Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

玉肌日記

2022年04月30日 | 玉肌日記
【恵山温泉(北海道函館市柏野町)】
恵山(えさん)は函館市内から東方に1時間ほど走った位置にある火山で、良質の温泉が湧出している。こちらは前から目をつけていたものの、なかなか訪問する機会に恵まれなかったがようやく訪問が叶う。なかなか年季の入った温泉旅館で、所用を済ませて訪問できたのは平日17時頃だったが玄関の電気を消えており「休業か…!」と一瞬焦るも、また函館市内から1時間をかけて再来することを考えるとダメ元でドアを開けて声を掛けるも「入浴可能」とのこと。「もう誰もこないから閉めちゃった」(ご主人)とのことで、誰も居ない館内を浴室へ向かう。ご主人「途中、犬を放してあったんだけど吠えませんでした?」、「!! いやぁ~気配すら感じませんでした…」。浴室への途中には、よほどクレームや質問が多いのか「石鹸は使用できません」という表示が目立つ。排水などの環境配慮の観点から使用できないのではなく、この温泉が強酸性の湯(pH2.4)だから。それを意識してか、浴室の入口に「石鹸は効きません」と的を射た日本語で朱記されたプレートが貼り付けられている。さらに付近の壁には「酸性明礬緑礬(みょうばんりょくばん)泉に付き石鹸は使用出来ません」とその化学関係にまで言及した具体的なプレートもあり、否が応でも期待感が高まる。温泉成分表には「酸性・含鉄(Ⅱ、Ⅲ)ーアルミニウム・カルシウム硫酸塩温泉」とある。入浴するだに、その湯は全く素晴らしく湯の色はなんとロゼ色!湯温は低めであって体感としては40℃程度で非常に快適(成分表の泉温は40.2℃となっている)。そのロゼの中には澱たる湯の華が混じっており、なんだか恍惚感さえある。浴室にはザンザと掛け流しの音のみが響いており、源泉掛け流し。湯は酸っぱいが適度な酸味で、なんだかこのような飲み物が世の中にはありそうと思われるほどに(温泉としては)美味しい。浴中には肌にキシキシ感があるがこの湯が目に入ると猛烈に痛いという前評判を聞いていたことから、つい開放感に気を許して無意識にうっかり洗顔してしまわないように慎重に入浴。改めて素晴らしい温泉という一言に尽きる。

玉肌日記インデクス(地域別温泉リスト)

①北海道 ②東北 ③関東 ④中部 ⑤近畿 ⑥中国・四国 ⑦九州・その他


フォアグラ日記

2022年04月23日 | フォアグラ日記
ステーキ英二(ステーキ/渋谷)
ついに訪問。渋谷・百軒店(ひゃっけんだな)という猥雑な場所で、これまで何度もフラリと訪問したが常に閉店中という憂き目にあってばかり。(実際に行ったらワンオペだったと判明したが…)営業は不定期な印象強く、その結果として周囲の意外な料理店を発見するといった副次的効果もあったが、今回は事前に開店の情報を得て、ついに目標達成(公式ページはツイッターしかない様子)。コロナ禍でも店内は結構な客の入りだが、ステーキは肉質や量によって価格が違うも今回はハラミ350gをオーダー。ハラミといえば横隔膜というリアルな部位名がどうしても頭にあるため、焼肉時でも敬遠しがちなのだがこちらではメニューの一押し的位置に書かれており、ミーハーを自覚する身としてまずはこれをオーダー。しかし、いきなりサラリと出てきたサラダでKO…。クリーミーなドレッシング(韓国料理店でのトウモロコシソースに酷似)が乗っており混ぜて食するに強烈なニンニク・パンチ!ドレッシングというよりニンニク・ペーストという表現が正しく、ニンニクの刺すような苦味が喉奥に残る。それが癒えぬままにステーキへと突入するが、サラダのこの状況を事前に知ることなく「にんにく醤油」ソースをセレクトしていたので、大丈夫かと気になるも横隔膜自体のチョイスは正解。リブロースと比較したが適度な歯応えがあって美味。しかしニンニク醤油のパンチも強烈で、沈澱部分まで肉を潜らせるとこれまた強烈なるニンニクの刺激。食すだに自ずとなぜか息遣いが荒くなってくる…はあはあ。サイコロ状なので食べやすいことこの上なく一気に食するも、さらにガーリックライスが追撃。これもニンニク感満載で、サラダ→ステーキ→ガーリックライスの全てがニンニク→ニンニク→ニンニクと、全くニンニクの支配下にある。体感的にはニンニク5個程度を食した感あり、ニンニク専門店訪問時と同等かそれ以上のニンニク臭。ニンニクの大量摂取にて血中のヘモグロビンが減少したせいか、ややフラフラしながら帰宅。経験則的にはこのニンニク感がカラダから抜けるには36時間要する。店内はブラックミュージック一色ながら、中には長渕(剛)もあって統一感なくこれまたサイケ(デリック)。

北海道全線阿房列車(39)

