世界変動展望

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最年少九段誕生などの将棋連盟の運営について

2012-03-10 13:16:53 | 囲碁・将棋

将棋の最年少九段は渡辺明である。21歳7か月での達成。この記録は立派なものだ。しかし、この記録には将棋連盟等の作為がある。渡辺明の昇段履歴をみると、

2004年10月1日 六段(竜王挑戦)
2005年10月1日 七段(竜王獲得)
2005年11月17日 八段(竜王1期、昇段制度改正による
2005年11月30日 九段(竜王2期)

わずか約60日間に三段も昇段していることがわかる。重要なのは昇段制度改正という点だ。まるで最年少九段が誕生するよう図られたかのように昇段制度が改正され、そのおかげで最年少九段が誕生した。こういう態様を見れば誰でも将棋連盟又は竜王戦スポンサーの読売新聞が最年少九段を誕生させて話題を集め、宣伝や商売を有利にしたいという思惑のために最年少九段が誕生するようにわざと昇段制度を改正したと考える。むしろ、そう考えない方がおかしいだろう。最年少九段誕生は明らかに興行上の理由による作為で、相撲でいえば一度も優勝したことのない双羽黒が興行上の理由で横綱に昇進したのと似たようなものである。(もっとも渡辺の場合は不公平感はあるものの双羽黒と違って九段に昇段するだけの実質を備えた立派な記録であることに違いない。)

最年少九段が誕生して宣伝や商売が有利になり利益が出るのは将棋連盟なのでおそらく制度改正当時会長だった米長邦雄らの策略に違いない。最近も里見香奈の奨励会初段、コンピューターとプロ棋士との対局などを大々的に宣伝し、何とか金儲けをしようと一生懸命な連盟の姿が見て取れる。裏を返せばそれだけ連盟の経営は苦しいということだ。例えば本来ならコンピューターとの対局など負けることで権威に傷がつくリスクがあるので連盟にとってはやりたくないはずだ。それなのに引き受けたのは連盟の経営が苦しいからに他ならない。

連盟の経済事情は羽生や谷川といった天才棋士の出現に大きく影響される。それくらい注目を集めないとやっていけない商売なのである。残念ながら将棋は興行としてはマイナーで、現役世代の一部の人には関心はあっても、多くは引退後の老年者が主な将棋人口に過ぎず、金儲けには適さない商売かもしれない。

確かにそういう興行として不利な商売では背に腹はかえられない部分があるのは仕方ないだろう。しかし、現状の運営方針で本当に連盟はうまくいくのだろうか。例えば最年少九段誕生にしろ、批判的な目で見ている人たちは少なからずいる。確かに改正前の昇段制度は1年に一度しか昇段できない規定で、前からそういう制約を撤廃した方がいいと提案する声はあっただろう。しかし、竜王戦に限って、しかも最年少九段を誕生させる意図が見え見えの形で昇段制度を改正するやり方には違和感を覚える人たちも少なくなかった。これまでも谷川、羽生、屋敷など九段昇段の資格を持ちながらも昇段規定の制約のために九段昇段資格取得後しばらく経ってから昇段した棋士がいた。特に谷川の九段昇段資格取得年齢は21歳2ヶ月であり、渡辺よりも若年で、1年で一つしか昇段できない規定のままなら最年少記録の更新はなかった。明らかに不公平といえよう。

なぜ昇段規定が竜王戦に限ってのみ、しかも特定の棋士だけを優遇するように改正されるのか。そういうあからさまな差別が決して周りによい印象を与えないのは当然である。他にも

・これまで禁止されていた女流棋士と奨励会との兼業禁止を里見の奨励会入会にともなって解禁
・里見を奨励会初段で大々的に宣伝、報奨金100万円贈呈
・清水市代、米長自身、船江恒平らをコンピューターと対局
・女流棋士にメイド喫茶をやらせ、ブロマイド販売、アイドルやタレント化

