世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

厚労省の降圧剤臨床試験不正の検討委員に宮田満日経BP社特命編集委員が加わる

2013-08-11 21:05:28 | 社会

『◇ノ社宣伝関係の出版社編集委員が検討委員に 人選に疑問の声

 降圧剤バルサルタンの臨床試験疑惑を巡る厚生労働省の検討委員会(12人)で、日経BP社の宮田満・特命編集委員が委員に就任した。同社発行の医療専門誌「日経メディカル」は、製薬会社ノバルティスファーマが10年間以上、バルサルタンの宣伝記事や広告を集中的に出した媒体で、厚労省の人選に他の委員から疑問の声が上がっている。

関係者によると、日経BP社は2000年11月にバルサルタンが発売される前から、ノ社によるプロモーション戦略に参画。ノ社の社内資料によると、バルサルタンの広告は「日経メディカル」ともう一つの別の業界紙に集中し、東京慈恵会医大や京都府立医大の臨床試験の経過や成果を、大きく紹介してきた。疑惑の表面化後、日経メディカルなどでの一連の宣伝の過剰さを批判する声があり、ノ社は7月29日の記者会見で「真摯(しんし)に反省している」と謝罪した。

 ある委員は「委員会の信頼性が疑われかねない」と懸念するが、日経BP社は「専門知識を買われ就任した。当社としても今回の問題については検証報道を続けており、就任に問題はないと認識している」とコメントしている。【八田浩輔】

[1]』

重大問題に発展したバルサルタンの臨床試験不正を解決するために厚労省の検討委員会が発足したが、委員に宮田満日経BP社特命編集委員が加わった[1]。[1]で言及されているように日経BP社は日経メディカルでバルサルタンの宣伝記事や広告を集中的に出した会社で、そのような会社の者が委員に就任するのは公正さを害するのではないかと疑われている。

ディオバン(バルサルタン)の製造元のノバルティスファーマ社が研究者を厚遇しディオバンに有利な宣伝をさせ、それを医療専門誌である日経メディカル(日経BP社発行)が大きく宣伝するという三位一体の詐欺的販促をしたという構図を考えると日経BP社は当事者のような立場かもしれない。厚労省はこういう構図をわかっていないのか?

上昌広(東大医科学研究所特任教授)のツイート(2013.8.9)
(注) 日付は著者が都合により削除

日経メディカルがバルサルタン問題を追及したのは5月23日。毎日がスクープしたのが2月6日だから、かなり遅い報道。それは当事者的な立場だからかもしれない。

日経BP社は宮田の委員就任について問題ないといっているが、別に宮田である必要はないと思うし別人でもいいのではないか。

高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会に関する宮田満の申告書 - [2]

宮田は「その他、審議の公平さに疑念を生じさせると考えられる特別の利害関係を有することがありましたらご記入ください。」という項目に無記入だった。[1]を考えると審議の公正さに疑念を生じさせる特別の利害関係がないのか疑問で、[3]では

--

・ 日経BP社の宮田満氏は、ノ社主催の「2006 ノバルティス バイオキャンプ」でも『成功するバイオベンチャーの法則』と題して講演をしていた。

・ 日経BP社の宮田満氏は、ノ社主催の「ノバルティス バイオキャンプ2007国際大会」の審査員代表を務めるなど、ノ社のプロモーションにも深く関わっていた疑いがある。

・ 日経BP社の宮田満氏は、ノバルティス社主催のバイオキャンプで講演したり審査員代表を務めているが、ノ社から金銭を受け取ってるのではないだろう か?宮田満氏は、厚労省のディオバン検討委員会参加に際し、ノ社からの金銭の受領なしと申告し、「審議の公平さに疑念を生じさせると考えられる特別の利害関係を有することがありましたらご記入ください。」の欄には何も記入していないが、これは、虚偽申告にあたらないのか?(参考資料→第1回 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 議事次第

[3]
--

という根拠から、宮田の申告を虚偽ではないかと指摘している写し)。[2]の資料1-3を見ると申告対象期間は開催日の年度を含めて過去3年なので上のものは申告対象外だ。日経BP社がディオバンの広告をよく載せていたことなどは"審議の公正さに疑念を生じさせる特別の利害関係"にならないと宮田は思っているのだろうが、公平さに疑念を生じさせると思う人がいるから毎日などは報道したのだろう。郷原信郎弁護士も

