「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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「政権ファースト、自分がメディア」から脱却するには、国民ひとりひとりが、メディアリテラシーを高めること。

2017-10-16 16:11:00 | メディア・リテラシー
 メディア操作に、負けない眼を養っていきたいものです。

 「政権ファースト、自分がメディア」から脱却するには、国民ひとりひとりが、メディアリテラシーを高めることが必要です。


**********朝日新聞20171003 オピニオン面********************************

■不安な国民と共依存狙う 遠藤薫さん(学習院大学教授)

 安倍政権の本質を一言で言うなら、「政権ファースト、自分がメディア」。政権の存続が最優先で、第三者的なメディアは遠ざけ、政権が情報発信メディアになっている。

 そんなメディア戦略の肝といえるのが、政治とメディアがあたかも同じ土俵に立って対立しているかのように見せる点です。米国のトランプ政権と同じやり方と言えます。

 本来、メディアは政治権力者を監視・評価するもの。客観的な立場に立つことで、民主主義社会のインフラとなります。しかし、現在は政権がつくり出した二項対立の構図に惑わされている。政権から「偏向報道」と批判されると、当たり障りのない報道へ自主規制してしまう。そんな姿を見て多くの国民は前回の総選挙後の私の調査に、「マスコミの選挙報道は自民党寄りだった」と回答しました。

 安倍政権は状況の枠組みを政権に都合よく設定する戦略にたけています。巧みな点は争点を無効化し、選択肢を唯一化すること。前回総選挙のキャッチコピーは、「景気回復、この道しかない。」でした。景気拡大期間は戦後3番目になったが、国民の実感は伴っていない。にもかかわらず、解散を表明した会見で安倍首相は「アベノミクスをさらに推進することで解決する」と主張。国民のための経済は争点とならず、アベノミクスへの期待が唯一の選択肢のような空気がつくられました。未来を担保にして現在の絆を強くする。そんな国民と政権の「共依存」の関係ができあがっているのです。

 今回、「国難突破解散」と名付けたのも巧みです。「国難」という旗印は一部の政策の矛盾も見えなくします。森友・加計問題で急落した内閣支持率も北朝鮮問題で再浮上しました。少子高齢化などあらゆる課題を「国難」とすることで、国民の不安をあおり「共依存」に持ち込もうとしているようにも見えます。

 また、安倍首相が故郷で墓参りする姿はしばしばメディアで報じられます。これを岸信介―佐藤栄作―安倍晋三と続く血統を誇示するパフォーマンスとみるのは、うがち過ぎでしょうか。経済格差は拡大し、個人化が進み、自己責任論も強まっている。自由や競争に疲れた多くの先進国の国民には、伝統的な復古主義が受けいれられやすくなっているように見えます。

 小池氏率いる希望の党が民進党を一部吸収し、今回の選挙は「政権選択選挙」とも呼ばれるようになりました。しかし、希望の党と自民党の政策に大きな違いはなく、選挙後の保守大合同もありえます。小池氏は安倍首相や橋下徹・前大阪市長を上回るメディア巧者です。

 メディアは政治家たちの手のひらで転がされるのではなく、全体の構図を国民にわかりやすく提示して欲しい。

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 えんどうかおる 52年生まれ。専門は理論社会学、社会情報学。編著書に「ソーシャルメディアと〈世論〉形成」など。
 
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