2017年9月4日(月) 7:00pm 東京文化会館
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番ニ短調 18-11+14′
ピアノ、ハオチェン・チャン
(encore)
モーツァルト ピアノソナタ K.330 第2楽章 4′
Int
ラフマニノフ 交響曲第3番イ短調 16-12-12′
大野和士 指揮 東京都交響楽団
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2009年クライバーンコンクールのチャンピオン。ダブル受賞の辻井のピアノは何度も聴いているが、チャンは今回お初で聴きます。プログラムは大好物のラフマニノフの3番尽くしでうれしい。
静けさから荒々しさまで、自然発火から猛烈な勢いの火花まで。まるで全てがカデンツァのようなプレイ。ブラスは1,2楽章ほぼ出番なしなのでチャンの妙技を思う存分聴くことが出来た。鍵盤を縦にビーンビーンと強烈な弾き。叩き付けるのではなく吸い上げるようなもので、都度、ピーンと張った音が鳴り響く。全体の印象は静けさが勝るけれども、伝家の宝刀をいつでも出せるよといった感じ。素晴らしくクリアな演奏で音色が素敵。人を静まり返らせる技に満ちている。魅了されました。
伴奏の大野は大人の対応といったおもむきのアイコンタクト。チャンもしっかりと見てよく合わせていましたね。指揮者とオケはピアニストの引き立て役だったが終楽章コーダ前、3発目のティンパニのくさびを打つような強打に続き、ここぞとばかりカミソリブラスの下降形3連符、後打ち、シンコペ、と強烈に駆り立て、ビシーと締めくくった。
何か型があったような演奏ではなかったがもう一度聴きたいと思わせる。リサイタルも聴きたいものです。
後半のシンフォニー。
先般の田園と同様、大野が振るとこのオケよく歌う。ウィンド4セクと五弦のスウィングがなかなかいい。ブラスは別方向を見ている感じでいつもながらしっくりこず、鉄板ザッツ。ホルンはもっと力感が欲しいといったところがあるが、このウィンド、弦の歌い口は硬質でゆらぐ美しさ、いける。ギラギラした3番、いい感じ。特に中間楽章の強靭な弦、敷き詰めたような鳴りが心地よい。
大野の求める域に達したいというオケの思いが演奏から感じられるのだが、どうもそれを阻害している要素もありそうな気配を感じるオケ。今に安住しているとは見えないが、何かに有頂天になっているようにも感じる。それが阻害要素なのかもしれない。
大野の全力投球に100パーセント申し分なく応えた演奏を聴きたい思いがある。
おわり