Side Steps' Today

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北海道全線阿房列車(7)

2021年05月29日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(7)
定刻1109に来た「おおぞら3号(釧路)」に乗車して釧路へ。途中の帯広では結構な降車客。定刻1320に釧路着も次は普通(根室行き)1326へ乗り換え。乗り換え時間6分というのは、それを逃すとそのあとは数時間全く来ないという状況がノーマルな北海道では、長いようで短く、大変気を揉む時間。列車は鈍行一両編成ながら結構な乗客があるも、釧路を出てしばらく行くと早くもシカ・ゾーンに突入。駅でもないのに列車が汽笛を鳴らして減速すると線路上にはシカが…。シカも「なんだよ…」とばかり、行き過ぎる列車に白きお尻を向けて不満げに見返るという具合でなかなか愛嬌あり。厚岸(あつけし)でかなりの降車客があり、その後列車は一路根室へ。途中にシカが濃い地域が数カ所あり、なかには恐ろしくウジャウジャいる場所も。これらはエゾシカのようだが、増え過ぎが問題というのも分かる。被害は農業被害、森林被害、さらに車や列車等との衝突事故、このシカ害は後に身を以って知ることとなる…。東根室という日本最東端の駅の次は終点の根室。東根室は何もない無人駅だが、根室はここから反時計回りに内陸に入り込んだ位置にあるため、東根室が最東端となる。しかし、終点・根室駅にも負けじと「日本最東端有人の駅」(有人というのはなんだか嫌味がある)との表示があり1557着。同じ列車が1612に折り返すので根室滞在時間は15分間。折り返しの帰路はすでに夕暮れ。霧多布方面に夕陽が落ちようとする中、列車は再び釧路へ戻るが、乗っている客10名程度全てが当方と同じUターン組でJR北海道の苦境が偲ばれる。

【写真】進行方向の線路に群がるシカ。お尻が白くて雪と保護色になっているので見分けにくいが、四角で囲った部分が全てシカ。到ってマイウェイ。一方、見分けて運転を続ける運転士の眼は猟師並み。

北海道全線阿房列車(6)

2021年05月22日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(6)
第一日目(土曜日)
千歳駅前の温度計は氷点下2℃。今日の行程は、まず千歳から南千歳まで1駅移動をし、南千歳0827発の「とかち1号(帯広)」にて新得(しんとく)1003へ。当初は帯広での乗り継ぎを考えていたが、訪問歴のある大都会たる帯広はパスして敢えて新得へ。北海道は電化部分少なく殆どがディーゼル汽車。乗り慣れない身としては排気ガスの香りとその独特の振動がなんとも新鮮。新夕張やトマムを通過して列車は新得へ。外は眩いばかりの白一色の景色だが、今日は快晴であって車内は非常に暑いが、下車すると寒くてなんともコントロールが難しい。新狩勝トンネルを通るが、狩勝トンネルをはじめとして当地北海道には囚人労働やタコ労働により整備されたインフラが多いというダークサイドがある。新得は過去に訪問歴あり、前回はチーズを食べに来たのだが、その時の駅舎も記憶に残っている。今回の目的は駅そばだが、新得には北海道の中で屈指の駅そばがあると聞いて急遽新得に立ち寄ることに。新得では次の「おおぞら3号(釧路)」が1109であるため、1時間ちょっとの待ち時間にて駅周辺の散策と駅そば。駅前に降り立つに目ぼしいものなく駅そばへ。この駅そば、駅前にある蕎麦屋せきぐちが運営しているとのことで、ホーム側にも小さな窓があり、改札を出なくとも購入することが可能。かけそば380円なり。麺は蕎麦殻も合わせて挽いているのかやや黒目。駅そばらしく麺はソフトだが、ネギが新鮮なのか非常にその印象強し。残りの時間は今夜の釧路のホテルをネット経由で予約するが土曜のせいか5800円と意外と高い。

【写真】新得そば。俗に田舎蕎麦と言われる黒い麺がなんともステキ。もっと太くてコシがあれば最上だが。

北海道全線阿房列車(5)

