●強大化する中国が向かってくる
中国は、1980年代から驚異的な経済成長を続けている。CIAの推測では、平成22年(2010)、中国のGDPは日本を追い越し、世界第二位の経済大国になる。中国は経済成長で得た資金を軍事につぎ込み、既に世界第二の軍事大国になっている。
天安門虐殺事件と東欧の民主化が起こった平成元年(1989)から18年間、中国は毎年2ケタ台の伸び率で軍事予算を増加している。ただし、この数字は実態を表わすものではない。中国は、世界の武器貿易の約4割を占めるペースで、ロシアなどから新しい武器を購入してきた。輸入量は世界一である。こうした武器の購入費は、軍事予算に入っていない。宇宙兵器の開発費なども入っていない。実際の軍事費は、公表されている数字の約3倍だろうと見られている。実態はそれ以上かもしれない。
わが国は、ODAによって中国の経済成長を支え、対日貿易における巨額の黒字を積み上げさせた。中国は日本が貢いだ富で、今や実質世界第一位の外貨準備高を誇っている。軍事大国へと急成長する中国の国家戦略を、日本人は後押ししてきてしまったのである。
中国は、経済においては、2010年代後半から2020年頃には、実質購買力でアメリカを抜いて世界最大規模になる。また軍事においては、2025年から2030年頃に、アメリカを超えて世界最強になる、と予測されている。
こうした予想は、すべて中国の経済成長や軍拡が順調にゆけば、という前提に立っている。中国の内部には、様々な矛盾が高じており、破綻は間近いという見方も多くある。共産党政権は、体制の維持が難しい事態にいたれば、国内の不満を外に向けるため、台湾や尖閣諸島等への侵攻を行う可能性がある。国内事情によっては、ここ数年のうちにも起こりうる。
外国資本の投資に支えられた経済、北京オリンピック・上海万博で注目されるなかでの国際社会の評価等への重大な影響を考えると、中国指導部にとっては、一か八かの軍事行動となるだろう。
仮に中国共産党がファッショ的な仕方で国内の矛盾を抑え込み、現在の経済成長・軍拡を継続することができれば、2020年代の半ばから30年頃には、中国は余裕をもって東アジアで覇権確立の行動を起こせるだろう。その時点では、もはやアメリカは中国を抑えられないと予想される。
既に、赤い妖怪は大陸の西部や南部、南シナ海、東シナ海に勢力を伸ばしている。その手は、遅かれ早かれわが国の国土に向かってくるだろう。中国による「日本併合」を防ぐには、どうすればよいか。日中関係についてしばらく書き続けたい。
●私の見方の背景
ところで、私は、昭和40年代の半ばから50年代のはじめに、10歳台後半から20歳台はじめの年齢だった。その頃の日本には、共産中国に幻想を抱き、毛沢東崇拝という熱病に感染した人が多くいた。一方には、嫌中・反共の立場から、シナを頭から蔑視・敵視する人たちも多くいた。
そうした中で、中嶋嶺雄氏は、国際政治学による冷徹な分析を発表していた。共産中国の建国から文化大革命・脱毛沢東化の動向まで、氏の見方には、ぶれがなかった。私は、氏のリアリズムに触れ、中国に対する客観的な見方を学んだ。しかし、この当代随一の現代中国研究者は、中国は共産党の下では決して発展できないと断言していた。この予想は見事に外れた。また、氏の所論は、軍事学に裏付けられていなかった。発展する経済力をもとに軍事力を増大するその後の中国の姿は、想定されていなかった。
私が生涯の師とし、神とも仰ぐ大塚寛一先生は、昭和40年代半ば、日本に上陸したホンコン・フラワーを見て、これから中国は急速に発展し、日本は追い越される恐れがあると警告された。また、中国が原水爆やミサイルを持つにいたったのに対し、このまま軍事力を増大していくと、中国は滅亡の道をたどることになると予見された。核戦争になれば、核ミサイルを放つ国は共倒れになるからだと語られた。先生はここでも、比類のない驚異的な洞察力を示された。
私は先生の指針を知って以来、できるだけ大局的な見方のできるよう努力している。もとより私の知識・理解は素人の域を出るものではなく、本稿も自分の研鑽のためのノートのようなものにすぎないが、何かしら同憂の方々の参考になればと思う。
次回に続く。
中国は、1980年代から驚異的な経済成長を続けている。CIAの推測では、平成22年(2010)、中国のGDPは日本を追い越し、世界第二位の経済大国になる。中国は経済成長で得た資金を軍事につぎ込み、既に世界第二の軍事大国になっている。
天安門虐殺事件と東欧の民主化が起こった平成元年(1989)から18年間、中国は毎年2ケタ台の伸び率で軍事予算を増加している。ただし、この数字は実態を表わすものではない。中国は、世界の武器貿易の約4割を占めるペースで、ロシアなどから新しい武器を購入してきた。輸入量は世界一である。こうした武器の購入費は、軍事予算に入っていない。宇宙兵器の開発費なども入っていない。実際の軍事費は、公表されている数字の約3倍だろうと見られている。実態はそれ以上かもしれない。
