鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

溝の口の”三菱地所”なるS組の末路や如何

2012-08-25 | Weblog
 鈍想愚感子の住む川崎・溝の口周辺にいま時ならぬマンション建設ブームが起きている。東急田園都市の溝の口駅から徒歩10分以内で、10カ所以上のマンション建設が進んでいるのだ。長らく田畑、もしくは駐車場として利用されてきたスペースが一斉に白いビニール布地で囲われ、マンション建設地と変貌しているのだ。ひと頃東京都心で盛んだった市街地でのマンション建設ブームが下火となり、郊外のここ溝の口に移ってきた感がある。その大半が地元溝の口に本拠を置く中小土建会社のS組の手になるものだから、驚く。
 このS組はずっとローカルの群小デベロッパー会社の造るマンションの建設を請け負ったり、建て売り住宅を請け負ったりしてきた純然たる建設請負業者であった。地場の土建業者としてあまり目立たない存在でもあった。数年前に鈍想愚感子の住むマンションのすぐ前の坂道にマンションが建つことになり、名もないローカルのデベロッパーが開催する周辺住民に対する説明会に請負建設業者として立ち会い、名前を聞いて、以来社名を見かけることが多くなった。その時にあまりにも強引な進め方が気になり、S組の社長宛てに抗議文の手紙を出したことがあったが、なしのつぶてだった。地元の業者としてもっと地元を大事にした方がいい、と物申したのだが、なんの効果ももなかった。あとで、聞いたら、S組の現社長は2代目のボンボンで、宜なるかな、と思わせた。
 それが、どういう加減か、S組がにわかに溝の口の”三菱地所”みたいに猛烈にデベロッパー業務に乗り出したのだ。どうせ、金融機関か、どこぞのコンサルタント会社の煽てに乗って、事業意欲を駆り立てられたのだろう。聞くところにとると、従業員100人程度の企業としては手に余ると思えるほどの急開発ぶりである。目につくだけでも一挙に7つのマンション開発に着手しつつある。建設にあたっては下請け業者を雇えば、できないことはないのだろうが、マンションは建設すれば終わり、というビジネスではない。完成前から売り出しをかけ、販売し、そのあとも管理業務がついて回る。販売にあたっては広告を出したり、DMを大量にばらまいたりして膨大な宣伝広告費をかけなくてはならない。いままで請負業者に専念してきたS組にそうしたノウハウがあるとはとても思えない。
 マンション建設にしても工事費の負担だけでもかなりの財政を圧迫することだろう。それに広告宣伝費も押しかぶさってくる。S組にこうしたファイナンスをすべて賄うだけの資金量があるとは想像しにくいことだ。外部のだれかが、S組の経営層に吹き込んで安易なビジネスモデルだ、と思い込ませたに違いない。日本経済のバブルははじけて20数年経つが、世の中にはバブルの実態を知らずに相手の言うなりにビジネスプランを描いてしまう企業が後を絶たないのだろう。
 はたして、S組がバブルの泡と消えていくのか、今後の推移を見守るしかないが、どう見てもその公算が強そうだ。
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