Side Steps' Today

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玉肌日記

2011年05月29日 | 玉肌日記
【初谷温泉(長野県佐久市)】
群馬県下仁田から長野県佐久に抜ける254号線沿いにある温泉。幹線から数キロ山中に入るが、舗装はされているも心許無い道を行くとその詰まりには綺麗な旅館。最近新築した模様だが、そもそもは初谷鉱泉としてあったようで明治18年の開湯という歴史。初谷と書いて「しょや」と読むのが意外だが、「初谷温泉で初夜」という安易なオヤジギャグが炸裂するも、前週訪問の奈良田温泉にて風呂にて知り合ったオバさんからココが良いと聞いて翌週には早速車を飛ばして訪問するという温泉マッドぶり(自宅からは2.5時間所要)。鉱泉で色は鉄泉系な褐色、二酸化炭酸を含む炭酸泉のようで、源泉槽とさら湯槽とがあるが、源泉槽は炭酸泉ということもあって温度は低めながら、炭酸効果で浴後もかなりな保温効果。長時間入れるほどの温度だが、入っているほどに温かくなってきていてあまりの長時間浴は出来ず。Phは6.5程度と中性ながら、味は鉄分成分少なく、炭酸味。温泉の香りもなにかに似ているが、なかなかによろしい。湧出量が毎分2リッターと少ないことから、その量でカバーできるほどの源泉槽は大人二人で満員になるほどの大きさだが、湧出量に合わせての浴槽サイズというのは至極真っ当、合理的であり、温泉を大事にしており、素晴らしい。ちなみに源泉槽には厚さ1ミリ程度の析出物による堆積物あり。飲泉では胃腸に効くとのことで、宝命水なる名称がついている源泉湧出部が旅館裏手にあって、汲み取って持ち帰りが可能。ちなみに帰り際に水筒に入れて持参し、車内で飲むもマズい!(失礼)。鉄臭+意外なる炭酸味+塩分で胃腸には効きそうだが、好んでグビグビ飲める代物には非ず。なかなかに聞かない温泉でこれまでまったくのノーマークだったが、かなりのポテンシャルであり、非常なる好印象。

玉肌日記

2011年05月25日 | 玉肌日記
【奈良田温泉(山梨県南巨摩郡早川町)】
身延から南アルプスの麓方向にある温泉。有名なる温泉であり、当方が寝言(結構言っている模様)で「奈良田マンデル・・・」といったというほどに深層心理的に”行かねばならぬ”と思っていたようで、どうやらナラダ=マイケルウォルデンと夢の中で混成した模様ながら、やっと実現。身延から50キロ程度、南アルプス街道の山中を走るが、点在する温泉集落では最終の奥地に存在するがほとんど秘境。付近は川しかなく、かなり静かなる集落だが、湯が良いとあってなかなかの人気ぶりで訪問客多し。湯は無色透明ながらも湯の華多く、微細なる茶色な物資を含有、そして微かなる硫黄臭がすばらしい。含硫黄-ナトリウム-塩化物泉とのことで、こちらも微かなる塩分味。源泉かけ流しだが、やや温めでちょうど良し。ややアルカリ的なのかヌルスベ系であって、かなりに気をつけないと浴場での転倒必至で頭カチ割りリスク。ちなみに寝言にまで出た奈良田とは奈良の孝謙天皇が来たことによるとのことながら、孝謙天皇といえば道鏡であり、授業で道鏡巨根説を唱えていた高校時代の日本史教師を思い出す(湯で道鏡巨根による傷が癒えた?との言い伝えも・・・おいおい)が、高校の歴史が日本史選択だったが当方にとっては逆にあまり良いイメージではないが、それは奈良田には関係ないか。たしかにそれくらいに湯は素晴しい。次は手前にある西山温泉への訪問を検討。 PS:宿には、宿泊者が思いのたけを記すノートがあるのだが、外国人も投宿した模様で、彼の筆致(当然英語)によれば、「(食事の前後で布団の上げ下げが行われていることに対して)この宿には忍者がいる!」とのこと。布団上げ下ろし専門忍者というのも...。(笑)

