Side Steps' Today

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シリーズ「弦を煮てみる」(3)

2022年06月25日 | 機材マニアック
シリーズ「弦を煮てみる」(3)
ここでもふと疑問、この後に水に晒して締めるべきか否か。麺でなく弦なので冷水で締める意味は不明ですが、ここは敢えて湯切りをしたまま、清潔なタオルで弦から水分を拭きとることにしました(根拠なし)。湯切りした弦は高温の可能性があるため、トングで恐る恐る拾い上げて触れてみるに全く熱くなく、すぐにでもタオルで拭き取れる状態。弦一本一本を丁寧に拭いた後に、天日干しで乾燥させます(根拠なし)。なぜか沢庵(たくわん)を作っているような錯覚に襲われますが、ほぼ半日程度の天日干し(干し時間に根拠なし)にて作業終了。あたらめて沢庵ならぬ天日干し後の弦を確認しますが、特段の著変は見られず、かといって新品のような感じでもなく、なんとも外観はビミョー。そして再度ベースに弦を張ります。注目の煮沸弦の張り替え結果ですが…。意外に回復しました。張っているときから、従来とは違ったポジティブな手応えを感じます。そして試奏。張り替え直後の感覚ですが、1~3弦(GDA弦)は90%程度に回復した印象でスラップの時にでるBuzz(バズ)も比較的綺麗に鳴る。一方で4弦(E限)のBuzzは20%程度しか回復せず。個人的趣向では低音弦、つまりEやA弦で綺麗なBuzzが出るのがベストなのですが、E弦の回復はイマイチ。結果として、E弦だけやや曇ったサウンドになって楽器全体でのバランスは悪くなったかもしれません。加えて、張り替えて数分弾いていると特に1・2弦のチューニングがフラット(音程低下)に。古い弦なので既にある程度伸びきっている?という感覚だったので、新品弦のように次第にフラットしてくるというのはちょっと意外、これも煮沸により新品のように縮まったのか? 結果、意外な回復を見せた煮沸弦ですが、今回の措置がカンフル剤注射という単なる延命処置に過ぎず、それが切れるとまた死ぬという可能性も十分に想定されることから、これから数日の状況を観察していきます。
【写真】ベース弦を湯切りする、の図。

シリーズ「弦を煮てみる」(2)

2022年06月18日 | 機材マニアック
シリーズ「弦を煮てみる」(2)
しかし!いざ鍋に投入という段になって悩むのは①水から加熱して煮沸させるべきなのか、それとも②予め煮沸させた熱湯に投入すべきなのか、という重大な問題。料理でいえば①ゆで卵方式なのか、②インスタントラーメン方式なのか、ということです。どちらにするのか理論的な根拠は皆目見当もつきませんが「しっかり煮る」ことを主眼に①(弦を入れて)水から煮沸する方式(茹で卵方式)とします。そもそも、しっかり煮た方がよいのかさえ自信がありません(根拠なし)。弦を鍋に投入して水を張りますが、パスタを茹でるが如く水はケチらずにタップリ入れて茹であげます(根拠なし)。火は強火(根拠なし)、ちなみにパスタではないので塩は入れない(為念だがこれも根拠なし)。点火して暫く思うに「何分煮沸すればよいのだろう?」。ただひたすら煮続けるわけにもいかず、とは言っても合理的な時間さえ見出すこともできず、結果、人類最高の叡智たる発明=インスタントラーメンの平均的な茹で時間である「3分」を目安とします(根拠全くなし)。ところがここで大トラブルが発生。外出していたと思っていた家人がおもむろに帰宅…。キッチンで菜箸片手になにかを茹でる姿(一応、均等に茹であげるために攪拌していました…=これも根拠無し)を発見され、思わず激しく動揺。おもいきり挙動不審なのがわかったようで、早速なにをやっているのかとの御下問。「弦…」というと「はあ?」という至極当然な反応ながら、「ついに発狂した?」と思われたのか怪訝なる表情ありあり。再度「なにを煮ているのか」と問われ、「弦…」「はあ?」という思いきり気マズい時間が流れます…。仔細を必死に説明(というか弁解)するに、弦から有毒物質が溶け出やしないか気にしているようなので「溶け出るわけがない。溶け出るのならベース歴30年以上のオレはすでに中毒で死んでいる」(家人の手前、自信満々に断言するもこれも全く根拠はないが死んでいないのは事実)との説明し、一応の納得を得ました。ここ最近で最もドッキリさせられた瞬間…その動揺のあまり、当初の「茹で時間3分」を大幅に超過し、かれこれ5分は茹でている状態なので慌ててザルで湯切りをします。
【写真】ベース弦を鍋で煮詰める、の図。

