Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

北海道全線阿房列車(11)

2021年06月26日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(11)
知床斜里を過ぎると釧網本線は海岸線に出るが、気になるのは流氷。当然ながら流氷シーズンではあるものの、ここ数日(北海道にしては)暖かい日が続いていたせいか、流氷の接岸はなし。ただ水平線付近には明らかに水平線とは違う白い線が見えており、それが流氷であった。ここ列車から見ている高さが5mの時、水平線までの距離は概算で3570√5=8km。そう遠くないところまで流氷が来ている(その後、網走駅での観光砕氷船の情報では「本日流氷 遠いけど…あり」)。この普通列車の乗客には流氷目当ての客も多いようで、何もない無人駅たる北浜で多くが下車。砕氷船の乗り場かなにかあるのだろうか。0917網走着。次は普通(遠軽行き)1020に乗るため1時間ほど待ち合わせ。網走も土地勘あり、以前に宿泊したこともあるが、網走駅は中心街から外れた位置にあるため駅周辺には目ぼしいもの皆無。昼食を調達しようにも駅前からの視界にコンビニ無し。止むを得ず付近を散策したのち、駅待合所にて本日のホテルを予約、旭川駅前で3780円なり。北海道の列車始発は出発定刻の15分前には入線していることから、早めに改札を通って列車へ。1020に遠軽行きが出発。北見までは複数の乗客が乗り合わせるも、北見を過ぎると二両編成の一両目の乗客は自分のみ…。

【写真】後日見返すだに、なにを撮影したのか一瞬わからなかったが、おそらく水平線位置に見える流氷をどうしても撮りたかった様子。青く映る横線がそれだが、肉眼では白く見える。

北海道全線阿房列車(10)

2021年06月19日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(10)
第二日目(日曜日)
釧路0603発の網走行き普通に乗車。これから釧網本線を北上して網走へ。この水準の格安ホテルともなると、食い逃げならぬ「泊まり逃げ」があるのか全てが前金制。こちとら5時半にチェックアウトなので却って都合良し。日曜ということもあり乗客は観光客がほとんどだが、列車は一両のみで決して満席ではないが、寂しいほどでもなく適度な賑わい。天気は曇天で粉雪混じりで北国らしい色合い。釧路湿原を左にして列車は進むが早速にシカと遭遇。こちとら昨日の根室本線花咲線でお馴染みだったので全く新味はないが、後方席に座る鉄ちゃん(男性ソロ)には衝撃だったらしく、シカを見つけるたびに「シカだ、シカだ」(1頭見つけても必ず復唱)と独りごちながら連呼。しかし半時間もシカが連続登場するとさすがに新味を失ったのか連呼も止む。しかし、そんな当方にも衝撃だったのは茅沼(かやぬま)駅。停車すると左手の雪原には普通にタンチョウが!さらなる驚愕は駅前広場にもタンチョウが!!車内は騒然。シカ連呼の後方席の鉄ちゃんも「タンチョウだ…」と絶句。ここから摩周、川湯温泉をぬけると右手に壮麗な斜里岳が出現。すると突然、頭の中にはKAZAMA-BAND『知床の風』が…。時刻的に「黄昏迫る斜里」ではないが、その奥遠くには「虹をかけてる羅臼岳」も見える(こちらも虹はナシ)。冬の北海道は雪を頂く山が特に美しい。今度は山の写真を撮りに来ようか、とも。

【図】第二日目の行程。結果、釧網本線(釧路~網走)が一番見どころあり、面白かったかも…。

北海道全線阿房列車(9)

2021年06月12日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(9)
夕食はあらかじめ目を付けていた「つぶ焼かど屋」へ。創業昭和41年のこの店、かなりエッジが効いておりメニューは①つぶ焼き、②ラーメン、③飲み物(ビールや酒)のみという潔さ。19時過ぎでも客は2名しかおらず、カウンターに着席すると同時に①つぶ焼き(900円)、②ラーメン(700円)をオーダー。ちなみに①つぶ焼きとは「つぶ貝」を焼いたもの。焼く際には貝殻の中にタレを差し込んで焼くが、これが非常に美味。焼きたてで熱いので紙ナプキンにて貝殻を掴み、竹串で貝本体を引き抜いて食したのち、残ったツユを飲み干す具合。ツユも当然に熱いので気をつける。なお、つぶ貝は雄雌があるのか個体により尻尾部分の味が違う。ここは寿司では出てこないパーツだ。中身を食したのち殻にのこったツユを飲むが、ちょうど法螺貝のミニチュア形状たるつぶ貝の貝殻先端に口をつけてツユを啜る姿は、側から見れば修験道者が法螺貝を吹くが如くであり、やや滑稽。そしてラーメン。醤油ベースだが出汁の関係からやや酸味のある味。北海道のラーメンらしくスープのトップは油。油面の奥にスープがある具合だが、なんだか懐かしい味。余裕があれば貝をもう一卓食べたいところだが、明日以降に備えて帰還。腹ごなしに勝手知ったる釧路の繁華街を抜けて釧路川まで。ムーディーな幣舞(ぬさまい)橋を見遣ったのち、コンビニで朝食を調達。なにしろ明日は釧路0603発の普通列車でまずは網走に向かわねばならない。

【写真】つぶ焼き。貝マニアには堪らないが、店の叔母様に「フタは食べられないから…」とクギを刺される(一応、知っていますが)。

北海道全線阿房列車(8)

2021年06月05日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(8)
往き同様にシカが濃いエリアを走るが、今回の運転手は汽笛を鳴らさずに徐行してシカが退散するのを待つスタイル。釧路に着いたあとの接続やUターンはない、という時間的余裕によるものか、それとも汽笛にシカが慣れたら更なる方策はない、という為か。しかし最初は温厚だった運転手も1720ごろから陽が落ちて暗くなるにつれて汽笛を多用。陽が落ちると周囲は真っ暗で、時折、並走する国道の車のテールライトが見える程度。途中に厚床(あっとこ)には旧標津線の分岐の表示。標津線は1989年4月に廃止になっており、この豪雪地帯では除雪が大変なようで「岩見沢から救援にきたロータリー除雪車が昼夜兼行の作業でも、開通まで12日間もかかった記録が残っている」。北海道にはこのような無茶な記録や逸話が多数残っている。JR北海道はメンテコストとの戦いである。しかし、このような廃線跡がいたく旅情をかき立てるのは何故(なにゆえ)なのか。往き同様、厚岸から乗客が乗り込んでくるが、往きで見かけたメンツも。厚岸Uターン組は一体ココで何をしていたのだろうか(厚岸Uターンだと1419ー1755と2時間半滞在できる)。釧路1851に到着すると徒歩にて5分ほどのホテルで荷を解き、早速夕食へ。今日は10時間、578キロほどの初乗車だったが、身体的な異常は無し。気力も十分で、勝手知ったる釧路の街を散策するが、除雪のあまい路地は雪が凍っており滑って危険。ここで転んで骨折→搬送という愚は避けたい。

【写真】根室本線(花咲線)、霧多布(きりたっぷ)付近への落日。哀愁の斜陽感たっぷり。