などをやっている。こうした差別、コンピューター対局などの商業的な運営によって短期的には宣伝がうまくいき連盟は経済的に潤うかもしれない。しかし、長期的に見たらどうか。連盟の上のような差別的な運営は決してよい印象にうつるものではない。差別に悪い印象を持つものは連盟から離れていくだろう。コンピューターとの対局も今はまだトップ棋士の実力の方が上だからいいかもしれない。しかし、近い将来確実にコンピューターが人間の実力を上回る時がくるだろう。将棋連盟は実力が随一であるという権威を売り物にし、質の高い棋譜を世に提供して商売しているところだ。それがコンピューターの方がよい将棋を指すとなれば連盟の権威は失墜し、商売も不利になるだろう。その危機が訪れた時になって続けてきたコンピューターとの対局を突然拒否したら、世間にはどううつるだろうか。

「今までコンピューター対局を続けてきたのに、負けそうになると逃げるのか?結局金のために都合がいいときだけコンピューター対局をやってただけか。」

そう思う人が出るに違いない。だから、一度コンピューター対局を始めたら途中で止められない。いつかトップ棋士の実力がコンピューターに敗北し、将棋連盟の権威が失墜する時がやってくる。その時に困るのは将棋連盟だ。そもそも金のために将棋棋士の権威を売り物にしてコンピューターとの対局を続けることに反対している人もいるだろう。

将棋連盟は金のためならなんでもする。

そう思われつつある。確かに今の連盟は経済的に苦しい。しかし、そのために姑息な手段を用いていると一時的には苦しみから逃れられても長期的には失敗する。目先のことだけにとらわれた姑息な手段を用いるのではなく、先を見据えた運営が必要だろう。

この調子で相撲界のように八百長が起きなければいいと思う。



8 コメント

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Unknown (羽生義晴)
2012-03-10 16:48:31
もう八百長はおきてるよ。
米長が千日手を嫌ってボンクラに負けただろ
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八百長 (世界変動展望 著者)
2012-03-10 20:11:20
あれは八百長なの?経済的に苦しいところは八百長を噂されますが、仮に過去にあったとしてもこれからはないといいですね。
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 (Red God)
2012-03-11 07:18:09
それが米長邦雄という人間です。
今さら言っても遅いです。
あっ、それからコンピューターに負けた位で棋士の権威は失墜しないと思いますよ。
チェスの世界でカスパロフがディープブルーに敗れた時、世界中に衝撃が走りましたが、今ではコンピューターソフトが普通に人間と一緒に大会に出場し、レーティングを競い合っています。
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Unknown (鍋流)
2012-03-11 12:47:59
偏った意見すぎる
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回答 (世界変動展望 著者)
2012-03-11 13:30:26
Red Godさん

コンピューターに負けたくらいで将棋界の権威は失墜しませんか。その方がいいですね。

渦流さん

私の見解はかなりきついと思います。
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プロの (myg371)
2012-03-15 22:45:58
プロの団体で組織の運営者とプレイヤーが同一というのはおかしいと思いますし、存続は無理だと思います。運営を別にするか、伝統文芸として存続するかのどちらかと思います。
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運営者 (世界変動展望 著者)
2012-03-16 00:18:42
連盟は将棋指しの集団ですから、彼らの気持ちや考えを一番わかるのは棋士なので棋士が運営したいということでしょう。棋士に商才があるかどうかは別として。江戸時代みたいにパトロンがいるといいんでしょうけどね。月下の棋士の河口氏の文章によれば囲碁は江戸時代の方が今より強かったらしいので、案外将棋もパトロンに養われていた方が実力が伸びるのかもしれませんね。
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Unknown (みゅうみゅう)
2014-11-15 22:29:36
連盟はプロ経験者のみで構成された組織だからこそ、将棋の伝統が保たれている面も大いにあると思います。米長が会長になってたしかにちょっと逸脱しすぎのような気がしましたが、今となってはだいぶ落ち着いてきたように見えます。コンピュターとの対局がニコ動で見れるのはファンとしては嬉しいですし、女流棋士も多少なりと華やかな扱いをされなければ真面目にやる気なんて起きないでしょう。彼女たちもメイド扱い等がイヤなら拒否権はあったでしょうし・・・。ただ段位の件や、女流棋士と奨励会の兼業許可などはやりすぎですよね。米長としては、女性のプロ棋士を早く誕生させたかったんでしょう。
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