フォアグラ日記

2011年05月23日 | フォアグラ日記
農家レストラン みふえはらはん(日本料理/宮城県加美郡加美町)
元治2年建築の農家レストラン。かなりわかりにくい場所にあり、カーナビは必須ながら、特定の献立を持たず、地のもの、さらには旬のものを出すとのことで訪問。なお同店は予約制であるが、繁忙期ながらも前日の夜に予約を入れてOK。訪問するに最初に出てきたホットりんごジュースで先制パンチを食らう(見た目が”お茶”なので説明を聞かずにお茶と思ってカブリと行くと大変)が、出されるものは野菜系が中心の素朴な料理ながら、味付けが優しく、美味。特に、保存食としての乾燥野菜を使った煮物は、野菜に味が凝縮されていることに加え、煮汁も含みやすく、一石二鳥で先人の知恵に感服。店内はさすがに時代を感じさせるが、一目でわかる立派なる梁や材木がふんだんに使用されており、今となっては非常に貴重。炉辺で長い年月を経て燻された店内は入るだに燻りの香り。出されるものすべてが素朴、かつ優しい味で美味とくれば当然に来客も多く、このような場所にもあるにもかかわらず、何を見てやってきたのか、かなりの来客。パンチ力勝負、さらには見た目勝負な料理が多い中、このようなスタイルは非常に真っ当であり、真っ当なる客に支えられて徐々に増えてきていることは喜ばしいと言うべき。古川・鳴子方面にお出かけの際は是非。特定の献立を持たないというのも、次回再訪の有力なる動機となろう。

玉肌日記

2011年05月19日 | 玉肌日記
【岩瀬湯本温泉(福島県天栄村)】
湯野上温泉や二岐温泉付近にあるごく小さな温泉宿群。街道沿いながらも目視確認するだに3軒の宿屋しかない温泉宿(しゅく)で、つげ義春氏の作品に出てくる程度に鄙び感が充分(夜には近くの犬が”ワオーーーン”と遠吠えするのがこれまた風情を十二分なほどに盛り上げるほど)なのであるが、今でも茅葺き屋根を残した立派なる宿屋があり、規模は小さいながらも、その一つは築140年程度とのこと。温泉街には共同浴場もあるが、一般の入浴客は受け入れておらず、これはこの地域の家には風呂を作らず、皆この共同浴場に入浴することになっているから、とのこと。湯も共同管理されている模様で、浴槽も湯量に合わせて小さく作られているのがなんとも奥ゆかしいが、湯は極上。多くの入浴客が集うシーズンであったことから、湯は鈍り気味であったものの、葛湯のように微白濁した湯は無臭で中性(ph6.8)、少々の鉄泉味と硫黄泉味がする程度。湯の華は比較的豊富でなかには”おぼろ昆布”様なものも(塩化物泉/含土類石膏食塩泉)。加水なしの源泉掛け流しで源泉温度(48℃程度)のせいか、やや温めなのが好ましいが、時代に迎合せずに露天風呂は一切なく、内湯のみ(露天としてもこの温度では冬期には厳しいだろうと思料)。この内湯も3人程度入れば満員状態だが、規模を拡大せずに湯を中心として生活している習慣を考えれば、訪問客もそれを充分謙虚に享受すべし。文化、温泉ともに素晴らしいの一言。

フォアグラ日記

2011年05月15日 | フォアグラ日記
鶴子そば(蕎麦/山形県尾花沢市)
鶴子そば、と聞くと、田舎の老齢なる「つるこ」ばあさんが営む田舎蕎麦という音的なイメージがあるが、鶴子というのは地名であって、場所は銀山温泉へと行く道に平行で走る新鶴子ダムへと向かう位置。何の頼りもなく、車で行くと「蕎麦」の”のぼり”があり、入って見ればかなり年季の入った(趣があるというかボロい)民家に同店。番号札を取って入れば、2居間ブチ抜きの座敷にお客、その向こうに調理場となんとも今はやりのオープンキッチンだが、手前ですでに蕎麦を打っている人あり。直感的にアタリを確信して注文するも、付き出しはなんと「きくらげ」。横に芥子が添えられており、酢醤油で食せといわれるが、食べるに歯ごたえのある心太(ところてん)で美味。で肝心の蕎麦だが、香り十分、太くてコシのあるバリ硬麺。汁は事前に絞った大根汁が入れられており、醤油汁を好みで入れよ、というタイプ。あまりに辛い大根汁を想像していたが、意外に美味でいかにもタカジアスターゼが胃に効きそうだが、卑しくも100円のスプレッドしかない大盛り(800円)をオーダーし、それは普通盛りの1.65倍(フィボナッチ?)程度のなかなか暴力的な量だったが、半球形のかきあげも含め、余裕で完食。毎度のことながら温泉と蕎麦天国なる山形の奥深さに震撼。なお同店、無骨な田舎蕎麦屋ではなく、意外な試みも。思い出ノート的な記入自由なる雑記帳が各席にあり、面白いのだが、「普段は役立たずな彼ですが、こんな良店を知っていて見直しました」的感動表現方法も見え、苦笑。

