世界変動展望

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京都府立医大、バルサルタン事件でお手盛り予備調査!日本版ORIの常設を!

2013-06-11 00:30:39 | 社会

『バルサルタン:臨床試験問題 降圧剤論文、お手盛り予備調査 京都府立医大、元研究仲間が参加 「捏造なし」と結論

毎日新聞 2013年06月02日 東京朝刊

 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験問題で、京都府立医大が、調査対象の松原弘明・元教授(56)と共同研究をした経験がある教授らに予備調査をさせ、「臨床試験の論文に捏造(ねつぞう)はない」と1月末に結論付けていたことが分かった。大学側は「人選に問題はなかった」とするが、公正性を保つには利害関係がない人間による調査が不可欠だ。一連の問題は、日本の臨床試験の信頼性に関わる事態となっており、大学側の当初の甘い認識が問われそうだ。【八田浩輔、河内敏康】

 予備調査は昨年12月に始まった。日本循環器学会誌が同大チームの2論文を「データ解析に極めて多くの問題点がある」などの理由で撤回(取り消し)し、同学会が大学に調査を求めたためだ。

 大学は学内3教授に調査を指示。3教授は「単純ミス」と主張する松原元教授らへの聞き取りなどを基に、今年1月末に「捏造とは認められない」と報告した。しかし、学会から「公正で詳細な調査」を求められると、3月になって学外の有識者が参加した調査委員会を組織した。調査は今も続いている。

 大学は予備調査を実施した3教授の名前を明らかにしないが、毎日新聞は関係者への取材で3人を特定。このうち2教授に元教授との共著論文があった。

 この2教授のうち1人は、元教授の不正論文を検証する学内の別の調査委の委員に加わることになった際、初回の会合(昨年2月)で、元教授と共同研究した経験を理由に委員を外れていた。この調査委は今年4月、降圧剤とは別に元教授が関わった14論文の不正を認定し、公表している。

 予備調査の人選について、大学側は「一般論」とした上で「調査対象の論文に関与していなければよい。全ての共同研究をさかのぼって調べるのは困難だ」としている。

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 ■ことば
 ◇降圧剤臨床試験問題

 降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)が、脳卒中などを防ぐ効果が高いとする京都府立医大の臨床試験論文に、販売元のノバルティスファーマ社員が社名を伏せて関与していたことが発覚。ノ社から多額の寄付金も提供されていた。東京慈恵会医、滋賀医、千葉、名古屋の各大学の同種の試験にも同じ社員が関わっており、各大学が論文データが不正操作されていないかについて検証を始めている。

[1]』

全国紙に「お手盛り予備調査」と書かれるとは。厳しい表現だ。毎日新聞はM元京都府立医大教授が動物実験を経ずに幹細胞移植手術をしたときに「人体実験の批判免れず」と端的に書いた[2]。客観、中立であるべき新聞社がここまで踏み込んで言及するのは、この事件や原因、研究界の体質がよほど重大かつ悪質だと思っているからかもしれない。バルサルタンの事件を追っている毎日の記者が怒っているのが伝わる。取材していて研究者や研究機関の公正さに関する現状が酷いもので怒りを感じていると推測する。

京都府立医大の予備調査が不合理であることは私も前に触れた[3][4]。最近ではJBPressの記事でも言及され、日本版ORI(研究公正局)の必要性が主張された[5]。このブログでは何度も主張してきたが、現在の制度では自浄作用が保障された機構が存在しないので、ORIのような第三者調査機関を作るなど研究不正調査制度を改善する必要がある。

最近Kyoto Heart Studyでは試験が『患者や医師の恣意的な評価を排する「二重盲検法」でなく、医師も患者もバルサルタン服用を認識している「プローブ法」で行われ[6]』、『さらに、狭心症、一過性 脳虚血発作など医師の診断に左右される疾患も評価基準に入り、医師の主観でバルサルタンの薬効を高く評価することも可能だった。[6]』ことが報じられた。

報道も徐々に問題点を明らかにしているが、今後調査でどこまで究明されるのか注目する。

参考
[1]毎日jp 記事 写し 2013.6.2
[2]毎日jp 記事 写し  2013.4.11
[3]世界変動展望 著者:"研究不正調査制度の問題点について" 世界変動展望 2013.3.26
[4]世界変動展望 著者:"京都府立医大不正なし?- バルサルタン論文撤回" 世界変動展望 2013.2.7
[5]谷本哲也:"起こるべくして起きた高血圧治療薬バルサルタン事件 徒然薬(第3回)~地に堕ちた日本発臨床研究への信頼ー日本版ORI(研究公正局)の創設はあり得るか" JBPress 2013.6.10
[6]"薬効評価、操作も可能 府立医大の臨床試験で調査" 写し 京都新聞 2013.6.7

 
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