『この検討委員会の委員には、以前よりノバルティス社によるプロモーション戦略に参画し、バルサルタンの臨床試験の経過 や成果を大きく紹介していきた日経BP社の特命編集委員の宮田満氏が就任しており、他の委員から「委員会の信頼性が疑われかねない」と懸念する声が出ているとのことだ。ネットで調べたところ、日経BP社とノバルティス社という企業間の関係だけではなく、宮田氏個人も、「ノバルティス バイオキャンプ2007国際大会」と題するノバルティス社主催のバイオ研究者の国際交流のための大イベントで審査員代表を務めるなど、同社との接点があ る。個人的にも、同社のプロモーションにも深く関わっていた疑いがある。

このような人物が、ノバルティス社の疑惑を含む問題について調査・検討する委員会の委員として加わるのは典型的な「利益相反」である。上記毎日新聞の記事 で、日経BP側は「当社としても今回の問題について検証報道を続けており、就任に問題はないと認識している」とコメントしているが、検証報道を行っていて も、それによって、日経BP社及び宮田氏個人とノバルティス社との関係から生じる「利益相反」が解消されるものではない。このような委員の人選に何の問題 意識も持たなかったとすれば、厚労省には、そもそも、ノバルティス社の問題も含めて、委員会の調査・検討を公正・厳正に行わせる意図がないのではないかと 疑わざるを得ない。

厚労省がこうしたことを続けている限り、今回のノバルティスの降圧剤バルサルタンをめぐる疑惑の解明に真剣に取り組むことを期待するのは無理であろう。[4]』

と述べている。井高恭彦も宮田が委員に加わることをおかしいと述べている[5]。

上で述べたように、日経メディカルがノ社の販促を手伝っていたことが公平さに疑念を生じさせるという批判があるなら、宮田が委員である必要はないと思うから、別な人が務めればいいと思う。

みなさんはどう思いますか?

参考
[1]毎日新聞 "クローズアップ2013:バルサルタン臨床試験疑惑 責任追及に課題多く 有識者検討委、調査に強制力なし" 2013.8.10 写し1写し2写し3

[2]第1回 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 資料、写し 2013.8.9
[3]ノバルティス ディオバン(バルサルタン)臨床研究データ捏造疑惑 の記事 2013.8.11 閲覧
[4]郷原信郎:""ノバルティス疑惑、独禁法適用の可能性 厚労省にとって「最悪の事態」も" MRIC by 医療ガバナンス学会 メールマガジン Vol 199  記事写し 2013.8.14
[5]井高恭彦の文章写し 2013.8.12



4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
専門家を入れるのは悪くない (匿名)
2013-08-12 12:53:43
宮田氏が研究や医療業界の内情に詳しいのは事実です。過剰に利害関係に潔癖になって関係者を排除すると、議論がかえって希薄になってしまう可能性もあるのではないかと。私は、日経BP程度の関係者であれば委員会に入る事には問題を感じませんし、良い人選なのではないかと思っています。ノバ社お抱えの会社ではないわけですから。
返信する
Unknown (定義をよく読んでから避難しましょうね)
2013-08-13 06:22:29
申告対象期間は遡って3年ですわな
返信する
今回問題は重要ですよね (みきお)
2013-08-14 15:35:35
ノバルティス社のバルサルタン臨床試験の捏造疑惑はもはや社会問題になってます。より透明性が求められますよね。それだけノバルティス社が怪しい会社という事でしょうか?
返信する
マッチポンプに過ぎないのでは? (通りすがり)
2013-08-19 14:59:44
 今回の指摘をしているT大の特任教授は某調剤チェーンから大金の寄付をもらってる立場である。かつまたN社の当時の社長をかばっている。リンクを見ればわかる。こういった意味では、他業種からお金をもらっている人が、製薬企業からお金をもらって研究している人(学者)を攻撃する不毛な構図にしか見えない。
返信する