2016年1月28日(木) 2:00-5:10pm オペラパレス、新国立劇場、初台
新国立劇場 プレゼンツ
モーツァルト 作曲
ミヒャエル・ハンペ リヴァイヴァル・プロダクション
魔笛
キャスト (in order of appearance same as voice’s appearance)
1.タミーノ、 鈴木准 (T)
2.侍女Ⅰ、 横山恵子 (S)
2.侍女Ⅱ、 小林由佳 (Ms)
2.侍女Ⅲ、 小野美咲 (Ms)
3.パパゲーノ、 萩原潤 (Br)
4.夜の女王、 佐藤美枝子 (S)
5.モノスタトス、 晴雅彦 (Br)
5.パミーナ、 増田のり子 (S)
6.童子Ⅰ、 前川依子 (S)
6.童子Ⅱ、 直野容子 (S)
6.童子Ⅲ、 松浦麗 (Ms)
7.弁者、 町英和 (Br)
8.ザラストロ、 妻屋秀和 (Bs)
9.僧侶、 大野光彦 (T)
10.パパゲーナ、鷲尾麻衣 (S)
11.武士Ⅰ、 秋谷直之 (T)
11.武士Ⅱ、 大塚博章 (BsBr)
合唱、 新国立劇場合唱団
ロベルト・パーテスノストロ 指揮 東京交響楽団
(タイミング)
序曲 6′
第1幕 61′
Int
第2幕 85′
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1998年5月6日がプレミエ公演ですから随分と前から人気のプロダクション。
最後のシーンは舞台奥に大きな地球のような星が現れるので、これまでのことは宇宙での出来事だった、みたいなユニバース的な雰囲気になるのですけれども、第1幕終盤でザラストロが出てきたあたりの祭事のような全体的な人の動きというのは、何か、入信儀式に入っていく感じで、言われなくてもフリーメイソンのことしか浮かんでこないもの。それが正しいものと言われてしまうとプロダクションの色濃さも手伝って、人によっては相当な抵抗感があってもおかしくないのではないか。それがユニバースというわけではないのですし。ザラストロが絶対正義ではないでしょうと言いたくなる。
モーツァルト最後のオペラはドイツ語のジングシュピール。タイトルがマジックフルートですから、タイトルロールは誰なの?という話しになってしまう部分があって、この日の内容でも良く言えばキャスト皆おしなべて良い具合、と言ったところか。
指揮者以外オール・ジャパニーズのキャストでタミーノの声が全然出ていないことを除けば概ね満足のいくものでした。特に冒頭に書いたことの象徴である3、侍女や童子の重唱が素晴らしい。それに合唱ですね。キャストの歌は一人むき出しで歌う局面が多く、それはジングシュピール的なしゃべりと相応しているものでそうゆうものだと思うしかない。みなさん揃ったいい歌でした。キャラクター的にはモノスタトスがぴったりときまっていましたね。
それにも増して印象に残ったのはコラール局面の素晴らしさに代表されるパーテスノストロ指揮する東響の透明でピュアなハーモニーの美しさ。そもそも序曲の時からオーケストラの引き締まり具合が普通でなくて、最初から完璧なシンフォニックな腕前披露という感じで、こう言ってはなんですが、もったいないぐらい。
舞台はシンプルで縦と横の移動を活用、それに宙ぶらりんで横に動く童子たち。夜の女王の例のアリアは舞台中央、なにもないところで歌う。かなり印象的ですね。東響の伴奏に合わせてスキッとスカッと聴くことができました。
ゴチャゴチャしない舞台でメリハリの効いたわかり易いもの。横広にとった舞台の縦の移動のスケール感、そして床の蓋をあけてパパゲーナがちょこっとでてくる細やかさまで色々と対比も面白かった。
それから、怪獣たちの中にアリゲーターがいて、這って歩いてましが、あれはどうやって動かしているのかしら。
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指揮とオーケストラが緊張感のフレームづくりにかなり寄与していて、これがあればこその散漫ならずの舞台になったわけですね。いい演奏腕前でした。
パーテルノストロは、前はパテルノストロ表記で、いつぞやの11枚組1790円の残響の長い名演ブルックナー全集だけでなく1990年代にたまに日本に来てオペラ振っていました。
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魔笛の1000円プログラム冊子。作品ノート絡みとは別に色々と読みごたえあります。
・ウィーンのジングシュピール公演と魔笛
・旅に病んで - シカネーダー一座小史
・モーツァルトの政治利用 - 排他か包摂か
ヒットラーの写真まで引き出していますから、その意気込みというか。
おわり