Unknown (bogus-simotukare)
2013-07-25 07:09:18
>今回は共産党に「風」が吹いたんでしょうね。

1997年都議選、1998年参院選でも似たような風(共産曰く「戦後第二の風」。第一の風が1970年代で、第三の風が今回です)が吹いていますね(この時期は足立と狛江で党員首長が誕生し、狛江ではその後4期16年続いた)。で、小生、この問題を取り上げた五十嵐仁氏(法政大学教授、個人サイト:http://igajin.blog.so-net.ne.jp/)の論文『日本共産党の復調とその要因』(五十嵐仁『政党政治と労働組合運動』(1998年、御茶ノ水書房)収録)を改めて読んでいますが、今回の選挙結果と1997年、1998年選挙結果には共通点があるなと。
五十嵐氏は1997年、1998年での躍進について
いわゆるソフト化路線も理由には挙げていますが
「1997年の新進党解党」「1994~1998年の自社さ連立」により共産以外の野党が「失望の目で見られていたこと」が最大の原因だろうとしています(まあ、確かにそうでしょう)。
 今回も「他野党への失望が共産へ向かった」という要素が大きいわけです。

>現段階では大阪府・大阪市の首長選挙では、維新の候補が勝つ可能性が高そうです。

未だに橋下を支持できる大阪人の神経は理解できませんね。
ただ宝塚市長選、伊丹市長選では見事に負けていますからね(赤旗『維新 兵庫2市長選惨敗』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-16/2013041601_03_1.html))
彼らの強さというのも限界があるわけです。
ひとまず今後のポイントは今年9月の堺市長選でしょうね。ここの市長は、元大阪府幹部職員で、もともと維新の支援で当選したわけですが、「橋下がこの市長に相談もなく大阪都構想をぶち上げ、堺市は大阪市と統合する、などと言い出したこと」で今は橋下と袂を分かっています(橋下のこうした「味方を敵に回す」自分勝手ぶりは彼にまともな政治家としての力量がないことをよく示しています)。
で、橋下としては「リコール」だの「市議会での不信任」だのですぐにでも堺市長をつぶしたいでしょうが、それができるほどの力は堺市の維新にはないわけです。
 あと2ヶ月しかないというのに、未だに維新サイドは堺市長選候補者を決められていません(一部メディアではそのまんま東を担ぐのではと言う話が出ているほどです)し、さすがに「大阪と堺を統合する」という話に堺市民の大多数が賛成かといったらそんなことはないでしょう。何せ相手は自分勝手な橋下です。統合後、規模の小さい堺がないがしろにされる危険性があるわけですから諸手を挙げて賛成って人は少ないでしょう。
 アンチ橋下側からすれば、絶好の橋下維新潰しの機会到来の訳です。 自民、民主は「維新潰し」のために、現職堺市長を応援するんじゃないかと言われていますし、おそらく共産党は「維新打倒」を最大の目的に前回の大阪市長選同様、「現職支援」のために自前の候補者は出さないでしょう。
ということでまずは9月堺市長選で橋下には負けて欲しいですね。その可能性は決して低くないでしょうし(むしろ高いかもしれない)。
何せ
http://www.asyura2.com/13/senkyo149/msg/799.html
大阪府堺市議会が維新共同代表の橋下大阪市長の「慰安婦」問題に関する暴言に「断固抗議」し、橋下氏と石原慎太郎共同代表(衆院議員)の公職辞任を求める決議を日本共産党、ソレイユ堺(民主党系)、自民党・市民クラブと無所属市議の賛成多数で可決
ですから。