2021年05月15日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(5)
冬の北海道で気になるのは装備だが、全て鉄道での移動とは言えど荷物は軽量化したいので25Lのザック1つにまとめる。なお、重ねてワタクシは「鉄ちゃん」ではないので、写真撮影も一眼レフではなく、レンズの明るいコンデジ1つのみ。ちなみに、いくつかの線で乗り合わせた鉄ちゃんの中には大きなザックに加えてスーツケースをも携えていた猛者も複数いた。ちなみにJR北海道の営業キロ数は記載時点で2488キロだが、これには北海道新幹線や海峡線が含まれる。それらを除き、今回乗車するのは2100キロ。そして夜に東京を出発。
羽田発2000の新千歳行きに乗るが、予想に反してほぼ満席。隣に乗り合わせた男女はニセコにスキーに行く模様で盛り上がっており、楽しそう。一方でこちらは運休にならないか、乗り継ぎに間に合うか、機内でもやや不安な状態。一応、週間天気を見ると滞在中に大荒れの天気は予想されていない。機は定刻に発着し、新千歳には2130。途中の機内上空からは津軽海峡でイカ釣り漁船の放つ光多数。新千歳駅のみどりの窓口にて北海道フリーパスを購入、27430円なり。併せて、南千歳→新得の「とかち1号」、さらに新得→釧路「おおぞら3号」の特急指定席券2枚を調達したのちはエアポート号にて千歳へ行って投宿。今回の主旨は列車踏破、時間があれば「食」ということでホテルは最低水準をチョイスするポリシーのため、千歳のホテルは3300円なり。出発時の東京は15℃だったが千歳は0℃。

【図】第一日目の行程。北海道の2/3ほど東に驀進して根室まで行き、釧路に戻る。

北海道全線阿房列車(4)

2021年05月08日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(4)
なお、前述の「盲腸線」だが、北海道の場合①根室本線(花咲線)の釧路↔︎根室、②宗谷本線の新旭川↔︎稚内、③留萌本線(深川↔︎留萌)、④日高本線(苫小牧↔︎鵡川※1)※1鵡川↔︎樣似間は2015年の高潮被害で不通になっており、訪問時はバスによる代行運転だったため、今回の踏破計画からは除外、⑤室蘭本線(室蘭↔︎東室蘭)、⑥函館本線の長万部↔︎函館間となる。また※2根室本線(東鹿越~新得間)は、2016年8月の台風による被害のため不通。同区間もバス代行輸送を行っている。さらに盲腸線ではないが本数激少路線も。函館↔︎森では駒ヶ岳を回る格好で列車が一周しているが、海岸線沿いの鹿部を回る路線があり、これが本数が極めて少ない。さらに同じく函館本線の長万部↔︎小樽間(正確には小樽ではなく倶知安か)も極めて本数が少ない。このような路線は、一本でも乗り損なえばもうアウトというスケジュールになるため、どうしても気が抜けない。スケジュールを立てている時点でもうドキドキしてしまう内容だ。各停鈍行でゆっくり景色を…という旅のはずが、いつの間「乗り継ぎスケジュールを守りながら間に合うかどうかハラハラし続ける旅」になってしまい、次第に訳が分からなくなってくる…。

【図】盲腸線の分布。当たり前だが、行ったら帰ってこなくてはならない。特急が走っている路線なら、行きは鈍行、帰りは特急ともなるが、鈍行しかない路線は…。

北海道全線阿房列車(3)

2021年05月01日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(3)
結果、新千歳を中心とした北海道を反時計回りで一周する格好になる。天候等で運休となり途中リタイアした場合を考慮し、まずは廃線となりそうな路線に乗ることを最優先として主要幹線は後日の訪問時に後回しすることも可能なコース取りになっているが、平均してみれば朝6時には列車に乗り、日没の17時半程度には切り上げるというスケジュールが6日間連続する。観光地などはほぼ見ることがない。また乗り継ぎスケジュールによってランチを取れない日もある。一日12時間も座っていれば発狂する、もしくはフィジカルにお尻が痛くなる可能性は想定されるのだが、一番のリスクとして事前検討すべきはトイレ。数時間乗りっぱなしというケースはザラなのでトイレが一番の問題だが、これは結果として杞憂。さすが北海道の列車は鈍行1両のみの運行であってもトイレ完備! 列車の(単線での)行き違いや接続による時間待ちの数分間を狙って駅トイレに駆け込む、もしくはそれまで我慢で耐え忍ぶ必要は全くない。なお、こちとら、タダでさえ1両編成の中にトイレがあるなど全く予想だにしなかったことから、3日目までその存在に全く気が付かず。なお、北海道でも流石にそのまま排泄物を線路にタレ流しではなく、タンクに貯めている。水洗になっており、流してみるとかつての航空機のトイレでみた青色の水によって洗浄されるのがなんとも懐かしい。さすがJR北海道、トイレはいつも清潔な状態に保たれているので、「近い」方でも安心して列車の旅を続けられる。

【写真】トレイは清潔。ロールぺーパーの末端は三角に折られて清掃後をアッピール。尾籠で恐縮ながら青い水流を撮影。