シリーズ「弦を煮てみる」(1)

2022年06月11日 | 機材マニアック
シリーズ「弦を煮てみる」(1)
半ば都市伝説化しているものとして「弦を煮ると生き返る(復活する)」というものがあります。思い起こせば、当方も高校生の時に若気の至りとばかりに実験的に煮てみたことがあります(それは現実逃避的な深夜の試験勉強中だったとの記憶)。その後、今日に至るまで煮ることは一度もなかったので、当時の結果は全く捗々(はかばか)しくなかったのだろうと思います。しかし、高校生の時から弦の生死をケアしており、その打開策として風評だけを頼りに煮てみた、というのはなんと先進的な高校生だったのでしょう!(自画自賛)。というわけで、今回はちょっとは大人の冷静な目線で煮てみることに…。コロナ禍ということもあり、街まで出て楽器屋で弦を買うのもちょっと面倒だし、ましてや通販で激安弦を1セット(送料無料で500円程度)のみ購入するのも宅配便や郵便配達の方に誠に申し訳ない。というわけで早速煮てみるのですが、いきなり困難に直面。それは予想だにしなかった家人の視線…。風評や事情をしらない般ピーが見れば「ついに発狂した…」と思われても致し方ありません。キッチンで煮るのですが、なかなか家人注視の中ではできず、結局、留守中に独りになったタイミングを見計らって早速キッチンへ。まずはベースから弦を外して軽く丸めた後、いつもはパスタ等を茹でている大きめの鍋を借用して投入。煮沸前には念のために弦の状態を確認しましたが、明らかなサビ発生等による変色や異常は全く見当たりません。この弦は2年ほどは張りっぱなしで弾いている(‼︎)のですが、巻線の間に異物が挟まっているわけでもなくパッと見の限りではなかなか綺麗でまるで新品のよう…。しかし誰に目にも明らかなのは、弦にフレット跡が明確にシッカリ刻まれています。加えてヘッド部分のストリング・ガイドの部分の跡も。マンドリン用の幅狭+高いステンレス・フレットを打っているので、これに硬度で負けているのか、弦の巻線部分がフラットになるまで摩耗しています。この弦はラウンドですが、フレット部分だけをみるとフラット・ワウンド。一方でナット(カーボン)、もしくはブリッジ(BADASS IIなのでブラス=真鍮製)部分は大丈夫な模様です。これまで演奏で弦を切ることは滅多になかったものの、切れるのはブリッジ部分だったので念のためにも確認です。
【写真】クッキリと浮かびあがるフレット痕。再生し続けるとココから切れる?(まで使い切りたいものです…)

九州全線阿房列車(4)

2022年06月04日 | 畸観綺譚
九州全線阿房列車(4)
第1日目
今日はまず枕崎線にのって枕崎を目指す。枕崎線は薩摩半島の先端にあるため、鹿児島中央から盲腸線となり往って来いになる。枕崎線の始発は0447という衝撃の早朝。山手線始発と同じ時間帯だが、いったい誰が乗るのか。これを逃すとその後の旅程、つまり本日中に宮崎まで到達する行程が成立しない。緊張のあまり3時に起床し、駅前ながら4時すぎにはホテルをチェックアウトする。駅では「旅名人の九州満喫きっぷ」の第一回目に検印をもらう。これで今日1日はどこでも乗降自由となるが、目的の枕崎線ホームには車両はなし。これを最初としてこの後にたびたび遭遇することになるが、JR九州はホーム構造が変わった駅が多く、そのホームどこにあるの?という場所にそれがあることがあり、初見でわかりにくい。乗り継ぎに時間がない場合など焦ってパニクりそうではあるが、なんだか九州の南端の鹿児島といえどさすがに寒い。発車10分前程度にイエローのディーゼル車4両編成が入線してくる。0447という時間帯、更にはこの先かなりのローカルさが予想される中で豪華な4両編成とはいったい誰が乗るのかと大変不可思議。ホームで待つのは大変寒いので早速車内に入るが、車内も十分冷えていて暖房なぞ効いていない。寒冷地では待機中もドアを閉めており、乗客が自らボタンでドア開閉させて暖気を逃がさないというのが通例だが、ここ南国鹿児島ではそのような配慮は一切なく全開放。寒い…。当方目視による乗客は4名ほどで0447発車。乗客に学生はおらず、この先の指宿温泉街に出勤するようなご婦人もいる。
【図】第一日目行程。黒線部分が本日のノルマ。達成できないと以降の全行程が狂うのでこちとら必死。