「のりお先生」という小学校の先生から、『小学生までに身に付ける子どもの作法』(PHP)という本をご紹介いただいた。著者は、野口芳宏氏。国語教育で有名な教育者である。
親が子どもにきちんと「しつけ」をすること。この当たり前のことが、切実に求められている。それが今日の日本だ。心を育てる教育、道徳・感性・愛国心を育てる以前に、「しつけ」が問題なのである。「しつけ」のできない親。いや、どうしたら「しつけ」をできるのか、わからなくて悩んで、困り果てている親が多いのだ。そこに差し延べられたやさしい手が本書『小学生までに身に付ける子どもの作法』である。
野口氏は、「あとがき」に、「家庭教育は国語教育と並んで私のライフワークです」と書いている。小学校の先生だった野口氏は、「楽しく素敵なイラストが入った家庭教育の本」を書いてみたいと考えていたそうである。そしてその願いどおり、この本は、子どもと一緒に読めるような、わかりやすく、楽しい本になっている。きっと幼児や小学生の子どもを持ったお父さん、お母さんに、そして幼稚園や小学校の先生に、この本は役立つ。そう思う。
出版社・著者からの内容紹介を引いておこう。
「『作法は、人を幸せに導くお守り』です。世の中で生活していく上で必要とされる、さまざまな手本となる正しい決まり[作法]を身につけると、誰からも愛され親しまれます。さらに、品位も生まれ人間としての円熟味が加わり、何よりも本人が楽しく幸せな日々をおくることができます。
この作法の基本は、実は子どもの頃の家庭教育によって形作られていくもので、幼児期、小学生時期のいわゆるシングルエイジの基準感覚形成時期に身につけることが大切。作法を身につけるのに、大人になってからでは遅すぎる!のです。
『ありがとう』『すみません』と必要に応じて言わずにはいられない、という『基準感覚』はセンスです。幼い時のしつけがこのセンスを育てます。時期を逸すると感覚の形成やその修正は困難になります。
この本は、大切な幼児期、小学生の時期のうちにぜひとも身につけたい『基準感覚』を育むためのハンドブック、ガイドブックです。」
国語教育の大先生が、ここで「シングルエイジ」などというカタカナ語を使うとは思わなかったが、「シングルエイジ」とは、0歳から9歳まで、一桁の年齢のことだ。
昔から、「しつけ」は「つ」のつくうちにせよ、といわれる。「一つ、二つ」と年を数えるが、最後の「九つ」までに、しっかり「しつけ」をしないとだめだよ。後になってからでは、身につかないよ、ということである。
野口氏のいう「基準感覚」とは、「人間として必要な基本ルール」に関する感覚のことらしい。人間関係の秩序や礼儀に関する感覚は、幼い時に身につけさせないといけない。それができないと、やっていいことと悪いことの区別がつかず、絶対やってはいけないことに対しても鈍感な人間になる。
「はじめに」という文章が、この本には、二つある。一つは「お父さん・お母さんへ」。もう一つは「この本を読む子どもたちへ」。大人にも子どもにも、素晴らしい呼びかけが書いてある。
そして私が感心したのが、イラストのページ。親が子どもと一緒に読める。子どもだけでも、絵本のように読めるだろう。楽しい絵が並んでいる。「挨拶の作法」「話す時と聞く時の作法」「食事の作法」「街を歩く時の作法」が、順にわかりやすく、一つ一つ品格高く書いてある。
イラストの前には、日常的な作法や挨拶の持つ意味についての解説がある。簡潔でいて内容が深い。「しつけ」は、理屈なしに教え込むものだが、子どもはある程度の年齢になると、どうしてそうするのか考え、反抗したりする。そういう時、親が、どうしてこういう挨拶や言葉遣いをするか、その理由を言い聞かせられるように、この本は手立てを与えている。
本書は、すぐ役立つ実践的な「親学」の手引書となっている。正直言って、私は反省した。親として恥ずかしいことに、いくつも気がついたからだ。もっと早く出会いたかった。子どもはもう高校生だ。10年前にこんな本があれば、もっとよい子育てができたかも、と考え込んでしまった。
そんな先輩の反省を込めて、子育てしている人、子どもたちにかかわっている人たちに、本書を手にしていただきたいと思う。
参考資料
・拙稿「道徳教育は『しつけ』から」(4月2日と3日の日記)