玉肌日記

2011年05月12日 | 玉肌日記
【岳温泉(福島県二本松市)】
福島県の二本松、安達太良山の麓にある温泉街で、伊香保や銀山のような絵(写真)になる特徴的温泉街を形成しているが、その歴史は古い様子。当該温泉地の温泉は引泉である模様で、さらに山奥にある源泉複数から混合してパイプで引いてきているとのこと。これを温泉街で分配していることから、どこの湯に入っても同じという結果にもなり、これを聞くとなんだが興ざめでもあったが、実際に入ってみるとなかなかの良泉にてこれまた侮れず。単純硫黄泉でph2.5と酸性、微白濁で白い湯の花がちらほら、という状態。舐めてみれば最初にレモン味のような刺激あり。引泉ということで湧出量が限定的か、と思いきや、源泉かけ流しとのことで、湯量は豊富なのだろう。引泉で温度も低下していることもなく、逆に熱いぐらいで、意識的に熱くしている様子。そもそもSide Stepsの仙台公演(定禅寺ジャズフェス)の帰りの骨休め一泊と候補地(二本松ICからなかなか至近)ということで目をつけていたものの果たせず、今回念願叶ってこちらに一泊したが、夕食時に話した温泉宿女将によれば、「肌に優しい、良い湯です」とのこと。その際にph2.5を見知った当方は、すかさず「酸性だからあまり優しいわけないだろ!」と突っ込みを入れようとも思ったが、ただでさえ変人扱いされるので止めることとする(まあ、たしかに酸性具合が強いわりには肌への刺激は少なかったような気もする)。立派なる温泉街、しかも一般温泉客もおおく、秘湯感や鄙び感は乏しいが、なかなかに温泉は高評価。

玉肌日記

2011年05月08日 | 玉肌日記
【東鳴子温泉(宮城県大崎市)】その2
温泉マニアには有名なる高友旅館の黒湯を訪問。高友旅館の前には高友建設があり、付近には同社の名前を冠した温泉パークもある模様ながら、この高友旅館にはまったく資本投下されていない模様で、かなりにボロく、いやレトロ感炸裂なのだが、早速に入浴。某文献によれは、戦前に甘粕大尉がココに隠れていたとのことで、如何にも軍服を来た”かの人”がフラリと出てきそうな雰囲気。黒湯なる湯は湯が空気に触れると黒くなるという湯ながら、男女混浴。朝イチの訪問だったので誰もいなかったが、まずノックアウトされるのは強烈なる石油臭。この辺はモール泉が多く、それはほのかなヒノキの香りに似ていて好ましいが、ここは完全なる石油臭。それで黒湯ともなればまさに石油湯を想像するとも思われるが、この日の黒湯は緑がかった黄色であり、鉄泉系な色なるも、入ってみれば適温。湯は中性(ph6.8)でニオイは強烈ながらも味は殆どなく、逆にやや甘露味。脱衣場の注意書に「火照るので”のぼせ”注意」的なものが掲示されていたが、確かに入っている途中から発汗があり、浴後もそれが持続。この湯に入ると「猛烈に眠くなる」と言われるが、確かに体力をかなりに消耗する湯と思料。また、浴後の体は強烈なる石油臭が持続、しかも時間経過とともにニオイが変化し、ゴム臭へと変化したり、とこちらも強烈。通常は鼻が麻痺することでニオイにも無感になりそうなものだが、ここは無感にならず、これはニオイが経年変化しているせいか?脱衣所には多くの人が書いた効能への感謝の一言があり、目を引いたのは「(浴後に)黒い便と虫が出で病気が快癒した」とのこと。虫って....?

玉肌日記

2011年05月05日 | 玉肌日記
【東鳴子温泉(宮城県大崎市)】その1
鳴子地域には過去にも訪問歴があるものの、この地域は至近ながらも温泉郷としてなかなかに細分化されており、さらにはその中でも源泉により泉質が違うという「温泉のデパート」的な趣で、まさに別府温泉のような多様なる印象ながら、今回はその中でも東に位置する東鳴子温泉を訪問。温泉街はデフォルトした温泉宿もあり、なかなかに厳しい世相を反映した状況ながらも、街中とはいえ、良質の温泉が湧出しており、今回訪問の湯だけでなく、全体的なトーンとしては「重曹湯」であって、ここは特にその茶褐色の湯の色から「赤湯」といわれているもの。基本的には無味無臭ながらも、木屑のような湯の華成分が多く、そのために茶褐色、赤色のように見える模様。phは6.9~7.7程度と中性。源泉も温度は高いが、加水はせずに投入量を調整することで温度調整している様子。あまり露天風呂は好きではなく、得に「安易なる露天風呂」には嫌悪ながらも、こちらの湯では暖まった体に当たる涼しい風はなんとも心地よく、周囲の森林浴効果もあり、十分なるリラックス効果。この付近には以前として湯治文化があるようで、旅館には湯治部もあって、格安にて長期滞在可能なシステムがまだ残っているが、週末の激走で週末湯治を実現している当方にとっては羨ましい限りで、引退後はぜひ湯治三昧なる生活を、と今からそれを羨望。マニアックなこの地域にはさらなる奥深さがあるものと予想。