>今回自民党は、選挙でTPPについて参加を言明して選挙に臨みました。反対する農業団体系を無視しても選挙には勝てるとみなしての判断

ま、TPPについては財界とアメリカが大乗り気ですからね。過去にも「牛肉・オレンジ市場開放」などを米国と財界の要求でやっていますし、農業人口は減少の一途だし、民主党もTPPには賛成(そもそも言い出しっぺは菅元首相です)だし、選挙だけ考えれば「農協切り捨て」もある意味当然でしょう(やっていいと言ってるわけではない)。
 ただ赤旗も指摘しているとおり「TPPは農業限定ではない」ので今後国民世論がどう動くかはわからないと思いますね。
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Unknown (大阪のおなおし)
2013-07-25 17:10:02
太田さんは公示前から超逆風で、選挙期間中は徹底して色物候補と割り切った演説内容の選挙活動してましたよ。
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Unknown (通りすがりのもの)
2013-07-26 00:14:35
偶然ここにたどり着きました。

<佐竹某という元格闘家の人

某というのは、名前を忘れたり覚えていない知らない人につけるものであって、あなたのように他者批判の側面で用いるのは感心しません。

言葉は変化するものですが、悪意あるまたは悪意が感じられる言葉の使い方はいかがなものかと考えます。
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連邦制 (gaulliste)
2013-07-26 00:26:05
今回、とうとう選挙区の2/3が一人区となったことで、まるで連邦制の選挙だなと思ったのですが、そういう話は見かけないですね。
一票の格差が5倍もあるのに、衆議院に比べてあまり騒がれないし。
数年前に「日本は連邦制じゃない」なんて、地方分権に反対する産経はほざいていましたが、自民党に有利な現在の選挙制度にはダンマリだしw
個人的には、衆議院の比例代表ブロックを選挙区にすればいいと思うのですが。
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Unknown (Rawan)
2013-07-26 05:39:04
>大阪の人はどうだか知りません。

大阪の彼は、私ちょっと知らなかったのですが、ラジオで映画評論なんかもやっているそうです。
声質や語り口が浜村淳に似ているということで知られているみたいです。

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お久しぶりです。共産党と社民党の差は (谷本篤史)
2013-07-26 18:39:14
やはり、政党としてスジが通っているかの差がでたと、私は思います。
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Unknown ()
2013-07-26 21:53:26
自民はTPPには一切触れずに選挙こいた。議員もだんまりしろと規制してた。
いずれ戦争になり自衛隊や民兵はアメリカのパシリにされ、弾除けにされる。天皇陛下万歳のWW2に戻る。日本人は皆殺しにしたいって。
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まぁ、こんなもんか (凡人69号)
2013-07-28 13:32:32
今回の参院選に関しては、タイトルどおりの心境ですかね。橋下慰安婦発言のおかげで、もしかしたら共産党が漁夫の利を得たのかもしれませんが。
うちの愛知選挙区は、自民(公明推薦)、民主、みんなの候補者が当選しましたが、これも予想通りだった感じですね。ただ、愛知では強いといわれる民主が候補者を一人に絞ったものの、得票数を減らしました。まぁ、橋下慰安婦発言がなければ維新とみんなの分断による共産党の健闘もない、もっとつまらない選挙だったと思います(選挙区ではないですが、太田房江氏はウチの地元で過ごしていました)。
京都に関していえば、赤っ恥をかいたのは、前原誠司氏だったのかなぁと思います。自分と考えの近いタカ派の盟友が、共産党の候補に敗れたわけですから。
社民党は、共産党以上に党員や支持者に危機感を感じない気がします。最悪、このまま新党改革やみどりの風のように自然消滅する恐れもありますかね(生活の党は、小沢氏引退となれば同様に自然消滅しそうですが)?
参院選といえば客寄せパンダ的な有名人の立候補が目立ちますが、ただ有名人というだけで投票するケースは昔に比べたら少なくなったのかな?とも思います。
今回の参院選の結果で、右派は「一気に憲法改正まで」と思っているようですが、安倍政権がこのままスンナリ行くとは思えないので、共産以外の野党の離合集散も含めた混沌とした状態が、やがて来るのではないか?と思ったりします。
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