親が子どもにきちんと「しつけ」をすること。この当たり前のことが、切実に求められている。それが今日の日本だ。心を育てる教育、道徳・感性・愛国心を育てる以前に、「しつけ」が問題なのである。「しつけ」のできない親。いや、どうしたら「しつけ」をできるのか、わからなくて悩んで、困り果てている親が多いのだ。そこに差し延べられたやさしい手が本書『小学生までに身に付ける子どもの作法』である。
野口氏は、「あとがき」に、「家庭教育は国語教育と並んで私のライフワークです」と書いている。小学校の先生だった野口氏は、「楽しく素敵なイラストが入った家庭教育の本」を書いてみたいと考えていたそうである。そしてその願いどおり、この本は、子どもと一緒に読めるような、わかりやすく、楽しい本になっている。きっと幼児や小学生の子どもを持ったお父さん、お母さんに、そして幼稚園や小学校の先生に、この本は役立つ。そう思う。
出版社・著者からの内容紹介を引いておこう。
「『作法は、人を幸せに導くお守り』です。世の中で生活していく上で必要とされる、さまざまな手本となる正しい決まり[作法]を身につけると、誰からも愛され親しまれます。さらに、品位も生まれ人間としての円熟味が加わり、何よりも本人が楽しく幸せな日々をおくることができます。
この作法の基本は、実は子どもの頃の家庭教育によって形作られていくもので、幼児期、小学生時期のいわゆるシングルエイジの基準感覚形成時期に身につけることが大切。作法を身につけるのに、大人になってからでは遅すぎる!のです。
『ありがとう』『すみません』と必要に応じて言わずにはいられない、という『基準感覚』はセンスです。幼い時のしつけがこのセンスを育てます。時期を逸すると感覚の形成やその修正は困難になります。
この本は、大切な幼児期、小学生の時期のうちにぜひとも身につけたい『基準感覚』を育むためのハンドブック、ガイドブックです。」
国語教育の大先生が、ここで「シングルエイジ」などというカタカナ語を使うとは思わなかったが、「シングルエイジ」とは、0歳から9歳まで、一桁の年齢のことだ。
昔から、「しつけ」は「つ」のつくうちにせよ、といわれる。「一つ、二つ」と年を数えるが、最後の「九つ」までに、しっかり「しつけ」をしないとだめだよ。後になってからでは、身につかないよ、ということである。
野口氏のいう「基準感覚」とは、「人間として必要な基本ルール」に関する感覚のことらしい。人間関係の秩序や礼儀に関する感覚は、幼い時に身につけさせないといけない。それができないと、やっていいことと悪いことの区別がつかず、絶対やってはいけないことに対しても鈍感な人間になる。
「はじめに」という文章が、この本には、二つある。一つは「お父さん・お母さんへ」。もう一つは「この本を読む子どもたちへ」。大人にも子どもにも、素晴らしい呼びかけが書いてある。
そして私が感心したのが、イラストのページ。親が子どもと一緒に読める。子どもだけでも、絵本のように読めるだろう。楽しい絵が並んでいる。「挨拶の作法」「話す時と聞く時の作法」「食事の作法」「街を歩く時の作法」が、順にわかりやすく、一つ一つ品格高く書いてある。
イラストの前には、日常的な作法や挨拶の持つ意味についての解説がある。簡潔でいて内容が深い。「しつけ」は、理屈なしに教え込むものだが、子どもはある程度の年齢になると、どうしてそうするのか考え、反抗したりする。そういう時、親が、どうしてこういう挨拶や言葉遣いをするか、その理由を言い聞かせられるように、この本は手立てを与えている。
本書は、すぐ役立つ実践的な「親学」の手引書となっている。正直言って、私は反省した。親として恥ずかしいことに、いくつも気がついたからだ。もっと早く出会いたかった。子どもはもう高校生だ。10年前にこんな本があれば、もっとよい子育てができたかも、と考え込んでしまった。
そんな先輩の反省を込めて、子育てしている人、子どもたちにかかわっている人たちに、本書を手にしていただきたいと思う。
参考資料
・拙稿「道徳教育は『しつけ』から」(4月2日と3日の日記)
野口先生のご著書紹介してくださりありがとうございました。保護者が教師が大人が子どもたちを鍛え導くことの大切さを改めて感じることのできる良書です。多くの皆様にご一読いただきたいと思います。
良い本を教えていただいて感謝しています。子育てしている人、子どもたちにかかわっている人たちに、是非知っていただきたい素晴らしい本だと思います。http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=4-569-64784-7