2022年04月16日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(39)
モエレ山頂からは360度パノラマの景色が広がる。丘珠空港も見え、ちょうどプロペラ機が離陸している。下からみれば「登っている物好きがいるよ…」と丸見えでもあり、ちょっと恥ずかしい。さっさと景色を堪能したのちに下るが、これが結構な難儀。尻餅をつくが如くヘッピリ腰にて下るが、足を滑らせればゴロゴロと滑落するのは必至。ここで遭難はしたくない。重心を落としてやっと下山、結果、汗だく。他のモエレ山以外の施設は雪に埋もれ、また時間が早いこともあり営業はしておらず、再びバスに乗ってホテルへ。バス乗車中に猛烈なる一時的な降雪あり、これがモエレ山登山中であれば遭難したかも。0900ホテル帰還、シャワーを浴びると帰京準備。1000にはチェックアウトして札幌中心部を物色。対象は北海道郷土関連書籍だが、大規模書店が多くて品揃えも豊富。数冊を記憶に留めると早めのランチと取るべく「珈琲とサンドイッチの店 さえら」へ。定番のタラバガニとフルーツのサンドイッチをオーダーするも、繊細かつ淡い味わいで良し。札幌駅前に東急があるのが驚愕かつ非常な違和感があったが、駅付近の店舗を物色したのち、札幌駅から1236快速エアポートで新千歳へ。新千歳は初めてということもあり、空港を見学したのちラウンジで一服。羽田と違って土産物屋は全店オープンしており、相応に集客していたがこちとら目ぼしいもの見当たらず。1530羽田行きで帰京。結果、JR北海道の営業キロ数2106キロ(海峡線や北海道新幹線等除く)のうち、踏破したのは2001キロ、95%の乗車達成率。なお、盲腸線での往復等や重複区間を含めれば2645キロ乗車したことになる。尾籠ながら27430円の北海道フリーパスの回収を計算すると、正規運賃は73430円となるため268%の回収率(リカバリー)。なお、帰京便は自宅上空を低空飛行するかと期待していたが茨城県霞ヶ浦方向から羽田にアプローチ。(完)

【図】第七日目の行程。さようなら北海道、またいつの日か。

北海道全線阿房列車(38)

2022年04月09日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(38)
第七日目最終日(金曜日)
早朝に起床し、札幌地下鉄とバスを乗り継いでモエレ沼公園へ。彫刻家イサム・ノグチ設計の公園だが、「モエレ山」という不燃ごみと公共残土を積み上げて造成した標高62mの山があり、以前から気になっていたのでこれを機会に訪問。冬であればまた景色も違うだろう。地下鉄東豊線で環状通東駅まで行き、バスに乗り換え25分程度で7時半ごろ到着。早くもバス車内からモエレ山が見えてくるが、完全に冠雪。バスを降りてモエレ山まで10分程度歩くが、本来は3本のアプローチルートがあるものの、周囲を回るだにルートが雪におおわれていて見えない。そもそもルートにたどり着くまでに膝下の深さの雪中を進まねばならず、ルート調査に苦労したが、直登ルートは上部階段部分は融雪しており、このルートと見定めて雪原を登る。平日のせいか、これまで園内ですれ違った人は3人のみ。そのような中、登山しているのは地元民から見ればかなり奇異に映るだろうが、是非頂上からの景色を見たい一心で雪原を登山し、直登ルートに取り付く。こんな気持ちで雪山登山して遭難するのか、とも思いながら雪の中を前進。踏み固められていない雪はズボと膝まで沈み込むが、次第に固そうな場所は見当がつくようになり、融雪した階段部分に取り付き成功。あとは階段を登り、ついに0755登頂に成功。

【写真】登頂成功後のモエレ山の直登ルートを見遣る。当方が登ったので、ラッセルによって最初は無かった道ができた?

フォアグラ日記

2022年04月02日 | フォアグラ日記
O's House(ステーキ/沖縄県那覇市)
昔なつかしのステーキを食した後は、もっと現代的なそれを求めてジャッキーステーキハウスの至近にあるコチラへ。夕食時ではあったが、かなりな人気店のようで店内は予約で満席状態。そもそもこちらを知ったのはレビュー等ではなく、その名前と店構えのみの情報だったのだが、名店は名前と店構え(とくに後者)にそれが現れるものだ、と痛感。こちらでも一押しと思しきテンダーロインをオーダー。表記がグラム表示でなくoz(オンス)表示なので一瞬戸惑うが30倍程度をイメージして8ozをオーダー(実際には225g程度)するも、最初に供されるのはアサリのバター蒸しでかなりの意外感。沖縄とアサリというのがなんだかマッチしない(もっと大きい貝が獲れそうなイメージだ)が、気取っては食べにくいもののワインと合いそうなバター感たっぷりの味付け。肝心のステーキだが非常に上品で肉肉しさは少ないが、なかなか美味。なお、こちらもミディアム・レアのオーダーだが、かなりレアな状態で沖縄の焼き加減は全般的にレア方向にバイアスがかかっている様子。当方にとっては好ましいが、レアをオーダーするとどうなるのだろう、という気も…。こちらでは塩・胡椒の他にオリジナルのステーキソースが出てくるが、これをかけるもののやや微妙な主張具合。他に擦り下ろしニンニクやマスタードもあり、各人がこれらを駆使して自分の好みの味を見つけていくことが望まれている様子で、他であるようなソースの味に各店のこだわりがある(なので塩・胡椒さえデフォルトで置いていない)というよりは、各自がそれぞれの趣向に合わせて味付けをして食するスタイルが沖縄流。これを自由度があって好ましいと見るか、ソースに工夫が乏しいと見るか。こちらが名店たるのは素晴らしいホスピタリティ。沖縄は総じてホスピタリティ水準が高いが、こちらも同様。他にすき焼きやしゃぶしゃぶもあるようだが、そのラインナップは地元の方が多い証左か。観光客にとって、沖縄ですき焼きやしゃぶしゃぶを食べることはあまりないものと想像。