第61回将棋NHK杯戦の決勝は羽生が勝ち史上初の4連覇、名誉NHK杯の称号を獲得した。名誉NHK杯とは通算10回優勝した者に与えられる称号でタイトル戦の永世称号に相当する。タイトル戦の方が格上だから名誉NHK杯より永世棋聖などの方が評価が高いのだろうが、60年以上のNHK杯戦で誰も獲得したことのなかった称号だから難易度の点ではタイトル戦の永世称号に匹敵するかそれ以上だろう。
タイトル戦の場合は保持者は決勝だけ戦うのだからNHK杯戦に比べれば優勝しやすいといえるかもしれない。その点が名誉NHK杯の誕生が60年以上もなかった原因の一つだろう。無論、10回優勝という条件がかなりきついことも原因である。羽生はこれで永世称号が7つになった。永世七冠といっていいのだろうか。あと竜王を1期獲得したら永世八冠で、現在永世制度がある棋戦ですべての永世称号を獲得することになる。いわゆる永世全冠である。すごいことだ。
ところで、このNHK杯戦決勝の結果は2月末にネットで洩れてしまっていた。本ブログにも情報提供があったが、どうも将棋連盟の記録のページにNHK杯戦決勝の結果が2月末に反映されてしまって、決勝の対局者である羽生が1勝、渡辺が1敗増えていたため、決勝が羽生-渡辺戦で羽生が勝ったと推測できたらしい。
NHK杯戦はテレビ対局だから放送日前に収録するため実際の対局は放送日前である。そのため結果は関係者にはわかっている。しかし、結果を放送開始前に伝えたらテレビを見る視聴者の楽しみが害されてしまうため秘密にされている。正式な対局日も放送日だったと思う。だから、関係者は結果を世間に知られないように厳重に秘密を守る義務があるのだろうが、ばれてしまっている。
これは端的にいって将棋連盟の責任。米長邦雄をはじめとして将棋連盟は否定するかもしれないが、少なくとも彼らは自分たちのことだから真相をわかっているだろう。結果は放送終了まで漏洩しないようにするという義務を彼らの不手際で守れていなかったのだからNHKから苦情を言われても仕方ないし、むしろ言われなければならないだろう。もともとテレビ棋戦の正式対局日は放送日なのだろうから、放送終了後に対局結果を記録ページ等に反映させればいいだけだし、そうすべきであろう。それをやっていなかったのだし文句をいわれても仕方ない。
それにしてもネットの住民にはいろんな人がいる。連盟の記録ページなどをかなり注意深く調べないと事前に対局結果を知れないと思う。かなり細かいところまで見て情報を暴こうとする人たちもいるのだから、やはりネットでは小さな情報すら出すと危険ということだろう。