世界変動展望

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万能細胞:STAP論文「重大な過誤」 画像改ざん認定、小保方さんら撤回同意−−理研中間報告

2013-02-28 20:09:27 | 社会

新たな万能細胞「STAP細胞(刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得細胞)」の作製を英科学誌ネイチャーで報告した論文に多くの疑問が指摘されている問題について、理化学研究所は14日、東京都内で記者会見を開き、調査の中間報告を発表した。STAP細胞の遺伝子を調べる実験データ画像を切り張りしたことや、過去の論文から無断流用した事実を認定し、論文に重大な過誤があったと認めた。調査委は今後、不正の疑いを否定した2件を除く4件について意図的な不正の可能性を調べる。(2、3面、社会面に関連記事、28面に記者会見の一問一答)

 野依良治理事長は会見の冒頭「世間の多くの皆様にご迷惑、ご心配をお掛けした」と陳謝した。研究チーム14人のうち、小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーら9人が所属する理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の竹市雅俊センター長は、「論文の信頼性を著しく損ねる誤りが発見され、論文を速やかに撤回し研究をやり直すことが重要」と述べた。今月10日、小保方さんと笹井芳樹副センター長、丹羽仁史プロジェクトリーダーの3人に撤回するよう勧め、3人も同意の意向を示したという。

 撤回に関して理研には権限がなく、共著者とネイチャーが協議して決める。共著者の一人で、主論文の責任著者も務めるチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授は14日、「データが誤りであるという証拠がない以上、撤回すべきだとは思わない」としながらも「重要な決断になるので、共著者全員と協議するつもりだ」とのコメントを発表した。

 理研は、2月13日に研究不正に関する通報窓口に情報が寄せられたことを受け、外部の専門家を含む調査委員会(委員長=石井俊輔・理研上席研究員)を18日に発足。今月12日まで6件の指摘について聞き取り調査などをした。その結果、論文中の画像4枚が、小保方さんの博士論文(2011年)にある別の実験の画像と「同一」と判断。ほかに遺伝子の実験データ画像を切り張りして改ざんした▽実験手法を説明する部分で過去の論文から文章をコピーした−−など、計4件について、研究不正にあたる可能性が残るとした。

 STAP細胞からできたとする胎盤の画像が別の実験による胎盤の画像と酷似しているという指摘と、STAP細胞の写真がゆがんでいるという指摘については、著者らの説明に矛盾がなく「不正ではない」と否定した。小保方さんを含む関係者の処分は「調査委の最終報告を待って検討する」と保留。最終報告の時期については明示しなかった。

 STAP細胞そのものの真偽については「調査委は研究不正の有無を調べるのが目的」との理由で調査対象としないことを明らかにした。竹市センター長は「科学者コミュニティー(の第三者)による検証をお願いしたい」と述べた。

 STAP細胞の論文は1月30日付で発表された。発表後まもなく、画像の不自然さなどへの指摘がインターネット上の複数のサイトで相次ぎ、理研やネイチャー編集部が調査を始めた。指摘は小保方さんの別の論文にも及んでいる。【須田桃子】

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 ■ことば

 ◇STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得=Stimulus−Triggered Acquisition of Pluripotency=細胞)

 論文によると、生後間もないマウスのリンパ球を弱酸性の溶液に約30分浸す刺激を与え1週間培養すると現れる、直径5マイクロメートルほどの小型の細胞。体のあらゆる細胞に変化する多能性を持ち、ES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)では作れない胎盤組織にもなる。

毎日新聞 2014年03月15日 東京朝刊