わが国は、ODAによって中国の経済成長を支え、対日貿易における巨額の黒字を積み上げさせた。中国は日本が貢いだ富で、今や実質世界第一位の外貨準備高を誇っている。軍事大国へと急成長する中国の国家戦略を、日本人は後押ししてきてしまったのである。
中国は、経済においては、2010年代後半から2020年頃には、実質購買力でアメリカを抜いて世界最大規模になる。また軍事においては、2025年から2030年頃に、アメリカを超えて世界最強になる、と予測されている。
こうした予想は、すべて中国の経済成長や軍拡が順調にゆけば、という前提に立っている。中国の内部には、様々な矛盾が高じており、破綻は間近いという見方も多くある。共産党政権は、体制の維持が難しい事態にいたれば、国内の不満を外に向けるため、台湾や尖閣諸島等への侵攻を行う可能性がある。国内事情によっては、ここ数年のうちにも起こりうる。
外国資本の投資に支えられた経済、北京オリンピック・上海万博で注目されるなかでの国際社会の評価等への重大な影響を考えると、中国指導部にとっては、一か八かの軍事行動となるだろう。
仮に中国共産党がファッショ的な仕方で国内の矛盾を抑え込み、現在の経済成長・軍拡を継続することができれば、2020年代の半ばから30年頃には、中国は余裕をもって東アジアで覇権確立の行動を起こせるだろう。その時点では、もはやアメリカは中国を抑えられないと予想される。
既に、赤い妖怪は大陸の西部や南部、南シナ海、東シナ海に勢力を伸ばしている。その手は、遅かれ早かれわが国の国土に向かってくるだろう。中国による「日本併合」を防ぐには、どうすればよいか。日中関係についてしばらく書き続けたい。
●私の見方の背景
ところで、私は、昭和40年代の半ばから50年代のはじめに、10歳台後半から20歳台はじめの年齢だった。その頃の日本には、共産中国に幻想を抱き、毛沢東崇拝という熱病に感染した人が多くいた。一方には、嫌中・反共の立場から、シナを頭から蔑視・敵視する人たちも多くいた。
そうした中で、中嶋嶺雄氏は、国際政治学による冷徹な分析を発表していた。共産中国の建国から文化大革命・脱毛沢東化の動向まで、氏の見方には、ぶれがなかった。私は、氏のリアリズムに触れ、中国に対する客観的な見方を学んだ。しかし、この当代随一の現代中国研究者は、中国は共産党の下では決して発展できないと断言していた。この予想は見事に外れた。また、氏の所論は、軍事学に裏付けられていなかった。発展する経済力をもとに軍事力を増大するその後の中国の姿は、想定されていなかった。
私が生涯の師とし、神とも仰ぐ大塚寛一先生は、昭和40年代半ば、日本に上陸したホンコン・フラワーを見て、これから中国は急速に発展し、日本は追い越される恐れがあると警告された。また、中国が原水爆やミサイルを持つにいたったのに対し、このまま軍事力を増大していくと、中国は滅亡の道をたどることになると予見された。核戦争になれば、核ミサイルを放つ国は共倒れになるからだと語られた。先生はここでも、比類のない驚異的な洞察力を示された。
私は先生の指針を知って以来、できるだけ大局的な見方のできるよう努力している。もとより私の知識・理解は素人の域を出るものではなく、本稿も自分の研鑽のためのノートのようなものにすぎないが、何かしら同憂の方々の参考になればと思う。
次回に続く。
じつはシナの脅威を防ぐには簡単な法案があるのですが、問題はできるかどうかです。
すなわち経済封鎖です。いわゆるシナの「経済大国」も外資と外国の技術移転に依存しているだけの危弱な経済基盤しか持っていませんから、資本と重要部品をストップするか制限すれば、いわゆる「経済大国」もたちまち干上がってしまうはずです。
シナの軍拡もわが国のODA転用で可能になったとしか思えませんから、愚劣なODAは直ちに中止すべきでしょう。08年の五輪を待つ必要はまったくありません。また「経済大国」がODAを必要とするなど笑止千万ではありませんか?
しかし、問題は与党内の一部売国勢力と反日ファシズムの一翼を担う朝日をはじめとするメデイアがたくみに(最近は下手クソに)世論操作を行い、ひたすら「日中友好」を維持しようとすることでしょう。ですからわが国の対シナ政策はまずこれら売国勢力を撃つことが鍵になると思います。
長々と失礼しました。今後ともご教示ご指導お願い申し上げます。
あいにく存じません。さきのコメントの内容は自身で考えました。
私も、外交政策として経済力をカードに使うのは、有効だと思っています。しかし、中国に進出している日本の大企業は、自社の利益を守るため、媚中政策を政治家に要求しているのが現状です。金さえもうかれば、誇りなどいらないというようなあさましい考えが目に付きます。戦前のわが国の大陸での失敗に学んでいないようです。
台湾企業やIBMなど多くの企業が中国で痛い目にあっているのですから、日本企業は、中国の問題点をよく理解し、これ以上深入りしないようにし、早期に投資先をインド・ベトナム等にシフトした方がよいと思います。こういう民間の動きが結果として、わが国の中国に対する外交姿勢を強くすることになると思います。